子供を冬の熱中症から守る対策!大切なのは予防と油断しない意識
熱中症と聞くと、夏に注意したい症状のように感じますよね。
もちろん、強い日照や高い気温で大人でも厳しい環境だと感じてしまう夏場には、特に小さな子供には細心の予防と注意をしてあげることが大切となってくるでしょう。
しかし、実は、冬にも熱中症にかかってしまうリスクはあるということをご存知ですか?しかも、それが家の中でも起こってしまうというのです!
いったいどういうことなのか、熱中症について今一度確認をして予防や対策を知り、大切な赤ちゃんや子供を冬の熱中症から守ってあげましょう!
この記事の目次
夏だけの症状じゃない!暑い環境で起こる健康障害が熱中症!
毎年夏前になると、ニュース等でも頻繁に聞くようになる「熱中症」という言葉。どんな症状で、どんな人がかかりやすいのかを、今一度確認してみましょう。
熱中症は、さまざまな高温多湿に起因する体の不調の総称
そもそも「熱中症」とはどういった症状を指すのでしょうか。以下、簡単にまとめます。
熱中症の分類 | 症状 | 特徴 |
---|---|---|
熱失神 | 暑さ等によって皮膚の血管が拡張し、血圧が低下。脳の血流が低下し、脈拍が速く弱くなる。 |
・めまいが起こる ・一時的に失神する ・顔が蒼白くなる |
熱けいれん | 大量の汗をかくなど体内の水分量とともに塩分(ナトリウム)量が減り、腕・足・腹部等にけいれんが起こる。 |
・筋肉痛が起こる ・手足がつったりしびれる ・けいれんが起こる |
熱疲労 | 大量に汗をかき、水分補給が追い付かず脱水症状になっている状態。 |
・吐き気や嘔吐が起こる ・頭痛が起こる ・意識がもうろうとし、判断力が鈍る |
熱射病 | 熱さ等で体温が上昇し、意識障害やショックを起こしかねない状態。 |
・体温が高くなる ・呼びかけに応じない ・ふらつきや意識障害が見られる |
熱中症は、上の諸症状よりわかるように、高温多湿な場所で起こりますね。
高温多湿な環境で体調が悪くなってしまうのは、そのような環境は私たち人間には適さない環境であり、適応できなくなった体が悲鳴を上げ症状として現れるからなのです。
この症状が見られたら要注意!熱中症の可能性が高い代表症状7つ
上の表では、熱中症を細かく分類した際に、それぞれ特徴的な症状があることをお伝えしました。
それぞれ少しずつ異なる症状や特徴ではありますが、一般的には、高温多湿の環境下や、激しい運動等汗をかきやすい環境下で以下の症状が見られた場合には、まず熱中症を疑いましょう。
- めまい・顔のほてりが見られる
- 筋肉に痛みやけいれんが生じる
- 吐き気や嘔吐が起こる
- 汗のかき方が異常である(拭いても汗が噴き出たり、逆にまったく汗をかかない等)
- 体温の急な上昇や皮膚のひどい赤みが見られる
- 真っ直ぐ歩けない・呼びかけに応じない等意識がおかしい
- 思うように水分補給ができない
以上を、熱中症の特徴として覚えておくと良いでしょう。
今回は冬の熱中症についてですので、そちらの原因や対処については後に記載します。
熱中症にかかりやすいのは高齢者、そして子供!
熱中症は、誰もがなる可能性のある症状です。日々厳しい訓練をしているスポーツ選手や消防士等体力のある成人男性の方々でも、もちろんなってしまうことだってあります。
しかし、やはりかかりやすい人、かかりにくい人がいるのも事実です。個人の体力等によって差はありますが、一般的にかかりやすいのは、次の方々ですね。
- 高齢者
- 赤ちゃん・子供
高齢者は、体力が低下していたり温度に対しての感度が鈍くなっている場合が多く、熱中症にかかりやすいと言われています。
高齢者と日々関わりの深い方や、近くに高齢者がおられる方は、注意をして見守ってあげたいですね。
そして、パパやママたちが最も注意をして注意をしてあげたいのが、もう一方の「赤ちゃん・子供」ですよね。
特に就学前の乳幼児は、よりいっそう罹患のリスクも高いため、私たち大人が見守ってあげることが必要となってきます。
乳幼児は熱中症にかかりやすい!周りの大人が気をつけたいポイント
前項目では、一般的な熱中症の症状についてお伝えしましたが、今度は赤ちゃんや小さな子供に焦点を絞り、熱中症について知っておきたいことをまとめていきます。
乳幼児の熱中症の罹患リスクが高い原因は!?
