水疱瘡は早目に治療して!感染拡大や痕を残さないための方法

私たち親は、病気で辛そうな我が子の姿に胸が痛みますよね。

水疱瘡の症状である激しいかゆみと数十~数百もの水ぶくれは、私たちのそんな気持ちを大きくします。

大切なお子様が水疱瘡にかからないために、もしくはかかっても軽症で済ませるために、私たちが出来ることを見ていきましょう!

水疱瘡とは?

水疱瘡とは、水痘とも呼ばれ、水痘帯状疱疹ウイルス(以下水痘ウイルス)によって引き起こされる病気です。

発症年齢は、9歳以下が90%以上を占めます。発症時期は通年ですが、冬~春にかけて特に多くなり、気温の高い夏は比較的少なくなります。

この理由は、水痘ウイルスが気温25度以上で死滅するためです。また、空気感染・飛沫感染・接触感染により広がり、その潜伏期間は約2週間と言われています。

主な症状は、かゆみを伴う発疹と発熱です。発疹は、赤い状態から白い水ぶくれとなり、黒いかさぶたとなって完治へ向います。

発熱は70%の確率で起きますが、高温になることは珍しく、37~38度程度が多いようです。

1.予防接種を受けましょう

水疱瘡の予防や軽症化のために、私たちが出来る1番重要なことは、やはり予防接種でしょう。

水疱瘡の予防接種は、平成26年10月から定期接種化されていますから、無料で受けることが出来ます。対象は1歳から3歳までの子供です。

現在2回の接種がすすめられており、1回の接種で重症の水疱瘡をほぼ100%予防でき、2回の摂取で軽症の水疱瘡も含めて予防が出来ます。とても有効ですよね。

これら2回の標準的な接種時期と接種間隔は次のようになっています。

  • 1回目 1歳~1歳3ヶ月にあたる時期
  • 2回目 原則1回目の接種から3ヶ月以上経過後で、標準的には半年~1年後にあたる時期

なお、国内で用いられているのは、「乾燥弱毒性水痘ワクチン」という生ワクチンです。

生ワクチン内に水痘ウイルスを変異させたものを含み、故意に体内に入れることで軽度の水疱瘡を発症している状態を作り、抗体が出来上がるのを助けます。

緊急接種も可能!

実は、水疱瘡患者との接触から3日(72時間)以内に生ワクチンを接種すれば、80~90%の確率で水疱瘡の発症を防ぐことが可能です!

ですから、園での流行や水疱瘡患者との接触に気が付いたら、緊急接種を行うことも心強い手段の1つです。

副反応は?

予防接種の副反応もお伝えしておきます。副反応は、接種後1ヶ月程度まで現れる可能性があります。

主な症状は、注射部位の腫れや、発熱、軽い水疱瘡にかかった状態です。また稀ですが、重度な副反応の症状として、アナフィラキシー様症状や急性血小板減少性紫斑病(出血を起こしやすくなる病気です)などを起こす場合があります。

2.初期症状を見逃さないようにしましょう

重要な初期症状はコレ!

水疱瘡の重要な初期症状は、赤い発疹と発熱です(その少し前から、頭痛や気分不良の症状が出る場合もあります)。

赤い発疹は、大きさが2~3mmで、発熱とほぼ同時に出る可能性が高いようです。

この初期症状での発疹を、虫刺されと勘違いしたママが多くいますから注意しておいて下さいね。また、発熱はたいてい高温では無く、38度程度までです。

そして、これらの初期症状に気が付いたら(もしくは初期症状が疑われ時点で)、すぐに医療機関を受診しましょう。

その後の病状の経過としては、発疹は2~3日でピークを迎え、発熱は2~4日続きます。

なお発疹ですが、口の中や目の中、耳の中、足の裏、頭皮など、本当に全身に広がります。多いと、300~500ヶ所になることもあります。

注意!熱さまし薬は飲ませないで

高熱は出にくいとされていますが、解熱を望む場合は必ず市販のものではなく、医師の指示による解熱剤を使いましょう。

その理由は、万が一、自己判断によりアスピリン系の薬を服用してしまうと、ライ症候群を引き起こす可能性があるためです。

ライ症候群は、20%~30%で死亡したり、脳障害を残します。

医師により処方される解熱剤は、最も安全とされる「アセトアミノフェン(商品名:カロナール、コカール、ピリナジン、アニルーメ、カルジール、小児用バファリンなど)」が主です。

苦い!でも大切な抗ウイルス薬

 

水疱瘡には、発熱や発疹を抑えることが出来る「アシクロビル」や「パラシクロビル」という薬が処方されます。

どちらも市販では無く、医師の診察が必要ですが、発病してから2日以内に処方すれば効果が得られます。

服薬方法は以下ですが、苦みを伴い回数も多いですから、子供が飲みやすいように考慮しましょう。

  • アシクロビル(商品名:ゾビラックス)   1日4回 5日間服用
  • パラシクロビル(商品名:バルトレックス) 1日3回 5~7日間服用

3.園は休ませましょう

通常1週間~10日かけて、水ぶくれが黒いかさぶたになっていきます。

その期間中は感染力がありますから園は休ませましょう!

発疹がすべて黒いかさぶたになれば、感染力は無くなりますが、復帰の時期も自己判断せず医師の指示を仰ぎましょう。

園への報告はしっかり行いましょう

水疱瘡を発症したら、すぐに園への報告を行いましょう。

水疱瘡患者との接触から、3日(72時間)以内にワクチンを接種すれば80~90%の確率で発症を防ぐことが可能です。

つまり、あなたのお子様が発症したという事実を知った上で、緊急接種を受けられる他のお子様がいるかもしれないですよね!

