子供の睡眠障害は生活リズムの乱れが原因!症状と治療法
早寝早起きは子供の成長にとってとても大切な要素。でも、パパの帰りの時間に合わせて、ついつい夜遅くまで起きているなんてことありませんか?夜が遅いと、どうしても朝も起きられなくてゆっくりになりがちです。
そういった乳幼児期からの乱れた生活リズムが、生涯にわたり睡眠に悪く影響するとも言われています。睡眠がちゃんと取れていないと、子供が「睡眠障害」に陥るかもしれません。
「睡眠障害」は、やる気や学力の低下につながるようです。大人だってしっかりいい眠りが取れていないと仕事に影響が出たり、体を壊したりしますよね。
就寝時間が遅かったり、常に寝すぎるといった感じ、または途切れ途切れにしか眠れていないなどはとても問題です。こんな状態だと昼間の活動に影響が出てきます。
最近増えている子供の「睡眠障害」のサインや症状、治療について見ていきましょう。
夜だけでなく昼間の様子も観察!気になる兆候をチェックする
成長・発達が著しい乳幼児期にちゃんと眠れていないと、下記のような何らかの様子が現れてきます。
- 昼間元気がなく大人しい
- キーキー甲高い声を出す
- ボーッとして集中力がない
- 言葉が遅いように感じる
変だなと感じたら生活リズムを点検してみましょう。
睡眠障害かもしれないサインや症状を見逃すな!
睡眠障害には正しい睡眠と生活リズムの見直しで治るものと、病気が原因となって睡眠に影響が出ているものと2種類あります。
まずは、眠りの様子、昼間の様子を観察し何か兆候が出ていないかチェックしましょう。
- 夜間睡眠中に何回も起きてしまう(3回以上)
- 一度目が覚めると1時間くらい起きている
- 昼夜合わせても睡眠時間が9時間より短い
- 日中の機嫌が悪くよくぐずる
- 強く鼾をかく
- 保育所や幼稚園に行きたがらない
- 頭痛や腹痛が多い
何か1つでも当てはまれば、1ヶ月継続して様子を見ましょう。ずっと続くようなら何か睡眠に問題があるのかもしれません。
夜中に何度も起きる場合はこちらもチェックしてみてください。
子供の「睡眠障害」の陰には様々な病気が隠れていることも!
家族が夜型なためそれに引きずられるように12時くらいまで起きているとなると、例えお昼頃まで寝ているとしても、睡眠の質はよくありません。
24時間社会の現代っ子の実に4~5人に1人は、睡眠の問題を抱えているということなので、決して他人事ではありません。
子供がよく眠れていないようですと、下記のような病気が関係している可能性もあります…
- 睡眠時無呼吸症候群
- 過眠症
- 睡眠時遊行症(夢遊病)
- 睡眠時驚愕症(夜驚症)
- 概日リズム睡眠障害
- ムズムズ脚症候群
- 夜尿症
子供も大人と同じように様々な睡眠障害があります。寝入りばなや夜間に体がムズムズするとか、日中の眠気が強すぎるなど、このような症状が1か月以上にわたって続くようでしたら要注意です。
「子供なんだから、まさかそんなことないでしょ。」と思われたなら、ご家庭の就寝時間を振り返ってみましょう。
夜10時に電気やテレビはついていませんか?音が耳障りではないですか?この時間なら乳幼児はスヤスヤ深い眠りについていなければいけない時間なんです。
また、夜中の1時、2時までテレビの音や大人の話し声が聞こえていると、親が気づかないだけで子供が何度も目が覚めているかもしれませんね。そう考えると子供の良好な睡眠時間の確保って結構難しかったりするかもしれません。
何度も起きているようで眠れない=「睡眠薬治療」というわけではありませんので、まずは専門の先生に見てもらうところからスタートしましょう。
「睡眠時無呼吸症候群」夜中に何度も呼吸が止まる
こちらの症状としては夜間睡眠中に何度も呼吸が止まります。
大人の病気のように思いがちですが、小児の2パーセントにこの症状が見られます。
改善策としては夜間十分な睡眠をとり、規則的な生活を心がけるのがいいようです。短時間の昼寝をうまく取り入れましょう。
治療では、眠気に対して中枢神経刺激薬が使用されることがあります。また、ちょっとポッチャリさんな場合はダイエットが必要になってきます。
「過眠症」いくらなんでも睡眠が長すぎる…もしかしたらと疑ってみて
過眠症とは夜眠っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ起きているのが困難になる状態です。症状が出ていても子供だからとピンと来ないかもしれませんが、大人も子供も症状に変わりはありません。
子供の過眠状態は不登校に直結する場合もあります。実に80%が睡眠障害が原因とされています。
