子供をいじめっ子にもいじめられっ子にもしない育児方法!いじめと無縁に!

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2017/04/29

お子さんが公園や児童館でお友達と一緒に遊び始めるようになると、ママとしてはお子さんのお友達とのかかわりが気になるところではないでしょうか。

今まで家族とのかかわりしか知らなかったお子さんが、他の子とどんな触れ合いをするのか、ママは興味津々ですよね。

ちょっと実験的に、子供たちの触れ合いを遠巻きに観察するのは楽しいものではありますが、お子さんのちょっとした行動や反応が気になってしまうことはありませんか?

  • 「もしかして、将来いじめに関わってしまうのでは」
  • 「いいお友達関係ができないんじゃ・・・。」

こんな心配も出てくるでしょう。

今回は、お子さんがいじめと無縁に素敵なお友達関係を作っていけるために、今ママができることをご紹介します。

ママは介入しすぎないで!その行動が子供のお友達作りを邪魔する

  • 「あ!今あの子ったら、お友達のこと叩いた!」
  • 「今、お友達のおもちゃ取った!!」

児童館や公園で、お子さんの目に余る行動を目撃するたびに介入していくママの姿を見かけます。

  • 「なんで今お友達のこと叩いたりしたの?!ちゃんとごめんなさいって言いなさい!」
  • 「ダメでしょ!今、お友達が遊んでいたんだから!!かしてってちゃんと言いなさい!」
  • 「お友達と仲良くできないなら、もう一緒に遊べないよ!お家に帰りましょう!」

介入したママがお子さんにかける言葉はこんなところでしょうか。

その結果お子さんは泣く、だだをこねる、根負けして「ごめんなさい」を言う。せっかく楽しい遊びの時間が悲しい結末になってしまいます。

ママによっては相手のママに、「うちの子がお宅の子をたたいてしまって、ごめんなさい」と謝る方もいるかもしれません。

介入するママの関心の矛先はママ自身

このようにママが子供同士のかかわりに介入することは、本当に必要なのでしょうか?

お友達を叩いたり勝手におもちゃを奪うことは望ましい行動ではないですから、「そのことをきちんと教えなくてはいけない」というママの思いもあるでしょう。

もう少しママの思いを深堀していきましょうか。すると、この時ママが感じる不快の本当の原因が子供の行動にではなく、別のところにある場合があります。

ママの関心の対象が「ママ自身」となってしまっているのです。

「そんなことはない!私は自分の子供や他の子、他のママ達のことを第一優先で考えている。だからこそ介入しないといけないの!」と思われるかもしれません。

でも、もっと深く理由を見ていきましょう。

  • お友達に優しくできないわが子を見るのがイヤ。すぐにやめさせたい。
  • よその子を傷つけることで、恨まれたくない。
  • 教育ができていないダメな親って思われたくない。
  • 自分の理想通りでない子供の姿を他人に見せたくない。

実はこんな風に関心の矛先がママ自身に向いてしまっていることが多いのです。

  • 「私が恨まれたくないから」
  • 「私が世間体が気になるから」
  • 「私がダメ親のレッテルを貼られたくないから」

目の前にいる最愛の子供より、「自分がどう思われるか」というところが気になり、そこから出た行動となってしまってはいないでしょうか。

ママが自分自身の見られ方を過度に気にしてしまう事。

このことがお子さんの将来の友達関係や、いじめの有無に大きく響いてきてしまうのです。

ママに無視され傷つく子供の心

一方で、お友達とトラブルになっている自分のありのままを受け入れてもらえなかったお子さんがそこにいます。

  • 「あのおもちゃで、ちょっと遊んでみたかったのに」
  • 「確かにお友達を叩いたけど、最初に意地悪をしてきたのはお友達の方なのに」
  • 「『ごめんなさい』よりも、もっと本当は伝えたいことがあるのに。それをどう伝えればいいのかが分からないのに」

お子さんは、こんな気持ちを消化することができないまま、ママに介入され、成敗され「ごめんなさいと言いなさい」と強要されたりしてしまいます。

お子さんは、自分ではうまく表現しようのない嫌な気持ちや悲しい気持ちから泣き出すこともあるでしょう。その結果またママに怒られてしまう・・・。

1回、2回ならまだしもこのようなやり取りが度重なると、子供の心の中でどんなことが起きてしまうのでしょう。

このようなかかわりは、お子さんに以下のようなメッセージを暗に送ってしまっていることになります。

  • あなたは重要ではない(今、優先すべきは母である私の判断)
  • あなたには能力がない(母である私の介入がなければ、あなたは自分で問題を解決できない)
  • あなたは間違っている(正しいのは母である私。私のやり方を実行しなさい)

表立ってこのような言葉を口にしていなくても、先ほどのようなやり方でママが介入してしまうことは、これらのメッセージを暗に送っているのと同じことになります。

そしてこれらのメッセージはママの無意識から子供の無意識に送られて、子供の心の深いところに植え付けられてしまうのです。

いじめっ子といじめられっ子、心の中はどうなっている?

