親子の会話を大事にしよう!幼児期から何でも親に話せる環境作り
子供の性格や考え方を形成していく過程において、幼少時代の親子の関係づくりはとても大切なことです。
親子の信頼関係を築くための方法は色々あります。子供との『会話』を通して子供を知り、心地よい関係をつくるための方法について考えます。
この記事の目次
子供にとってママの声や言葉は特別なもの!語りかけが作り出す信頼関係
子供は人生においてたくさんの人の声を聞き、コミュニケーションを取っていくようになります。
パパや周りの方の語りかけも大切ですが、ママの声や語りかけこそが生まれた時からその子にとって特別なものです。
ママの声は特別!語りかけは安心感への第一歩!
赤ちゃんや子供にとって、ママの声や語りかけは特別な効果を持っています。
アメリカやカナダの研究機関から、以下のような発表がされています。
- 子供は1秒足らずの短い発音でも、母親の声を認識する
- 生後24時間以内の赤ちゃんでも、看護師等他の女性と母親の声を聞きわけることができる
- 赤ちゃんが最も安心する音は、母親の声である
- 言葉の理解や発達だけでなく、感情の大部分も母親の声を聞くことで育つ
- 悩みを抱える10代の子供たちも、母親の声を電話で耳にするだけでストレスホルモンが減少する
また、アメリカの大学講師の精神科医による著書『胎児は見ている―最新医学が証した神秘の胎内生活』によると、赤ちゃんは、「生まれてからはもちろんのことママのお腹の中でもすでに、ママの感情を読み取ることができている」ということです。
育児において、ママが我が子を無条件に受け入れること・愛していると伝えることはとても大切なことです。『子供にとって最も安心する音であるママの声』をたくさん聞かせてあげましょう。
言葉による信頼関係づくりは、0歳時からもう始まっている!
ママが声をかけることが子供の安心感につながることがわかりますが、子供が育っていく過程で、声そのものや声のトーンに加え、とても大切になってくるコミュニケーションツールがあります。
もちろん、その言葉自体がどういった意味なのかは初めはわかりません。
りんごを見て「りんご」という言葉を覚えていくように、子供は物事と言葉を脳内でリンクさせながら少しずつ言葉を獲得していくのですね。
その過程で、形を持たない“感情を表す言葉”は、ママの表情や語り方を察知しながら吸収していくのです。
- 私が声を出したら、ママがにっこりとして「嬉しい」と言った→「嬉しい」はママが笑顔になる言葉
- 私が泣き止まなかったら、ママが暗い顔をして「つらい」と言った→「つらい」ってママが泣きそうになる言葉
子供の言葉によるコミュニケーション力を高めていくためには、ママは子供に語りかける際、適切で心地の良い言葉を選んで使用していかなければなりません。
信頼関係を育む会話の基礎づくり!丁寧な言葉選びと語りかけの重要性
これまで教育・保育関連に携わったことがありますが、その経験からも、『言葉』『会話』を基準に親子の良い信頼関係構築を考えた際には、特に以下の2つの点が大切だと考えます。
- 丁寧で適切な言葉を選び子供に教え、正しい言葉でのコミュニケーションを心がけること
- ママばかりが話すのではなく、拙い言葉でも子供の話に耳を傾けること
丁寧・適切な言葉選びと伝達が大切!常軌を逸すると不信感につながることも!
ママと子供2人の間では、オリジナルワードや間違った言葉遣いを多用しても、双方間で会話が成立すれば一見問題が無いように感じられます。
一例を挙げます。
- 「にゃーにゃー」「にゃにゃにゃー?」等、会話のほとんどをジェスチャーとネコ語で話し合っている
- 失敗をすると笑顔で必ず「バカだねー」から次の会話が始まる
- 喧嘩をすると「消えて!」等の言葉が必ず出てくる(ママはしつけのつもりで、「お片付けしないならママの前から消えて」等とよく言う
しかし、子供は保育園や幼稚園など家以外の社会へ出た際に、それが一切通用しないことに気づくでしょう。
こうした壁にぶつかった際、こんなことが起こる可能性も。
- 友だちができない、距離を置かれて孤独感を感じる
- からかわれたり注意を受けたことがトラウマとなる
- あまり話さないようになる、緘黙になる
- 「自分が喋るとみんなが嫌がるんだ」「自分は喋ってはいけないんだ」と自己肯定感が低下する
- 自分の発語・会話が問題だと気付いた時、これまで言葉を教えてくれたママへの不信感が一気に高まり信頼関係が崩れる
ママなりの愛情を持って語りかけ育ててきても、個性を超えて常軌を逸した関わり方を積み重ねていた場合には、後々問題が発生しやすくなります。
友だち関係で子供に悩みが出てくる頃になって、ママへの不信感も募り始めるという場合もあるのです。
「何でも話せる関係づくり」は正しいコミュニケーション力の育成から!
