産後の甲状腺異常かも!体調や心に不調を感じたら疑ってみて

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2015/10/21

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みなさんは、甲状腺って知っていますか。最近テレビでも甲状腺の異常が取り上げられるようになり、よく耳にするようになってきました。でも実際に、甲状腺がどんな臓器なのか、よくわかりませんよね。

実は、甲状腺は女性の健康に影響を与えることも多い臓器なのです。特に産後のママの体調不良が、甲状腺の不調から起こっていることもあるといわれているんですよ。

産後の体調不良に悩むママは少なくありません。産後は出産の疲れや悪露、貧血など、さまざまな不調やトラブルが起きやすくなる時期です。また慣れない育児で寝不足になったりと、疲れもたまりやすいですよね。

「産後の疲れがなかなか取れない」「気持ちが落ち込むけれど、育児ノイローゼかしら」と思っていたら、甲状腺に問題が起きていることもあります。産後に訪れる甲状腺の不調について調べてみましょう。

意外と知られていない病気…産後に訪れる甲状腺の異常

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甲状腺は、のどにある臓器です。といっても外からはどこにあるのかわかりません。男性でいえば、喉仏の下あたりに位置しています。蝶のような形で、気管よりも前にあります。では、どんな働きがあり、どんな病気がひそんでいるのでしょうか。

こんな症状があったら、甲状腺の異常を疑ってみましょう!

甲状腺は外から見てもわかりませんし、普段は触ることもできません。外から触れられる状態になっているときは、甲状腺に異常が起きていることもあります。のどの下部に違和感がある場合は、病院へ行きましょう。

  • 体重が増えすぎる・減りすぎる
  • 動悸が激しくなる・脈がゆっくりになりすぎる
  • イライラしやすくなった
  • 疲れやすくなる・忘れ物やボーっとすることが増える
  • 暑がりになって汗が多くなる・逆に汗をかかなくなる・汗が止まらないなど
  • 髪が抜けやすくなる
  • 下痢・便秘

甲状腺ホルモンが出過ぎる場合と少なすぎる場合があるので、症状は相反するものになっていますが、こうした点が気になる場合は甲状腺に異常があることがあります。

では、どんな働きを持っている臓器なのでしょうか。

甲状腺は、甲状腺ホルモンと呼ばれるホルモンを分泌する働きを担っています。甲状腺ホルモンは、元気の調整をするホルモンです。

ホルモンは体の働きを微調整する物質です。私たちの体の中では、成長ホルモンや女性ホルモン、男性ホルモンなど、さまざまなホルモンが働いて、体調を管理しています。

ホルモンは大きな影響力を持っていて、少なくても多くても私たちの体調に変化が訪れます。甲状腺ホルモンも同様で、多すぎても、少なすぎても体に負担がかかり、変調が起こります。

甲状腺ホルモンが多すぎる場合

甲状腺ホルモンが多すぎる場合は、体の機能が働き過ぎ、代謝が高まりすぎて元気が過剰に出過ぎる状態になり、不調が起こります。良く知られているバセドウ病も、そのひとつです。

甲状腺ホルモンが多すぎると、体重が減ったり、手がふるえたり、脈が速くなって動悸を感じたり、暑がりになり汗をかきやすくなり、イライラしたり、下痢になります。この状態の代表的なものがバセドウ病です。

甲状腺ホルモンが少なすぎる場合

甲状腺ホルモンが少なすぎる場合は、体の機能が思うように働かず、代謝が落ちて元気がなくなっている状態になります。気持ちも落ち込みやすくなると言われています。

甲状腺ホルモンが少なくなると、むくんで体重が増えたり、脈はゆっくりになり、いつもボーッとして眠たがりになったり、寒がり、髪が抜けやすく、便秘になります。これが甲状腺機能低下症です。

甲状腺の病気は大きくわけてバセドウ病などの甲状腺機能亢進症と、甲状腺機能低下症に分けられます。バセドウ病は、芸能人が発症して話題になったこともあるので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が落ちてしまう病気です。患者さんが多い病気として知られているものに、「橋本病」(慢性甲状腺炎)があります。

甲状腺の病気は男性よりも女性に多いとされています。なんと女性の方が男性より10倍以上発症する率が高いそうです。さらに割合は20代後半から増え始め、30~40代の、育児・仕事で忙しい女性に多くなります。

さらに、甲状腺の病気は遺伝するといわれています。遺伝する確率はそんなに高くはないそうですが、親族に甲状腺の病気を持つ人がいたら、「もしかしたら」と可能性を考えてみた方が良いですね。

バセドウ病、橋本病、ある種の甲状腺腫瘍は、ある程度遺伝と関係があるといわれています。「親がバセドウ病や橋本病の場合、子どもが甲状腺の病気を発病する確率は何パーセントくらいなのか」という質問がよくありますが、この点についてはまだはっきりした答えがありません。

産後の体調不良と間違えやすい!産後甲状腺異常の症状を知ろう

女性は妊娠中、劇的に女性ホルモンがたくさん分泌されます。産後は胎盤がはがれてホルモンバランスが一度くずれ、今度は授乳のためのホルモンが分泌されます。妊娠・出産・授乳と、およそ2年間、女性の体はホルモンの嵐を経験するのです。

妊娠中はホルモンバランスの変化にともなって、甲状腺ホルモンも通常よりたくさん分泌されると言われています。しかし産後も甲状腺の機能が異常なままもどらない女性もいます。これが産後甲状腺機能異常です。