現代で特徴的な過眠状態は概日リズム睡眠障害に分類される「睡眠相後退症候群」と呼ばれるもの(10時間睡眠)が多くを占め、時に「非24時間型」と呼ばれ、入眠時間が少しずつずれて遅くなるタイプ、あるいは、どの時間帯に眠っているのか特定できないバラバラで不規則な「不規則型」が見られます。不登校状態の80%にこのような睡眠リズム異常が認められ日常学校社会生活を不可能にします。不登校の主な原因となります。
ただの怠けやサボリではなく、睡眠に問題があるのなら生活の見直しや治療で良くなることを知っておきましょう。
過眠症状にも色々なタイプがあるようです。
- 「クライネ・レヴィン症候群」と呼ばれる反復性原発性過眠症
- 1日18~20時間も寝てしまう。
- 「ナルコレプシー」
オレキシンという物質が足りず急な睡眠発作が起きてどこででも崩れ落ちるように寝てしまう。
これらは稀なケースですが、寝ても寝ても眠いとか倦怠感や疲労感が見られるようでしたら専門医に見てもらったほうがいいでしょう。
「睡眠時遊行症(夢遊病)」寝ぼけ状態で歩き回るのでケガに注意!
寝床から起き上がり部屋の中を歩き回り、うつろな表情で話しかけてもあまり反応せず寝ぼけた状態です。
再び布団に戻って眠ってしまい、翌日聞いてみても内容について覚えていない症状です。
成長とともに収まることがほとんどです。無意識で歩き回りますので、つまずきそうな障害物は片付けて対策をしておきましょう。
「睡眠時驚愕症(夜驚症)」夜中に大声で叫ぶ症状が…
夜中に叫ぶので親御さんはびっくりするかもしれません。眼を見開き、怖がっている表情、多量の汗、荒い呼吸などを伴います。
遺伝の影響を受けているものもあるようですし、発達に伴う一過性のものや心理的ストレスによるものなどがあると考えられています。
なだめたり声をかけるとかえって興奮することが多いので、そっと見守ってあげてください。多くは思春期になると治ります。
夜驚症についてはこちらにも詳しく載っています。
「概日リズム睡眠障害」決まった時間に登園、通学が難しいです
入眠時間が少しずつずれてしまう、入眠覚醒時間がばらばらであるなどの睡眠リズムの問題を持つ睡眠障害で多くは不登校状態になります。
息子の同級生が幼児期からこの睡眠障害で、小学校に入ってから親御さんが遅刻が多いなどで困っていました。
家庭で出来ることは、まず体内時計をリセットすることです。
方法としては、通常の一日のリズムに合わせるために、朝たっぷり光を浴びるようにしましょう。休日でも同じ時刻に起床して光を浴びるのがコツです。
場合によっては、高照度光治療や低温サウナ療法や薬物治療などを用いることもありますので、症状が長期間に渡るようなら専門医に見てもらいましょう。
「ムズムズ脚症候群」じっとしていられず眠れない…
じっとした姿勢や横になったりしていると、足が「むずむずする」「じっとしていられない」「痒い」などの症状が現われます。
足がむずむずする経験をしたことがあるママパパもいるかもしれませんが、頻繁に子供が足の不快を訴えるようだったら、たまにある「むずむず」とは別物と考えたほうがいいと思われます。
入眠障害・熟睡障害や中途覚醒のような睡眠障害の元となり、放置していると日常生活に大きな影響を及ぼします。
治療には抗てんかん薬や抗パーキンソン病薬などが使われます。専門医の診察が必要です。
「夜尿症」5歳を過ぎても夜のおむつがやめられない…
5歳を過ぎても継続的におねしょをすることです。泌尿器科学的異常や精神的要因もありますが、睡眠異常が原因で夜尿症につながることもあります。
子供がいつ寝て、いつ起きているのかの睡眠表を一度つけてることをおすすめします。睡眠時間が長すぎたり眠りの質が悪いのかもしれません。
薬物治療もありますが、夜中のトイレトレーニングとして夜尿アラームを使う方法もあります。
大人の生活と一緒では問題です!子どもの睡眠環境を守る「眠育」を
朝昼夜関係ない24時間社会の弊害とも言える「子供の夜更かし」。仕事の関係などで生活上仕方ない場合もありますが、いかに健康的な睡眠を確保するかは子供だけでなく大人にも大切なことです。
厚生労働省が行っている21世紀出世児縦断調査では、2001年に出生した4万人以上の子どもの睡眠習慣について追跡調査を実施しています。
4歳6ヶ月時点での最も多い就寝時刻は21時台(50.1%)、次いで22時台(21.9%)であり、21時前に就寝する子供は5人に1人以下しかいませんでした。
これは親が残業等で帰宅が遅いことも影響しています。お母さんが働いている家庭ではお母さんの労働時間が長いほど22時以降に就床する子どもの割合が多いことがわかっています。
乳幼児期の睡眠は、小学校、中学校時期へと影響することがわかっています。今からでも遅くはありません。家庭での生活リズムを振り返ってみましょう。
まずは、子供が眠りやすい環境作りが大切!