大人からネガティブなメッセージを幾度となく植え付けられてきた子供は、心の深いところで「ありのままの自分ではいけない」という感覚を抱いてしまうようになります。

そして、子供は否定的な自己イメージを作るようになってきてしまいます。否定的な自己イメージが自信のない子供、自己肯定感の低い子供を育ててしまいます。

さらに、この自己イメージをどのように持っているかが、他者イメージ、世の中に対するイメージの作り方とも深く関係してくるのです。

心理学で分ける私たちの4つの心の構え

私たちはごく小さい頃に、周りの大人とのかかわりの中で自己イメージと他者イメージ、世の中に対するイメージをある程度固めてしまいます。

心理学では、私たちこのイメージの持ち方を「心の構え」と呼び、以下の4つに分けています。
図1の表と共に見てみましょう。

<図1>

I’m not OK. You are OK. 自己否定、他者肯定
I’m not OK. You are not OK. 自己否定、他者否定
I’m OK. You are not OK. 自己肯定、他者否定
I’m OK. You are OK. 自己肯定、他者肯定

ここで言う「OK」とは、肯定感を持てるという意味です。例えば以下のような感覚を感じられている状態です。

I’m OK(自己肯定)の状態
  • 私は愛される価値がある
  • 私は大切な存在だ
  • ありのままの自分でここにいいのだ
  • 私にはきっと自分の力で問題を解決する能力がある
You are OK(他者、世の中に対する肯定)の状態
  • 他者を信じても大丈夫
  • 他者を愛してもいいし、他者は自分を愛してくれる
  • 大切な人、大切な友達はきっとたくさん作れる
  • この世の中に生きることはきっと素晴らしいことだ

「not OK」はこの逆です。自分や他者、世の中に否定的な感覚を持っている状態です。

I’m not OK(自己否定)の状態
  • 私は愛されるはずがない
  • 私は重要ではない
  • 私には価値がない
  • ありのままの私ではここにいられない
  • 私には自分で問題を解決する能力がない
You are not OK(他者や世の中に対する否定)の状態
  • 他者を信用してはいけない
  • 他者を愛してはいけないし、他者も自分を愛してはくれない
  • 他人はきっと自分を遠ざけるだろう
  • 世の中は不公平だ
  • この世に生きていても楽しくない

子供はパパやママの言葉から日々学び、「自分や他者、世の中とは結局こういうものなのだ」という結論を出してしまうのです。この結論が心理学で言う『心の構え』です。

この心の構えをベースにして子供はお友達関係を作るようになっていきます。

具体的な状況や言葉で見ていきましょう!

具体的にママの言葉がけが、どのようにお子さんの心の構えに影響するのか、図1と合わせて見ていきましょう。

状況:
お友達と遊んでいたお子さんが泣きながら「ママ~!今、○○ちゃんが叩いてきたの~!」と訴えてきた。
ママの応答:

  1. どうせあなたが先に○○ちゃんが嫌がることしたんじゃないの?!あなたいったい何したの?!
  2. それくらいでいちいち泣いていたらお友達と遊べないよ!お友達だって、あなたともう一緒に遊びたくなーい!って言うと思うよ!
  3. え?!叩かれたの?!叩くのはいけないわね!!ママが一緒に○○ちゃんのところに行ってあげる!!
  4. こっちにおいで、よしよし。どこ叩かれたの?そう、痛かったわね。○○ちゃんに叩かれて、悲しい気持ちになったのね。

これらの応答を受けると、どんな子供の自己イメージ、他者や世の中のイメージはどのようになっていくのでしょうか。それぞれの応答を順番に見ていきましょう。

1. I’m not OK. You are OK. 自己否定、他者肯定

この応答は、「悪いのはあなたよ。あなたが何かいけないことをしたからこういうことになるんでしょ?」と言っているのと同じです。

このようなメッセージを受けることで子供は『他者は間違っていない。悪いのはいつも自分だ』という心の構えを作っていきます。この構えは『劣等感ポジション』と呼ばれます。