「何でも話せる親子関係をつくる」ためにまず大切なことは、『ママ自身の言葉や会話に対する見方』ではないでしょうか。
- ママ自身が丁寧で正しい言葉を見つめ直す
- 一般社会で通用する表現方法を教えてあげる
- 大人同士の会話の中でも、言葉選びや言葉遣いを大切にする
- 「言葉は大切」、「会話は楽しい」ということを伝えてあげる
- その上で、親子のオリジナルの言葉遊びやコミュニケーションを取り入れる
これらは、子供に言葉を教えていくうえで当たり前のことかもしれませんね。
会話のできない低年齢のお子さんに語りかけられる際には、心地良い語りかけを意識されてみてはいかがでしょうか。
自主的に話す子供に!ママは聞き役、言葉を引き出そう!
子供が何でもママに話してくれると、ママは子供の気持ちや子供を取り巻く状況について知ることができますよね。
会話を通して、子供の嬉しい気持ちに共感をしたり、成長を喜ぶこともできます。
いち早く子供の問題に気付いて対応できるのは、親子の信頼関係があるからこそのメリットでしょう。
ママと離れての社会生活の中でも「ママは見ていてくれる」「がんばろう」という安心感や意欲にもつながっていくのです!
子供の言葉が拙くわからない?やってしまいがちなNG習慣3つ!
子供がたくさんママと「話をしたい!」と思える環境は、とても良い環境です。しかし、ママ自身が忙しかったり、子供の言葉がまだ未熟であるがゆえに、こんな対応をしてしまっていませんか?
- なんでも先にママが言ってしまう
- 「Yes」、「No」で完結する質問が主となってしまっている
- 子供が話しかけても「ふーん」で終わったり「何て言っているかわからないよ」と話を切ってしまう
- 「あとでね」が口ぐせになってしまっている
子供の「話したい!」という意欲がそがれてしまいます。
1.わかっていても「知らないふり」が得!大げさにリアクションをしてあげて!
- 「ねぇママ、今日幼稚園でね…」→「縄跳び5回跳べたんでしょ?先生に聞いたよ」
- 「ただいま」→「早く靴を脱いで、手を洗いに行って!あ、袖が濡れないように気をつけてね!」
子供は、印象に残ったできごとや気持ちを自分で伝えたいし、「ママをびっくりさせたい」と思っています。
また、日課を「次は手を洗いに行くね」と一つひとつママとコミュニケーションを取りながら、できたタイミングで「すごいね!」とほめて欲しいと思っています。
ママは、見聞きしてわかっていることでも「へぇ!すごいねー!」と初耳を装って一緒に喜んであげたり、一見当たり前のことに対しても「わぁ!袖を捲れたんだね!いつからそんなにお兄ちゃんになったの!?」とリアクションをしてあげましょう。
2.子供に質問してみよう!オープンエンドの質問がおすすめ!
- 幼稚園楽しかった?
- お絵描き上手だね。ネズミを描いたの?
