受精卵が着床できずに起こる化学流産の原因・症状とその後の処置法

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2017/08/29

妊娠していなのに妊娠症状がある?と思っている女性

化学流産は血液検査や尿検査で陽性反応が出たにも関わらず、胎嚢が確認できないまま流産してしまう状態を言います。

正式には「生化学的妊娠(ケミカル・プレグナシー)」「生化学的流産(ケミカル・アボーション」と言い、臨床的に言うと妊娠や流産とは扱われていません。

超初期の流産のため、気付かないうちに化学流産になっている場合もあります。化学流産がどうして起こるのか、症状と兆候、その後の処置についてお話しします。

化学流産はどうして起こるのか?

着床はしたものの、着床を継続することが出来ず、胎嚢が出来る前に子宮内膜から受精卵が剥がれ落ちてしまう化学流産が起こる理由についてお話しします。

化学流産の大半は受精卵の染色体異常

受精卵の時点では、受精卵のうちの約40%が染色体異常になると言われています。化学流産の大半は染色体異常によって引き起こされます。

受精卵と染色体異常との関連性のイラスト1

100個受精卵(100回妊娠したとしたら)があるとしたら、そのうちの40個の受精卵に染色体異常が起き、そのうち20個は受精して間もなく発育を停止してしまいます。

受精卵と染色体異常との関連性のイラスト2

残りの80個は細胞分裂を繰り返していく中で子宮内に移動し、胚盤胞(はいばんほう)になり着床時期に入る時点では、染色体異常になる確率は約25%まで減ってきます。

受精卵と染色体異常との関連性のイラスト3

着床し妊娠検査薬で陽性反応が出た時点でも、約10%は受精卵に染色体異常がある可能性があります。

受精卵の時点で染色体異常があれば、染色体異常の重症度により、着床し育つかどうかが決まってきます。

年齢が上がるにつれ、染色体異常を持つ卵子が増えてきますので、その分 化学流産になる確率が上がってきます。

最終的になんらかの染色体異常で産まれてくる赤ちゃんの数は約0.6%くらいなので、化学流産か流産などで、出産まで至らないことになります。

化学流産は妊娠検査薬の精度の向上によって増えている

化学流産以前に起こる超初期段階の流産は、かなり高い確率で起こっていて、化学流産は受精卵の時点で決まってしまう場合が多いです。

一般の妊娠検査薬は尿中にhcgが50mIU/ml以上になると、陽性反応が出てきます。早期妊娠検査薬だと検出感度が25mIU/ml以上で反応するものもあります。

精度の高い妊娠検査薬だと受精成立後9日目には反応が出る場合もあり、生化学的妊娠に気付くことが多くなっています。

臨床的妊娠は胎嚢が確認できた状態からカウントされるので、日本では化学流産は流産としてはカウントされません。

化学流産は妊娠検査薬を使用するタイミングが早すぎるフライング検査によって増えてきているとも言えます。

化学流産でも流産に気付くと悲しい気持ちになってしまいます。妊娠検査薬は生理の1週間後の着床が確率した時点で使うようにしましょう。

▼妊娠検査薬の使用タイミングについてはコチラも参考にしてみて!

黄体機能不全などの着床障害

フライング検査と書かせて頂きましたが、化学流産に気付くことで次の流産を防ぐことに繋がる場合もあります。

化学流産の殆どが受精卵の染色体異常により起こると言われていますが、母体側の原因としては黄体機能不全などの原因も考えられます。

黄体機能不全は何らかの原因で、黄体からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されにくくなり、着床しても定着しにくい状態が起きていることを言います。

黄体機能の働きは基礎体温をつけた時の高温期の期間(14日くらい)、高温期と低温期の差、血液検査からは黄体ホルモンの分泌に関わるFSH、LHの値などからも分かります。

