赤ちゃんが鼠経ヘルニアと診断された!手術や治療法

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2017/07/15

鼠経ヘルニアの手術をする赤ちゃん

先天的な要因で発症する鼠径ヘルニアは、小児外科でもっとも多い病気で、一般的に手術が必要になります。

手術自体が30分~長くても1時間ほどで終了します。赤ちゃんの月齢や状態にもよりますが、最近では日帰り手術が多くなってきています。入院するとしても2泊3日ぐらいです。

こんなに小さな体の赤ちゃんが全身麻酔をして、お腹を切って手術をすると考えるとママやパパも不安で仕方ないと思います。できれば代わってあげたい…そんな気持ちではないでしょうか?

今回は、悩んでいるママやパパの少しでも安心材料になるよう、鼠径ヘルニアと診断されたらどんな治療や手術をするのか、詳しくお話しします。

鼠径ヘルニアの治療で手術を勧める理由

鼠径ヘルニアはほとんどの場合、腸が足の付け根部分に飛び出している状態なので、これが元の位置に戻らないといけません。

ごくまれに自然治癒の可能性ありますが、確実に飛び出さないようにするには、手術しかありません。

赤ちゃんが手術をする事に抵抗があるパパやママも多いと思います。成長していく中でヘルニア部分が飛び出さなくなっても、永久的に完治したかは分かりません。

手術自体は30分で終りますし、小児外科でも最も症例が多い病気なので、専門の医師であれば安全です。

またいつ飛び出してくるか分からず、不安を感じるよりも、専門の医師にお願いして手術をすることをお勧めします。

▼赤ちゃんの鼠経ヘルニアの主な原因についてはコチラも参考にしてみて!

手術をする時期は?どんな手術をするの?

放置してしまうと、飛び出してきた腸が元に戻らなくなってしまう事があります。

このような状態を「嵌頓」と言います。腸が壊死してしまう可能性もあり、進行すると手術事体が難しくなります。

このような事態を避けるためにも自然治癒を待つのではなく、医師と相談して早い段階での手術をお勧めします。赤ちゃんの体もある程度大きくなり、8ヶ月以上になると日帰り手術も可能になります。

ヘルニアの袋の根元を糸で縛って塞ぐ手術をします。

現在、小児外科で行われている手術は、開腹手術と腹腔鏡手術です。どちらの方法で手術をするかは病院により異なります。それでは、それぞれの特徴をご紹介します。

以前から行われ主流となっている開腹手術

鼠径部をお腹のしわに沿って横に2~3cm程切開します。そして、そこから飛び出た腸などのヘルニアの袋を取り出し、根元の部分まで周囲の組織からきれいにはがしていきます。その後、ヘルニアの袋の根元の部分を糸で縛って塞ぎます。

お腹のしわにそって切開するので、傷口も目立ちにくく、再発が少ないと言われています。男の子の場合、精管を傷つけないように慎重に行わなければいけません。

最近行われるようになってきた腹腔鏡手術

最近は傷跡も小さく、痛みも少ない腹腔鏡手術を行うところが増えてきました。おへそのところに3㎜ほどの小さな穴をあけて、そこから腹腔鏡と機具を入れて、ヘルニアの袋の根元の部分を糸の付いた特殊な針でぐるりと周囲に糸をかけて縛ります。

おへそ部分の痛みはあるようですが、傷口は小さく痛みも少ないです。腹腔鏡では反対側も観察できるので、もし見つかれば同時に手術することも可能です。手術中に男の場合は精管を、女の子の場合は卵管を傷つけるリスクが少ないです。

気になる赤ちゃんの麻酔について

手術も気になりますが、赤ちゃんに麻酔をかける事に不安も大きいのではないでしょうか?

赤ちゃんの鼠径ヘルニアの手術はマスクによる全身麻酔で行います。麻酔は専門の麻酔科医が担当します。直接麻酔科医から説明を聞けますので、不安な事があればしっかりと質問してください。

マスクに香りを付けることが出来て、いちご等何種類か選ぶことができる病院もあります。

乳幼児の場合は、単に痛みを取るだけではなくて、不安や恐怖を与えないように全身麻酔が必要になります。

安全に麻酔ができるように、当日に咳や鼻が詰まっている場合は延期なる事がありますので、当日のお子さんの状態をきちんと伝えるようにしましょう。

手術を安全に行うために事前にすること

手術をする事が決まってから、それまでにお家でケアとして、ヘルニア部分が出てきたら、押し戻してあげて下さい。

この部分が戻らなくなってしまうと緊急に手術が必要になりますので、注意して赤ちゃんの様子をみてあげて下さい。

赤ちゃん時期は予防接種が多いですが、手術4週間前後は受ける事ができないので注意して下さい。

また、体調の変化に注意しましょう。体調が悪ければ、手術は延期になりますので、きちんと医師に相談しましょう。

主治医と麻酔科医から手術の説明があります。お子さんの普段の様子やアレルギーや持病についての確認があります。また、普段飲んでいるお薬があれば、お薬手帳を持参すると良いでしょう。

手術の1週間くらい前に事前の検査をします。内容は、身長・体重測定。体温測定。血液検査。レントゲン。心電図が一般的です。

手術前日の過ごし方についてですが、鼠径ヘルニアの手術は全身麻酔で行いますので、手術前日から食事の制限があります。

病院により異なりますが、手術の6時間~10時間前から食事の制限が始まるところが多いです。これ以外はいつも通りの生活をして大丈夫です。

日帰り手術日当日のスケジュール

  1. 入院手続き(日帰りでも入院になります。)
  2. 小児外科病棟の病室へ移動。自分のベッドがあるのでそこで過ごします。
  3. 看護師により検温・脈拍・SPO2の測定。浣腸。
  4. 病院の手術着に着替え。先生の診察。
  5. 眠り薬服用。
  6. 看護師さんがお迎え。手術前に点滴。
  7. 手術。
  8. 病室で様子をみる。
  9. 手術から2時間後水分補給。水分が問題なく飲めたら1時間後におやつ。
  10. 先生の診察。
  11. 問題がなければ退院。