4.家庭内感染を防ぎましょう

可能な限り、家庭内感染を防ぎましょう。

ただ実は、水痘ウイルスは2週間程度の潜伏期間を終える1~2日前(つまり症状が出る1~2日前)からすでに身体の外へと出ていってしまいます。

加えて、感染力がとても強い病気ですから、感染を防ぐことは容易ではないのが実情です。

実際に、家庭内での接触による発症率は90%と報告されています。

けれども、緊急接種の他、隔離処置やマスクの着用、手洗いなど、出来ることは行いましょう!また、水痘ウイルスは25度以上で死滅しますから、食器類などの熱湯消毒は有効ですよ。

危険!大人が初めてかかる水疱瘡

水疱瘡は、子供よりも大人がかかった場合の方が重症化します。

その症状としては、1週間以上続く高熱や、全身を埋め尽くすほどの発疹の他、無菌性髄膜炎など多くの合併症を引き起こす可能性があります。

事実、入院となった大人の水疱瘡患者は、子供の水疱瘡患者の3~18倍となっています。

妊娠中のママは特に注意が必要です

大人の中でも、妊娠中のママが初めてかかる場合は注意が必要です。全周期を通して(特に初期は)、流早産の可能性が高まります。

その危険性は、ママが水疱瘡を発症する妊娠の週数ごとに、次のようになります。特に分娩直前・直後の発症の場合は、ママの抗体が出来あがりきらず、赤ちゃんがママから抗体を受け取れないままに産まれてしまうため、危険が高くなります。

  • 妊娠20週までに発症 :胎児期に約2%の確率で「先天性水痘症候群(奇形症状)」を発症
  • 妊娠20週~分娩21日前に発症 :乳幼児期に約9%の確率で「帯状疱疹(※)」を発症
  • 分娩4日前~2日後 :新生児期に約30%の確率で「水疱瘡の重症化や死亡」

これから妊娠を望む場合には、抗体検査(2日~1週間で結果が出ます)を受けることや、予防接種をお勧めします。

ちなみに、子供の時に1度かかっていたり予防接種を受けている場合には、重症化することは稀ですよ。

※「帯状疱疹」とは…実は水痘ウイルスは、水疱瘡発症後も体内に潜伏し続け、再び活動する可能性があります。再び活動した場合の病名が帯状疱疹です。症状は水疱瘡と近く、赤い発疹や水ぶくれ、痛みなどです。この帯状疱疹は、免疫力が低下したタイミングや50歳以降などに発症しやすくなります。

ここでの場合は、赤ちゃんが、ママとともに胎内で1度発症したことになるため、まだ免疫力が弱い乳幼児期に帯状疱疹となって表れる可能性があるということですね。

5.かゆみを和らげてあげましょう

かゆみを和らげることは、かゆみ自体が子供にとって辛いためであることはもちろんですが、かきむしりによる細菌感染や跡を残さないためという大切な理由もあります。

細菌感染が重なると、トビヒや肺炎、水痘脳炎髄膜炎を発症する可能性が出てきてしまいます。そうならないためにも、次にあげることを行いましょう。

また、お子様がかきむしってしまうことを想定して、あらかじめ患部をガーゼで保護したり、お子様の爪を短くしておいたり、手袋をしておくことも重要です。

冷やしましょう
発疹や水ぶくれを冷やしましょう。冷やすことで、かゆみが落ち着きやすくなります。冷やし方としては、冷たいタオルや保冷剤をガーゼなどでくるんだものなどを、優しく押し当てましょう。また、暑い季節の場合は室温の調整も必要でしょう。
ぬり薬を使いましょう
かゆみ止めとして多く処方されるのは、「カチリ」という軟膏です。手間はかかりますが、水ぶくれをつぶさないように、綿棒などでひとつひとつ丁寧に塗りましょう。
カチリは塗ると、その部分が白くなって乾燥した状態になります。次に塗る時には、その乾燥した部位をはがさずことなく上から塗りなおして下さい。また、あくまでかゆみに効く薬ですので、かきむしりによって傷になっている部位には塗らないで下さい。
入浴はシャワーで済ませましょう
水疱瘡にかかっている間は、基本的に湯船につかることは避け、入浴はシャワーで済ませましょう。その主な理由は、かゆみを誘発しないためです。身体を温めるとかゆみ神経は活発になりますから、かゆみが増してしまいます。
しみない食事を用意してあげましょう
水疱瘡は、口の中にも水ぶくれが出来る場合があります。

食事は、極端に塩辛いものや酸っぱいものを避け、しみにくく食べやすいものを用意してあげましょう。

紫外線に注意しましょう
完治しない状態で紫外線に当たると、かさぶたの跡がシミになって残ってしまう可能性があります。

発症中に長時間の外出をする可能性は低いかもしれませんが、衣類や日焼け止めなどで調整しましょう。

かさぶたは無理にはがさないようにしましょう
かさぶたを無理にはがすと、跡が残りやすくなってしまいます。根気がいりますが、自然とはがれ落ちるのを待ちましょう。
基本的には、すべての発疹がかさぶたになれば、園への復帰が可能です。医師の指示によりますが、発症から7~10日かかるのが一般的です。

ただし、次のような場合は再診する必要があります。

  • 発疹が赤く化膿している
  • 4日以上熱が続いている
  • ぐったりしている

症状を悪化させずにうまく乗り切りましょう!

いかがでしたか?予防接種は、症状を重症化させず長期の自宅療養を強いられないという点でとても有効だと思います。

また、緊急接種が可能であることも覚えておきたい点ですね!

ご紹介した5つのことを中心に、水疱瘡の症状と経過をしっかり把握し、うまく乗り切りましょう!

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