胞状奇胎だと妊娠継続は難しい場合も…でも再妊娠は可能!

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2017/11/03

胞状奇胎で妊娠継続が難しいと言われた妊婦さん

母体にとって非常に危険な胞状奇胎。早い段階で治療を行わないと絨毛癌にまで発展してしまうリスクもあり、妊娠を継続して出産にまで進むことは非常に困難です。

では、適切な治療を行ったあとは、再び妊娠することはできるのでしょうか?また再発の可能性はどれくらいあるのでしょうか?

胞状奇胎が治療後に母体に及ぼすリスクについてご紹介します。

胞状奇胎になると妊娠の継続はできないことがほとんど

胞状奇胎には発生原因から2種類に分けられます。

  • 「全胞状奇胎」…受精後に卵子の核が不活性化または消失し、精子の核のみが分裂増殖していく
  • 「部分胞状奇胎」…正常な一つの卵子に二つの精子が侵入する

妊娠を継続できるかどうかは、胞状奇胎のどちらのタイプであるかで変わってきます。

全胞状奇胎の場合は妊娠の継続は不可能

胞状奇胎の中でも全胞状奇胎の場合は、受精卵で卵子由来の染色体を増殖することができず、胎児へと成長する「胎芽」が育たないため、妊娠を継続することは不可能です。

つまり、受精の際に細胞分裂していきますが、通常ではあるはずの卵子の核がない状態で、精子の核のみが細胞分裂してしまうのです。

正常な受精卵には、精子の持つ23本の染色体と卵子が持つ23本の染色体を合わせた46本の染色体が存在します。

しかし全胞状奇胎の場合は、卵子が持つ23本の染色体が存在せず、母体の遺伝子情報がないため、正常な胎児に育つことはありません。

全胞状奇胎と診断されると、適切な治療と経過観察を行い、次にまた妊娠できるようにしていきます。

部分胞状奇胎の場合は不可能ではないがリスクが高い

部分胞状奇胎は、正常な1つの卵子に、2つの精子が同時に受精することで起こりますが、こうなると1つの受精卵に3つの染色体(合計69本)が存在することになります。

1つの卵子に2つの精子が同時に受精すると聞くと、一卵性双生児と同じだと思う方もおられるかもしれませんね。

しかし一卵性双生児は、1つの卵子と1つの精子が受精して1つの受精卵ができたあと、細胞分裂を繰り返す過程で何らかの理由で受精卵が2つに分裂することで起こります。

部分胞状奇胎も染色体異常ということになり、多くの場合は正常な胎児として育つことはありません。

ただし、部分胞状奇胎の場合は卵子と精子の染色体が正常な部分もあり、非常に珍しいのですが、一卵性双生児の片方が正常な胎児、もう片方が胞状奇胎という場合があります。

片方の胎児が正常と聞くとそのまま妊娠を継続したくなりますが、そうなると胞状奇胎の治療が行えず、病気が進行していくため、母体が非常に危険な状態となります。

そのため、通常では部分胞状奇胎の場合も摘出手術を行い、次の妊娠に期待することがほとんどです。

胞状奇胎が進行すれば、それだけ子宮から掻き出す異常増殖した絨毛の量が増えるので、手術のリスクが高くなります。そのため、できるだけ早く処置を行う必要があります。

適切な処置を行えば、絨毛癌にまで発展する可能性は低い

絨毛癌とは、絨毛細胞から発生した悪性腫瘍のことで、絨毛癌の多くは胞状奇胎の娩出手術後に発生しています。

子宮を全摘出していれば絨毛癌を発症することはありませんが、子宮を残した治療が行われると、残った絨毛から癌を発症してしまうことがあります。

しかし絨毛癌は胞状奇胎後だけでなく、正常分娩や流産、人工妊娠中絶などの後にも、残った絨毛から発症することがあります。

つまり、すべての妊娠で絨毛性疾患となる可能性があるのです。

絨毛癌は、リンパ管や血流を通して腟、肺、脳、肝臓など全身に転移しやすい癌です。

絨毛癌は転移さえなければ90%の確率で治癒できる癌なので、早期発見がとても重要になってきます。

胞状奇胎の治療後の定期的な通院による経過観察が重要視されているのはこのためです。

胞状奇胎を発症した人のうち、悪性の絨毛癌へと移行するのは1~2%程度です。

絨毛癌を発症すると、子宮の摘出手術や抗癌剤による化学療法が行われ、脳に転移が見られる場合は、放射線療法も行われます。

侵入奇胎や絨毛癌は、20~30代の若い世代に発症が多い病気のため、治療後に妊娠を希望する場合が多く、子宮の摘出はできるだけ避けて化学療法のみで治療が行われます。

子宮の全摘出さえ行わなければ、絨毛癌の治療後は再び妊娠や分娩は充分に可能です。

化学療法や放射線治療を行うと、治療後の妊娠であっても胎児に影響はないかと心配になるかもしれません。

しかし、妊娠前の化学療法や放射線治療によって、胎児に奇形が現れる可能性が高くなることはありません。

胞状奇胎から絨毛癌へ移行していく原因や理由については、現在ではまだ明らかになっておらず、妊娠終了後に一ヵ月以上不正出血が続く場合は必ず医師に相談してください。

胞状奇胎の治療後はまた妊娠可能!

胞状奇胎の手術後は、1週間~1ヵ月に1回程度の頻度で定期的に外来通院が必要となり、血液中のhCGの値を測定しながら経過観察が行われます。

hCG値が正常値になるまでには、早くて2~3ヵ月、遅くて5~6ヵ月ほどかかります。

だいたい6ヵ月ほどで、医師から妊活再開の許可が出ることが多いです。

手術後しばらくは避妊が必要

胞状奇胎の手術後、なぜ半年~2年間も避妊をする必要があるのでしょうか。

もしも胞状奇胎が再発してしまった場合や絨毛癌を発症してしまった場合、再びhCGの値が高くなります。

そして、基礎体温が高くなり、尿検査で妊娠反応が出るようになります。

胞状奇胎の経過観察中は、基礎体温の測定と妊娠反応検査が行われますが、経過観察中に妊娠すると、病気が再発したのか新たに妊娠したのか区別がつかなくなります。

そのため、医師の許可が出るまでは絶対に避妊が必要になります。

一度胞状奇胎を発症した人が再発する可能性は2%程度と低い

胞状奇胎は再発を繰り返す病気ではなく、一度発症した方が再発する可能性は2%程度です。

2度目の妊娠でまた胞状奇胎となる可能性は、一度も発症していない人と変わりません。

また、子宮の全摘出さえしていなければ、胞状奇胎を完治した後は次の妊娠にはまったく影響はありませんので、新たな妊娠を恐れる必要はありません。

とにかくできるだけ早く治療をし、完治させることが最も大切です。

▼胞状奇胎の治療についてはコチラも参考にしてみて!

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