妊婦にピーナッツ(落花生)は大丈夫?妊娠中の摂取とアレルギーの関係性

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2018/11/21

ピーナッツが使われているジーマーミ豆腐を食べた子どもが、アナフィラキシーショックを起こして病院へ搬送されるニュースを耳にします。

ピーナッツも、卵・牛乳・小麦に加えて、強いアレルギー反応を起こしやすい食材の一つです。

食物アレルギーは、食べ物の中のタンパク質を体が異物と判断して攻撃することで起こり、発疹や呼吸困難などの症状が出ます。

ピーナッツは、脂質・タンパク質を多く含むため、強いアレルギー反応が起こりやすいのです。

体に良い成分を豊富に含むピーナッツですが、妊娠中はお腹の子供への影響が心配になので、食べても大丈夫なのか気になります。ピーナッツアレルギーについての情報を中心に、まとめました。

妊娠中にピーナッツを食べると赤ちゃんへのアレルギーが心配

妊娠中、お腹の中の赤ちゃんはお母さんの胎盤を通して栄養を貰っています。良くも悪くもお母さんの食べたものが、赤ちゃんへ影響を与えます。

お酒のアルコール成分やコーヒーに含まれるカフェインは、お腹の中の赤ちゃんが育つために悪い影響を与えるので、妊娠中の摂取はよしとされていません。

食物アレルギーを起こしやすいピーナッツも、妊婦は摂取しない方が良いのでしょうか?

妊娠中のピーナッツ摂取で、赤ちゃんがアレルギーになるという意見は撤回された経緯あり

2000年の米国小児学会の報告によると、妊娠中にピーナッツをよく食べているお母さんと、あまり食べていなかったお母さんを比較すると、よく食べていたお母さんから生まれた赤ちゃんの方が、アレルギー検査に引っかかる確率が高かったそうです。

調査結果を受けて、妊娠・授乳中の女性や3歳以下の子どもは、ナッツ類などアレルギーを引き起こしやすい食品を控えるよう提言がされました。

しかし、そうやって摂取を控えていたにも関わらず、ピーナッツアレルギーの赤ちゃんの数は年々増えていきました。

そうして2008年には、「妊婦がピーナッツを食べることで、お腹の中の赤ちゃんがアレルギーになりやすい」という意見に、科学的な根拠があるか疑わしいとされ、提言は撤回されました。

妊娠中にピーナッツを食べることで、赤ちゃんがアレルギーになるという因果関係が否定されました。

食物アレルギーを心配して妊娠中に食事制限をする必要はない

日本の食物アレルギー研究会の「食物アレルギー診療の手引き」によると、赤ちゃんのアレルギー予防のために、妊娠中・授乳にアレルギーを起こしやすい食べ物を取り除くことは、推奨されていません。

そのような食事制限を行うことによって、深刻な栄養の不足や偏りが心配されるからです。

妊娠中は、アレルギーを心配して偏った食事をせずに、バランスよく食べることが大切と言えます。

早くから食べさせる方がアレルギーになりにくいという新提言

2017年には、米国立衛生研究所から、「赤ちゃんには、早くからピーナッツを食べさせた方がアレルギーになりにくい」というガイドラインが発表されました。

具体的には、生後4か月から6か月の間に、ピーナッツを与え始めることを推奨するというものです。それまでの摂取をひかえるような風潮から、かなりの方向転換です。

このガイドラインは、「生後4か月から11か月の赤ちゃんにピーナッツを与えたグループと与えないグループを比較すると、与えた方がアレルギーを発症する率が少なかった」という調査結果がもとになっています。

この調査では、被験者からは重いピーナッツアレルギーの子どもは除かれているなど、結果に対しては鵜呑みにしすぎてはいけないという指摘もあります。

しかし、アレルギーを心配して食べさせないことよりも、積極的に食べて耐性をつけさせようという意見が、現在は主流となっているようです。

妊婦のピーナッツの摂取について、アレルギーの他に気になる点

妊娠中は、バランスよく食事をすればアレルギーに関してはそれほど心配はいらないようですが、ピーナッツの摂取についてはアレルギーの他にも気を付けたい点があります。

カロリーが高いので妊娠糖尿病に注意

落花生とピーナッツの違いですが、殻付きのものが落花生、殻を剥いた状態のものをピーナッツと呼びます。

日本食品表示成分表によると、落花生の可食部分、殻を取り除いたもののカロリーは、100gあたり585kcalです。

100gあたりの脂質が49.4g、タンパク質が25.6gと、成分の約半分が脂質のためカロリーが高いです。

大きめのピーナッツは大体1粒1gほどなので、1粒当たりのカロリーは約5kcalになります。20粒食べると100kcalとなります。一粒が小さいので、ついつい何粒も食べてしまいますが、食べ過ぎるとカロリー過剰となります。