赤ちゃんや小さな子供が熱中症にかかりやすいのは、以下のような理由からです。
- 体が未発達…特に体温調節機能が未発達なため、体温の急上昇等が起こりやすいです。
- 新陳代謝が活発…大人より高い体内の水分量(割合)が必要な乳幼児ですが、尿や汗として出ていく水分量が多いため、脱水症状になりやすいです。
- 自分の意思でできないことが多い…「喉が乾いた」「暑いから服を脱ぎたい」等の意思がまだ持てなかったり、上手く伝えられないため、周りが異変に気づくころには重症化していることも多いです。
- やりたいことに夢中になりやすい…特に幼児では、暑さやのどの渇きを感じながらも、今やりたい外遊び等に夢中になるあまり、対策を取れずに症状が出てしまうことが多いです。
主にはこれらの理由から、乳幼児は熱中症にかかりやすいのです。
赤ちゃんだけでなく、ある程度はっきりと意思表示のできるようになった幼児期の子供にも、周りの大人はしっかりと目をかけてあげる必要がありますね。
高温多湿な環境下、乳幼児に見られると危険な症状!
目の前の乳幼児が熱中症の可能性が高いかは、以下のポイントをチェックすると良いでしょう。
- 口が乾燥している
- 呼吸が苦しそう
- 機嫌が悪く、あやしても普段と違う様子である
- おしっこが出ない、回数や量が少ない
- 体が異常に熱い
- 暑い環境なのに汗がでない
- 呼びかけに応じない、返答がいつもと違っておかしい(主に幼児)
不調を自己申告できない乳幼児は、誰が見ても明らかに様子がおかしくなってからでは大分症状が重症化していることも多く、危険です。
よく、夏場では、地面近くの温度が大人が感じる外気の温度よりも非常に高く、ベビーカーに乗っている赤ちゃんがぐったりとしてしまうという話を聞きますよね。
そんな際には、保冷グッズ等の熱中症対策グッズを用いたり、慎重に熱中症対策を気にかけているママも多いでしょう。幼児にも、首に巻くアイスタオル等で体温や発汗を調節してあげるよう心がけますよね。
次項から紹介する今回の本テーマ、「冬の熱中症」では、残念ながら現段階では夏のその対策ほどのおすすめ・便利グッズは出ていません。
冬に熱中症に注意をしたい理由は!?場所と原因・予防法を紹介!
熱中症は、高温多湿な環境で起こる症状でしたね。今回は、熱中症を冬にも注意をしたいというテーマなわけですが、「高温多湿」というキーワードから、思い当たる日々利用する場所は…ありませんか?
もちろん冬場は、激しい運動等や厚着のしすぎでもしない限り、外が夏レベルに暑くて倒れてしまう…ということは、普通に生活をしている以上ほぼ心配はいらないでしょう。
ということは、その環境は家の中にあるのです。そして、そこは赤ちゃんや小さな子供も毎日利用する場所なのです…。
お風呂で起こる熱中症!冷えた体に急な入浴で症状が現れる!
冬場に高温多湿であって、乳幼児が熱中症になりやすい危険度の高い場所は、実はお風呂なのです。
浴室熱中症は、主に以下のような理由で起こります。
- 寒い外で冷え切った体を急に温め、体内の血流に急な変化や以上をきたす
- 寒いからと長湯してしまい、のぼせる。乳幼児は自分の意思で入浴時間を調整できないため、気づいた時には脱水になってしまっていることも
ちなみに、乳幼児の場合は誰かが一緒に入浴をしているケースがほとんどですが、高齢者の場合、冬場はこのように温かいお風呂に入り体がびっくりしたり長湯や居眠りをしてしまうことから溺れてしまい、死亡してしまうという事故も多いようです。
冬場はどの世代も長湯をしがちです。5~6歳になり一人でや幼いきょうだい同士で子供を入浴させているご家庭では、冬場はいつも以上に頻回な見回りや声かけをしてあげてくださいね。
「あぁ、寒いからゆっくりつかっているんだな~」なんてのんきに構えていると、お子さんはお風呂で熱中症で苦しんでいたり溺れてしまっているかもしれません。
かくれ脱水に注意!冬でもしっかり水分補給をしよう!
