妊活中の男性が受けておきたい検査!検査内容と受診時の注意点

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2017/06/02

不妊検査を受けている男性

「赤ちゃんが欲しい」と望むなら、ぜひ夫婦で協力して妊活をすすめていきたいものですね。二人で手を取って支え合うことで、穏やかな妊活生活が送れるようになります。

そこで、妊活中の男性にぜひ受けてもらいたいのが、精液検査です。男性側の検査が一般的に語られることは少ないですが、女性が受ける婦人科検診と同様の意義を持ちます。

夫婦でお互いが検査を受けて異常が見つからなければ、安心してタイミング法で赤ちゃんが宿るのを待つことができます。

ここでは、「精液検査でどんなことがわかるのか」「検査を受けるにはどうしたらよいのか」について、説明していきましょう。

男性の検査内容・・・精液検査や精密検査でわかること

妊活を行うのであれば、まずはお互いに妊娠力があるのかを確認することが大切です。女性なら婦人科検診を受け、子宮や卵巣、その他の生殖機能に異常がないかをチェックしておきましょう。

女性は年齢が高くなるほど、子宮や卵巣のトラブルが増え、妊娠への不安を抱きやすくなります。そのため、婦人科検診に足を運ぶことに抵抗を感じない場合が多いでしょう。

一方で、男性は「まさか自分の精子に異常があるなんて」と思っている方が多いのではないでしょうか。自覚症状が現れなければ、なかなか病院を受診する気持ちにもならないものです。

しかし、不妊の原因は女性側だけにあるのではありません。一般社団法人 日本生殖医学会のホームページには、不妊症カップルの50%ほどに男性に原因があると記されています。

男性の検査で最も一般的なのは「精液検査」です。精子の数や濃度、運動能力などを評価してもらうことができます。

まずは妊娠できないことへの不安や憶測を最小限にするためにも、「精液検査」という第一歩を踏み出してみましょう。

精液検査・・・精子の量や質を調べ、妊娠力をチェック

女性が妊娠するためには、男性にも妊娠力が必要となります。具体的には、「男性の精液に卵子と受精する力があるか」が重要になるのです。

男性の妊娠力を調べるのに有効な手段が、精液検査です。
妊活中の男性が行う検査の中でもっとも一般的であり、基本的な検査でもあります。

精液検査は精子チェックともいわれ、検査を受けると以下の内容がわかります。

  • 精液の色
  • 精液の量
  • PH
  • 精子の数・濃度
  • 精子の運動率
  • 精子生存率
  • 精子の正常形態率
  • 白血球数
なお、正確な検査結果のためには複数回の検査が必要であり、おおむね1ヶ月以内に2~3回の検査が求められます。

精液検査の方法は2010年にWHO(世界保健機関)によりマニュアル化されており、それぞれの項目の基準値も設定されています。

この基準値は、WHOが多くの精液検査から自然妊娠を求める際の参考値として割り出されたものです。病院によっては古い基準値で検査・診断をしている場合があるので注意しましょう。

ただし、基準値に満たないからといって、妊娠が望めないわけではありませんし、基準値を満たしたからといって、必ず妊娠できるという保証があるわけでもありません。

ここでは、2010年に改訂された検査マニュアルをもとに、それぞれの検査内容と基準値を説明していきます。

精液の色:正常なら乳白色~白色
正常な精液は乳白色~白色をしています。しかし、血精液症になると精液に血液が混じり、精液が赤色になります。
精液の量:基準値1.5ml以上
一度の射精でどれくらいの量の精液が出ているかを調べます。基準値は1.5ml以上。精液量が1.0ml以下の場合には、逆行性射精、精のう欠損、射精管閉塞が疑われます。
pH:基準値7.2
射精後の精液のphを調べます。ただし、射精後に時間がたってしまうと、正確な結果が得られないため、射精後1時間以内の精液を調べます。

基準値は7.2の弱アルカリ性です。Ph7.0以下なら射精管の閉塞などが疑われます。

精子の濃度・数:
基準値1ml中に1500万以上(精子濃度)、3900万以上(総精子数)
精液の中に含まれている精子の数をカウントします。精子の数と濃度は、妊娠までの期間や妊娠率に影響を及します。

精子濃度 精液1mlあたりにどれだけの精子がいるかを表す。
(基準値1500万以上/1ml)
総精子数 1回の射精で、どれだけの精子を放出するかを表す。
(基準値3900万以上)

1回の観察で精子が見つからなかった場合には、精子全量を遠心分離して調べて、精子がいないかを確認します。

精子濃度が低い、または総精子数が少ない場合には、乏精子症が疑われます。精液全量を遠心分離しても精子が見つからない場合には、無精子症の疑いがあります。

精子の運動率:基準値32%以上(PR)、40%以上(PR+NP)
精液を顕微鏡で観察し、活発に動いている精子(運動精子)の割合を調べます。運動精子には「前進運動精子(PR)」と「非前進運動精子(NP)」があります。