手術日に気を付けておくこと

手術日に慌てないように気を付けておきたいことがあります。全身麻酔で手術を行いますので授乳や水分がいつまで飲めるのか、それに付き添いはどうするのか等は事前に確認しておいて下さい。

授乳や水分の制限に注意

手術時間の6~4時間前から授乳制限があります。この時間までに母乳やミルクを済ませておいて下さい。お茶やお水などの水分は手術時間の2時間前ぐらいからストップになる事が多いです。

病院により多少前後しますので、先生からの説明をしっかりと聞いておいて下さい。当日の手術前の診察で確認されます。

付き添いについて

NICUがある病院では、感染症予防の観点から、病棟に入れる年齢や人数を制限しているところが多いです。付き添いは1人だけだったり、16歳未満の子どもさんは入れない等病院により決まり事もあります。

手術をする赤ちゃんに兄弟がいる場合は、お世話してもらえる人を頼んでおく必要があります。

手術後に注意しておきたい事

赤ちゃんは自分で体調を伝える事が難しいので、大人が注意して様子を見ましょう。手術当日と翌日はシャワーもお風呂も中止です。翌々日からはシャワーは出来ます。入浴は1週間後からになります。

手術後なので免疫や体力が落ちているので、外遊びや人がたくさん集まる場所へのお出かけは控えて下さい。また、傷口が擦れてしまう可能性もあるので、遊具での遊びも控えた方が良いです。

手術後のこんな症状に気を付けて!

  • 発熱がある。
  • 何をしても泣き止まない。
  • 便秘をしている。
  • 食欲がなく、嘔吐する。
  • 傷口からの出血。
手術後1週間はこのような状態がないか見守って下さい。気になる事があれば、手術した病院に受診しましょう。

手術後の傷口はどうするの

手術の傷部分に細い傷口をふさぐテープを貼って、その上から防水テープで保護しています。消毒する必要はありませんので、そのまま触らないようにして下さい。

手術から1週間後ぐらいに受診をして傷口や状態をみてもらいます。問題なければその時にテープをはがしてもらいます。入浴も可能になります。

傷後が目立たなくなるのか心配なママも多いと思います。特に女の子の場合は気になりますよね?我が家は生後8ヶ月で鼠径ヘルニアの手術をして、今5歳ですがどこを切ったのか分かりません。しわに沿って切っているので本当にきれいになりました。

鼠径ヘルニアの治療費は?安心して!保険適応されます

子供が病院にかかる時の治療費は、都道府県が助成をしています。それに加えて、市町村が上乗せして助成を行っているところも多いので、自己負担は大人に比べるとかなり抑えられています。もちろん手術費も助成の対象になります。

この助成を「子ども医療助成制度」(自治体により名前は違います)と言って、全国すべての都道府県および市区町村で行われています。自治体によって内容は異なりますが、ほとんどの場合、通院費も入院費も15歳になる年度末までとしているところが多いです。中には22歳までが対象になっている地域もあるようです。

注意点として、適応される年齢が通院費と入院費でそれぞれ違ったり、全額負担してもらえる地域もあれば、一部自己負担があるところもあります。それに、所得制限の有無も異なりますので、お住まいの自治体に確認して下さい。

助成の方法も二種類あります。

  • 医療機関の窓口で健康保険証とこども医療証を提示してその場で助成を受ける方法。
  • 窓口で一旦全額払い後日領収書と申請書をお住まいの役所に提出して、返還される方法。
我が家の場合ですが、投薬料¥930+注射料¥460+手術料¥133540+麻酔料¥91500+入院料¥46810=¥273240

これがすべて保険適用分になります。日帰り入院だったので、食事代も無く特に個室でも無かったので、自費になる分はありませんでした。私の住んでいる地域は、「子ども医療助成制度」の助成で、保険適用される分は¥500の一部負担のみになるので、医療証の提出で窓口での支払いは¥500のみでした。

入院費も保険適用される部分は助成の対象になりますが、個室料金や食事代、差額ベッド代、病院での衣類の貸し出しについては除外になります。

高額医療制度との関係

とてもありがたい「こども医療助成制度」ですが、自治体によっては親の所得制限がある地域も多いです。この所得制限にかかってしまっても、「高額医療制度」が使えます。

同月(1日~末日)に支払った医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、その超えた額を国が支給してくれる制度です。

鼠径ヘルニア手術と子どもの治癒力

子どもの治癒力って本当にすごいです。年齢が小さいほうが痛みに強く、その日にハイハイで動き回っても平気なので、傷口が開かないかとこちらが心配になるぐらいです。

翌日も本当に昨日全身麻酔で手術をしたのかと思うくらいの回復力で、入浴や激しい運動以外は普段の生活にすぐに戻れます。

赤ちゃんや子どもの体の構造を熟知していて、手術経験も多い医師であれば、嵌頓ヘルニアのリスクの事を考えた場合、自然治癒を待つよりも手術をする方が安心できるという考え方もできます。

ただし、お子さんの状態にもよりますし、親御さんの考えもあると思います。しっかりと手術内容などを夫婦で理解し検討をしてみて下さいね。

▼赤ちゃんの鼠経ヘルニアの症状についてはコチラも参考にしてみて!

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