特別支援学級の種類は7つ!就学に知りたい知的級・情緒級の違いなど

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2016/10/21

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障害があり、支援が必要なお子さんは特別支援学級又に在籍するという選択肢もあります。

お子さんの障害の度合いによっては、普通級を選択すべきか支援級を選択すべきか、就学前に悩むところだと思います。

文部科学省の定めにより、特別支援学級は7種類あります。

この記事では、それぞれの学級にどのような特色があるのか、また支援級を選択することでどのようなメリット・デメリットが考えられるかを解説していきます。

障害と自立の程度を目安に 特別支援学校と特別支援学級の違い

特別支援学級のことを説明する前に、特別支援学校についても触れておこうと思います。

特別支援学校は、一昔前まで養護学校という言い方でした。視覚障害の方が通う盲学校、聴覚障害の方が通う聾学校も「特別支援学校」の1つです。

特別支援学級は、健常の児童が通う小学校・中学校の中に存在する少人数制のクラスなのに対し、特別支援学校に健常児は在籍していません。

支援級か支援学校のどちらを選択するかで迷われた場合ですが、お子さんの自立の程度が目安になります。

  • 日常生活の中で医療行為が必要か
  • 福祉用具(車いすなど)が必要か
  • 移動、食事、排せつ、着替えなどの日常動作がどの程度一人でできるか

基準として、手帳が必須であると定められているわけではありません。しかし、自治体にもよりますが、障害の程度によっては入学ができないケースもあります。

特別支援学校にするか支援級にするべきか迷われたら、就学相談を活用してみてください。しかし、就学相談と言っても、どこに問い合わせて良いのかわかりませんよね。

就学相談を希望する場合は、地域の教育委員会に問い合わせしてみましょう!

簡単ではありますが、支援学級と支援学校の違いをまとめておきました。

項目 特別支援学校 特別支援学級
入学基準 視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由者・病弱者に分かれ、それぞれ基準がある。以下参照。

特に明確な基準があるわけではない。
人数 1クラス6名以下(平均3名) 1クラス8名以下(平均3名)
教育内容 子どもの自立を図ることを目的としている。
視覚障害者には点字、聴覚障害者には手話など、障害や個人に合わせた教育。教科書も通常の教科書に加え、障害者向けの教科書もある。個別の指導計画も作成される。
障害による学習上や生活上の困難を克服する為の教育である。
少人数の中で集団生活を学びつつ、通常学級との交流も通じて社会性を学ぶ機会もある。
通常学級と同じ教科書を使用しているところが多いが、学習の進め方は、障害や個々の特性に合わせている。
メリット 少人数制であり、個別の指導計画などを作成してもらえる。
障害児教育の専門性をもった先生がいる。
医療的ケアも受けられる。
進路の情報が入りやすい
少人数制である。
通常学級との交流もあり、社会性を学ぶ機会が多い。
デメリット 健常児・定型発達の子供との関わりが少ない 支援級を設置していない学校もある。
先生が障害についての知識を持っている人ばかりではない。

7種類の特別支援学級と通級という制度について

通常の学校内に設置されている支援学級ですが、支援学級も更に細かく分かれており、7種類あります。

  1. 弱視特別支援学級
  2. 難聴特別支援学級
  3. 肢体不自由特別支援学級
  4. 病弱・身体虚弱特別支援学級
  5. 言語障害特別支援学級
  6. 知的障害特別支援学級
  7. 自閉症・情緒障害特別支援学級