2. I’m not OK. You are not OK. 自己否定、他者否定
この応答は「弱虫なあなたもダメだし、そんなあなたを世の中は受け入れないだろう」と
子供も世の中も否定しています。

子供は『自分はダメな存在で、世の中もこんな自分には冷たい』という構えを固めていってしまいます。この構えは『諦めポジション』と呼ばれています。

3. I’m OK. You are not OK. 自己肯定、他者否定

この応答は、「あなたは何にも悪くないのよ。叩いたりするお友達が間違っているのよ!」というメッセージを送っています。

そして、子供は『自分は大丈夫、間違っていない。悪いのはいつも他人だ』というように他者否定の構えを身に付けていくのです。

この構えは『ヒトラーポジション』と呼ばれています。

ちょっと深堀していくと、このメッセージは「あなたには問題を自分で解決する能力がないから、母である私が介入してあげなければいけない」という裏メッセージを送っていることにもなるのです。

過保護なお母さんがとってしまいがちが行動ですが、この結果、子供は本当の意味でのI’m OKの感覚を養うことが出来なくなってしまいます。

4. I’m OK. You are OK. 自己肯定、他者肯定
もしあなたが、この状況で泣きながらママのところに帰って来た子供だったとしたら、どんな風にママに接してもらいたいでしょうか?

きっと 4. のようにママが応えてくれたら、どれほど救われることでしょう。

泣いている自分も、叩かれて痛かったり悲しい気持ちも全部まるごと抱きしめてもらえたら、それだけで癒されますね。

このメッセージは子供に「どんなあなたでもいいのよ。大丈夫、ありのままのあなたでここに居ていいんだよ。あなたの感じることは間違っていないよ。」というメッセージを送っているのと同時に、他の誰をも否定していません。

このかかわりで子供は『自分は間違っていない。ありのままの自分でいいんだ』という心からの自己肯定感、I’m OKの感覚を身に付けていきます。

肯定的な自己イメージがあれば、「きっとお友達にも何か言い分があったはずだ」と他者に対しても温かい関心を持つことに繋がっていきます。

この心の構えを『成長モデル』と呼びます。

いじめっ子といじめられっ子の心と特徴

いじめは、1. 2. 3. の心の構えを持つ者同士の間で起きます。

では、いじめにかかわる子供の心はどうなっているのでしょう?ポジション別にその特徴を見ていきましょう。

1. I’m not OK. You are OK. 自己否定、他者否定
劣等感ポジションの子供は、いじめられっ子の立場になりやすいです。

一方で自分より弱い立場の子(年下の子や弱みを持っている子)を見つけると、その上に立とうと途端にヒトラーポジションになる場合もあります。

酷く責められたり叱られすぎると諦めポジションにも移行しやすいので注意が必要です。

<特徴>

  • 他人の顔色を伺う
  • 従順
  • 他の子と意見が異なると自分を押さえて相手の意見を優先する
  • 言いたいことが言えずよく我慢する
  • 他人の気持ちを察する
2. I’m not OK. You are not OK. 自己否定、他者否定

諦めポジションはいじめられっ子の立場になりやすいです。

4つのポジションのうち、最も心がくじけてしまっている状態です。他人も自分も信用できない、好きになれないので心を閉ざしてしまっています。

そのため、そもそもお友達の輪に加わろうせず、自分だけの世界に引きこもってしまう傾向があります。

<特徴>

  • 消極的でお友達の輪に入ろうとしない
  • 他人と目を合わせない
  • リアクションが薄い
  • ゲームやテレビの世界に入り込み、他者とのかかわりを避ける
  • 差し出した手を払いのけたり、暴力的な側面もある
3. I’m OK. You are not OK. 自己肯定、他者否定

ヒトラーポジションの子供は、いじめっ子の立場になりやすいです。

このタイプは本当の意味のI’m OKの感覚を感じられていないので、相手によっては劣等感ポジションにも移行します。

自分より力があったり、強い立場の人の前では劣等感ポジションになります。

<特徴>

  • 自己中心的、わがまま
  • 自分の意見を通したがる
  • 他の子を叩いたり突き飛ばしたり、手が出ることが多い
  • 仕切りたがる
  • 「あーいけないんだ!○○しちゃダメなんだよ!」と相手を責める言葉をよく口にする
  • 先生や親、大人によく告げ口をする
4. I’m OK. You are OK. 自己肯定、他者肯定

