定期の水疱瘡ワクチン!予防接種で重症化や帯状疱疹を防止
水疱瘡(みずぼうそう・水痘)は、子どもの頃に経験する代表的な感染症のひとつです。ブツブツが全身にできてかゆかったなど、かかった時のことを覚えているというパパ・ママも多いのではないでしょうか。
ひと昔前までは子どもの間で流行することが当たり前だった水疱瘡ですが、今後大きな変化が見られると考えられています。水疱瘡ワクチン予防接種は2014年10月から定期接種となったからです。
パパママ世代にはなじみの薄い水疱瘡ワクチンとはどんな予防接種なのでしょうか。接種時期や、なぜ定期接種になったのか、副作用・副反応についてなど、詳しく見てみましょう。
この記事の目次
水疱瘡ワクチン…1歳からの予防接種を効率よくスケジュール管理
水疱瘡ワクチン(水痘ワクチン)は、水ぼうそうを予防するためのワクチンです。2014年10月から定期接種になりました。水疱瘡は非常に感染力が強く、家族や集団の中であっという間に広がっていきます。
1歳のお誕生日から2回接種が基本!同時接種で無駄なくクリア
水疱瘡ワクチン(水痘ワクチン)は、1歳から接種できます。接種回数は2回で、2回目は1回目の3ヶ月後から接種できるようになります。また1歳から2歳の子どもは定期接種で受けることができます。
水痘(水ぼうそう)ワクチン | 詳細説明 |
---|---|
接種の種類 (定期/任意) |
定期 |
ワクチンの種類 | 生ワクチン(接種後は中27日、4週間後から他の接種が可能) |
同時接種について | 同時接種可(MRワクチン・おたふくかぜワクチン) |
接種推奨年齢 | 1歳~ |
接種回数 | 2回 |
接種間隔 | 1回目の3ヶ月後~2回目接種可能 |
定期接種は期間を過ぎると自己負担になります。長期療養などで接種が受けられなかった場合は、自治体に申告すれば期間を延長できるケースもあります。
1回の接種ではしっかり免疫がつきません。必ず2回きちんと受けるようにしましょう。
また3歳のお誕生日を過ぎると定期接種ではなくなってしまうので、忘れずに、3ヶ月の間隔をあけたらできるだけ早めに接種しましょう。
1歳のお誕生日には、他にも受けておきたい予防接種がいくつかあります。水疱瘡のワクチンはMRワクチン・おたふくかぜワクチンと同時接種が可能です。副反応・副作用や効果は、単独で受けた時と変わりません。
- MRワクチン(麻疹・風疹)【定期接種】
- おたふくかぜ(ムンプス)【任意接種】
MRワクチンは、最近流行が問題視されている麻疹(はしか)と風疹(三日ばしか)の予防接種です。麻疹は重症化することもあり、子どもが命を落とす可能性もある怖い病気なので、1歳のお誕生日を迎えたらすぐに接種した方がいいと推奨されています。
また、おたふくかぜも難聴の危険がありますので、任意接種ではありますが予防接種を受けておいた方が安心です。
さらにその後には、ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・四種混合ワクチンの追加4回目を受けなければなりません。また水疱瘡ワクチンの2回目もあります。
うっかりしているとどんどん後倒しになってしまいますので、同時接種をまぜながら打ち忘れにならないように注意してくださいね。
1歳前半の上手な予防接種スケジュールの組み方をご紹介します。
- 1歳の誕生日
- 水疱瘡ワクチン1回目・MRワクチン1回目・おたふくかぜワクチン1回目
- 1歳1ヶ月
- 小児用肺炎球菌4回目・ヒブ4回目・四種混合4回目
- 1歳3ヶ月
- 水疱瘡ワクチン2回目
水疱瘡ワクチン・MRワクチン・おたふくかぜワクチンはすべて生ワクチンです。予防接種ワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類に分けられます。
生ワクチンは接種後他のワクチンを接種するまで4週間(中27日)の間隔をあける必要があります。
不活化ワクチンを接種したあとは、他のワクチンを接種するまで1週間(中6日)間隔をあければ大丈夫です。
同じワクチンの2回目を接種するときは、ワクチンによって間隔が異なるので注意しましょう。
