パタニティハラスメント(パタハラ)とは?実態は?夫が育休取得できない理由

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2019/06/12

仲良しの父子

妊娠や出産を理由に女性が退職などを迫られることは「マタニティハラスメント」としてよく知られています。

そして、男性が育児休業や育児休暇取得を利用しようとして嫌がらせを受けることを、「パタニティハラスメント」と呼び問題視されています。

「マタハラ」に似た「パタハラ」とはどのようなものか、男性の育休取得の困難な事例や現状をお伝えします。

パパを追い詰める…パタニティハラスメントの実態

妻の出産や育児に夫として協力できるよう、男性にも育児休業や休暇取得の権利があります。

ところが、実際に育児休暇制度や育児時短・フレックス勤務制度を利用し仕事に復帰したところ、処遇などで不利益を受けたりすることがあります。

  • 評価が最低ランクに下がり、減給になった
  • 希望もしていないのに転勤を求められた
  • 残業できないのなら昇格はないと責められる

実際にパタハラを受けたという方の例がこちら。

大企業でもこの実態。もはやひとごとではありません…。

また、同僚や上司からも

  • 「子供を理由に休むやつは使えない」
  • 「お前の娘が熱を出すと社員が不幸になる」

などの嫌がらせと思われる事を言われたりもあるようです。

パタハラの原因は会社や上司の古い考え方やフォロー体制のなさ

なぜ正当な権利を行使するのにこれらの嫌がらせを受けることになるのでしょう?そこには会社の上司の育った社会背景が影響しています。

男性の育児参加の壁!育児は女性という古い慣習

夫が妻を助けるため家事・育児に積極的に取り組むため会社を休むという姿勢が、50代前後の上司に理解されにくいことが原因の一つでもあります。

夫の上司は、「男は仕事、女は家で専業主婦」という高度成長期にバリバリ働いていた世代の父親に育てられています。

「男が子供のために会社を長期間休むなんて有り得ない」という考え方が刷り込まれているわけです。

男は家長として外で働き、女は子供を産んで家庭を守るという「性別役割分担意識」が根強いことも一因です。

また、上長の場合は、育児を優先されると、仕事や周りに影響が及ぶことを恐れていることも十分考えられます。

今の30代の男性が20年後に上司となっていう時点では、ちょっと状況が変わってくるかもしれませんね。

また、会社の経営状態が悪いため、育休なんかで休むのは考えられないというムードを出してきたり、人員不足なのに休むの?とかそもそも育休や育児に対しての理解不足、職場のフォロー体制の悪さなども原因となっています。

育児に理解がないだけではなくフォロー体制がない・あっても機能していない…

男性の子育てに対する理解が乏しいだけが要因ではないようです。

実際に子育て制度を利用した場合の、男性社員をフォローする体制がない、もしくはあってもそれが十分に機能していないことも…。

「早く帰ったり休んでいる間のしわ寄せがなぜ自分達にこなければならないのか??」と不満を抱えそれがパタハラになってしまうということも。

フォロー体制(人員を一時的に増やしたり、日頃からコミュニケーションを密にとっているので影響が少ない、仕事の明瞭化など)がしっかりとしてれば、こういった不満は最小限に抑えることができるのにと感じざるを得ません。

結局、取得を検討しているパパ側も、

  • 人に迷惑をかけてまで…
  • もしかしたら出世に響くかも…
  • 自分のせいで仕事が回らなくなってしまったら取り返しが付かない…

などの理由で諦めてしまうようです。

知らないと損をする!育休規定は男性にもある

男性自身も育休について「女性が取るもの」と思い込み、勤め先の育休規定を全く知らないという人も少なくありません。

男女を問わず、従業員は事業主に申し出れば、子供の1歳の誕生日の前日まで1年間原則1回限り育休を取ることができます。法律で決まっていることです。

1年も休むのはちょっと…という場合は、夫婦で半年ずつ休みを取ることも可能です。会社が拒否することはできません。

育児・介護休業法は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の略称です。育児休業制度について、この法律で以下のとおり定めています。労働者は、申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。
一定の場合、子が1歳6か月に達するまでの間、育児休業をすることができます。

