食べるのも触るのも絶対にダメ!カエンタケは超危険なキノコ
小さな子どもを連れてのお散歩、とっても楽しいですよね。子どもたちの体力や感受性を育ててあげるためにも、お散歩はぜひ毎日したい習慣です。
特に秋はドングリ拾いや落ち葉拾いが楽しい季節。お家によってはキノコ狩りに出かけることもあるでしょう。
でも、そんなお散歩に思わぬ危険が潜んでいる可能性があります。特に最近注目されているのが、「カエンタケ(火炎茸)」という毒キノコの存在です。
カエンタケは、今までの毒キノコのイメージを覆す、非常に危険な毒性を持つキノコです。なんと触ることも危ないと言われています。
絶対に触らないよう、そして万一にも口に入れることがないよう、カエンタケの危険について詳しく調べてみましょう。
この記事の目次
カエンタケってどんなキノコ?赤い人の指先のような形!
カエンタケは、一般的なきのこという形はしていません。
しかも子どもが見かけたら、思わず触れてしまいそうな姿をしているのです。どんな茸なのか、よく知っておきたいですね。
カエンタケの超猛毒!食べると死ぬこともあり、触ると皮膚炎に
カエンタケは、食べると死んでしまう可能性が非常に高いキノコです。わずか数センチでも危険です。
後ほどご紹介しますが、いわゆるキノコという形をしていないので木の実などと間違えて幼い子どもが口に入れることも充分考えられます。
なんでも口に入れてしまう年齢の子どもは特に気を付け、野外をお散歩する際は目を離さないようにしたいですね。
さらに、カエンタケは触っただけでも肌に炎症を起こします。皮膚炎を起こす毒なので、触れた手で目などを絶対にこすらないようにしてくださいね!
症状は早ければ10分前後~30分で出始め、数日後に突然高熱を出したということもあるようです。
初期は消化器系の症状が強いと言われていますが、その後非常に危険な状態に陥り、回復したとしても後遺症や障害が起きる可能性もあるようです。
主な症状をご紹介します。これらすべてが起きるとは限りませんが、肝不全や腎不全・呼吸困難など命にかかわる症状も少なくありません。
- 腹痛
- 嘔吐
- 水様性の下痢
- 悪寒
- 高熱
- 手足のしびれ
- めまい
- 呼吸困難
- 白血球・血小板の減少
- 肝不全
- 腎不全
- 言語障害
- 2日後くらいに消化器不全
- 皮膚がただれて剥がれ落ちる
- 脱毛
ほかにも呼吸器不全や造血障害を起こすという報告もあります。
後遺症もご紹介します。
- 小脳の萎縮
- 言語障害
- 運動障害
- 脱毛
- 皮膚が剥がれ落ちる
どれほど恐ろしいキノコかご理解いただけたのではないでしょうか。しかも致死量はたった3g。数センチとされているのです。
カエンタケの特徴をチェック!見た目をよく知っておきましょう
では、絶対に触らないようにカエンタケの特徴をご紹介します。覚えておきましょう。
特徴 | |
---|---|
色 | オレンジ~朱色・赤 |
大きさ | 指先くらいから20cmくらいまで成長する 子どもが手のひらを広げたくらいになる |
生えはじめの形 | 人の指のような形 |
成長したあとの形 | 根元付近で枝分かれし、紅色のサンゴのような形になる 人の手のような形に広がることもある |
内部 | 中身は白い |
肉質 | 硬い |
森の中でも良く目立つ、鮮やかな朱色をしています。子どもが見つけたら、思わず触ってしまいそうな形ですよね。
先ほどもご紹介しましたが、触れただけでも皮膚炎を起こします。ママも含め、うっかり触らないようにしましょう!