乳幼児が冬場にお風呂で熱中症になりやすい理由で見落とされやすいのが、「かくれ脱水」と呼ばれる状態です。
「かくれ脱水」とは、気づかないうちにじわじわと脱水症状が進行してしまっている状態です。
夏場は、外が明らかに暑いですし、大量にかく汗等から、体が水分を必要としていることを私たちは自覚することができますね。
無意識的にも喉が乾きますし、意識的にも水分を摂ろうとしていると思います。もちろん、お子さんの水分補給にも敏感になってあげられているでしょう。
気づかぬうちに水分が奪われている「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」という状態に陥りやすいのが冬場の特徴です。
予防方法は、冬場も夏場同様にしっかりとした水分補給をすることです。理由とあわせて、しっかりと意識を持つよう心がけてみてくださいね。
- 冬場も気づかないうちに汗をかいている
- 季節がら乾燥によって体の水分も奪われやすくなる
- 脱水症状への危機意識が下がる(熱中症を夏の症状だと感じている人が多いことからもうかがえます)
- 喉が乾きにくいため、水分摂取量が下がる
- 気温が低く、尿量や回数が増え、水分が失われるぺーすが早い
- 水様便の赤ちゃんや、下痢気味の際は、特に体内の水分の損失が著しい
子供を気にかけてあげるとともに、私たち大人も注意していかなければならないのが冬の「かくれ脱水」ですね。
「暑くないから大丈夫」「部屋にいるから大丈夫」。まずは大人自身がこの考え方を変えていき、適度な水分補給を心がけましょう。
浴室熱中症を防ぐ方法は?体と環境への2つの配慮が大切!
浴室熱中症を防ぐ方法は、少し意識をすれば簡単です。以下の二つの観点から予防することができます。
- 乳幼児の体への配慮
- 安全な入浴環境づくり
1つずつ見ていきます。
- 1.乳幼児の体への配慮
- 熱中症は、健康な時よりも弱っている時、そして水分が不足している時にいっそうかかりやすくなりますよね。
そこで、冬場の浴室熱中症を防ぐためには、入浴に際してお子さんの体への配慮を十分におこなってあげるようにしましょう。
- 病気(体調不良)の時は変化にも弱い時。入浴を控えたり、短めにする
- 本人が欲しがらなくとも、入浴前後の水分補給をしっかりとさせる
- 大泣きをしている際等は水分がより出ていきやすいため、早めに切り上げる
- 気持ち良くとも長湯を避ける(個人差や状況にもよりますが、幼児でも10分以下を目安にします)
- 肩までずっとつかりつづけるのではなく、遊びや洗体でメリハリのあるお風呂タイムを心がけてあげる
これらを心がけてあげましょう。また、体調と気分はリンクしやすいものです。楽しいお風呂タイムを提供してあげられるよう心がけたいですね。
- 2.安全な入浴環境づくり
- お子さん自身への配慮とともに大切なのが、お風呂という場所の安全な環境です。
- エアコン等を使い、バスタブ内と室内の急な温度変化を極力避ける(乳児の沐浴)
- お風呂の温度設定は40度程度までにし、上げすぎない
- 入浴前に浴槽のふたを開けておき、浴室全体をあたためておく
- 必ずかけ湯をしてから浴槽に入る等、家族でのルール作り・統一
どれも特別なアイテムや設備等を用意する必要もなく、今日から簡単に実践できますね!
念のためですが、高齢者が同居されている場合には、高齢者の浴室での事故や熱中症を防ぐためには他の方法が適している場合があります。家庭の状況に応じて取り入れてみてください。
冬の熱中症はここでも起こり得る!暖房器具を使う際は特に注意!