成長モデルの子供がトラブルと縁がない訳ではありません。人間関係で問題が起こることは誰にでもあります。

しかし問題が起きても、肯定的な自己イメージを持っていればいじめに発展するようなことはないのです。

誰かを利用して自分が正しいことを確かめたり、上に立とうとしたりしなくても、自分ひとりで「ありのままの自分で大丈夫」「きっと私はなんとかできる」と信じることができるからです。

また、自分のことを大切に感じることができるので、いじめを仕掛けられるような場面でも毅然とNOを伝えられ、巻き込まれることがありません。

<特徴>

  • お友達に声をかけて遊びの輪に誘う
  • 元気、はつらつとして天真爛漫
  • 自由な発想で、お友達と一緒に遊びを楽しむ
  • 誰からも好かれる存在
  • 素直
  • 困っているお友達に手を差し伸べる

I’m not OKの心がいじめを生む

いじめは、I’m not OKの心が、自分が優位に立てる相手を見つけて仕掛けることで起こります。

I’m OK , You are not OK のヒトラーポジションは、本当の意味でのI’m OKではありません。

誰かと比較して、優越感や間違っていないという感覚を感じることでやっと自分を認められます。

自信のなさを自分で認めたくないし、そんなものは自分の中にはないと信じています。

だから、一見弱そうで自分が完全にコントロールできる相手を見つけてはカモにして、自分の優位性を確かめるための行動をしかけます。

自分より弱そうな人、とは『自信のなさそうな人』です。いじめっ子になるタイプは相手の自信のなさ、自己肯定感の低さを敏感に嗅ぎつけてしっかりカモにすることができます。

こうして弱みを持った人は、自分のポジションを確かめるかのようにいじめられっ子になり、「やっぱり自分はダメな人間だ」という感覚をより固めてしまうのです。これがいじめの負のスパイラルです。

安易に使わないで!子供の自己肯定感を低くする言葉

いじめに関わってしまう原因は結局のところ、自己肯定感の低さです。自己肯定感は先天的なものではなく、幼児期に大人とのかかわりの中で養われます。

では、パパやママのどんな言葉が子供の自己肯定感を低くしてしまうのでしょうか。

『ごめんなさい』と言いなさい!

「なんでこの言葉がいけないの?」と思われた方も多いことでしょう。幼稚園や保育園の先生が口にするのもよく耳にしますね。

「悪いことをしたら謝る。それって当然でしょ?」

このように思われることでしょう。確かに、自分の行いの悪かったところは勇気を出して認め、謝ることは大切です。

また、何か間違ったことをしてしまった時に素直に自分の非を認められる素直な子に育ってほしいという親の願いもあることでしょう。

ここで問題なのは『ごめんなさい』の言葉そのものではなく、その使い方です。

ただ頭ごなしに「『ごめんなさい』って言いなさい!」と強要してそれをお子さんに言わせたところで、何の意味もありません。

意味がないどころか、この言葉こそが子供の自己肯定感を落としてしまうのです。

「『ごめんなさい』と言いなさい!」という言葉は「罪悪感を持ちなさい!」と言っていることと同じです。

子供に「あなたが悪いのだから、しっかり罪の意識を持ってそれを相手に表明しなさい。」と言うメッセージを送っているのです。

子供はとても屈辱的な気持ちになると同時に、心の深い場所に罪悪感を植え付けられてしまいます。

この『罪悪感』がとても曲者なのです。「私(僕)は悪い子だ。私(僕)は間違っている。」と言う否定的な自己イメージを作ってしまいます。

そして、再び何か間違ったことをしてしまった時に、

「私(僕)は罪深く間違った人間だから、間違ったことをしてしまう。そんな
私を許してください」

と免罪符のように『ごめんなさい』を使ってしまいます。

ここには学びが何もないので、子供はいつまでも良い方向に変わることができません。

<こんな応対に代えよう>

お子さんの行動の反省すべき点を、具体的に伝えましょう。

伝えるときは、お説教的にお子さんをこらしめてやらなくちゃ、という気持ちでお話ししないようにしましょう。

  • 「あなたはお友達に勝手におもちゃととられちゃって、悔しかったのね。でも、お友達を突き飛ばしたりするのは、よくないよね。」
  • 「ママ、あなたに『ママのこと嫌い』って言われて悲しい気持ちになったよ」

「あなたの存在は間違っていないし、大切だよ。だけどあなたの行動のこの部分はちょっと間違っていたわね」

というように、存在は受け止めて行動の部分だけを指摘するようにしましょう。

そうすることで、お子さんは漠然と罪悪感を持つ代わりに自分の行いの直すべき点を見つめ、変えていくことができます。

『お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから!』は自己否定に…

兄弟育児をしているママは、よく口にしてしまうことでしょう。

下の子にまだまだ手がかかるとき、上の子には「もっと上の子らしく振る舞ってほしい」「もっと自分の手を離れてほしい」と願う気持ちが強くなるものですよね。

また、兄弟喧嘩が始まった時つい下の子をかばって「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだからやめなさい!我慢しなさい!」と上の子を叱ってしまっていませんか?

