夏休みの宿題…読書感想文の書き方は?小学生の子どもへのアドバイス方法
小学校で定番の宿題となっている「読書感想文」。何から書けばいいのかわからない、と手が止まり、書けないからズルズルと後回しに…。よく見かける光景ですね。
パパやママも手伝ってあげたいとは思いつつも、漢字や計算と違ってアドバイスしづらいのが読書感想文の厄介なところでもあります。子どもたちがスラスラ作文を書けるようになったら、こんなに嬉しいことはないですよね!
実は作文が苦手なお子さんでも、パパやママがアプローチのコツを押さえて接していくことで作文への抵抗感を減らしていくことができるのです。
そこで今回は、現役の国語科講師として約10年教えてきたノウハウをもとに「読書感想文がスラスラ書けるアプローチ方法」をお伝えしていきます!将来長きに渡って必要とされる、文章を書く力。小学生のうちからトレーニングさせておきたいですよね。
それでは、「読書感想文に困らず、作文が好きになっていく我が子の姿」をワクワクしながら思い浮かべ、一緒にひとつひとつのポイントを見ていきましょう!
この記事の目次
その指摘は逆効果!作文嫌いになってしまうNGワード5つ
さて、読書感想文の書き方をお伝えするその前に、パパママからお子さんへ「絶対に言ってはいけないフレーズ」というものがあります。
今お子さんは、作文が大好きですか?よっぽどのことがなければ、少なからず作文に苦手意識を持っている子どもたちは非常に多いものなのです。
もともとそんなに好きではない作文。それを少しでも改善して読書感想文を書き上げさせるわけですから、子どもたちの「モチベーションコントロール」はとても大切。
ちょっと意識するだけで、子どもたちのやる気は180°変わってきますよ!NGワードは以下の5つ!
- なんでそんなに書けないの?
- 〇〇ちゃんは上手に書けていたよ
- ここが違う、ここも違う、間違いだらけだから直しなさい
- 字が汚い!
- この表現よりも、こっちの表現を使いなさい
上でご紹介した言葉の数々は、まさに子どもたちのやる気をダウンさせてしまう魔のワード。「もっと上手になってほしい」という思いが先立って、ついつい口にしてしまいそうな言葉たちですが、一体何がまずいのでしょう?
なんでそんなに書けないの?
パパママがヤキモキしてしまうのももっともですが、ここはぐっとこらえて。思うように書けなくて1番困っているのは子どもたち自身なのですから。
〇〇ちゃんは上手に書けていたよ
誰かと比べられることを嫌がる子どもは非常に多いもの。兄弟で比べてしまうのもNGです。よっぽど負けん気が強い子でないと、自尊心を傷つけてしまいます。
ここが違う、ここも違う、間違いだらけだから直しなさい
「もー!じゃあやらない!!」という子どもたちの心の叫びが聞こえてきそうです(笑) もちろんパパママが良かれと思ってアドバイスしてくれている気持ちは分かります。間違っているところって、なぜかすぐに目に付くんですよね。
字が汚い!
特に男の子のパパママは、字の汚さに悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?何度言ってもなかなか改善されないことが多く、言う方も疲れてしまいますよね。
とは言うものの、「字が汚い!」と言い続けることは、字を改善させるのにそこまで有効な手段とは言えません。本当に効果のあるフレーズは、次でご紹介します!
次は、子どもがイキイキと作文に前向きに取り組めるようになる「魔法のワード」をお伝えします!
子どもがもっと書きたくなる!作文を好きにさせる魔法のコトバ5つ
- この作文、ママ(パパ)好きだなあ!
- 〇〇の作文上手だから、おばあちゃんにも見せてあげようよ!
- どうしてこのシーンが面白いと思ったの?
- 字が丁寧だね!この表現がユニークでいいね!
- 他にはどんな表現があるかな?
いかがでしょうか?共通しているのは「否定せず、プラスの言葉がけ」であることです。ひとつひとつの言葉の効果も見ていきましょう。
この作文、ママ(パパ)好きだなあ!
子どもたちが褒められて1番嬉しいのは、誰よりもパパママです。そんなパパとママに自分の作文を「好き」と言ってもらえる喜びと安心感は計り知れません。
認めてもらえたという嬉しさは、「もっと書きたい!」という意欲に結びつくこと間違いなしです。
〇〇の作文上手だから、おばあちゃんにも見せてあげようよ!
色々な人から褒めてもらう機会を作ることは、子どもたちに「ぼくって、もしかして作文得意なのかも…」という良い意味での暗示をかけてあげることに繋がります。
ここで重要なのは「実際に作文が上手かどうかはあまり気にしない」こと。心理学のラベリング効果をご存知でしょうか?