水疱瘡ワクチン・MRワクチン・おたふくかぜワクチンは生ワクチンなので次の接種まで4週間あける必要があります。
ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・四種混合ワクチンを先に接種した場合、こちらは不活化ワクチンなので、1週間後から次のワクチンを接種できます。
ここでは一般的な水疱瘡ワクチン・MRワクチンを先に接種する方法をご紹介しましたが、地域によっては病気の流行の度合いから、ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・四種混合ワクチンを先に勧められることもあります。
かかりつけ医に相談して、どちらの同時接種を先にした方がよいか決めてくださいね。1歳を機にもう一度今後の予防接種スケジュールを組み直してもらいましょう。
1歳からの予防接種ラッシュは、ママにとって忘れやすい困りものですよね。そこでこんなサービスをご紹介します。
スマートフォンでQRコードを読みこむと簡単に登録できます。1歳以降の予防接種をメールやハガキでお知らせしてくれますよ。うっかり忘れそう!というママにおすすめです。
ファイザー:予防接種リマインドサービス
http://www.haienkyukin.jp/remind/index.html
1歳くらいになるとママからもらった免疫も切れて、赤ちゃんもいろいろな病気を経験します。病気にかかると予防接種のスケジュールがどんどん遅れてしまうので、なるべく早めにワクチン接種を終えましょう。
水疱瘡ワクチンの予防接種の持ち物と、事前の体調チェック
水疱瘡ワクチンをはじめ、予防接種には何を用意していけばよいのでしょうか。まず忘れてはならないのが母子手帳です。母子手帳は生まれてから受けたすべての予防接種の記録が記載されています。
子どもが大きくなるまで記録し続けますので、失くさないようにしましょう。また母子手帳を忘れると接種が受けられないこともあります。予防接種の際は忘れずに準備してくださいね。
母子手帳をはじめ、予防接種で必要となるものを一覧表にまとめました。
- 母子手帳
- 健康保険証
- 印鑑
- 問診票(事前に貰っていた場合)
- 費用(おたふくかぜワクチンを一緒に受ける場合)
水疱瘡ワクチンとMRワクチンは定期接種なので費用はかかりません。しかしおたふくかぜワクチンを一緒に受ける場合は、任意接種なので費用がかかります。同時接種の場合は必ずおたふくかぜワクチンの費用を用意していきましょう。
予防接種を受ける前には、医師による診察があります。このとき発熱や別の病気にかかっていることがわかると、予防接種を受けることができません。健康状態をチェックして、元気なときに受けるようにしましょう。
水疱瘡ワクチンを受けることができないポイントです。
- 37.5度以上の発熱がある
- 急性の重い疾患にかかっている
- すでに水疱瘡にかかったことがある
- 半年以内にガンマグロブリン療法を受けたことがある
すでに水疱瘡にかかったことがある場合は、水疱瘡ワクチンを受ける必要がありません。水疱瘡にかかったかどうかわからない場合は、ワクチンを接種しても大丈夫です。
副反応・副作用の少ないワクチン!確実に2回受けて効果をアップ
水疱瘡ワクチンは、あまり副反応・副作用のないワクチンとされています。まれに発熱や発疹などが出る場合もありますが、自然と数日でおさまります。その他おかしいなと思ったら、医師に相談しましょう。
そして、2回の接種を必ず守って下さい。せっかくのワクチンの効果をしっかりと発揮してもらうためです。
すべての予防接種に言えることですが、ごくまれにアナフィラキシーショックを起こす場合もあります。そのため、接種後30分は必ずクリニック内で様子を見るようにしましょう。当日はおとなしく過ごし、接種した場所は清潔に保ちます。
2014年10月までに任意で水疱瘡ワクチンを接種していた場合
水疱瘡ワクチンは、つい最近定期接種になったばかりの予防接種なので、小さな子どもの中にはある程度任意接種を受けていた子も多いですよね。その場合、定期接種はどのように受ければ良いのでしょうか。
- 1歳の誕生日以降に、2回接種(3ヶ月間隔)を終えている場合