そのことの何がいけないの?と思われる方もいるかもしれません。

  • 『年上の子は年下の子に優しくすべき』
  • 『年下の子と喧嘩になったら、年上の子が我慢すべき』

これはは当たり前だと感じていることでしょう。

確かに上の子がママの願い通りであったら素敵ですね。でも実際はそううまくはいかないもの。その理想と現実のズレがママをイライラさせてしまいます。

ここで問題なのは、ママが我が子ではなく「理想の上の子像」ばかりを見ていることです。その結果、現実目の前にいる我が子が見えなくなってしまいます。

ママが「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と子供に言うのは、理想の姿ばかり見て、現実の子に「あなたはコレと違う!あなたはダメ!間違っている!」というメッセージを送ってしまっているのと同じです。

子供はI’m not OKを身に付けていってしまいます。

<こんな応対に代えよう>

理想の我が子ばかり見るのはやめて、目の前の我が子を見てあげましょう。

あなたがまだ気が付いていない、子供のいい所をたくさん見つけてあげましょう。見つけられたら、それを言葉にして伝えてあげましょう。

  • 「お手伝いしてくれようとしたんだね、ありがとう。ママ、頼りにしているよ」
  • 「○○ちゃん(弟や妹)のこと気にしてくれたんだね。ママ、助かるな」
  • 「今日は○○がひとりでできたね!」

ママが子供のいいところを探して伝えてあげることで、子供は励まされ自分で考えて動き出します。

また、兄弟喧嘩は多くの場合親の関心をひくことが目的になっています。

ママは同じ土俵に上がらないようにしましょう。どちらかに味方したり成敗するのはやめましょう。

よほどの危険が無い限り、その場から離れて家事に戻ればOKです。少し経てば、子供同士は自分たちで解決し、また一緒に遊び始めるものです。

『男の子なんだから』自分の気持ちを感じれなくなる…

「男の子なんだから、それくらいで泣かないの!」という言葉も同じです。

上の子に対して「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と言うのと同じ理由で、子供に伝えるべき言葉ではありません。