以上が特別支援学級の種類です。

この支援学級とは別に、普通学級に籍を置く子が利用する通級指導という制度もあります。

続いて、各支援学級と通級について詳しく見ていきましょう。

専用の教科書を使用することも!弱視特別支援学級

眼鏡等を使用して計る矯正視力でも、視力が出ない場合、通常の授業で使用する文字の大きさでは学習が困難なので、弱視特別支援学級を選ぶこともできます。

特に矯正視力が0.2以下であると、通常の授業では困難を来します。

しかし、「視力○○以下が支援学級に在籍しなくてはならない」というはっきりとした基準はありません。

矯正視力は1.0以上あるけれども、文字を使用することが困難な知的障害を併せ持つ児童が在籍していることもあります。

弱視特別支援学級では、普通文字に加えて点字を用いて学習することも可能です。使用する教科書も、一般の教科書・拡大教科書・点字教科書などがあります。

通常学級との交流の時間を設けている支援学級も多くあります。

コミュニケーション向上も図る!難聴特別支援学級

難聴特別支援学級には、日常生活における音やはなし言葉が聞こえにくい障害を持つ児童が在籍しています。

特に支援学級に在籍するにあたって、聴覚基準があるわけではありません。

通常学級の授業では聞き取りができず学習が困難だと思われる場合は、特別支援学級を選択することが可能です。

支援学級では、聴覚を活用したカリキュラムが組まれています。

発音を学んだり音の聞き分けなどを学び、通常の学習はもちろんですがコミュニケーション力の向上を図ることもできます。

通常学級との交流時間を設けているところも多くあります。

障害に合わせた運動を取り入れる!肢体不自由特別支援学級

事故や怪我、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどで肢体が不自由であり、通常級での学習や歩行が困難な児童は、肢体不自由特別支援級に在籍することも可能です。

支援級では、その子の障害に合わせ、運動をしたり筆記する際に必要な動きを学んだりします。

障害の程度に応じて、パソコンや情報機器を使用して授業をすることも可能です。

もちろん、通常級との交流もあります。

病院内に設置されていることも!病弱・身体虚弱特別支援学級

病弱で、入院を繰り返したり、継続的な通院が必要な児童は病弱・身体虚弱特別支援学級に在籍する選択もできます。

通常の小学校・中学校に設置されている支援学級だけでなく、病院内に設置されている支援学級もあり、入院中は病院内での支援学級を利用することも可能です。
病院にある支援学級「院内学級」

院内学級を利用する子は、退院後は在籍する小学校・中学校に戻って授業を受けます。ですから、院内学級はその児童が在籍している学校との連携も行います。

教育計画は、個人の状況に応じて作られます。

通常級との交流も重要!言語障害特別支援学級

言語障害特別支援学級には、話し言葉によるコミュニケーションがとりづらかったり、発音が不明瞭である児童が在籍しています。

個々に合わせた指導で、発音や会話を学びますが、本人が「楽しい」と思って学習することが大事ですので、楽しい雰囲気作りも重要になります。

遊びや話すこと(特に本人が興味を持っていることについての)を通じて「言語」を学んでいきます。

言語障害の子は、通常級の子たちとの交流によって会話する力やコミュニケーション力を向上させることがとても大事です。

気楽に交流を持てるよう、通常級の子たちが障害に対して理解すること、親や教師が連携を図ることが重要です。

支援級の中で最も在籍者数が多い!知的障害特別支援学級

理解力・判断力・記憶力などに遅れがあり、通常級で学習することが困難だと思われる児童は、知的障害特別支援学級を選択することも可能です。

少人数制のクラスで、生活習慣や日常生活において必要な言語や生活技能などを学んでいきます。

通常級との交流もあり、コミュニケーション力を身につける機会も多く設けられています。

特別支援学級の中では、最も在籍者数が多いのが知的障害特別支援学級で、支援学級利用者の約半数が知的障害特別支援学級に在籍しています。

その為、他の種類の特別支援学級と比較して、全国に設置されている数は圧倒的に多いのです。

コミュニケーションを学ぶ!自閉症・情緒障害特別支援学級

発達障害・自閉症スペクトラム・場面緘黙症などの障害をもつ児童は自閉症・情緒障害特別支援学級を選択することも可能です。

情緒障害とは
感情の起伏が激しい、情緒の表れ方が偏っている、感情の表現が激しいなどの症状が、本人の意志では抑制できない状態であり、コミュニケーションがとりづらい障害です。