他の食品と比較しても、100gあたり食パンが260kcal、ようかんが296kcal、ミルクチョコレートが558kcalとなっており、小さくてもピーナッツのカロリーは高いです。(文科学省日本食品標準成分表2015年版より)

食べ過ぎると体重が増えて妊娠糖尿病や難産のリスクも増えるので、注意が必要です。

消化に時間がかかるので消化不良に注意

ピーナッツなどのナッツ類は、消化されるまでに時間が掛かるので、食べ過ぎると消化不良を起こしやすいです。

よく噛まずにたくさん食べると、充分に栄養も吸収されず、下痢や腹痛の原因となってしまいます。

ピーナッツを食べるなら殻付きの落花生がおすすめ

市販のピーナッツは、バターピーナッツや砂糖をまぶしたお菓子などもあり、塩分や糖分、カロリーが気になります。

厚生労働省によると、成人女性が一日に摂取塩分量は7gです。味付きのピーナッツはおいしいですが、塩分を摂りすぎることは妊娠高血圧症候群を引き起こす可能性もあり、お腹の赤ちゃんにもよくありません。

ピーナッツを食べるなら殻付きのゆで落花生を選ぶと、塩分の心配がありません。また、中国産のピーナッツは、以前発がん性のあるカビ毒が検出されたこともあるので、千葉県産など国内産のものの方が安心ですね。

落花生を食べることで得られる効果

ピーナッツは、小さい粒の中に豊富な栄養を含みます。1日20粒ほどを目安に食べると、健康効果が期待できます。

妊婦さんにうれしい葉酸を含む

ピーナッツは、100gあたり57㎍の葉酸を含みます(日本食品表示成分表2015より)。

葉酸を妊娠初期に摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクや流産のリスクを減らすことができます。

妊婦が一日に食品から摂取すべき葉酸は、240㎍と言われています。

ピーナッツだけで妊娠中の全ての必要量を補うことは難しいですが、葉酸は妊娠前からも摂取を推奨されています。

妊娠前からもおやつ代わりに食べていると、妊娠に備えた体作りができます。

体に良い植物性の油を豊富に含む

ピーナッツの成分の1/2は脂肪ですが、オレイン酸・リノール酸といった植物性の体によい油です。これらの成分は、中性脂肪やコレステロールの低下に効果が期待できます。

他にもマグネシウム、ビタミンE、食物繊維などの成分を、あの小さな粒の中に豊富に含んでいます。

とても栄養価の高い食べ物なので、食べ過ぎに気を付けて適度に摂取したい食品です。

落花生は細かくして料理に使うのもおすすめ

ピーナッツは殻を割ってそのまま食べてもおいしいですが、細かく砕いて料理に使うのもおすすめです。ピーナッツは消化に良くないので、細かくすることで消化・吸収されやすくなります。

ピーナッツだけで作るピーナッツバター

殻を剥いた落花生をフードプロセッサーへ入れて攪拌するだけで、簡単に手作りのピーナッツバターが完成します。

バターや砂糖を入れなくとも、ちゃんとペースト状になります。自分で作るので、余計な添加物も入っておらず、市販のものよりもフレッシュなおいしさがあります。

パンやクラッカーにつける以外にも、麺つゆと混ぜてタレをつくりうどんや冷しゃぶにからめてもおいしいです。

砕いたピーナッツを料理の彩に

ピーナッツをビニール袋に入れてめん棒で叩いて砕き、サラダにかけて彩にしたりほうれん草と和えたりすると、野菜も一緒に沢山食べられます。

妊娠中はアレルギーを気にせずバランスの良い献立を

妊娠中は、自分の体以上にお腹の中の胎児の健康が気になります。ピーナッツアレルギーについては、妊娠中にピーナッツを食べたからといってアレルギーを心配することはないようです。

お母さんにアレルギーがある場合は、お医者さんに相談して食べることを控えた方が良いですが、妊娠中は、特定のものを食べ過ぎたりせずに、バランスよく偏りのない食事をすることが大切ですね。

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