まずは手軽に出来ることから習慣づけて生活リズムを作っていきましょう。子供が夜中にしょっちゅうぐずったり眠れなくて日中も機嫌が悪かったりするとママ、パパも疲れ果ててしまいますよね。
子供が眠りやすい環境を作ってみましょう。具体的にはどんなことをすればいいのでしょうか?
- 睡眠時間の多少に関わらず、毎朝同じ時間に起きる
- 朝、たっぷり太陽の光を浴びる
- 決まった時間に部屋を暗くして寝床に入る
- 眠る以外の目的で布団の中で過ごさない
- テレビなどの音量に気をつける
- 夜間のファミリーカラオケは避ける
- 睡眠表をつけてみる
この中で着目して欲しい睡眠表をつけてみる!という部分についてその詳細を説明します。
「睡眠表」をつけてみましょう!
乳幼児期の理想の就寝時刻は、だいたい夜9時頃です。平均の睡眠時間は0歳児で約12時間、6歳児になると10時間程度です。
お子さんは何時に寝て何時間くらい睡眠がとれていますか?
まず普段の睡眠時刻と、昼寝を含む1日の合計睡眠時間を知ることから始めましょう。
下記のサイトの睡眠表が分かりやすいのでご紹介します。
記入例に習って書き込んでいけば、2週間分の眠りの様子がわかります。原紙をとって活用されてみてはいかがでしょう。
子供の早起きをすすめる会
http://report.hayaoki.jp/report1.cfm
生活リズム教材「2週間の睡眠表」
http://report.hayaoki.jp/lism_hyo.pdf
2週間~1ヶ月継続して睡眠表をつけてみると、「眠りのクセ」が浮上がってくるかもしれませんね。
付け方としては、睡眠時間帯の記入はもちろん、ご飯の食べ方や量、そして昼間の子供のご機嫌具合、さらに就寝中のいびきや歯ぎしり、おねしょ、夜泣きなどといった気になった様子を書き留めておきましょう。
これで2週間を通してどんな眠りかが把握できます。
今からでも間に合う!健康的な眠りを目指しましょう
乳幼児も睡眠障害を発症することを知り、予防することが必要な時代となりました。
「子供たちの心身を育む睡眠を守る」国民運動のことを「眠育」と言うようです。
子供の自律神経機能を育て守るためにも「早寝早起き」はとても大切なことなんです。「睡眠教育=眠育」は、社会や学校教育はもちろんですが、家庭から考えていくことから始まります。
「早寝、早起き」のコツは、「早起き、早寝」なんです。まず、ちゃんと早く起きる。起きたら庭に出るとかベランダに立つとか、朝の光を浴びることです。これを1~2週間続けたら体内時計が朝型に整います。
でも土曜、日曜にゆっくり朝寝坊では、せっかく整った体内時計が台無しになりますので、辛いですが毎日習慣づくよう頑張らせましょう。
ただ漠然と眠るのではなく、「睡眠の量、質、時間帯」を意識し、子供の発達に大きく影響する睡眠を毎日「快眠」にしたいものです。
睡眠障害も、ひどくなると日常生活も困難になってくることがあります。生活の時間的乱れを見直し規則正しいリズムを取り戻しましょう。
おかしいなと思ったら、子供の睡眠専門機関もありますのでご相談くださいね。下記サイトでは、小児睡眠に関することだけでなく、それに伴う発達障害などについても対応しています。
【子どもの睡眠と発達医療センター】(兵庫県立リハビリテーション中央病院)
http://www.hwc.or.jp/hospital/syouni_suimin.html
規則正しい生活リズムの整え方についてはこちらを参考にしてみてください。
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