出産後甲状腺炎という病気もあります。甲状腺の病気の中でも、産後の女性に最も多く見られる病気です。多くの場合、妊娠や出産をきっかけに甲状腺に異常が起きても、産後ゆっくりと時間をかけて回復し、体調も戻っていきます。

しかし、一部で甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症が残ってしまう場合もあります。その場合、甲状腺異常特有の症状が出ることもあり、注意が必要です。

  • 疲れやすい
  • 物忘れが多く、ボーっとしてしまう
  • 気分が落ち込みやすい
  • 髪がよく抜ける

こうした症状は、産後の育児疲れやマタニティブルー、産後うつなどの症状と似ているため、甲状腺の病気が見落とされてしまうこともあります。

まずは一般的な産後の体調不良の対策を行ってみましょう。産婦人科などで検診を受けてもなんの異常もなく、産後ある程度時間が経過したのに体調がよくならない場合は、甲状腺の検査を受けてみると安心ですね。

甲状腺異常かも?と思ったら、検査の受け方と治療について

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産後の体調不良や気持ちの落ち込みがなかなか軽快しない場合は、甲状腺の異常も視野に入れて病院で診察を受けてみましょう。甲状腺の異常は、簡単な検査で調べることができます。

甲状腺の検査を受けることができる病院と、検査の詳しい内容

甲状腺の病気かな?と思ったら、病院で検査を受ければ病気の有無がわかります。甲状腺は内分泌器官とよばれる臓器なので、専門科は内分泌系になります。お近くに内分泌系の専門医があれば、そこを受診しましょう。

病院によっては、内科や産婦人科・小児科などでも検査を受けることができる場合があります。子どもやママの健診や予防接種のついでに、検査だけでも受けてみてはいかがでしょうか。

基本的には、甲状腺の腫れがないかどうかの触診や、血液検査・尿検査などが行われます。血中の甲状腺ホルモンを調べることで、病気がひそんでいるかどうかがわかります。採血だけなら、赤ちゃんがいても簡単に受けられますね。

病院によっても異なりますが、検査にかかる料金も採血検査と初診料だけなら数千円で済みます。検査結果は、院内で処理できる病院なら早ければ当日出ますし、2、3日でわかることが多いようです。

検査結果によって、さらに詳しい検査を行うかどうかを医師が判断します。超音波検査を初診で行う病院もあります。甲状腺は腫瘍ができることもあるので、親族に甲状腺異常を抱える人が多い場合などは、専門医で診てもらいましょう。

母乳育児中に甲状腺の治療はできるの?大丈夫!治療できます

甲状腺に異常が見つかった場合は、治療を受けることになります。とはいえ、授乳中の治療は、飲める薬に制限があることもあり、ママにとっては不安が大きいですよね。

実は、甲状腺の治療に使用される薬は、基本的に授乳中に飲んでも大丈夫なのです。特に橋本病など甲状腺機能低下症の場合は、甲状腺ホルモンの分泌をうながす薬が処方されます。

甲状腺ホルモンはもともと人間の体の中にある物質なので、授乳中に飲んでも問題ないそうですよ。授乳中のママは寝不足になりやすく、体力も必要です。そんな時期に甲状腺異常を抱えていては、つらいですよね。

授乳中の場合は、初診時に出産後で授乳中であること、治療中も母乳育児を続けたいことなどをきちんと医師に伝えましょう。その上で処方された薬なら、飲んでも大丈夫ですよ。

母乳育児中でも甲状腺の検査・治療は可能ですし、治療を行うと疲れやすさや気持ちの落ち込みなど、改善されて次第に元気が出てくるそうです。おかしいなと思ったら、我慢せずに早めに調べてもらいましょう。

処方された薬は飲み切る!次の妊娠のためにも治療は続けよう

甲状腺異常は個人差があります。病気によっては慢性的な炎症が起きてしまうため、薬を飲み続ける必要があることもあります。また、産後の甲状腺異常は、ゆっくりと回復して気にならない程度に改善することもあるようです。

授乳中だからと医師から処方された薬を飲まなかったり、量を勝手に減らしてしまうと、症状が改善されなくなる恐れもあります。授乳中でも飲める薬を処方されている場合は、きちんと用量を守って服用しましょう。

また、甲状腺に異常がある場合も、次の妊娠が可能なケースがほとんどです。遺伝についても、妊娠をためらう必要はないレベルと言われています。妊娠中は、胎盤を通過せず赤ちゃんに影響が出ない薬が処方されるので安心です。

母親の病気がきちんとコントロールされていれば、普通の妊娠や出産と同じ注意で大丈夫です。病気の最中に妊娠し、出産したからといって、病気が遺伝しやすくなるわけではありません。

逆に、甲状腺異常を放置したまま悪化させてしまうと、流産の危険が高まる場合もあるようです。甲状腺異常が見つかったら、次の妊娠のためにも、育児のクオリティをアップさせるためにも、しっかり治療を受けましょう。

甲状腺異常での産後不調から抜けだそう!早めの対策が鍵

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最近は、産前のパパママ教室やマタニティ情報の充実で、産後はイライラや気分の落ち込みが起きやすく、体調が整わないことも多いという認識が一般的になってきました。

だからこそ、ちょっとした心身の不調は「産後だから、授乳中だから仕方がない」と見落とされがちです。でも、不調が続いて赤ちゃんのお世話が体力的にも精神的にも負担になってくると、ママも赤ちゃんもつらいですよね。

おかしいな、と思ったら甲状腺異常も疑ってみましょう。不安に感じた場合は、両親や親族に甲状腺疾患を持っている人がいないかを訊いてみてはいかがでしょうか。そして早目に受診することをおすすめします。

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