前進運動精子
(PR)
直線的か、大きな円を描くように、非常に活発に動き回る精子
非前進運動精子
(NP)
動きはあるが、前には進まない精子

また、まったく動きが見られない精子を「不動精子(IM)」と呼びます。運動率をPRの値で評価するか、PRとNPを合わせた値で評価するかは、病院によって異なります。

活発に動き回る精子が32%以上、もしくは、動きのある精子が40%以上なら、基準値をクリアしていることになります。運動精子の割合が少ない場合には、精子無力症が疑われます。

精子生存率:基準値58%以上
精液中の精子のうち、どれだけの精子が生きているかを調べます。特に、全く動きのない精子(IM)は生きているのか死んでいるのかがわかりません。

そこで、精子を染色して調べ、生存の有無を調べます。精子を染色すると、生きている精子は染まりませんが、死んだ精子は赤色に染まります。

精子生存率の基準値は58%であり、精液中の58%以上の精子が生存していれば正常と判断されます。

精子の正常形態率:基準値4%以上
正常な精子は、丸い卵型の頭部に1本の細いしっぽがついたような形をしています。しかし、中には、頭部が異常に大きい、しっぽが2本あるなど、奇形の精子も存在します。

形態検査では、精液の中に含まれる正常な精子の割合を調べます。精子の正常形態率の基準値は4%以上とされています。

特に、精子の奇形率が96%以上となる場合には、奇形精子症が疑われ、顕微授精や体外受精、人工授精などを勧められることがあります。

白血球数
精液中の白血球の数を調べます。本来なら、精液中に白血球は含まれるものではありませんが、ストレスや疲れが強かったり、感染症を起こしていると精液中に含まれるようになります。

白血球は精子の動きを阻害するため、精液に白血球を多く含む場合は妊娠率が低下する可能性があります。

特に、精液1ml中に100万個以上の白血球があると、「膿精液症」といわれます。

フーナーテスト・・・夫婦生活後、女性の体内に残った精液を調べる

フーナーテストは、夫婦生活を送った後に女性の頸管粘液を採取し、女性の体内での精子の動きを調べる検査です。ですから、実際に検査を受けるのは女性となります。

しかし、男性が関わる検査であることに違いありません。このテストを受ける際には、ご主人に3~5日禁欲してもらうなどの協力が必要となります。

精子の能力は射精のたびに異なります。より元気な精子を観察するためにも、検査前には数日間の禁欲期間が必要となるのです。

検査は排卵期に行います。排卵日に合わせて夫婦の営みを持ち、数時間後に病院を受診して膣や子宮の粘液を採取します。

採取したものを観察することで、膣から子宮へ向けて精子がしっかりと動いているかどうかを知ることができます。

フーナーテストの結果が良好だからといって、精子に異常ないと断定できるわけではありません。精子の量や濃度・運動率などの状態は、精液検査によってわかるものです。

病院の方針により、フーナーテストを行ってから精液検査をする場合と、精液検査を済ませてからフーナーテストを行う場合があります。

精密検査・・・不妊原因の追及や、疾患の有無を調べる検査

精液検査で疾患が疑われる場合には、より詳しい検査がおこなわれます。通常、精密検査は泌尿器科で受けることができます。

問診 医師が患者さんの状態を詳しく知るために質問をします。
気になる症状がある場合は、先生に相談しましょう。
触診

超音波検査
精液の通り道が詰まっていないか、精巣の中に静脈瘤がないかを調べます。
血液検査 血液中のホルモン値を測定。
精巣の異常・精策静脈瘤・陰嚢水腫などの症状がわかります。
クラミジア検査 尿検査を実施。
男性がクラミジアに感染すると、尿道や前立腺の炎症を引き起こし、睾丸への激痛を感じるようになります。
クラミジアの感染は無精子症を引き起こし、男性不妊症の原因にもなります。
イムノビーズテスト 男性が自分の精子に対して抗精子抗体を作っていないか調べる検査。
抗精子抗体は、精子を異物とみなし、精子の能力を低下させてしまいます。陽性の場合には自然妊娠が難しくなります。

受診時に気になることや注意点・・・費用や精液採取の方法

精液検査の重要性がわかっても、まだまだ受診への不安が払拭されない方もいるでしょう。

たとえば、病院で精液を見てもらうのには抵抗がある・・・という方には、自宅でチェックできる検査キットなどもあるのです。

  • どこを受診すればよいのか?
  • 検査には、いくらくらいかかるの?
  • 「自宅で検査できる」という話を聞いたことがあるけれど?
  • 精液はどうやって採ったらいいの?