さらに男の子にこの言葉をいう事では別の意味での危険もあります。

もともと男の子は女の子に比べて自分の気持ちを言葉にして表現することが苦手です。それは男性脳と女性脳の違いに原因があります。

右脳と左脳の図

<図2>のように、言語を司る左脳と感情や感覚を司る右脳は脳梁で繋がっていて、そこで情報交換をしています。

この脳梁が男性は女性よりもともと細いのです。

女性の方が脳梁が太い分、右脳と左脳の連絡がよく自分の感情を言葉で表現することに長けていて、男性は気持ちを表現するのが苦手なことが多いようです。

このことに加え、日本には男性が気持ちをあらわにすることを「男らしくない」と捉えられる風土があります。

女性のように自由に感情を表現することを「女々しさ」「弱さ」と受け取られてしまい、男性である以上その逆の強さを求められてしまうことがあります。

パパやママが「男の子なんだからそれくらいで泣かないの!」と口にするのはそういった社会的風潮にひっぱられているところもあるでしょう。

男の子の心の中はとても苦しい状況になってしまいます。

もともと自分の気持ちを伝えるのに時間がかかる上、それを表に出そうとすると封じられてしまうのです。

「男の子なんだから」という言葉を繰り返し浴び続けた男の子は、もう自分の気持ちを感じることをやめてしまいます。

自分の気持ちがまるでないかのように感じてしまうこともあります。

例えば、こんなことがあるかもしれません。

<状況>
ママ:「ただいま!今日お仕事で遅くなっちゃってごめんね!」
女の子:「ママー、遅いよう!私、寂しかったよお!!」
男の子:「お帰り。別に、平気だよ」

ママはこの時、女の子は甘えん坊で寂しがり、男の子はドライと感じるかもしれませんが、実はそうとも言い切れません。

男の子の場合は、なんとなく寂しさがあっても伝え方が分からなかったり、本当にそんなものが無いように感じている場合があります。

でも実際に感情は消えてしまうわけでなく、気づかれないまま心の奥底にたまっていくので、成長の過程で不自然に表に出てくることがあります。

大きくなって彼女が出来たときに、今までドライだった子が過度に依存的になってしまうこともあります。

<こんな応対に代えよう>

ママは男の子も女の子も分け隔てなく接するようにしましょう。

子供は語彙も少なく、気持ちを上手に伝える方法が見つからずに感情が暴れ馬のように暴走してしまうことがあります。

無理に抑え込んだり、頭ごなしに叱るのではなく、抱きしめてしばし寄り添ってあげましょう。

  • 「ママ、遅くなっちゃってごめんね」(ぎゅっと抱きしめる)
  • 「思い通りにできなくて、悔しいんだね」(目を見て背中をさすってあげる)

子供が10歳になるくらいまでは、特に男の子にはママとのスキンシップの時間をたっぷりとりましょう。スキンシップを通して、自分が愛されている感じを体感していきます。

その安心感の中で、子供は自分を表現していくことを学んでいきます。

『早くしなさい』自信を失ってしまう…

忙しい時に子供がゆっくりご飯を食べたり、のんびりお着替えをしたりしているとイライラするものですよね。

いざ出かける、という段になって「おしっこ行きたい!」などと訴えてくることも小さい子供にはよくあることです。

ママはつい「早く!早く!」とせかしてしまいます。でも子供はまだ時間の感覚とういうものなのかよく分かっていませんし、時計の読めない子ならなおさらです。

「早くする」ということがどういうことなのか、子供には分かりません。

ママに「早く、早く」と常にせかされ追い立てられると、子どもは「このままではダメだ、今の自分ではいけないんだ」と追い込まれていきます。

毎朝ママの期待通りにいろんなことができないことに焦り、自信を失い、強い劣等感へと繋がっていってしまうのです。

小さい頃に「早く、早く」と追い立てられて育った子は、大きくなってからちょっとのことですぐにテンパってしまうことがあります。そして本来の力が発揮できず、できることもできなくなってしまいます。

<こんな応対に代えよう>
忙しい朝のお出かけなら、ママが時間を見て逆算しその時間までに済ませるとスムーズなことを子供に声掛けしてあげましょう。

  • 「もうすぐお出かけするから、お手洗い済ませておこうか」
  • 「そろそろ上着を着てお靴はいて、おしたくひとりでやってみようね」

その結果、うまくできたことは「今日は、お靴一人で履けたね!」と声掛けしてあげましょう。

ご飯を食べるのが遅い子には、「早く食べなさい!」と言う代わりに「大きくお口を開けてパクパク食べようね。途中でお箸を置かないようにしようね」と具体的に指示しましょう。

「早く、早く」と曖昧な目標に向かって追い立てられては、子供は焦って劣等感が募るばかり。

目指すものを明確に示して、子供が頑張れるところを具体的にしましょう。

ゴールに向かってひとつひとつ達成していくことで、子供は自信と自己肯定感を養っていくことができます。

『しっかりしなさい。ちゃんとしなさい』何が悪いのかが全く伝わらない…

一日に何回も、つい口にしてしまう言葉ですよね。

でも、一体「しっかり」ってなんでしょう。「ちゃんと」ってなんでしょう。そう考えてみると、すっと答えは出てこないものです。

言われる方の子供にしてみればなおさらです。

ママに怒られている自分はどうやら間違っているらしい、ということだけは伝わりますが、肝心な「何をどうすれば?」の部分が全く伝わっていないのです。

だから、子供はママから見て望ましくない行動をやり続け、ママは再び怒り続けるという悪循環になります。

ママはYou are not OKだけを発信し続け、子供のI’m not OKの感覚が固れられていってしまいます。

ママの口から「しっかり」「ちゃんと」という言葉が出て来そうになった時は、具体的な言葉に変換していきましょう。

<こんな応対に代えよう>

  • 電車の座席で子供が暴れている場合:「ちゃんと座って!」→「足を下にして、おしりと背中を椅子にくっつけて静かに座っていようね」
  • 子供が忘れものばかりする場合:「もっとしっかりして!」→「今日はお荷物3つあるね。お荷物3つ、○○と○○と○○、覚えておこうね」

子供の年齢によって言葉と伝え方を選び、「これだったらきっとこの子にできるだろう!」と思える小さな目標を設定していきましょう。

子供同士のトラブル、実際の対処方法

将来、子供がいじめと無縁でいられるかどうかは、その子の自己肯定感に関係することをお伝えしてきました。

それでは実際、子供同士のトラブルの渦中にいる我が子へはどのように応対したらよいのでしょうか。

経験を通して、トラブルやもめごとに子供が直面する機会を親が奪ってはいけません。子供にとって大切な社会経験の一歩を、存分に体験させてあげましょう。

ママが子供達の交流を目を皿のようにして監視し、ことあるごとにいちいち割って入ったのでは、子供同士を遊ばせる意味がありません。

子供のトラブルへの対処方法を具体的に見てみましょう。

我が子がお友達を叩いてしまったら、まずは子供を信じて対処!