パパママ育休プラスについて

「パパママ育休プラス」とは、育児休業期間を1年2か月まで延長する制度。パパとママが育児休業取得できるのはそれぞれ1年間となります。

育児休業期間そのものが2か月プラスとして延長されるわけではなく、1年2か月の間に、パパとママがそれぞれ柔軟に育児休業を取ってそれを組み合わせる、という制度です。

条件
  • ママが専業主婦、または育休を取得していること
  • パパの育休開始日がこどもの1歳の誕生日の前であること
  • パパの育休期間が1年以内であること
  • ママの育休終了日が1歳の誕生日までであること

基本的に会社で手続きが必要なので、事前に必要書類を確認しておきましょう。

パパは条件をクリアすれば育休を2回取れる!

通常、育児休業は子一人に対して取得は原則1回。ですがパパの場合は「パパ休暇」として、期間中に2回育休をとることが可能。

条件

子どもが生まれてから8週間以内に育児休業を1回取得すること。

上記条件を満たせば、特別な事情がなくても1年2か月の間でもう1回取得できます。

生後8週間はママは自分の身体を休めつつも生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をしなければならない大変な時期!

パパがこの時期に休暇を取得することで、少しでもママのサポートとして育児に積極的に参加できるように考えられている制度と言えます。

そして、妻が専業主婦でもパパは育休が取れます。 2010年の法改正により、すべての男性が安心して育休を取得できるようになりました!

ママが専業主婦だからといって、育児の負担が少ないわけではありません。可能な限り、パパに育児休業を取ってもらってサポートして欲しいという部分を理解してもらえた改正だと感じます。

しかし…嫌がらせが怖くて育休が取れない実態

子育て、家族のためとは言え、誰でも積み上げてきたキャリアを失いたくはありません。

男性の育休取得率は5.14%で(厚生労働省の「平成29年度雇用均等基本調査」による)長期に見れば上昇傾向にあります。

しかし、利用したかったが諦めた…という人の割合は3割と、取りたいけれど取れなかったという方が多いのが実態のよう。

またその内、公務員などが強制的に取らされている例もあり、本人の希望で取れているのはかなり少ない可能性があります。

育児休暇を申請すると、先程の例のように言葉や態度による嫌がらせが横行しているのも理由の一つだと言えます。

会社での嫌がらせの例を挙げます。

  • 会社で利用できるはずの子育て支援制度を許可しない
  • 子育ては妻、夫は働くものと差別的な発言をする
  • 上司が降格させるなど脅迫する
  • 休暇中何度も電話をしてくる

パタハラ解消に向けた取り組みが早急に必要です。

もちろん制度をきちんと利用できる会社もあります。こういった会社がどんどん増えていかないと、なかなか国として掲げる「2020 年までに男性の育児休業取得率 13%」という目標は程遠いのかな…と感じざるを得ません。

「イクメン休業」制度を会社が一丸となって推進している積水ハウス株式会社について。

不当な降格から裁判沙汰まで!実際に起こったパタハラの事例

パタハラを受け、無力感を感じながら育児の時間をやりくりする父親。こんな社会ではいけないと専門家も警鐘を鳴らしています。

  • 保育園の送迎のため残業を断り続けていたら降格になった
  • 社内で初めて育児休暇をとったら上司から脅されるようになった
  • 看護師男性が育休を利用したら昇格試験さえ受けさせてもらえず裁判に

明らかな人権侵害の例であったり、裁判沙汰まで…様々なパタハラの事例をいくつか紹介します。

【保育園の送迎のため残業を断り続けていたら降格になった】
共働きの夫婦で悩んだ末子供を一人出産しました。夫は早朝に出勤するフレックス勤務となり、4時に退社し子供の通う保育園にお迎えに。