- 定期接種を受ける必要はありません。接種はきちんと完了しています。
- 1歳の誕生日以降に、1回の接種を終えている場合
- 3歳の誕生日の前日まで定期接種で残りの1回を受けることができます。1回目の接種から3ヶ月以上の間隔をあけて接種を受けましょう。
- 1歳の誕生日以降に2回接種を受けているが、3ヶ月の間隔をあけていない場合
- 2回接種を受けたけれど、1回目と2回目の間隔が3ヶ月以上開いていない場合は、2回でも1回の接種とみなされます。1回目の接種から3ヶ月以上の間隔をあけて、3歳の誕生日の前日までに2回目を受ければ定期接種となり、費用はかかりません。
いずれも3歳を過ぎると定期接種ではなくなってしまいます。そろそろ3歳という場合は、急いで母子手帳で過去の水疱瘡ワクチンの接種状況をチェックしてみましょう。
水疱瘡に感染したとき…主な症状と治療・登園停止・おうちケア
水疱瘡は水痘帯状疱疹ウイルスで発症する感染症です。かゆいブツブツが全身にできて、痕も残りやすいです。軽く済むと思われがちですが重症化する子どもも少なくありません。水疱瘡について詳しく見てみましょう。
知っておきたい水疱瘡の感染経路と症状、気をつけるべき重症化
水疱瘡ワクチンは定期接種になったばかりなので、パパママにとってもなじみが薄いですよね。パパママ世代は水疱瘡に感染して免疫をつけた年代なので、「水疱瘡ワクチンなんて本当に必要なの?」と感じるかもしれません。
日本では最近まで任意接種だったため、水疱瘡は常にどこかで流行しています。なんとこれまでは年間100万人もの人が感染していたそうです。しかし定期接種になったため、今後は減っていくと予想されます。
水疱瘡は生まれてすぐにかかることもあります。感染が増え始めるのは生後6ヶ月くらいからで、小学校入学くらいまでに多くの子どもが感染します。兄弟や保育園など、あっという間に広がります。
空気感染・接触感染・飛沫感染で広がり潜伏期は2、3週間です。ひとりが発症したときには、すでに他の子も感染していることが多いですね。まずは発熱があり、それから全身に赤い発疹が出ます。発疹は1日も経つと水ぶくれにかわります。
強いかゆみがあるので、小さな子どもにはつらい病気です。普通は1週間くらいで治るのですが、まれに重症化します。感染者数が多い日本では、4000人もの人が重症化し、なんと毎年20人前後が水疱瘡で命を落としているのです。
特に重症化が問題となるのは1歳未満の赤ちゃんと、7歳~10歳以上になってから感染した場合です。
大人でも重症化しますし、またアトピー性皮膚炎のように、肌に疾患を抱えていると重症化しやすくなります。重症化すると、脳炎や肺炎を起こすことがあります。また皮膚に疾患がある場合は、重い細菌感染症に発展することもあります。
「自分は軽く済んだから」とあなどってはいけない病気です。
水疱瘡ワクチンを接種しておけば、感染する確率がぐっと低くなるだけでなく、万一感染してしまったときも軽く済みます。
重症化すると怖い病気なので定期接種化となりました。しっかり受けて、感染・重症化を防ぎましょう。
水疱瘡にかかったら…保育園・幼稚園は許可が出るまでお休み
水疱瘡にかかってしまったら、すぐに病院へ行きましょう。水疱瘡は法定伝染病、学校感染症のひとつの第二種の感染症です。なので、感染した場合は医師の許可がおりるまで幼稚園・保育園を休まなければなりません。
早めに治療を開始するためにも情報は大切です。「保育園で流行している」「きょうだいや仲の良いお友だちが水疱瘡にかかった」など、お医者さんに伝えるようにしましょう。
水疱瘡に感染した場合も処方される薬
- 抗ウイルス薬
- 体の中でウイルスが増えることをおさえます。発症から48時間以内に服用すると軽く済むため、早めに診察を受けることが大切です。
- かゆみどめの外用薬
- フェノール亜鉛華軟膏(カチリ)という白い塗り薬が定番でしたが、最近はより良い抗ヒスタミン薬も登場しています。処方されたものを正しく使用し、安易に市販薬を使わないようにしましょう。
- 抗生物質
- 細菌感染による化膿をおさえます
登園許可は、すべての水ぶくれがかさぶたになるまでおりません。一般には発症から1週間ほどかかります。
