カンガルーケアの安全性は?知っておきたい効果とリスク
本や病院で「カンガルーケア」という言葉を初めて知って、「カンガルーケアって何?」と感じたママも多いのではないでしょうか?
カンガルーケアには、さまざまなメリットがありますが、リスクもあります。どの様なメリットがあってどのような危険性が潜んでいるのか気になりますよね。
また、注意すべきことはどのような事なのか?カンガルーケアを受ける前に知っておきたい事について紹介します。
この記事の目次
カンガルーケアーのはじまりは、保育器を補うため
もともとカンガルーケアは、1978年に南米のコロンビアの首都ボゴタで、保育器の代わりとして生まれました。
言わば保育器が不足している環境の中で、赤ちゃんの生存を維持するための知恵。
カンガルーケアは赤ちゃんを守るため、徐々に世界中に広がっていきました。
日本で広まった理由は、親子の絆を深めるため
逆に日本のような新生児の死亡率の低い国では、違う目的で行われるようになりました。
環境の整った国では低体重で生まれても、NICUなどの保育器内でしっかりと管理をして育てる事ができます。
しかし保育器内での管理では、物理的に親とスキンシップをとる時間が制限されてしまっていました。
今でもNICUではお母さんへの愛着形成や、保育器によるストレス緩和などの目的で行われ、赤ちゃんやママにとって精神的に大きな役割を果たしています。
日本で行われるカンガルーケアの種類は主に二つ
カンガルーケアは、赤ちゃんを裸の状態でママの胸の間で抱っこするケアのことです。
主に「NICUで行われる早産の赤ちゃんに行うケア」と「正期産の時、出生直後に行うケア」の2つに大別されます。
よく私たちが耳にするカンガルーケアは、正期産の赤ちゃんに対し産院やクリニックで行われるものです。
ここでは「バースカンガルーケア」と呼ばれるカンガルーケアについて紹介します。
全ての赤ちゃんが受けられるわけではない。
全ての赤ちゃんがカンガルーケアを受けられるわけではありません。「体調が落ち着いている。」という事が大前提です。
たとえ正期産の赤ちゃんへのカンガルーケアであっても、生まれた時の赤ちゃんの体調によっては、ケアを受けられないこともあります。
また病院によっては、カンガルーケア自体を禁止としている産院もあります。
カンガルーケアのやり方
カンガルーケアは生まれた直後に行われます。赤ちゃんが生まれたら、裸のままでママの胸の上に乗せます。
肌と肌が直接触れ合う状況にし、数分~数時間 医療スタッフに管理してもらいながら、触れ合いの時間を過ごします。
カンガルーケアの時間は、産院や状況によっても違うので、予め確認しておきましょう。
もしもゆっくりとカンガルーケアを行える場合は、赤ちゃんが初乳を求めておっぱいまで這い上がってきてくれる!という感動的な体験をする事ができるかもしれません。
カンガルーケアのメリットやリスク
カンガルーケアを行うと様々な効果が期待できます。しかしその一方で不安視される声もあります。医療従事者によって賛否両論あるのが現状です。
それは、メリットだけでなくリスクもあるからです。
カンガルーケアにはどのようなメリットやリスクがあるのでしょうか?ケアを受ける前に知っておきましょう。
ママや赤ちゃんに嬉しい、カンガルーケアのメリット
はじめて外に出てきた赤ちゃんは、環境の変化についていくのにやっとです。
そんな赤ちゃんをママの胸の上に乗せてあげると、とても安心して心拍数や呼吸が安定します。
特に赤ちゃんが起きている生後1~2時間の間に初乳を吸わせたり、乳首の感触・ママのぬくもりを感じさせることで、オキシトシンという母乳の分泌を促すホルモンを増加させることができます。
また、ママにとっても赤ちゃんへの愛情形成となり、絆を深める時間になります。
<メリット>
- 皮膚接触により、赤ちゃんの体温を維持
- 安心して、赤ちゃんの精神が安定する
- 呼吸や脈拍が安定
- 初乳を赤ちゃんが吸う事で母乳分泌を促す
- 母子の愛着・絆が深まる
- 体重増加を促進
カンガルーケアによる赤ちゃんへのリスク
バースカンガルーケアは、赤ちゃんをうつぶせ寝で行います。
うつぶせ寝に関しては、乳幼児突然死症候群の危険性があります。
特に口呼吸しかまだできない赤ちゃんが、自分の体重の3/1もの重さの頭でうつ伏せ状態になると、ママのおっぱいで口や鼻がふさがれ呼吸ができなくなる危険性があります。
実際に口の中に乳首が入ったままの状態で、赤ちゃんの異常が発見されることもあったようです。