- ボタンタケ科(ニクザキン科とも呼ばれる)
- ポドストロマ属
- 有毒成分…トリコテセン類の強い毒性を持つ
カエンタケがよく発生する季節は夏から秋にかけてのシーズン
カエンタケが生えるのは、夏から秋にかけてのシーズンです。特に秋は多くのキノコが生え、行楽シーズンということもあるので注意しましょう。
ただし最近は地球温暖化による気象の異常などがあり、生態系にも影響が及んでいます。花の狂い咲きなども報告されていますよね。
夏から秋に生えるキノコと言われていますが、春や初冬にかけても生える可能性は充分考えられます。
カエンタケが良く生えている場所はナラ類の雑木林の土の上
ブナやコナラといったナラ類の樹木が生える広葉樹林の地面に群がって生えます。1~3本だけニョキっと出ていることもあります。
つまり、雑木林の湿った土の中から生えてくるということです。森林公園や自然公園の土から生えてくることもあります。
それもキノコを見分ける特徴の一つです。カエンタケは、土から生えてくるキノコの一種なのです。
ドングリが落ちている森の土から生えるので、子どもをドングリ拾いで遊ばせるときは注意して見てあげましょう。
特に2015年には奈良県と京都府・大阪府にまたがる生駒山系で多数の発生が認められました。
近隣に住む人は特に注意しましょう。また見つけたときは公園の管理者、もしくは市町村の役場や保健所などに報告しておくと被害の広がりを防ぐことにつながります。
カエンタケを触ってしまった・食べてしまった時の対処法
もしも子どもがうっかりカエンタケを触ってしまった時、もしくは口に入れてしまった時はどうすればよいのでしょうか。対処法をご紹介します。
【触ってしまった時】…流水と石けんで良く洗い、すぐ病院へ
カエンタケに触ってしまった時は、応急処置としてすぐに石けんと流水でよく手を洗い流しましょう。
身近に水道などが無くて洗えない場合は、持っている水筒やペットボトルのお茶や水などでも構いません。とにかく洗い流します。
数時間経過してしまっても洗うことは役立ちます。手についている毒成分をしっかりと洗い流しましょう。
カエンタケに触った手で目や鼻などの粘膜を触ったり、触った手を口に入れることは絶対にやめてくださいね。
【食べてしまった時】…ぬるま湯を飲ませて吐かせ救急へ
カエンタケを口に入れてしまった時は、すぐに吐き出させます。何度も水やぬるま湯でうがいをさせ、飲み込まないようにしましょう。
カエンタケを飲み込んでしまった場合は、ぬるま湯を飲ませて指を口に入れ、すぐに吐き出させます。吐き出せない場合は救急へ急ぎましょう!
吐き出した場合も、まだ胃の中に残っている可能性があります。10分で症状が出ることもあるので、救急搬送してください。命の危険があります。
カエンタケを誤って食べてしまった場合は、少しでも早く吐かせてください。ぬるま湯を飲み、のどに指を突っ込むことで吐くことができますので、この作業を複数回繰り返してください。
身近にひそむ危険なきのこはカエンタケだけじゃない!