つまり、子どもたちに対して「あなたは作文が上手」というレッテルを貼ってあげれば、子どもたちは無意識に作文が上手になるような行動を取れるようになるということです!
どうしてこのシーンが面白いと思ったの?
こちらのフレーズは子どもたちの考えを引き出してあげるのに非常に便利なフレーズです。
作文が苦手な子ほど「書くことがない」というセリフを口にしがちですが、実は書くことがないのではなく「自分の中の考えに気付けていないだけ」という場合がほとんどです。
そのため、保護者の側から子どもたちの考えを引き出すことが重要です。そのためには具体的な質問を投げかけてあげることがポイントです!下の会話例を参考にしてみてください。
子ども「うん、まあまあ面白かったよ。」
ママ「そっか!どのシーンが面白かった?」
子ども「うーん、主人公が魔法を使って敵をやっつけるとこ。」
ママ「へ~!面白そうだね!どうしてその部分が面白かったの?」
子ども「魔法がすごかったから。」
ママ「どんな魔法なの?」
子ども「えーと、集めたクリスタルの力を使って魔法をパワーアップさせたり、仲間と協力して呪文を唱えたり…。」
いかがでしょうか?ここまで聞くか!というくらい具体的ですよね。でも、質問を繰り返してあげることで、子どもたち自身が気付かなかった「自分の考え」に気付かせてあげることができるんです。
コツはパパママ自身が興味を持って楽しく話を聞いてあげること。追求するように質問してしまうと子どもたちは指摘されるのが嫌で話さなくなることがあるので、注意が必要です。
字が丁寧だね!この表現がユニークでいいね!
こちらも先ほどご紹介したラベリング効果を上手く使ったフレーズです。とにかく作文を得意にさせたければ、良いところを見つけて褒めてあげること。
大人も子どもも褒められれば悪い気はしません。パパママの「理想」には届いていなかったとしても、普段より少しでも丁寧に書けていればすかさず「字が丁寧でいいね!」とポジティブな言葉を掛けてあげましょう!
他にはどんな表現があるかな?
こちらは間違いを指摘せずに、子どもたちが自分で良い方法を思いつけるように促すときに効果的な言葉です。
こちらも会話例を参考にしていきながら見ていきましょう。
子ども「うん!」
ママ「面白かったっていう表現もとてもいいけど、他にも違った表現思いつけたらすごいなぁ!何か知ってる?」
子ども「え~、分からない。」
ママ「そっか~、例えば同じ面白いでも、ドキドキ・ハラハラ・興奮した・思わず笑ってしまった…なんていう表現があるかなぁと思ったんだけど、〇〇ちゃんの気持ちはどれに近かった?」
子ども「ハラハラ!」
ママ「ハラハラしたんだね!そうやって聞くと〇〇ちゃんの気持ちがさらに良く伝わってくるね!」
このように、上手く子どもに決定権を持たせてあげながら会話を進めていくとモチベーションを保ってあげることができますよ!
1人では別の表現を思いつかない場合には、上の会話例のようにママやパパがいくつか選択肢を出して「選ばせる」と語彙力を高めさせることができます。
5ステップで書きやすい!読書感想文を書くまでの準備
さて続いては、読書感想文を書く前の大切な準備運動についてお伝えしていきます!
いきなり原稿用紙を目の前にして「さあ、書こう!」と思ってもなかなか手が動かなかったり途中で「もう書くことがない…。」ということになってしまいがち。
書きたいことが山ほどある!という状態でお子さんが書き始められるよう、5つの事前準備をしておきましょう!
1.ここからが勝負!本選びは興味のある本を
興味ない本を選んでしまうと、読むこと自体が苦痛になってしまいます。自由に選んでよい、というタイプの宿題であれば本人に好きな本を選ばせてあげます。
課題図書が決まっている場合には、パパママからお子さんにその作品の魅力を事前に伝えるなどして興味関心を高めてあげましょう。
2.読みながら準備!ふせんを貼りながら読ませる
本を読み終わってから作文に手を付けるまでに数日経ってしまうと、「あれ…。内容がうろ覚え…。」ということにもなりかねません。
本を読み終わっていざ読書感想文を書こうとしたとき、すぐに印象に残った場面を探し出せると楽ですよね。
ふせんを用意して、気になったところにはペタペタ貼りながら読み進めさせることをおすすめします。ふせんは以下のような場面に貼っておくとGood!
