子供の夜驚症は発達障害の二次障害として併発する場合も!
自閉症やADHDなどの発達障害を抱える子供は、比較的睡眠障害になりやすいのですが、発達障害と夜驚症にも関係があるのでしょうか。
また、夜驚症を治療しなかったことが理由で、発達障害を引き起こすことはあるのでしょうか。
発達障害の二次障害として併発しやすい理由など発達障害との関係性についてみていきましょう。
発達障害の子供が睡眠障害を併発しやすい理由
発達障害を抱える子供は、「寝ない」または「寝すぎる」傾向があり、睡眠障害を併発しやすいです。
睡眠不足は脳の成長を妨げる
睡眠は休息のためだけではなく、子供の成長に必要不可欠です。睡眠不足は脳の成長を妨げてしまいます。
- ADHD(注意欠如多動性障害)に似た症状
- 言語の発達が遅れる
脳の中でも、脳の最高司令部である「前頭葉」と呼ばれる部分は他の部分に比べて成長が遅く、脳の中で一番最後に成長が終わります。
この前頭葉は、考える、コミュニケーションを取る、計画を立てる、感情を抑えるなどのような、他の動物とは違う、人間らしい大切な働きを担っています。
そのため子供の頃、睡眠不足が続くことによって前頭葉の成長が妨げられてしまうと、以下のような発達障害と似た症状が出てしまうことがあります。
- 人とコミュニケーションがとりにくい
- 自分の気持ちを抑えられない
- 計画的に物事を進められない
子供の睡眠不足についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
発達障害の子供が睡眠障害を併発しやすい理由
発達障害を抱える子供は、睡眠障害を併発しやすいことがわかっていますが、その理由にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
発達障害の子供は神経が過敏な傾向がある
発達障害の中でも自閉症の子供は、音や光に非常に敏感なため、睡眠の途中で目が覚めやすいと言われています。
またアスペルガーの子供は一つのことに熱中すると、寝食を忘れるほどの集中力を発揮することがあるため、眠らなくなってしまうことがあります。
ADHDには気持ちの切り替えが苦手という特性があるため、眠りから覚醒、覚醒から眠りという切り替えが難しいのではないかと考えられています。
発達障害の子供はセトロニンが不足しがち…
私たちの体は、脳の「松果体(しょうかたい)」と呼ばれる部分から、「メラトニン」というホルモンが分泌されます。
このメラトニンというホルモンは、別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、覚醒と睡眠の切り替えを行い、自然な眠りを誘う作用があります。
メラトニンの分泌が高まると、それによって深部体温が下がり、眠りやすい状態へと体が導かれていきます。そして朝目覚めると、ホルモンの分泌が止まる仕組みです。
さらに目覚めてから14~16時間後に再度分泌されるため、再び私たちは眠くなります。メラトニンはこのように睡眠についての体内時計を司っています。
このメラトニンはセロトニンと呼ばれる物質から生成されていますが、発達障害を抱える人は、このセロトニンが不足しがちだということがわかっています。
それが理由で夜間のメラトニンの分泌が減ると、睡眠の体内時計が乱れ、睡眠サイクルが乱れ、睡眠障害となってしまうのです。
発達障害の子供の感受性の豊かさが影響する可能性も
発達障害の中でもADHDを抱える子供は感受性が豊かで、繊細で傷つきやすいという傾向を持っています。
「ダメ」や「いけない」と言われると、自分そのものを全否定されているかのように感じてしまったり、嫌な記憶がなかなか消えずいつまでも悩んだりします。
そのため、ADHDの子供はそうではない子供よりもストレスや恐怖を感じやすいと言えます。
この感受性の豊かさが、夜驚症になりやすくなるという可能性も充分に考えられます。
睡眠は脳の成長にも大きく影響するので、発達障害の症状が出る場合も
発達障害を抱える人が睡眠障害を併発しやすいのは事実ですが、夜驚症から発達障害に発展したという報告はありません。
発達障害を抱える子供が、夜驚症を含む睡眠障害を併発しやすいというだけで、夜驚症が原因で発達障害になるということはありません。
しかし、これまで発達障害は先天的なものだと考えられていましたが、子供の頃の睡眠不足が体内時計を狂わせ、発達障害を発症する可能性があると指摘する専門家もいます。
あくまでまだ発達障害の原因ははっきりとは解明されていないため、睡眠不足による発達障害の可能性があると考える専門家もいる、ということに過ぎません。
しかし、ここ数年、発達障害と診断される子供が大幅に増えていることを考えると、遺伝だけによるものだとは考えにくく、環境要因の可能性が指摘されているのです。
夜驚症の治療をしなかったら発達障害になるの?
夜驚症は、未完成な脳が原因となっているため、成長に伴って脳が完成すれば自然に治まります。通常、12才くらいまでには見られなくなります。
夜驚症には通常、治療は必要ありません。
症状が10分以上続く場合や、睡眠中に何度も夜驚症が起こってしまい、本人や家族が睡眠不足になり日中に支障が出るというケースでもなければ、通常は経過観察となります。
夜驚症を治療しなかったからといって発達障害になるということは絶対にありません。
睡眠障害なのに発達障害と誤診される場合も…
集中力がない、じっと座っていられないなどのADHDによく似た症状が出ている子供を発達障害と誤診してしまうケースもあります。
睡眠不足が続くと、注意力が散漫になったり、思考力が落ちるのは普通のことです。
睡眠不足によって起こっているこれらの症状が、発達障害の中でもADHDの症状に非常に似ているため間違えられてしまうことがあります。
「もしかしてうちの子、発達障害かもしれない」と思ったら、まずは睡眠不足が続いていないかを振り返りましょう。
発達障害は、生活リズムを整えれば治るものではありませんし、生活リズムを整えていなかったことが原因で発症するものではありません。
子供の睡眠障害についてはこちらの記事も合わせて読んでみてください。
心配ならまずは受診してみて
子供に現れている発達障害のような症状が、睡眠不足の蓄積によるものか、発達障害なのかを見分けるのは専門知識がないと難しいです。
また専門家は、乱れてしまった睡眠サイクルを正常に戻す手助けもできます。
子供の脳や体の成長に必要不可欠な睡眠。ゆっくりと眠れるように、できることから取り組んであげてください。
子供の発達障害の診断についてはこちらの記事に詳しく載っています。
-
無記名さんさん
この記事の後半、発達障害は育て方のせいだと勘違いされるような気がします。
乳幼児期の睡眠不足が発達に影響を及ぼすことが発表されているようですが、生まれつき発達障害の子とは別枠ですよね。(前半の記事では似たような症状という表現ですね)一部の専門家の睡眠不足=発達障害という意見はまだ研究段階なのでは。発達障害児を持つ親が偏見をもたれるような記事はやめていただきたいです。
ここ数年で人数がふえたのは、研究が進み広く一般の方にも認知されたからだとも考えられないでしょうか。
MARCH(マーチ)では、妊娠や子育ての先輩たちが、ためになる情報を毎日配信しています!新米ママ&パパはぜひご覧ください♪
まだデータがありません。