妊婦は葛根湯を飲んでもいい?副作用や胎児への影響と飲み方
妊娠中はホルモンバランスの変化や、お腹の赤ちゃんを異物とみなされないように妊婦自らが免疫力を低下させることで抵抗力がぐっと下がると言われています。
そのため妊婦はインフルエンザなどのかぜに感染しやすく、なのに抗生剤や解熱鎮痛剤などの強い薬は飲めない…母は強し!とは妊娠中から始まっているのですね。
情報社会の今、漢方治療は妊婦でも安全というサイトの記事があるようですが、漢方だからと葛根湯を安易に飲んでも良いのでしょうか。
葛根湯の生薬や効能をご紹介した上で、妊婦が自己判断で服用して良いのか、服用する時の注意点を見ていきましょう。
この記事の目次
葛根湯の威力が期待できない風邪の症状や服用する人の状態
漢方薬は患者の体質や症状によって効果が期待できないこともあるため、葛根湯でも威力が発揮できない場合があります。
- 悪化した風邪
- 発熱し既に発汗している状態
- 喉からくる風邪
- 体温が高い人
- よく汗をかく人
- 胃腸が弱い人
- 体力がない人→妊婦はコレに該当!!
妊婦が自己判断で葛根湯を飲むのは要注意!
産婦人科の医師が風邪の症状の妊婦に葛根湯を処方する場合はありますが、医師は以下の様々な状況を考慮して治療できる薬を出しています。
- 妊娠の週数
- 風邪の症状
- 妊婦の体力
- 妊娠の経過
- 妊娠高血圧症候群などの恐れがないか
- 胎児の状態
葛根湯の使用上の注意として「妊婦での安全性は未確立です。有益と判断されたときのみ服用します。」とあります。
妊婦にも胎児にも問題ないと診断した医師が葛根湯を処方するなら心配ありませんが、妊婦が自己判断で市販薬の葛根湯を服用するのは安全性が低いと考えられます。
葛根湯には妊婦に危険な成分が!
妊娠前に葛根湯を服用し、その威力を知っている妊婦さんならお腹の子のためにも風邪を悪化させる前に葛根湯をと思うこともありますね。
ただ7種類の生薬には、妊婦にはおすすめできない成分が入っていることを知っておきましょう。
葛根湯には発汗作用のある「麻黄」「桂皮」が、利尿作用のある「大棗」が含まれており妊婦が服用するにはリスクが高いと言えます。
ツムラやクラシエ、阪本漢方が販売している市販の葛根湯には独自の成分が入っている可能性が…「妊娠・妊娠していると思われる人は医師に相談すること」と表記の商品もあるので要注意です。
葛根湯の副作用
体に優しいと言われる漢方の葛根湯でも副作用があり、病院の先生の処方薬でも次のような症状があらわれたら服用をやめ医師に相談しましょう。
- 体のむくみ
- 血圧上昇
- 蕁麻疹などの発疹やかゆみ
- 吐き気・下痢
- 全身脱力感
- 不眠
- 動悸・頻脈
妊娠中は初期でなくてもつわりの逆戻りもあるので、吐き気が薬の副作用なのかの診断が難しいところもあります。
赤ちゃんへの影響
間違った服用の仕方で葛根湯を飲み続けてしまったら、最悪の場合お腹の赤ちゃんへの影響も考えられます。
ママが口にしたものは胎盤を通してお腹の赤ちゃんの血液などになります。
特に妊娠初期の時点で服用した場合、流産・早産の危険や奇形児や障害を持った子が生まれる可能性もゼロではないという危機感を持つようにすべきでしょう。
妊娠中に風邪をひいた先輩ママの体験談
妊婦は風邪をひきやすいとは本当ですね。葛根湯にまつわる先輩ママの体験談は多いようです。
妊娠初期の葛根湯にまつわる体験談
妊娠3ヶ月の頃、悪寒やのど痛などの風邪の初期症状がありました。
ツワリもなくお腹も大きくなかったので妊娠の自覚が足りていなかった私は、家にある葛根湯を飲もうとしたところ実母が激怒!
