妊婦の虫対策!妊婦に安心安全な虫除け・虫刺され薬と対処法
暑くなってくると避けて通れないのが虫刺され。仕方ないかとやり過ごすことも多いですが、実は恐さも多く潜んでいます。
でも、妊娠中は体温が高くなっていたり素早く動けなかったりと虫に刺されやすくなっています。赤ちゃんへの影響を考えると、虫除けや虫刺されの薬にも気を遣いますよね。
さらに、虫刺されにも色々と種類があり、何に刺されたのか分からないと適切な処置ができなかったりもします。
虫刺されの知識と対処法を知っておくとともに、妊婦でも使えるものをチェックしていきましょう!
この記事の目次
妊婦が虫にさされると懸念されること3つ
ただの虫刺されと侮る事なかれ、その影響は多岐に渡ります。
- 感染症
- 伝染病
- 皮膚が弱っているため、かぶれやすいなどの皮膚トラブルに繋がる
妊娠中は、自分のことだけでなく、お腹のなかの赤ちゃんのことも守っていかなければなりません。
特に感染症や伝染病は命に関わることも。皮膚トラブルも、健やかな妊娠生活にとっては強敵です。
早産などのトラブルに繋がらないためにも、しっかりと対処していきたいものです。
痒みだけで終わらない…感染症・伝染病の恐さ
ニュースでも聞かれるようになり、虫が媒介する感染症や伝染病の恐さが改めて自覚されるようになりましたね。
虫が媒体になっている感染症や伝染病の代表格には下記があります。
- ジカ熱・デング熱
- 日本脳炎
- 重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
- 日本紅斑熱
- つつが虫病
- ライム病
- マダニ媒介性の回帰熱
全ての虫刺されが重病のもとになるわけではありませんが、どんなときに何に注意したら良いのかを知っておきましょう。
厚生労働省も注意喚起中、ジカ熱・デング熱
ジカ熱・デング熱は、ニュースなどでもよく耳にするようになり、警戒が高まっている感染症です。
どちらを媒介する蚊も、ジャングルの奥地などではなく人のたくさん住んでいる都市部に多く生息します。
- ジカ熱
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ジカ熱は南方の国々を中心に感染が報告されており、日本でも国内感染はないものの、諸外国に旅行した際に刺されて感染した例が報告されています。
軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。
これらは大きな症状ではないのですが、妊婦が感染すると胎児に大きな影響があり、小頭症を発症することから、世界的に警鐘が鳴らされています。
- デング熱
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デング熱については、70年ぶりに国内感染が報告され、東京の大きな公園で刺されたことからも話題となりました。
こちらは高熱を発症して苦しい思いをする他、4種類あるタイプのうち違う型に複数回かかったときに免疫が過剰に働いて重症化した場合、死に至ることもあるようです。
妊婦が感染すると、妊娠していない人に比べて重症化しやすいのですが、重症化することじたいが稀です。
今までに国内で死亡例は報告されていません。
ジカ・デング熱いずれも、治療薬やワクチンが存在しないことも警戒される一因となっています。
絶滅したわけではない日本脳炎、ワクチンで対応を
日本脳炎については、もう無くなったと思われている方も多いようですが、まだ毎年感染が報告されています。
罹患すると高熱・頭痛・嘔吐に始まり、意識障害や麻痺などの神経系の障害を引き起こします。治ってからも後遺症を残したり、最悪の場合死に至ることもあります。
幸いにもワクチンが開発されており、予防することができます。お子さんにはワクチン接種を忘れないようにしていきたいですね。
また妊婦が罹患すると、流産や胎児に異常を起こす可能性があります。どれくらいの確率で起こるかはデータが不足していてわかっていません。
ダニからの感染症も危険!