また38度くらいの暖かいお腹の中で育ってきた赤ちゃんにとって、外の世界はとても涼しく、すぐに体は慣れる事ができません。
<リスク>
- きちんとした体温管理。温めないと危険
- ママのおっぱいで鼻がふさがれる事による窒息の危険
- 素人のママは、赤ちゃんの変化に気が付きにくい
- 着せ過ぎ・温め過ぎによるうつ熱の危険
事故にならないために…注意しておきたいこと
カンガルーケア中に赤ちゃんが亡くなってしまった事故が、過去に残念ながらありました。しかし死亡の原因がカンガルーケアそのものであったかどうかは、はっきりしていません。
厚生労働省がカンガルーケア中の突然死の原因は、「カンガルーケアが原因ではない。」という見解を出していますが、医師の中でも賛否両論あり「カンガルーケアによる事故死であったのでは?」と声をあげている先生もいます。
カンガルーケアは、正しい知識と管理の下で行わないと危険が生じる事があります。安全性が確保できるような環境でケアを行う事も、事故を防ぐためには大切です。
うつぶせ寝での窒息に注意
そもそも本来のカンガルーケアでは、赤ちゃんを24時間継続して、母親や父親の胸の間に立位で抱っこさせます。
しかしバースカンガルーケアにおいては、うつ伏せ寝状態で行います。
つまり、うつ伏せ状態で鼻や口がふさがれ、息ができない状態になる危険性があるという事です。
医療スタッフがすぐに異変に気が付ける環境であること
NICUでカンガルーケアを行う際には、モニターを装着し、医療スタッフが常にチェックをするというくらい、しっかりとした管理体制の中で行われます。
赤ちゃんの急変や異変は、素人のママでは気が付くことが難しいです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、自律神経機能が不安定で最も危険な時期ともいわれています。そんな時期に、素人のママに丸投げ!という状態ではとても危険です。
赤ちゃんの異変にすぐ気が付けるように、医療スタッフが母子を管理できる体制の病院かどうかも大切なポイントになります。
カンガルーケアについて先輩ママの声
カンガルーケアをやった方も、やらなかった方も「一度は興味を持って色々調べてみました。」という声は多くありました。
その結果ご自身なりの納得いく答えをそれぞれのママが出したようです。
カンガルーケアを行ったママの感想
カンガルーケアを行ったママの声の印象は、とにかく大絶賛ということです。生まれたその時にしか経験することができない、感動的で幸せな時間を過ごしたようです。
<経験したママたちの声>
- とにかくおススメです!かけがえのない時間でした。
- しばらく一緒にいれて良かった。
- 2時間やったけど、あっという間でした。とても幸せな時間でした。
- やってよかったです!さっきまでお腹にいた子が今ここにいる!何とも言えない感動がありました。
- かわいくて、かわいくて。離れられませんでした。
- 感動しました。最初は迷いましたが、近くにNICUのある総合病院があったので何かあったら対応してもらえる環境だった。という事がカンガルーケアを決断した決め手でした!
カンガルーケアをやらなかったママの声
やらなかったママの声の印象は、事故に対しての不安が大きいという事です。
私の調べた声の中では、カンガルーケアをしていないことに対して後悔しているママの様子は、ほとんど見られませんでした。
<やらなかったママたちの声>
- カンガルーケアについて気になって、とにかくいろいろ調べました。それで判断しました。
- ママにとっては良い思い出ですが、調べてみたら赤ちゃんにとっては死活問題な気がしたのでやめることにしました。
- お医者さんがカンガルーケア反対派。そもそも病院で禁止されていました。
- 事故が気になって、結局やるのをやめました。カンガルーケアはやってませんが、我が子はとっても可愛いですよ!
カンガルーケアを決断する前に、リスクも知っておこう
いかがでしたか?カンガルーケアには様々な意見や考え方があります。
生まれた赤ちゃんとの最初のふれあいは、ママにとっても赤ちゃんにとっても、メリットがあり貴重な時間です。
リスクを回避するためにも、出産を予定している病院へカンガルーケアをどのように行うのか、具体的に聞いておきましょう。
そして最終的にはママとパパで相談して決めるようにしましょう。
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