発症した時、医師にどの程度になるまでお休みしなければならないか訊いておきましょう。
幼稚園・保育園によっては、学校感染症に感染した際、医師に登園許可書を書いてもらわなければ登園できないところもあります。流行が気になりはじめたら、園に問い合わせておきましょう。
水疱瘡のおうちケア!清潔に保ち、かきむしらないように注意
すべての水ぶくれがかさぶたになるまでは非常にかゆいのですが、かきむしってしまうと雑菌が入って化膿しやすくなります。
子どもの爪は短く切って、清潔を心がけましょう。
発熱している間は体力が落ちるので、入浴はやめましょう。熱がさがってきても、水ぶくれができているうちは湯船は避けます。
ぬるめのシャワーで皮膚を清潔にたもちましょう。あまり熱いシャワーを浴びるとかゆみが強くなるので注意しましょう。
湯船に入れるようになるのは、すべての水ぶくれがかさぶたになってからです。幼稚園・保育園に通っても良いという医師の診断がおりたら、「入浴しても大丈夫ですか」と訊いてみましょう。
家族への感染も懸念されるため、その点も医師にしっかりと確認をしておくことをおすすめします。
口の中に発疹ができていると、口内炎のように痛むので食欲が落ちます。無理に食べさせず、ゼリーやヨーグルト、卵豆腐のような口当たりの良いものを食べさせましょう。ただし、水分はしっかり補給してあげてくださいね。
おむつをしていると、その部分がなかなか治らないこともありますね。
水疱瘡の間は蒸れないようにこまめにおむつを替え、そのたびにカット綿にペットボトルの緑茶を含ませたものでおしりをおさえるように消毒し、乾かしてから新しいおむつを当ててあげましょう。
水疱瘡と帯状疱疹…水疱瘡ワクチンで両方予防できます!
近年、水疱瘡と帯状疱疹の関係が話題となりました。
帯状疱疹は体の片側に帯状の水ぶくれができ、強く痛む病気です。ストレスや疲れなどで体力・免疫力が落ちると現れます。
帯状疱疹の原因は、実は水疱瘡のウイルスなのです。
水疱瘡にかかって一度は完治したように見えても、実は体の中でウイルスは生き残り神経節というところでじっと息を潜めています。
疲れや病気、加齢などで免疫力が落ちると、神経節にひそんでいた水疱瘡ウイルスが活動しはじめ暴れ出します。皮膚症状が出るだけでなく特につらいのが痛みです。
我が家の子どもも帯状疱疹が出たことがあります。夏休みの終りに、休み明けにある試験勉強の追い込みで疲れとストレスがたまっていたときに、お腹から背中にかけてじんましんのようなブツブツが出ました。
じんましんなら数時間でおさまるものですが、全く治る様子がなく「痛痒い」と訴えてきました。翌朝急いで皮膚科に行くと、帯状疱疹と言われて驚きました。お医者さんによると「子どもにはよくあること。病気などのきっかけがなくても出ることはある」とのことでした。
また、水疱瘡にかかったことが無い人は帯状疱疹が出ている人から水疱瘡に感染することがあるとのことでした。
帯状疱疹は、抗ヘルペスウイルス薬という薬を内服して症状をおさえます。早めに治療を始めるほど軽く済むそうです。痛みを我慢せずおかしいなと思ったら早めに病院へ行きましょう。
子どもに帯状疱疹が出たと周囲の人に話すと、「私もなった」「自分も経験がある」という人がたくさんいました。それだけ珍しい病気ではないということですね。
水疱瘡ワクチンは、帯状疱疹予防にも効果があります。
水疱瘡に感染した後は、帯状疱疹などのリスクもあることを忘れないようにしましょう。
今後は高齢者に向けても接種が推奨されていくそうですよ。
定期接種をしっかり受けて、つらい水疱瘡&帯状疱疹を予防!
これまでは任意接種だった水疱瘡ワクチンですが、定期接種となり経済的な負担が軽くなりました。
水疱瘡は重症化することもある怖い病気ですし、帯状疱疹が出る可能性もあります。定期接種となった今は、つらい水疱瘡を未然に防ぐチャンスです。接種を受けていれば万がいち発症した場合も軽く済みます。
水疱瘡ワクチンは必ず2回接種を受けて、しっかり免疫をつけましょう。
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