冬の熱中症は、お風呂で起こるケースがとても多いです。しかし、お風呂以外の場所が必ず安全というわけではありません。
他にもさまざまな場所でリスクはありますが、乳幼児が熱中症にかかりやすい場所をピックアップし、対処法を見ていきましょう。
短時間でも置いていくのは厳禁!車内での熱中症に注意!
お子さんと車で外出した際に、「短時間だから」「寝ているから」等とチャイルドシートにお子さんを残したままパパ・ママだけ外に出てしまったことはありませんか?
「寒いだろう」と暖房をつけたまま車から離れてしまうと、気づかないうちに車内の気温が上昇しお子さんが熱中症や脱水気味になってしまう可能性もあります。
こたつ・電気毛布・暖房機器でリスクも!温度・湿度はこまめにチェック!
また、家の中でも、赤ちゃんや小さな子供が眠る際に電気毛布等をかけたりこたつに入れたり、家の中でも激しい遊び方をしている際に電気カーペットや暖房器具で気温を上げすぎたりするのも危険です。
先にも述べたように、乳幼児は体温も高く新陳代謝も活発で、自分で温度調節や意思を伝えることができません。
暖房を使うのは、本当に寒い時だけ、20~22度くらいを目安にとどめ、あとは羽織もの等でお子さんの体温を調節してあげましょう。
セーター等一枚で温めすぎる衣類より、小さいうちは通気性の良い薄手のものを重ねるといった着方が体温調節のためには適しています。
電気カーペットや床暖房も、お子さんが座って大人しく遊んでいる際に使用する等、様子を見ながら使用すると良いでしょう。
また、湿度に関しては、乾燥や感染症予防のためには、冬場は室内の温度だけでなく湿度も50~60%をキープさせておきたいところです。
しかし、エアコンに加湿器に激しく遊ぶ子供…この状況は、子供の体内に熱がこもりやすく、怖い“高温多湿”の状況を作り出してしまいますよね。
もし熱中症になってしまったら!覚えておきたい対処法
季節を問わず、どんなに気をつけていても、お子さんに熱中症の症状が現れてしまうことがあるかもしれませんよね。
そんな時には、以下の方法を覚えておきましょう。
出現した症状 | 求められる対応 |
---|---|
・意識がない ・高熱が出ている ・嘔吐を繰り返す ・意識が朦朧としけいれんしている |
緊急性が高い症状です。救急車を呼びましょう。(※) |
・めまい・ふらつきが治まらない ・吐き気や嘔吐がある ・水分が取れない |
受診をしましょう。急を要する場合は救急外来を探し行きましょう。(※) |
・体が熱い・熱がある ・ふらつきや吐き気を訴えているが落ち着いている ・しんどそうではあるが比較的機嫌が良い |
経口補水液やイオン飲料等塩分補給もできる飲料を少量ずつ与え、脱水症状に陥らないよう様子を見ていきましょう。状況によっては受診も視野に入れます。(※) |
※:いずれの場合も(最上段の症状の場合は救急車を待っている間に)以下の処置をおこないましょう。
- 屋内や日陰等、涼しい場所に運び寝かせる
- 衣服を緩める
- 嘔吐をした際吐物が喉に詰まらないよう、顔を横に向ける
- 首筋・わきの下・太ももの付け根等、太い血管の通っている部位を氷で冷やす
また、パパやママの自己判断で薬(解熱剤等)を飲ませたり、意識がもうろうとしているのに無理やり水を飲ませる等は絶対に避けましょう。
季節を問わず心がけたい熱中症対策
「かくれ脱水」という言葉や、そもそも「冬の熱中症」ということからもわかるように、熱中症は気づかないうちに起こってしまっていることも多いです。
赤ちゃんや小さなお子さんの大切な体と命を守れるのは、いつも傍で見守っているパパやママなのです。
熱中症の症状や予防法をしっかりと知り、我が子に異変が起こった際はすぐに応急処置や受診をすることが大切です。
熱いお風呂や暖房が恋しい時期ですが、リスクも踏まえて今一度家族で生活や使用法を見直してみてくださいね。