妻の帰宅後3人一緒に夕食をとり、家族団らん幸せに過ごせていました。ところが会社ではフレックスタイムを利用するこの男性に対して「迷惑だ」という同僚も…。

上司からも「夜まで会社に居るべきだ」など説教され、残業を断り続けていたら降格させられたそうです。

【社内で初めて育児休暇をとったら上司から脅されるようになった】
男性としては社内で初めて育休を使用。すると、直属の上司にこんなことを言われたそうです。

  • 「お前の担当していた客は戻せないからな」
  • 「戻ってきてもお前とは一緒に仲良くやれない」
  • 「こんな女々しいやつだとは思わなかった」
  • 「もう戻ってくるな」

休暇中も1日に4.5回電話がかかってくることもあったそうです。

【看護師男性が育休を利用したら昇格試験さえ受けさせてもらえず裁判に!】

ある看護師の男性が、3ヶ月の育児休暇を利用したところ、病院側から昇給が認められず、昇格試験さえ受けさせてもらえないという事案が裁判沙汰に!

気になる裁判結果は二審で男性の勝訴。この男性に支払われた金額は少額でしたが、それでもパタハラが認められた意味のある判決でした。

パタハラ経験者の6割以上が、育休などの子育て制度の利用を諦めている現状…

実際にパタハラを受けた時、そのパパがどのような対応をとったか気になりますよね。

非常に残念なことですが、「誰にも相談せず、子育ての制度利用を諦めた」が6割以上…。

「家族や友人に相談した」のは1割強、「公的機関への相談」も1割に達していません。

どこにも相談せず育休も取れず、有給休暇をを使ったりして我慢して諦めているのが実態のようです。

パタハラをされた経験がある 61 名に、パタハラを受けた際にどのような対応をしたか聞いたところ、「だれにも相談せず、子育てのための制度の利用をあきらめた」が 65.6%となり、パタハラをされた人の多くが制度の利用をあきらめていることがわかりました。

女性には「マタニティハラスメント」、男性には「パタニティ(父性)ハラスメント」。いつまでこんな社会が続くのでしょうか…。子供を沢山生んで…という一方でこの実態。一体どうやって子育てできるんでしょうか…。

理不尽なパタハラに合わないための対策法

育児休暇などを取得したいと思った場合、日頃から会社の人達とコミュニケーションをとることがとても大切です。

日頃から上長や同僚に話をしておく

急に育休を取りたい、残業はできなくなると言われて周りが動揺してしまうのはある意味当然のことでしょう。

事前に自分の家族の状況や、育児に関することを上司や同僚に伝えておけば、相手も状況をくみとってくれたり、気持ちの整理ができたり、その後の仕事の回し方などを考える時間ができます。

当然の権利!という態度を取らず、感謝の意を!

権利として与えられているものなので当然!という態度ではいけません。周りのフォローあってのという部分を忘れずに、お願いの姿勢、感謝、お詫びなどの言葉をかけるように努めましょう。

色々と心では思っていても、「この人はこう思ってくれている、だから周りがしっかりとフォローしなくては!」と感じてもらえるはずです。

立場が逆転することも有りえます。そういった時に、きっと自分の気持ちを理解してもらえると思います。

パタハラを防ぐ義務は会社にある!

男女雇用機会均等法と育児介護休業法が平成29年1月に改正され、パタハラやマタハラに関する防止措置の義務付けを含むものとなりました。

【事業主の義務の一例】

  • マタハラ・パタハラが懲戒の対象となることを就業規則などで明確化することと従業員への周知・啓発
  • ハラスメントに対しての迅速かつ適切な対応
  • ハラスメントの原因や要因を解消できるような措置を取ること

そして、第二の作として、相談する先を作り、それに対して適切に対応するための枠組みや体制の整備を示しています。

  • 相談窓口を定める
  • 相談窓口の担当者が相談事に対して適切に対応できるようにする
  • 現実に起きているハラスメントだけでなく、起こりそうだという相談、ハラスメントかどうか微妙な内容の相談にも対応する

この二重の体制で、未然にパタハラを防げるようにすることが義務付けられています。

イクメンプロジェクト
厚生労働省が推進するプロジェクトで、男性が育児に積極的に参加する社会を後押しするものです。

男性の育児参加を促進することに力を入れている企業が表彰される『企業アワード』など、「国が評価している」ものもありますので、こういった制度を盾に会社の姿勢を確認してみることもおすすめです。

会社には言えそうにない…ならば第三者への相談を!