化学流産の起きる原因が黄体機能不全と分かっているのなら、ホルモン療法や治療などにより、妊娠を継続できるようになる可能性もあります。

流産や化学流産を繰り返すようでしたら、染色体異常以外の可能性を疑って婦人科を受診し、原因を究明していくことも大切です。

殆どの場合は自覚症状がない…化学流産の症状・兆候

化学流産の殆どは自覚症状がありません。生理不順で周期がバラバラな方などは、基礎体温をつけていないと気付けないことが殆どです。

化学流産の症状・兆候についてお話しします。

生理前に妊娠初期症状があった場合は化学流産をした可能性が…

早い人では妊娠3週目に入り受精卵が着床した時点で、妊娠初期症状を訴える人もいます。

普段は生理前の症状が無い人や、生理前の症状がはっきりしている人は、着床の時に感じる妊娠初期の症状が分かりやすくなります。

  • つわり
  • 眠気
  • 体のだるさ
  • おりものの変化
  • 胸の張り
  • 味覚の変化

上記のような普段と違う症状を感じていたのにも関わらず、その症状が無くなった後に生理が来た場合は化学流産の可能性があります。

妊娠検査薬の反応が薄く基礎体温が下がってくる

妊娠検査薬の反応が薄いので、期間をおいて何度試してみても、濃い反応が出ない場合は化学流産が疑われます。

また、妊娠すると高温期が続くのですが、妊娠検査薬の反応が薄いままで、基礎体温が下がってくると化学流産の可能性が高くなります。

基礎体温が下がると間もなく出血が始まり、通常の生理と同様か少し重い生理の症状になってきます。

妊娠検査薬で陽性反応後や遅れてきた生理…ドロドロした経血や塊

普通の生理だとサラサラした経血が多いのですが、化学流産の場合は少しドロッとした場合が多いです。

人によっては塊のようなものが混じっている場合もあります。妊娠を維持させようとして厚くなっていた子宮内膜が剥がれ落ちたためと考えられます。

出血する期間は通常の生理より少し長い場合が多いです。

妊娠検査薬によって陽性反応が出ていれば分かりますが、特に調べていない場合は遅れてきた生理で済まされます。

化学流産は生理予定日の1週間~2週間の間で起こることが多いのですが、早い人では生理予定日より前の化学流産に気付く人もいます。

出血しても基礎体温が高いままで、妊娠検査薬で陽性反応がある場合は、化学流産と決めつけずに婦人科を受診することをお勧めします。

激しい腹痛を感じることもある

いつもの生理痛とは違う激しい痛みを訴える人もいます。お腹をえぐられるような痛みやずしんと重い痛みで普段の生理痛との違いに気付く人もいます。

お腹の痛みもなく生理のような出血だけという人もいるため、腹痛が化学流産の兆候とも言い切れません。

激しい腹痛でも生化学的妊娠に気付いていない場合は、今回は生理痛がひどかったと考えられて終わりになる可能性も高いです。

化学流産が分かった後はどうしたら良い?処置法について

妊娠検査薬で陽性確認後に化学流産をしてしまった場合、そのまま放置しても良いのか、何か処置が必要なのかと悩むところです。

化学流産が分かった後の処置法についてお話しします。

殆どの場合が処置は不要…感染予防のための処置がされることも

胎嚢が確認される前に超初期段階での流産の場合は、流産に比べると体の負担も軽く、普通の生理から少し重たい生理の症状で終わります。

そのため、気付かない場合も多く、処置を必要としない場合が殆どです。

妊娠検査薬で陽性反応が出て産婦人科で確認してもらった後に、化学流産した場合は病院に電話連絡して判断を仰ぐのが良いでしょう。

病院や子宮内の様子によっては、感染予防のための処置や、薬を処方される場合もあります。

激しいお腹の痛みや、生理と異なる出血、出血が止まらないなどの異常を感じた場合は病院を受診しましょう。

化学流産後も妊娠検査薬で陽性反応

化学流産後も妊娠検査薬で陽性反応を占めす場合もあります。流産したからといってもhcgの値がすぐに0になるわけではなく、緩やかに下がっていく場合もあるからです。

  • 人によってはhcgの値が緩やかに下がる
  • 子宮外妊娠
  • 子宮内に内容物が残っている

子宮外妊娠は病院で卵管などに着床していないか、検査をすることにより判明します。

また、非常に稀ですが子宮内に内容物が残っているとhcgの値が下がらず、排卵が起きなくなるので次の妊娠のために掻爬(そうは)手術が行われる場合もあります。

ほどんどの場合がhcgの下がり方の問題なので、心配はありませんが、その他の原因も考えられますので、産婦人科を受診することをお勧めします。

化学流産は誰にでも起こりうること!次の妊娠に向けて前向きに

化学流産は妊娠にカウントされないとはいえ、陽性反応で妊娠に期待をよせてしまった後では悲しみが増してしまいます。

化学流産を一度経験しても、妊娠が望めないわけではありません。染色体異常が原因だとしたら、次は元気な赤ちゃんが産まれる確率も高くなります。

ただし、化学流産や流産を繰り返してしまう場合は婦人科を受診し、原因を追究することも大切です。

受精が成立しても着床継続の確率は低くなります。規則正しい生活や、バランスのとれた食事など、次の妊娠に向けて前向きに行動していきましょう。
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