蚊と並んで感染症を媒介する虫といえば、ダニです。どこにでもいる上に、日本国内でも感染症を引き起こすため、注意が必要です。
ダニが媒介する感染症には、以下のようなものがあります。
- 重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
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6日~2週間の潜伏期間を経て、発熱や消化器官の異常などの症状を引き起こし、重症化すると意識障害などの神経症状、出血症状などを起こします。
有効な薬やワクチンは存在せず、症状が出てから対処療法的に治療していくしかありません。
- 日本紅斑熱
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マダニの中にいる「リケッチア」という微生物への感染が基で発症します。2~8日の潜伏期間を経て、頭痛や発熱、倦怠感、発疹などの症状が現れ、重症化することや死に至るケースもあります。
原因となったリケッチアに対応した抗生剤を使って治療が可能ですが、時間とともに悪化するので早期の処置が必要です。
- つつが虫病
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ツツガムシというダニが持つ、同じくリケッチアによる感染症です。症状も非常によく似ていますが、ツツガムシの方が刺され口が大きく、潜伏期間の5~14日を経て倦怠感や頭痛を発症、リンパ節が腫れあがります。
同じく抗生剤で治療しますが、遅れると致死率が高くなる危険な感染症です。
- ライム病
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感染すると風邪に似た症状と発疹が現れます。治療しないと筋肉痛や関節の腫れから重症化し、脳や神経の機能不全などを引き起こします。
経口抗生物質で治療することができますが、妊婦の場合は罹患すると胎児にも感染します。流産の恐れがあるため妊婦は特に注意が必要です。
- 回帰熱
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感染すると高熱を出したり熱が下がったりするため、この名前がついています。重症化すると髄膜炎などを発症します。
日本では、海外に渡航して刺され感染し、帰国後発症したケースが近年報告されています。
抗生物質による治療が有効ですが、治療をしない場合は非常に高い致死率を示します。
いずれも高齢者に死亡率が高く、同じように免疫が落ちたり体が弱ったりしている妊娠期には、重症化しやすいと考えられます。
免疫力が下がって、いつもより酷いことに…虫刺されで肌トラブル
虫刺されで恐いのは、特殊な感染症などだけではありません。
かゆいだけと侮っていると、妊娠してから体調が変化していることによっても、いつもと全く違った症状に悩まされることになります。
妊娠中だからと薬を使うことを遠慮して放置していると、重症化しかねません。
かいてしまうと大変!なると長引く、痒疹(ようしん)
かゆいところを掻いたところで、大して意味は無い、くらいに思われがちですが、掻くことによって肌に炎症を起こすと大変辛いものです。
かゆいのは刺されてすぐのこと、今だけだから…と何となく掻いたりしていると、いつのまにかしこりができて痒疹(ようしん)になってしまうことも。
痒疹は虫刺されのような痒いポツポツとした皮膚のもりあがり(丘疹)がいくつもできる病気です。一時的ですぐに治ってしまうのもから、体中に広がっていつまでも治らず硬いイボのようになってしまうものまであります。非常にかゆいので夜も眠れず大きな悩みになります。
傷口からばい菌が入って、とびひになることも…
また、引っ掻くことでばい菌が入り、ただの虫刺されがとびひになってしまうこともよくあります。
色々なところを常に触っている手、その指先には黄色ぶどう球菌や化膿レンサ球菌などのばい菌がついていることが多いです。
さらに、鼻の穴にはその二つの菌が常在しているため、鼻をいじる癖がある子どもなどはそこから伝播してしまうことが多いようです。
痒いところを掻くと余計に酷くなるのには、こういった理由があったのです。もちろん、綺麗な手でも掻けば皮膚を傷つけるので悪化をしてしまいます。
虫刺されを引き起こす虫は多種にわたる!虫ごとの症状や対策
虫刺されと一口に言っても、刺す虫は多岐にわたります。誰もが刺される可能性のある虫は実はこんなにいます。
- 蚊
- ノミ
- ブヨ(ブト)
- ダニ
- ハチ
- ケムシ
- ムカデ
それぞれ症状も対処法も変わってきます。そのため、どの虫に刺されたか判別するのは大切です。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
【蚊】最も刺される可能性の高い虫!
最も刺されやすく皆の悩みの種となるのが”蚊”ですね。
でも油断しているとなかなか痒みが治まらなかったり、妊娠中で体の調子が変化していて予想外にひどくなったり…。
適切な処置をしっかり知っておきましょう!