- 感動した場面
- ドキドキ、ハラハラ、興奮した場面
- 好きな登場人物が活躍した場面
- 自分の予想を裏切るような驚きの場面
- 怖い、悲しい、面白いなど感情が揺れ動いたシーン
3.まずはお話!話せたことは書くことができる
国語科の講師である筆者がよく感じることのひとつに、「話せたことは書くことができる」というものがあります。子どもたちは基本的に、会話で言葉にできたものは作文でも書くことができます。
裏を返せば、「話せないことは書けない」ということ。いきなり原稿用紙に書かせるのではなく、書くための要素を親子のコミュニケーションの中で引き出してあげましょう!
基本は質問を繰り返してあげます。
- なぜその本を選んだか
- 自分の感情が揺れ動いたシーン
- 自分が感情移入したキャラクターと自分だったらどうするか
- 本を読む前と読んだ後の変化
上のようなテーマについて、どんどんお子さんの感じたことを聞いてあげてください。パパママも同じ本を読んでおいて、お互いに意見や感想を交換し合うことも効果的です。
言葉にできたものは、忘れないようにメモしておくといいですね。次のステップ4にも繋がります。
4.雑でOK!気付いたことや思ったところを箇条書き
イメージとしてはステップ3で言葉にできたものを紙に書き出させいく、といったところでしょうか。
- なぜその本を選んだか
- 自分の感情が揺れ動いたシーン
- 自分が感情移入したキャラクターと自分だったらどうするか
- 本を読む前と読んだ後の変化
先ほど会話で引き出したこれらの内容を、雑で構いませんのでどんどん書き出させていきます。
→表紙がきれいで興味を持った。家ではネコを飼っているが、この本もネコがテーマになっている物語だったから。
5.後出し厳禁!作文ルールは絞って先出し
今度は作文を書く上で見逃せない、作文ルールについてのアドバイスです。我が子の間違いの多さに頭を抱えているパパママも多いのではないでしょうか。
ここで1番難しいのが、間違いを指摘すればするほど子どもたちのモチベーションはダウンしてしまうという点。やる気は維持したまま間違いを減らすには、一体どうしたら良いのでしょうか。
また、ルールが多すぎるのも要注意。最大でも5つに絞って約束しましょう。
- 書ける場合は漢字を使う
- 「。」「、」は行の始めに書かない
- 段落の最初は1マス空ける
- 文末は「です、ます」か「だ、である」のどちらかに統一
- 数字は算用数字(1,2,3)ではなく、漢数字(一、二、三)を使う
もちろん他にも作文のルールは山ほどありますが、小学校低学年~中学年であれば、上の5つが守れていれば十分です。お子さんのレベルをよく見極めて、「これなら自分にも守れそう」というルールを設定してあげましょう。
あとは書くというステップだけ!内容のまとめ方を伝えるコツ
準備が整ったら、あとは書くだけです!今まで書き溜めてきたメモをもとに、どんどん書いてみましょう!
なぜその本を選んだかを書かせてみる
その本を選んだ理由ですね。こちらは、準備運動の段階でメモしていますからそれをもとに書くように促してあげるだけです。
こんな感じにまとめさせるイメージです。
要約は控えめに。100~200文字くらいを目安に書かせる
要約を入れるのはOKですが、気を付けたいのはその字数。読書感想文ですから、作文のほとんどが作品の要約…となってしまうと内容が薄くなりがちです。
100~200字を目安にまとめるようにアドバイスしていきましょう。全体量の4分の1~5分の1くらいに留められると良いですね。
自分の感情が揺れ動いたシーンを取り上げさせる
こちらについてもあらかじめ作成したメモが大活躍です。どんなシーンなのか、どんな気持ちになったのか、なぜそう思ったのかを中心に書いてもらいましょう。
自分が感情移入したキャラクターについて書かせる
登場人物の行動や気持ちに共感した場面があれば、この内容で書くようアドバイスするのもとても良いです。「もし自分だったらこうしたのに」というアイディアを盛り込んでも面白いですね!
読む前と読んだ後の変化を書かせてみる
作品を読む前と読んだ後の、自分自身の変化について書くよう促してあげましょう。最後のまとめとしても使いやすいと思います。
字数を増やしたければ、「今後の目標」「これからどうしていきたいか」を書くと内容が膨らみますよ!例としては以下のようなイメージです。
具体的なアドバイスと前向きなアプローチで読書感想文は大成功!
最後にポイントをおさらいして終わりにしましょう。
- 良いところを見つけて具体的に褒める
- 「褒める」:「注意」=10:1
- 原稿用紙を使う前の準備がポイント。5ステップで準備運動
- まとめ方のコツを押さえてあとは書くだけ
いかがだったでしょうか?夏休みなどで残ってしまいがちな読書感想文も、ぜひ正しいアドバイスとアプローチで大成功させてくださいね!
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