母に促され病院の先生に診てもらったところ、今の段階では飲める薬は無し。静養とうがいのみで治せると言われイソジンのうがい薬だけが処方されました。
薬は服用せずに自力で治しましたが、妊娠初期の薬はいけないんだなと反省した出来事でした。
妊娠中期の葛根湯にまつわる体験談
二人目の妊娠で安定期に入ったころ頭痛があったので、この頭痛薬を飲んで良いかと産婦人科に薬を持っていきました。
ところが持っていった頭痛薬は、子供に悪影響を及ぼす可能性があるからと先生から処方されたのは葛根湯でした。
頭痛は風邪からきていたものだったようで、葛根湯を飲んでゆっくりしていたら治ったことを覚えています。
妊娠後期の葛根湯にまつわる体験談
妊娠後期なら赤ちゃんの臓器が出来上がっているから、葛根湯程度の薬なら飲んでも良いとネットで見たので、受診日に聞いてみたところ人によるというお話でした。
私は高血圧気味だったので別の薬を処方されたのですが、ネットで見ただけで安易に飲まなくて良かったと胸をなでおろしました。
医師から処方された葛根湯の飲み方
産婦人科の担当医から風邪薬として葛根湯を処方されたら、その飲み方の注意点がいくつかあります。
- 空腹時に飲む:空腹状態だと成分が吸収されやすいため、食前か食間に飲むこと!
- ぬるま湯で飲む:冷たい水や熱いお湯は避け、人肌程度の温度のお湯が効果的
- 服用回数や服用量を厳守:医師が処方した服用回数や量を必ず守り、自己判断で多め少なめに調整は厳禁!
- オブラートを使ってもOK:顆粒が苦手な人は飲みやすくなる
葛根湯の特徴
「漢方の風邪薬」といえば葛根湯!「風邪のひき始めに効く薬」といっても葛根湯!…と漢方の祖国、中国だけでなく日本人にもそんな知識が浸透しています。
風邪薬の常備薬としている家庭も多いのではないでしょうか。風邪薬の王様的存在の葛根湯の特徴をご紹介します。
西洋薬と漢方薬の違い
西洋薬は熱、せき、鼻水などのピンポイントの症状に合わせて薬が作られていることに対し、漢方薬は患者の体質を考慮し体の治癒力を高める目的があります。
薬の飲み方にも違いがあり、食後に服用する薬が多い西洋薬に比べ、漢方薬は食前や食間などの空腹時に服用すると効果がある薬が多くあります。
漢方薬である葛根湯は、自分の体質や風邪の症状を把握し服用するタイミングも大切になってきます。
葛根湯の成分と働き
葛根湯は植物や動物などの天然の素材を配合して作られた7種類の「生薬」から作られています。
成分 | はたらき |
---|---|
葛根(カッコン) | 解熱鎮痛・頭痛や肩こりの緩和 |
桂皮(ケイヒ) | 発汗、止痛の効果・手足の冷え、のぼせの緩和 |
甘草(カンゾウ) | 鎮痛、解毒、鎮咳、去痰の効果 |
生姜(ショウキョウ) | 健胃消化、鎮吐、鎮痛、発汗の効果・食欲増進 |
麻黄(マオウ) | 発汗、悪寒、関節痛、鎮咳、去痰の効能 |
芍薬(シャクヤク) | 鎮痛、皮膚疾患の効果・冷えの緩和・婦人の更年期障害 |
大棗(タイソウ) | 鎮痛、悪寒の効果・利尿作用・消化を助ける・下痢を止める |
葛根湯が威力を発揮するタイミング
葛根湯の7種類の生薬は「発汗効果」「止痛効果」「悪寒鎮静」などが主とされているため、以下のような風邪の初期症状などで威力を発揮するとされています。
- 微熱
- 悪寒
- 肩こり
- 頭痛
- 関節痛
- 水のような鼻水
- 花粉症
体内に風邪のウィルスが侵入する前に体温を上げることによってウィルスを弱らせ、その後発汗を促すことで体温を上昇させる作用があるわけですね。
妊娠中の葛根湯は必ず医師の診断で!
葛根湯はタイミングよく上手に服用すれば魔法の風邪薬だということがよくわかりました。それと同時に妊婦には悪い影響を与える成分が入っていることも…。
ただやみくもに妊娠中の葛根湯はNGではないことも確か!この二つを心にとめておくようにしましょう。
- 妊婦の状態や胎児の様子がわかっている医師が処方する葛根湯なら安心!
- 市販の葛根湯を医師に相談もなく服用することは危険!
手洗い、うがい、部屋の加湿など風邪の予防に努め、十分な睡眠や食事、ストレスのない生活で風邪に無縁のマタニティライフを送ってくださいね。
それでも風邪をひいたときは我慢や自己判断はせず、医師に相談しましょう。
MARCH(マーチ)では、妊娠や子育ての先輩たちが、ためになる情報を毎日配信しています!新米ママ&パパはぜひご覧ください♪
まだデータがありません。