ここからは男性が不安に思うことを、解決していきましょう。少しでも疑問を解消して、スッキリした気持ちで検査を受けに行ってくださいね。

何科を受診する?・・・泌尿器科・産婦人科・不妊治療を行う病院で受けられる

精液検査は、「泌尿器科」「産婦人科」「不妊治療専門クリニック」で受けることが可能です。

泌尿器科
男性が一人で受診する場合におすすめ。異常があった場合は精密検査や治療が受けられる。
不妊治療専門クリニック
奥さんと一緒に受診する場合におすすめ。男女両方の検査を実施している。
不妊治療をおこなう産婦人科
自宅で採取した精液を奥さんに預けて検査することが可能。旦那さんの保険証をお忘れ無く!
また、最近では結婚前に「自分に子どもができる能力があるか」を調べる男性も増えており、「ブライダルチェック」という検診を用意している泌尿器科や産婦人科もあります。

ブライダルチェックでは、血液検査・尿検査・レントゲン撮影・精液検査などを行い、肝炎や性感染症の有無、腎機能・肝機能の状態について知ることができます。

精液検査にかかる費用・・・保険が適用されるかどうかで大きく変わる

精液検査の費用は、医療機関によって異なります。精液一般検査と呼ばれる、精液の量・精子数・濃度などの基本的な検査なら保険が適用され、1,000円ほどで受診できます。

しかし、一般検査よりも高度な情報が得られる精密検査を行った場合には、保険適用外となり、5,000~数万円かかることもあります。

精液検査は男性の体調によって結果が大きく変わるため、2~3回検査を受ける必要があります。検査の回数ごとに費用もかかりますので、その分も予定に入れておきましょう。

なお、ブライダルチェック(男性用)を受ける場合の相場は、およそ25,000~40,000円です。

いずれにしても、「いくらくらいかかるのか」は、受診前に一度病院に問い合わせて確認しておくと、「手持ちが足りない!」という事態を防ぐことができますよ。

自宅検査キットや郵送による精子検査・・・セルフチェックに最適

実は、精液検査は病院に行かなくてもできることをご存じですか?病院へ行くのは抵抗がある、なかなか病院へ行く時間が取れない、という方でも精液検査にトライできるのです。

自宅で検査をしたい方にオススメなのが、自宅で精液を採取して郵送すると、検査結果がメールで送られてくる、というサービスです。

インターネットで精液を採取するキットを申し込み、届いたキットに精液を採取して、ポストに投函します。

専門施設で臨床検査技師が、精液量・精子濃度・総精子数・正常形態率を検査します。検査が完了すると、検査結果がメールで送られてきます。

さらに、写真付きのパックであれば、精液中の精子を撮影した画像を送信してもらうことができます。自分の精子を見て感動を覚える男性も多いようです。

ただし、この検査方法は、あくまでもセルフチェックとして行うためのものです。詳しい検査は必ず病院を受診して行うようにしましょう。

このほかにも、専用キットに精液をセットし、スマホのカメラ機能とアプリを使って精液の状態を確認する商品などもあります。

精液採取にあたっての注意事項・・・正確な検査結果のために気をつけること

病院で精液検査を受ける場合、自宅で精液を採取して持って行く場合と、病院内の専用ルームで精液を採取して提出する場合があります。

病院で採取する方が、射精後から時間の経っていない精液を検査することができます。しかし、病院での採取に抵抗がある場合や病院へ行く時間がない場合は自宅採取になります。

精液採取の注意点
  • 2~4日は禁欲すること
  • コンドームは使わない(殺細胞能力がある)
  • もしも採取中に精液をこぼしてしまった場合は、提出時にその旨を伝える
  • 射精後、なるべく時間が経ってないものを提出する
  • 精液は人肌程度の温度に保つようにする

自宅でも病院でも、精子を採取する方法は用手法(マスターベーション)になります。精液を専用のプラスチックの容器に受け、病院に提出します。

精液の量や質をしっかりチェックするために、検査前2~3日は禁欲します。禁欲しすぎると精子の運動率が落ちてしまう恐れがあるので、禁欲期間を守るようにしましょう。

精子は射精してから時間が経ってしまったり、温度が変わってしまうと、運動率が下がったり、形態を変化させてしまうため、採取後は体に密着させてなるべく早く提出します。

採取してから提出までの時間は病院で指定されていることが多いです。なお、冷蔵庫でひやしたり、ホッカイロであたためたりして精液の温度を変えないようにしましょう。

精液検査はメリット大!妊活は夫婦で支え合って進めよう

妊娠を望む女性の中には、「男性にも検査を受けてもらいたい」と思っていても、なかなか切り出せない人が多いものです。でも、男性が検査を受けるメリットは沢山あります。

  • 体の異常を見つけることができる
  • 不妊の原因が特定しやすくなる
  • 妊娠や出産のメカニズムに興味がわく
  • 妊娠にむけて夫婦で協力できるようになる
一般的に、精液検査を受けた男性は、妊活への理解が強くなります。妊娠の仕組みに興味を持ち、女性がナーバスになる気持ちをわかってくれるようになります。

妊娠の話しがタブーとなっていた夫婦も、検査を受けることをきっかけに、夫婦間のコミュニケーションが増えることがあります。

妊活は夫婦一緒に行うもの。元気な赤ちゃんを笑顔で迎えるための第一歩として、女性は婦人科検診を、男性は精液検査を受けるようにしてくださいね。

▼婦人科検査についてはコチラも参考にしてみて!

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