定義が変わった?待機児童の原因と問題点と、各家庭で取り組める対策

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2018/11/12

「待機児童」は、両親の共働き等で保育が必要な児童に対して、保育所を手配できないために入所を待機している状態のことです。

都市部では長年問題になっていますが、早期に解決できない難しい課題です。

今回はそんな待機児童について、最新の定義から政府・企業の抱える課題、家庭でも取り組むべき対策について解説します。

待機児童の定義

「待機児童」とは、保育施設への入所を希望しているにもかかわらず入所できない児童のことを言い、厚生労働省の管轄によって定義されています。

社会構造が大きく変化した1990年代から問題化し、子供の数が減り続けている現在でも問題は解消されていません。

2000年代に入ってから、全国の保育施設の定員数を利用児童数で割った「定員充足率」は90%以上で推移しています。

人口が集中している都心部では常に満員で、必要な場所に保育施設が足りない状態が続いてるのです。

待機児童問題の根本「隠れ待機児童」

待機児童の問題を考えるときに無視できないのが「隠れ待機児童」です。

保護者からすると「希望する保育施設に入れない場合はすべて待機児童じゃないの?」と考えてしまいますが、厚生労働省によって定められたいくつかのパターンによって待機児童数から除外されているのです。

また、待機児童の定義に際しては、入所の意思や求職状況の確認などが必要なものもあり、自治体によってその解釈に開きがあります。

実際、2016年に厚労省から発表された全国の待機児童数は約2万3千人でしたが、「隠れ待機児童」はその3倍の約6万7千人とも言われています。

2017年に待機児童の定義が一部変更

2017年には厚生労働省が待機児童の定義について、新たな指針を発表しました。

これまで、保護者が育児休業を延長中、もしくは求職中の場合は「待機児童」と認められていませんでした。

しかし実際には、保育所に落選したため育休を延長せざるを得なくなった場合も含まれており、新しい定義では保護者の復職の意思が確認できれば待機児童とみなすことになりました。

保育所の申し込みに落ちたため子供を預けられず、保護者が求職活動ができていない場合についても、個別に状況を確認した上で、待機児童と認めることになったのです。

それでも待機児童とみなされない例とは

定義が拡大された後でも、待機児童とみなされない場合があります。

  • 他に入れる保育所があるけれど、特定の保育所に入所するために待機している
  • 自治体が補助する保育サービスを利用しながら待機している
「他に入れる保育所」という判断はこれまで自治体が独断で行ってきましたが、2017年度以降は通園距離や各家庭の都合など個別に聞き取りを行った上で、待機児童に含めるか否かを判断します。

また、「認可保育所に落ちたので認可外を利用している」場合は、引き続き待機児童にカウントしないことになっています。

しかし認可外保育施設は、保育料や保育時間などの条件が認可よりも難しいことが多く、「認可保育所に空きがあれば転園したい」と考えている保護者と、これを待機と認めない定義には依然ギャップがあります。

待機児童が減らない4つの原因

待機児童問題が解消しない理由は、いくつかの要因が絡み合っています。

共働き世帯の増加

1997年に改正された男女雇用機会均等法によって女性がキャリアを形成しやすくなり、子育てをしながら働く女性が増えました。

景気の悪化によってこれまで家庭で育児に専念していた女性も働きに出るようになったことも共働き世帯増加の要因となっています。

都市部の人口増加

総務省の発表によると、東京都では15歳以下の人口が年々増加しています。

オフィス都心集中化などの要因により、仕事を求めて人々が都心部に集中していますが、認可保育園の設置ペースが追いついていません。

保育士不足

保育士資格を持つ人は全国に約120万人いる一方で、実際に保育所に勤務している人は半数ほどと言われています。

資格を持っているのに保育士として働かない”潜在保育士”が生まれる理由の一つに「給与」があり、保育士の待遇改善による雇用の促進が急務となっています。

新規の保育所が開設しにくい

保育所は、職員数や園庭の設置などの基準が満たされないと自治体から認可を受けることができません。

新しい保育所を作ろうとしても、人口が密集している都心部では十分な広さの土地を確保することが難しい場合があるのです。

待機児童問題への対策と課題

こうした待機児童問題に対し、行政や企業がそれぞれに取組みを発表しています。

また、各家庭でも待機児童について前もって考え、行動することで対策になる場合があります。

政府・自治体・企業の取り組み

2002年以降、政府や自治体ではそれぞれ待機児童対策を講じてきました。

保育所の数を急激に増やすことは難しいため、保育所の認可基準の見直しや保育士の配置ルールの変更など、政府は規制の緩和を行いました。

また2015年からは、0~3歳未満児を対象とした定員19名以下の「小規模保育施設」も国の認可事業として位置づけられました。

また、認可保育園の基準をすべて満たすことはできないけれど、自治体が定めた一定の基準をクリアした保育施設については「認証保育園・認定保育園」として補助を行っている地域もあります。

このような行政の取り組みに対し、民間の企業でも在宅勤務(テレワーク)環境の整備やフレックスタイムの導入など、柔軟な働き方を支える体制が進んでいます。

ただし、企業の規模や仕事の内容によってはこのような仕組みを取り入れることが難しいため、福祉として市民に平等に提供される行政施策が求められます。

家庭でもできる待機児童対策について考えてみよう!

この待機児童問題に対して、各家庭ではどんな対策ができるのでしょうか?

たとえば、子どもが生まれて部屋が手狭になったことをきっかけに引越しを検討する家庭も多いと思います。

そんなときに、保活激戦区ではなく郊外の競争率が低い市区町村を選ぶこともひとつの対策です。

通勤の兼ね合いであまり遠くに引っ越すことができない場合は、認証・認定保育園の保育料補助が手厚い自治体に絞るのもよいでしょう。

たとえ認可保育園に落ちてしまっても、保育料の差額補助を受けられれば認可保育所と同じだけの負担で済む場合もあります。

待機児童対策には正しい情報集めと準備を!

保育園に入るための活動、いわゆる「保活」は妊娠中から始まるといわれています。

もしも我が子が待機児童になってしまったら…と想定して、日常的に情報収集することが大切です。

役所に足を運んで話を聞いたり、保育施設の見学に行ったりするのもよいでしょう。地域の子育てサロンに行ってみると、有益な口コミが得られるかもしれません。

情報を知っていることで、いざというときに次のアクションがしやすくなりますよ。

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