実は私たちの身の回りには、カエンタケほどではなくても危険なきのこがいろいろ生えています。猛毒を持つことで知られるキノコの代表的なものをご紹介します。
【シャグマアミガサタケ】…脳みそのような見た目の猛毒キノコ
シャグマアミガサタケは、食べると死に至ることもあるキノコです。見た目は茶色い脳みそのようで、かなりグロテスクです。
柄の部分は5cm程度まで成長し、その上にカサの部分が広がります。ここが脳みそのような、梅干しのようなクシャクシャとした状態になるのです。
色は茶色で、独特の質感はシリコン樹脂でできているように見えるかもしれません。食べると死んでしまうこともあります。
症状は食後数時間かけて出てきます。7~10時間と言われています。
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- けいれん
- 出血
- 肝臓障害
- 腎臓障害
- 消化器の障害
- 膀胱障害
- 発がん性
煮れば食用になるとも言われていますが、調理中に死ぬ事故が起きる危険もあるきのこです。素人判断で食べてみることは絶対にやめておきましょう。
【ドクツルタケ】…真っ白で美しい「死の天使」は死ぬことも
真っ白の美しいキノコですが、日本ではもっとも強い毒性を持つ毒キノコの一種です。やはり死ぬことがあるキノコです。
テングタケと呼ばれる毒キノコの一種です。テングタケやベニテングタケは幻覚症状などを起こしますが、ドクツルタケは1本で致死するほどの猛毒を持っています。
そのため「死の天使」「破壊の天使」と呼ぶ地域もあるそうです。さらに当たると死んでしまうことから「テッポウタケ」という呼び名もあるそうですよ。
非常に似ている「シロタマゴテングタケ」にも猛毒があります。自然に生えている真っ白いキノコは危険、と考えておくと安心ですね。
ドクツルタケの主な症状をご紹介します。食べてから6時間~24時間と言われています。
- コレラのような症状
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
これらの症状は一度おさまりますが、1週間ほどして強い後遺症が出るそうです。
- 肝臓肥大
- 黄疸
- 胃腸からの出血
- 肝機能障害
- 腎機能障害
非常に危険ですので、万一食べてしまった時は救急へ行きましょう。
【ドクササコ】…火箸で刺されたような激痛が1ヶ月続く猛毒
ドクササコも、古くから知られる毒キノコです。このドクササコは、非常に苦しむキノコです。
ドクササコは、橙褐色や赤みの強い褐色のキノコで、中央部分がくぼんだ形のキノコです。竹やぶや笹やぶに生えるのが一般的だが、杉林やコナラなどの広葉樹林にも生えることも。特に日本海側に多いと言われています。
しかもこの激痛は1ヶ月以上続くと言われています。死ぬことはあまりないとされていますが、非常に痛いため危険なきのこです。
【ニガクリタケ】…死亡例もある!苦くてよく見る見た目の茸
ニガクリタケは、一見なめこやしめじといった食用キノコにも見えるキノコです。うすい茶色で小さなキノコが固まって生えます。
しかし死亡した事故事例もある危険なキノコです。枯れ木に生えるキノコで、春から秋にかけて発生します。
その名の通り非常に苦いそうなのですが、佃煮などにしてうっかり食べてしまい、食中毒を起こして子どもが死亡した例もある恐ろしいきのこです。
ニガクリタケを食べたときの症状をご紹介します。
- 舌がピリピリする
- 嘔吐
- 下痢
- けいれん
- 意識不明
- 紫斑が出る
- 2~4日後に死亡
やはり子どもの方が毒が回りやすいのかもしれませんね。うっかり食べてしまったらできるだけ早く胃洗浄などの治療を受ける必要があります。
【ツキヨタケ】…夜光る幻想的なキノコの正体は中毒を起こす毒茸
ツキヨタケは、毒性はそれほど強くはありませんが、日本でもっとも中毒例が多いきのこの1つと言われています。
ツキヨタケという名の由来は、夜にぼんやりと光ることからきています。それはそれは美しいのですが、毒性を持つ危険なきのこです。
なぜ中毒例が多いのかというと、見た目がシイタケやヒラタケなど美味しいきのこによく似ているからです。
秋によく発生し、食べると食後30分から3時間ほどで症状が出ます。
- 胃腸障害
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