特別支援学級では、通常級では学びにくい子が、楽しい雰囲気の中で対人関係の形成や日常生活においてのルールなどを学んでいきます。

当然、通常級との交流の場は多くあり、通常級に在籍する児童との交流は社会性を学ぶ上でとても重要な時間となります。

在籍するのは普通級!通級指導学級

これまで説明してきた特別支援学級は、通常の学校内にある少人数性のクラスです。

特別支援学級で学ぶ場合は、支援級に籍を置くこととなります。

それに対し、通級という制度は、普通学級に在籍しつつ、障害に応じて週に何回かその児童に適した授業を受けることを言います。

通っている学校に通級制度がない場合は、学区を超えて通級を設けている学校に、その時間だけ通うことも可能です。それを他校通級と言います。

通級時間中は、日頃在籍しているクラスの授業を受けずに通うこととなります。

在籍するのは、あくまでも普通級ですので、支援級に籍を置く子が通級制度を利用することはできません。

通級指導は、弱視・難聴・肢体不自由・病弱身体虚弱・言語障害・知的障害・情緒障害等の障害がある児童に加えて、学習障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の障害を持つ子も対象となります。

障害の程度としては、一概には言えませんが、支援学級に在籍している子よりも軽い子が利用しているようです。

自校に通級制度が無い場合、他校通級することとなりますが、就学前には通級クラスを見学することも可能(学校に相談すれば就学後の見学も可能)ですので、通級を選択肢に入れている方は是非見てみると良いでしょう。

子供の成長に合わせて選択!普通級にするか支援級にするか

就学前は、子供を普通級に在籍させるか支援級に在籍させるか悩むお母さん方が増えると思います。

お住まいの地域によっては、親の意志ではなく教育委員会が普通級・支援級かを決めるところもあるようです。その辺は、事前に教育委員会に問い合わせしておきましょう。

親の意見が多少通る地域の場合は、親御さんはかなり悩むと思われます。

発達障害のお子さんや特性は見られるけれどもグレーゾーンと言われる位置にいるお子さんの親御さんは、特に悩まれるでしょう。

普通級で揉ませて成長を見る方が良いのか、支援級で個々に合わせた指導を受けた方が良いのか…と。

選択肢としては3つあります。

  • 普通級
  • 支援学級
  • 普通級+通級

一体どの選択をすることが、子供にとってベストなのかと思いますよね。

ここで重要視しなくてはいけないのは、「子供にとって」ベストな選択ということです。親の立場や世間体を気にしてはいけません。

中には、支援学級や通級だと周りの目が気になる…という親御さんもいらっしゃいますが、実際学校で学ぶのは親ではなく子供です。

発達指数(DQやIQ)の数値で決めることもできますが、単純に指数が高いから普通級・指数が低いから支援級というわけでもありません。

発達指数が高くてもコミュニケーションがうまくとれなかったり、集団でのルールが把握できず、集団生活に馴染めず躓いてしまう子もいます。

子どもにとってベストな選択をしたいところではありますが、こればかりはその環境で過ごしてみないと分からないのです。

これは障害のある子だけではなく、健常児でも同じです。集団生活をしていく上では、多かれ少なかれ誰しも壁にぶつかります。

壁にぶつかることで、色々と学ぶこともできるのですが、障害を持っている子供の場合は、定型発達の子以上に打たれ弱く、一度壁にぶつかると立ち直るのに時間がかかるケースも多いので、親としてはなるべく子供に適した環境を選択したいと思いますよね。