「質問」「返答」という会話の流れ自体は悪くはないのですが、子供の思っていることを引き出したい場合には、「Yes」か「No」で完結しない質問を選んでみてください。
上の質問の場合、子供からの答えは「うん」となり、それ以上会話が広がりません。また、子供の心の中に「No」という思いがあっても、ママの期待に応えようと「Yes」と言ってしまう可能性も…。
- 「幼稚園でどんな遊びをしたの?」→「へぇ、いろ鬼をしたんだね!どうだった?」→「楽しかったんだ、良かったね!」
- 「お絵描き上手だね。なんの動物さんかな?」→「リスさんなのね。リスさんが何をしているところかな?」→「なるほど!リスさんおいしそうにクルミを食べているね!」
「この公式は○○です。わかりましたか?」という質問を、「この公式はなんでしたか?」という質問に変えることで、児童生徒や社員のつまづきに気付くこと、そこから会話を発展させていくことが可能になるわけですね。
延々と続く質問は子供が飽きてしまいます。また漠然とした質問(「幼稚園どうだった?」等)は子供には難しい場合も。。
3.子供が話してくれたことに喜びを!わからなくても「嬉しい」を伝えて!
3歳くらいまでの子供はまだ言葉が拙く、親ですら我が子との言葉のやり取りに疲れを感じてしまうことも…。
ママ自身が忙しかったり疲れていると、子供との会話を「一早く終わらせたい」と願ってしまうこともありますよね。
しかし、一見よくわからず疲れる会話でも、小さな子供はママの目を見て一生懸命に話しています!
また、小さな子供といえども、感情を持つ人間であることは私たち大人と一緒です。むしろ、大好きなママから発せられる言葉によって受ける影響は、子供の方がよりセンシティブであることも多いでしょう。
ママが無関心、「理解できない」と突き放すことは、子供にとってとても辛いです。
(※:言葉の理解や発語能力は正常なのに、園や学校生活といった社会的な場面でうまく声を発せなくなる心因性の症状です。)
「なあに?」「○○ということ?」と熱心に聞いてあげたり、最終的にわからなくても笑顔で頷きながら「お話をしてくれてありがとう、ママ嬉しいよ」といった思いを伝えてあげるようにしたいですね。
4.「あとでね」自体はOK!大切なのはその後のフォロー!
忙しい時、集中したい時等、「ねえねえ」と話しかけてくる子供に「あとでね」と一旦会話を切ってしまったという経験は、ほとんどのママがお持ちでしょう。
赤ちゃんであれば、「今…?」と思うタイミングでおっぱい・抱っこなどの要求にママは応えざるを得ないですが、子供が2・3歳にもなると、「自己都合ばかりが優先されない」「ママにも用事や順序がある」と教えていく必要が出てくるでしょう。
しかし、「あとで」と言ったのに、その「あと」話を聞かない、子供の元へ行かない、というのはNGです!子供には「ママは約束を守ってくれなかった」という悲しみが残ります。
「今火を使っていて手が離せないから、お料理が終わったら教えてね」等、きちんと子供の話を聞くこととタイミングを約束し、その後のフォローも大切にすることで、「あとで」と言われた子供も安心してその時を待つことができます。
ただし、子供の顔色や様子を見て緊急性がありそうな場合には、大切な用事の手を止めてでも、耳を傾けてあげることも必要です。
我が子を思うゆえの落とし穴!過干渉のリスクと良い距離感を保つコツ!
幼少期から「我が子とたくさん関わろう」と心がけることは、とても大切なことですよね!