味はけっこう良いそうで、食べてもしばらく気付かないこともあるようです。おかしいなと感じたらすぐに病院へ行きましょう。
キノコの危険から身を守るためにできることを知っておきましょう
自然には、いろいろな毒キノコが存在しています。カエンタケをはじめとする毒キノコから身を守るためにできることを知っておきましょう。
素人判断でうかつに食べない・持ち帰らない!図鑑だけでは危険
毒キノコを見分けるのはかなり難しいことです。似ているキノコが無数に存在しているからです。
さらに生えている場所によって毒性を帯びることもあります。周囲の環境が不法投棄などで汚染されていたら、思わぬ危険が潜むこともあります。
キノコ図鑑の見た目だけでキノコは判断できません。違う図鑑の写真を比べてみると、同じキノコでも全く違って見えることもありますよ。
プロは見た目だけでなく、どこに生えているか・柄やカサ裏の状態はどうか・傷をつけるとどうなるか・薬品反応など総合的な観点から判断しています。
キノコ狩りやキノコ採りは必ず専門家と一緒に行くか、行った後で専門家に同定(キノコの種類を判断すること)してもらいましょう。
また、キノコ狩りをした人からもらったキノコも、きちんと同定されているとわかった時だけ食べるようにしたいですね。
迷信を信じない…昔からの言い伝えは科学的根拠がない
キノコの判断方法には、いろいろな言い伝えがあります。でもそのほとんどは迷信で、科学的根拠はありません。
- タテに裂けるきのこは食べても大丈夫
- 茶色いキノコは大丈夫
- 茹でこぼせば大丈夫
- 乾燥させれば大丈夫
- 塩漬けにすれば大丈夫
- ナスと調理すれば大丈夫
- 銀が変色しなければ大丈夫
- 虫に食われているキノコは大丈夫
これらの迷信はすべて嘘です。茶色い毒キノコもありますし、乾燥させても塩漬けにしても毒性が残るキノコもあります。また毒キノコを平気で食べる虫がいます。
昔から言い伝えられてきたキノコの判断方法はすべてウソ、と考えておいた方が安心です。キノコに関しては、現代の専門家の指示に従いましょう。
小さな子どもにはなるべく栽培された商品のキノコを食べさせ、天然ものは避けた方が安全かもしれませんね。
スギヒラタケのように、長年親しまれてきた食用キノコが近年になって有毒と判別されることもあります。食毒判別は専門家でも難しいということを覚えておきたいですね。
どんなキノコでも家庭では生で食べない!必ず加熱調理して
キノコのほとんどは生食できません。また、キノコが生える環境には雑菌がたくさんいます。
スーパーで売っているシイタケなどのふつうのキノコも、必ず加熱調理してから食べることが大切です。
特にシイタケなどは半生状態だと中毒を起こしてしまうことがあります。しっかり火を通して食べましょう。
カエンタケは絶対に触らない!食べたらすぐに救急で処置を
カエンタケの危険についてみなさんもご理解いただけたでしょうか。カエンタケは、さまざまある毒キノコの中でも最強を誇る猛毒キノコです。
雑木林の土の中、枯葉の下から赤やオレンジ色のものがニョッキリ出ていたら、絶対に触らないことが大切です。
そして触ってしまったらすぐに手を洗い、食べてしまった時はすぐに救急で処置を受けましょう。命に関わります。
春から秋の行楽シーズン、特に秋はどんぐり拾いなどで雑木林を散策することも少なくありませんよね。
そんな場所にカエンタケは生えます。充分注意し、万一にも子どもたちがそのまま口に入れてしまわないように見守ってあげましょう。
-
きのこマニアさん
ドクササコの写真間違っていませんか?
ドクササコは色は赤っぽく、中央が窪むジョウゴ型をしているはずです。
色は個体差にしても、この写真は頂部が突出していますし…
例えこれがドクササコだったとしても標準的でない個体の画像では、注意喚起の意味をなしていないと思うのですが。
また、ドクササコは竹林などに生えるきのこですが、カエンタケはナラ枯れのある場所なので同じような場所に生える、というのは語弊があると思います。(まれにドクササコが広葉樹林や針葉樹林に生えることもあるそうですが) -
mama-senseiさん
きのこマニアさんへ。
記事を読んでくださりありがとうございます。一部誤って取られてしまう内容が含まれているというご指摘、大変助かりました。ありがとうございました。
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