基本的には、子供が凶器を持ち出したり危ないものを振り回したりしていない限りその場で介入する必要はありません。

見て見ぬふりをするわけではありまん。こんな時こそ、目先の出来事に巻き込まれてしまうのではなく、子供の自己肯定感に意識を向けましょう。

まずは、子供を信じることです。

  • 「きっとあの子には手をあげたくなるほど抑えられない気持ちがあったのだろう。それはどんなことだったのだろう」
  • 「きっとあの子は自分の力でなんとかしようと頑張るだろう。できる限り見届けよう」

勇気を出して子供を見守りましょう。その場では介入せずに、後で子供と二人になった時間にその時の思いを聴きます。

そんなことをしたらあなたは、他のママ達(特に叩かれた子のママ)から白い目で見られてしまうと不安になるかもしれませんね。

ここであなたが他のママの視線を気にして自分を弁護する行動に走ってしまうと、子供はあなたの犠牲になりI’m not OKを植え付けられてしまいます。

あなたの親としての世間体と引き換えに…。

子供が将来いじめに関わってしまうか否かは、今ここのあなたの決断で決まります。

勇気を出してあなた自身の見られ方を振り切り、目の前の子供に意識を向けましょう。

では実際に、どんな対応をすればよいのか例を見てみましょう。

他のママ: 「ちょっと、お宅の子のせいでうちの子が痛い思いをしていますけど。泣いていますけど。あなたは親として、自分の子に何も言わないのですか?それでいいのですか?」

あなた: 「あなたが腹を立てる気持ちはよく分かります。私は子供の喧嘩は子供同士で解決するものだと思っているのですよ。ここで私が割って入っても、子供同士は何も学ぶことができないでしょうから。」

あなたがこのように伝えても、相手のママの怒りが収まらないようであれば次のように提案してみましょう。

あなた: 「あなたがどうしても納得いかないということであれば、とても残念ですがしばらく子供たちは一緒に遊ばない方がよいでしょうか?」

もし、子供が他の子に怪我をさせてしまった場合は、その点について以下のように誠意をもって謝罪をします。

あなた: 「うちの子がお宅の子にお怪我をさせてしまって、大変申し訳ありませんでした」

通院をするような事態であれば、責任を持って費用などの相談をする必要がありますが、子供同士が目の届くところで遊んでいるのなら、できるだけ怪我に至らないように見守りましょう。

子供が危ないものを持ち出したら、そのものだけをさっと取り上げ、あなたは元の居場所に戻ってくればよいのです。

もしお子さんがどうにも手におえない状態だとしたら、次のように落ち着いてお話をしましょう。

あなた: 「あなたはまだお友達と仲良く遊ぶことが難しいみたいだから、今日はお家で一人で遊びましょう。明日になったら、お友達と仲良く遊べるか試してみようね。」

我が子がお友達に叩かれた…共感して勇気づけるにとどめて!

我が子がお友達に叩かれ大声で子供が泣いていたら、あなたは気が気でなくなるでしょう。

ママは怪我の有無と、もし怪我をしていた場合その程度の確認をし必要な処置をする施す以外はその場では介入する必要はありません。

「よしよし、痛かったね」と共感し背中をさすり勇気づける程度にとどめましょう。

相手のママが介入してきたら以下のように応対しましょう。

相手のママ: 「あなたなんてことをするの!○○ちゃんにちゃんと謝りなさい!」
あなた: 「お気遣いありがとうございます。この子の怪我もたいしたことはありませんし、これ以上子供たちに関わらなくて大丈夫です。さあ、あちらに行きましょう。後はきっと子供たちでなんとかするでしょう。」