しかし、実際はとてもじゃないけど言い出せる感じでない…言ったらもっと嫌がらせを受けてしまう恐れが…という場合は、第三者機関に頼るるのも一つの手です。

【なんでも労働相談ダイヤル】日本労働組合総連合会
フリーダイヤル:0120-154-052
(メール相談もあります)
http://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/tel_soudan/index.html

パタハラ対策プロジェクト~パタプロ~
http://patahara.blogspot.com/

NPO法人ファザーリング・ジャパン~Fathering Japan~
https://fathering.jp/index.html

一人で抱え込まず、まずは誰かに相談することが解決の第一歩となるはずです。

仕事と子育てを両立させたい!ママの負担を少しでも減らしたいとパパは思っています!

日本労働組合総連合会の調べによると、63.9%もの多くの男性が仕事と子育てを両立させたいと考えています。

ですが実情は仕事優先で、年代が上がれば上がるほどその傾向にあります。実際の育休取得の日数は5日未満が最も多く66.7%です。

育休を取りたい理由についてですが、そこには妻を大切に思う愛と、子供への関心の高さがうかがえます。

  • 産後の妻の安静を確保したい
  • 妻だけで育児するのは大変だと思う
  • 子どもと向き合う時間が欲しい
  • 男性も育児を妻と一緒に行うのは当然と思う

最近のパパは「育児参加は当然」と考えているようです。「子育ては女性の仕事」と思い込んでいる古い考えの上司とのギャップを感じますね。

そこで、育児休業取得者も含む育児休業取得の希望があった・ある人(642名)に、育児休業を取った・取りたいと思う理由を聞いたところ、「産後の妻の安静を確保したい」59.0%が最も多く、次いで、「妻だけで育児するのは大変だと思う」58.6%、「子どもと向きあう時間が欲しい」51.6%、「男性も育児を妻と一緒に行うのは当然と思う」45.6%が続き、妻を思う気持ちや子どもと接したいとの気持ち、男性の育児参加は当然との思いが上位となりました。

育休を取得したパパが子育てすることで実感したメリット・デメリット

困難な状態の中でも育児休暇を取得し、ママを助け子供たちの世話をしたイクメンパパが仕事に復帰したとき何を感じたと思いますか?

メリット

  • 子育てをすることで時間のマネジメントが上手くなった
  • 段取りを考えながら仕事ができるようになった
  • 育児中のママの辛さを理解できた…育児の大変さや苦労を身をもって感じることができたためた

確かに子育て・家事は同時並行に、時間を逆算して段取りよく行動しないと間に合いませんよね。

また予期できない自体に陥ったり、どうすればいいのか分からないことも多くて辛いという「ママの大変さ」について経験することは、ママの苦労を理解できる貴重な体験とも言えますね。

次にデメリットだなと感じた部分についてです。

デメリット

  • 仕事に割く時間が思うようにいかない
  • 仕事と子育ての両立は難しいと感じる

しかし、このデメリットは働くママも同じ思いなんです。「苦労しているママの気持ちも理解できる」そんなメリットでもあると言えます。

パタハラ解消のためにはまず理解者を増やすことから!

職場風土が旧態然とした男性優位の業界で起きやすいパタハラ.そもそも日本の企業が世界的に見ても過剰勤務である点も要因の一つと言えます。

残業を減らし必要な時に休みを取れるような、仕事と家庭とのライフワークバランスが大切!育児参加に時間を時間を充てるには、企業の意識改革は必須です。

また、個人も黙っていては何も変わりません!!パタハラ解消には同じ男性社員の理解と、「お互い様」という気持ちの元に成り立つ互いの協力体制を少しずつ整えることが大事です。

勤労者世帯の過半数が共働き世帯の中、もっと男性が子育てに積極的に参加できる環境作りが必要であり、そのためにはパタハラ含め育休取得に対して真摯な対応をしてくれる、子育て世帯を支援してくれる企業が増えていくのが理想です。

いざという時フォローし合える職場環境づくりと、夫婦で育児が当たり前の社会の風潮を作っていきたいですね。

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