しかし、「子供のため」と思ってやっていることでも、行き過ぎると愛情が裏目に出てしまうこともあります。『過干渉』と呼ばれる状態です。
- ママが会話や生活内のさまざまなことへの主導権を握りすぎる
- 子供同士の喧嘩や遊びの範囲内での秘密ごと等において、すぐに口を挟んでしまう
- 子供の身の回りのことや友だち関係等をすべてを把握しておかないと落ち着かず、常に監視状態になっている
- 子供の先生や友だちを悪く言ったり、「○○ちゃんとは関わらないように」と指示をする
- 子供から自分の予定外の答え返ってくるとひどく怒ったり冷たくあたる
似た言葉に『過保護』がありますが、『過保護』と『過干渉』は異なるものです。
毒親は子供の感情を奪う!「何を考えているかわからない」に陥るリスク
『毒親』は俗語ですが、「子供に毒を盛るように悪い影響を与える親」というニュアンスで世間で知られている言葉ですね。
「子供のために」と先々口出しをしてしまうことが、子供の考える力や発言権を奪います。従順になると、「私がついていないとこの子は何もできないから…」と勘違いの過干渉がエスカレート…。
感情が高ぶって泣き止まない子供に「もう泣かないの!泣いている子は置いていくよ!」と言い放つことで、子供は「泣くこと=ママを困らせる、悪いこと」と認識します。
しかし、実際には「自分の気持ちを表現するのを許されない子供」であり、「機会を奪われ続けると感情表現や思いを伝えることにハンディキャップを持つ子供」になってしまう可能性もあります。
小さいうちは「聞き分けの良い大人しい子」となりますが、「何を考えているか分からない子」となります。伝え合う機会の不足が親子の信頼関係を崩す結果となってしまっては悲しいですよね。
幼児期の経験は子供のその後を左右しますが、幼児期にはできないこと・うまくいかないことの方が圧倒的に多いのも事実です。「言葉での気持ちの表現や整理」はその代表例の一つです。
「どうして泣いているの?いったん落ち着こう、そしてお話をしてごらん」といった具合に、「先々結果を求めるのではなく、うまくいかない子供に寄り添う」という心がけを大切にしてみてくださいね。
▼親の過保護・過干渉についてはコチラも参考にしてみて!
口喧嘩や意見のぶつけ合いも勉強!親子の絆を深めるきっかけに!
子供から発言の機会を奪うことは問題ですが、子供の言いたいことややりたいことをすべて尊重すると、また別の問題が起きるのも事実です。
では、子供の言い分を聞いた上で、より良い方向へ向かっていくための方法とは何なのでしょうか。
お互いの考えていることや思いが違う場合には、毎回どちらかが無理に合わせるのではなく、意見をぶつけ合って解決策を考えていくことも大切です。
- 親子と言えども、相手のことはすべてはわからないし、考えていることも違う。他人だとなおさら
- いろいろな考え方や表現方法がある
- 言葉選びや話し口調で「良い気持ち」にも「嫌な気持ち」にもなる
- 謝罪の気持ち、感謝の気持ち等は思っているだけでは伝わらない時もあり、言葉にすることが大切
- どちらかが一方的に話すだけでなく双方が意見をぶつけ合うことで、新しい気づきや解決につながることもある
- 話の腰を折ると誤解をしたままこじれてしまうこともあるため、人の話を最後まできちんと聞くことは大切
- 言い合いが平行線で着地しない場合には、少し時間を置いたり妥協点を見つけることも大切
- 会話を通して、よりお互いのことを知れたり信頼関係が深まる
意見のぶつけ合いを繰り返すことで、子供はこのようなことを自然と学びます。
初めての口喧嘩が幼稚園のお友だち相手等になってしまうと、圧倒されて泣くだけで終わってしまったり、言葉選びや戦い方を間違えて大きな問題になってしまう可能性もあります。
口喧嘩は初めにも述べた『適切な言葉選びの大切さ』を体感しながら学べる場面ですが、他者とこじれてしまうと子供が孤立感や不安感を感じたり、勝手に「○○くんは悪い子」とレッテルを貼られてしまうような時代です。
また、「ママの気持ちに反する思いを伝えても受け止めてもらえた」という事実は子供の自己肯定感にもつながり、より親子の信頼関係を高めることにもなるでしょう!
長い目でなんでも話せる親子を目指して!
ママは子供よりたくさんの言葉や会話術を知っているし、酸いも甘いもたくさんのコミュニケーションや社会経験をしています。
しかし、たくさんの経験をし常に考え続ける大人でさえも、人間関係・信頼関係の構築に悩みはつきものですよね。
そんな子供の困りごとや悩みごとを、受け止めたり力を貸してあげられるのが、社会経験豊かな大人であり、子供にとって一番身近で特別なママですよね。
心身に不調をきたしてしまうような深刻な悩みが出てくるのは、子供が大きくなってからのケースが多いです。
しかし、その時が来ても子供にとってママが「信頼できる一番の相手」であるためには、幼少期からの関わり方が本当に重要です。
「今」はもちろん「これから長い目で見た時」に、ママに何でも相談しやすい環境が整っているということは、子供にとってこの上ない心の拠りどころとなるでしょう。
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