子供がママを追いかけてきてしがみつき、泣き続けるようであれば背中をさすり落ち着くまで抱きしめてあげましょう。

何かを話して説得したりする必要はありません。少し経てば子供はまた自分からお友達に輪に戻って行くことでしょう。

それでもずっとママのそばを離れずしがみついたままであれば、次のように応対しましょう。

あなた: 「あなたは今日はお友達とうまくやっていく自信がないみたいだね。今日は一回お家に帰ろうか?それとも、お友達のところに戻って自分でなんとかやってみる?」

子供がNOと言えば、その場を離れ様子が落ち着いてから気持ちをゆっくり聴いていきます。

子供の思いを共感し、その子がこれからどうしていきたいのか?そのためにはまず何をしてみようか?ということを話し合い、子供が実践していけるようにサポートをします。

ここで大切なのは、『ママは焦らず忍耐強く』です。

今、子供に必要なのはあなたからの勇気づけです。期待通りではない我が子をの姿を否定したり責めたりせず、今の子供のプロセスをそのまま受け入れてあげましょう。

前と比べてちょっとでもできるようになったことや、子供のいいところをたくさんみつけて、言葉で伝えていきましょう。

決して他の子と比べたりすることなく、「ありのままのあなたでOKだよ」ということをいつも伝えるかかわりを実践していきましょう。

信じて見守る子育てを!ママのI’m OKが子供の人生を明るく照らす

子供の自己肯定感がその子を強くし、いじめとは無縁な素敵なお友達関係を作っていけることをここまで読んでこられたママはなんとなく納得していただけているかと思います。

ただ、それを実践することには少しためらいがあることでしょう。

  • 「子供同士のトラブルが起きた時、ここで紹介したようなことを本当に実践していけるのだろうか?」
  • 「そんなことをして、親子ともども村八分になってしまわないだろうか?」

不安な気持ちがムクムクとわいてくるかもしれません。それも最もなことだと思います。

新しいことをやってみることは勇気がいるものですし何より本当にうまくいくのか不安です。

不安を抱えながらも、これからあなたが子供の幸せを願って新しい育児を始めるための最初の一歩を最後にご紹介いたします。

今この行動が誰のためのものになっているかをいつもチェックしてみて!

子供が同じことをしても、怒るときと怒らない時があったりしませんか?それはママの怒りの原因が、目の前の子供の行動にあるわけではないからです。

多くはその時、ママが他者の目が気になっていたり、ママの心が傷ついていたりするので、子供を使って自分の気持ちを変えようとした結果になっています。

その行動が、自分のためになってしまっている時はママ自身の心が疲れて自己肯定感が高く持てていない時です。

ママの自己肯定感を高めていくことも大事!加点式で自信をつけよう

自己肯定感と言うものはいつも同じ状態でキープされているわけではありません。

誰しもちょっと失敗をしたり、悲しい出来事があった時は落ち込んだり自分が嫌になることもあります。

誰かを責めたくなる気持ちになることもあるでしょう。

一日のうちでも私たちは4つのポジションを行き来しています。でも、基本的にI’m OK度が高いと、行き詰まった時も立ち直りが早く経験から学んでいくことができます。

ママがI’m OKの状態を維持していくためのポイントは、自分自身を加点式に捉えていくことです。

家事育児には終わりがなく、誰も評価をしてくれません。時間になればご飯が出来ていて、汚れた洋服を出しておけば綺麗にされていて、、、

こんなに大変なのに、家族には当たり前と思われている家事。この当たり前をキープするために、ママは毎日毎日努力し続けているのですよね。

いつの間にかママ自身も自分の仕事を「出来て当たり前」と思うようになってしまっていることでしょう。

  • 今日も○○ができなかった。
  • 今日も変わり映えのしないおかずしか作れなかった。
  • 今日も子供を怒ってしまった。

こんな風にできなかったことにばかり目が行って、自分自身を減点式で評価していませんか?

子供のいいところ探しをするのと同じような視点で、自分のいいところ、頑張れたことに目を向けて行きましょう。

  • △△まではできなかったけれど、今日は○○をやれた!偉い偉い♪
  • ありあわせで作ったものが、意外と美味しく出来た!センスあるかも?!
  • 今日はお買い物を○○円でとどめた!なかなかやりくり上手だわ~

ほんの些細なことでも、うまくできたことにスポットライトを当て加点式に自分を捉えていきましょう。

大人も子供も同じ!ママやパパがまずは自己肯定感を高めよう

小さな「できた!やった!」の積み重ねが、I’m OKを高めていくことは子供も大人も同じです。

周りの意見や評価に流されず、自分と子供を信じて見守る子育てでママは力を抜いて自然体でいることができます。ママ自身が心の中にI’m OKを持つことで家庭は安定していきます。

ママのI’m OKが、子供の自己肯定感を育む『信じて見守る子育て』に繋がっていくのです。

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