お子さんのことを思って考えれば考えるほど、答えの出ない問題だと思いますので、悩んだ場合は第三者の意見も聞いてみましょう。

教育委員会はもちろんですが、療育センター・保健所・通っている幼稚園や保育園の担任の先生などの意見が参考になるでしょう。

普通級・支援級・通級それぞれのメリット・デメリット

地域にもよりますが、ほとんどの地域では、「入学時に普通級と決めたのだから卒業まで普通級にしなくてはいけない」ということはありません。

その逆で、「入学時に支援級を選択したから卒業まで支援級」ということもありません。

通級は全く考えていなかったけれど、やっぱり必要性を感じてきたから通級指導を受けてみたいと途中から選択することも可能です。

*地域の学校や教育委員会に、途中からの変更が可能かどうか確認してみましょう。

しかし、親としてはできる限り、お子さんにとって楽しいと思える環境で集団生活をスタートさせたいものですよね。

そこで、普通級・支援級・通級のメリット・デメリットをまとめてみましたので参考にしていただけると幸いです。

在籍クラス メリット デメリット 適しているタイプ
普通級 普通級で学び他の子供とコミュニケーションをとるので、集団生活を通して社会性が身に付く。 子どもの障害に特別な配慮なく、授業が進んでいく。 学力に問題がないタイプ。
身の回りのことが一人でできるタイプ(食事・着替えなどが自分でできる)。
IQ(又はDQ)が低くても、コミュニケーション能力がある子であれば普通級が適している場合もある。
支援級 少人数制で個々の障害や発達に応じた支援を受けられる。
通常級との交流時間もあるので、コミュニケーションをとる機会もある。
普通級とは別の時間割を設けているところが多く、主要教科の勉強は家庭でのフォローが必要になるケースが多い。 IQやDQの高低だけに限らず、コミュニケーションをとりづらい子は支援級が適していることもある。
身辺自立ができていない場合、支援級で個々に合わせた自立支援を受けた方が良いとされる。
普通級+通級 普通級に在籍しているので、他の子とコミュニケーションをとる機会が多い。
通級により、発達の凹凸に合わせた指導が受けられる。
通級の時間は、普通級の授業が受けられない。
他校通級の場合、移動は親が付きそうことが多い。
学力には問題がないが、情緒面で問題がありフォローが必要なタイプ。

普通級・支援級・通級どれもメリット・デメリットがあり、悩むところですが、家庭内だけの姿ではなく、幼稚園や保育園での様子も参考にして(先生から聞きましょう)決めていきましょう。

そして、できれば普通級・支援級・通級全てをお子さんと一緒に就学前に見学しておくと良いでしょう。

色々な方の意見を参考にすればするほど、悩んでしまいそうですが、意外とたった1度の見学で掴めるものは多いものです。

学校見学の前には、お子さんの障害についてまとめたものを持参し、教頭先生(できれば校長先生や支援級や通級を担任している先生とも)と面談すると良いでしょう。

就学前の見学は、1度限りと決められているわけではありません。納得するまで見学しましょう。

第三者に惑わされない!最終的な判断は親と本人の気持ち

お子さんの就学先を考え、この記事にたどりついたお母さんは、本当に今悩んでいるのだと思います。

お子さんの将来を真剣に考えれば考えるほど悩みますよね。

でも、「この選択をすれば100%大丈夫!」という選択肢はありません。それは誰にも分からないのです。

今の選択がお子さんの人生全てを決定してしまうものではありません。

悩んだら一呼吸置いて、一人で悩むのではなく、自分の親・園の先生・保健師さんなどの第三者の意見も取り入れてみましょう。

しかし、最終的な判断をするのはお子さん本人と親である自分です。

お子さんが自分の意志を伝えにくい場合は、パパとママが判断していかなくてはなりません。

「幼稚園の先生が言ったから」「保健師さんが言ったから…」と第三者の意見ばかりを頼りに決めてしまうと、いざ壁にぶつかったときに後悔してしまいます。

様々な意見を統括しつつ、ご自身の目でお子さんの成長を確認し、決めていきましょう。お子さんの一番近くにいる親御さんが決めた選択が一番正しいのです。

何度も言いますが、ここで選択したことがお子さんの一生を左右することではありません。

もし、選択した環境が合わないことがあれば、その時に転籍を選択することもできるのです。

親だからと言って全てを背負い込まず、現時点でのお子さんの成長を見て判断し、「また状況が変わればその時に考えよう!」という気持ちも大事です。

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