- 痒みの原因
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蚊は血を吸う際に、麻酔代わりに唾液を注入しています。
しかし、唾液がかゆくなる成分を含んでいるのではなく、”蚊の唾液”という異物に対する、自分の体が起こしているアレルギー反応なんです。
そのため、年齢やその人の状態によって反応=症状が変わってきます。
- 症状
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年齢によって症状の出方が違う傾向があります。
アレルギー反応には、すぐに症状が出る即時反応と、刺されて1~2日してから症状が出る遅延型反応があります。
- 乳幼児期には、遅延型反応のみが出現
- 幼児~青年期には、遅延・即時型のどちらもが出現
- 青年~壮年期には、即時型のみが出現
- 老年期には反応自体が出にくくなる
※実際には個人差がありますが、だいたい上記のような反応の違いが出ます。
赤ちゃんが足や腕にいつのまにか虫刺されの赤い痕をつけてくるのには、刺されてしばらくしてから症状が出ることが関係していたんですね。
- 対策
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症状によって、薬を変える必要があります。
- ぷっくりと腫れて痒みが出た場合→痒みを抑えればいいだけなので、痒みを抑える抗ヒスタミン剤主体の薬が有効
- 赤くなるだけで腫れないが痒みが出る→皮膚が炎症を起こしているので、炎症を抑えるステロイド剤配合の薬が有効
一旦痒みが治まっても油断せず、ステロイド剤配合の薬を塗っておくことでぶり返して起こる痒みや発疹を防ぐことができますよ。
自分の虫刺されの症状が、どういったアレルギー反応なのかを見極め、適した薬を使い分けていきましょう。
【ノミ】発生時期は一年中。ペットを飼っているお宅では要注意!
猫だけでなく、生き物ならなんでもつくのがノミ。ペットを飼っているお宅はもちろん、動物に接する機会があれば刺される可能性はあります。
可愛いからと安易に動物に触れないようにしましょう。
妊婦は体温が高くなっていて刺されやすい状態です。刺されないためには、肌を露出しないことが大切です。
- 痒みの原因
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ノミは刺すというより咬みます。さらに吸血するときに血が固まらないよう、抗凝固作用のある唾液を注入します。これが炎症反応を引き起こしかゆくなります。
- 症状
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蚊はアレルギー反応ですが、ノミの場合注入された異物に対する炎症反応なので、比較すると症状が酷いのも特徴です。
- 一カ所だけでなく何カ所も刺される
- 痒みはすぐに出ず、数時間など時間が経って気づくことが多い
- 痒みは最低1週間は続く(1ヶ月以上続くことも…)
- 蚊による虫刺されよりはるかに痒みが強い
- 刺された部分が赤く腫れて、水ぶくれになることもある
何だか蚊じゃないかも、と思ったときは、こういったことに気をつけてチェックしてみてください。
- 対策
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ノミに刺された場合、市販の薬では効果がないことがほとんどです。速やかに皮膚科に行って専用の薬を処方してもらってください。
また、自宅で刺された場合はノミを退治してしまわない限りまた刺されてしまいます。以下の手順でノミを徹底駆除してください。
- ペットのノミ駆除はブラッシング、動物病院で薬をもらいましょう
- 室内のノミ駆除は害虫殺虫剤を数度炊きましょう
- 数ヶ月は部屋の掃除を徹底しましょう
ノミは、潰れると体内の卵が飛び散ってしまうため、粘着テープや掃除機でつぶさないように集めて水に入れて退治しましょう。
【ブユ(ブヨ)】気づいたら刺されていて、症状も酷い
羽音がしないため、近づいてきても刺されても気づかないことが多いのがこの虫。
ハエのような外見をしていて、呼ばれ方が地方によって異なっており、ブト・ヤムラ虫などとも呼称されます。
時間が経って症状が出るものですが、これがまた酷く、たくさん噛まれると命にも関わるので、注意が必要です。
- 痒みの原因
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刺すのでも咬むのでもなく、皮膚を噛みちぎっていくのが特徴です。そこから唾液腺を差し込み、酵素毒と呼ばれる毒素を注入します。
この酵素毒に対し、「ブユ刺症」と呼ばれる皮膚や全身の症状が現れてきます。毒素が強いせいもあり、非常に痒みが強いです。
- 症状
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早くて数時間後に、大きく腫れてしこりができる遅延型のアレルギー反応の症状が現れます。毒素の強さから痒みも相当なもの。1週間から1か月程度続きます。
一度にたくさん刺されたり、刺された人の体質によっては重症化しリンパ節炎などの合併症を発症したり、最悪の場合死に至ることもあります。
- 対策
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ブヨは強い虫なので、普通の虫除けでは防ぎきれません。妊婦さんは出かける場所を選びましょう。
- 山場に近づかない
- 肌を露出させない
- 虫除けは強力なもの、アウトドア専用のものを使う
刺されてしまった場合、痒みに襲われたらすぐに、また、かゆくなる前でも傷跡に気づいたらすぐに処置を行うことが肝要です。
- まず、噛まれた箇所を強くつまむなどして、毒を絞り出す
- 43度以上の熱で30分ほど温める
- 抗ヒスタミン剤を含むステロイド系外用薬を使用する
ブヨの酵素毒は、30カ所以上噛まれてしまうと、命にも関わるほどの症状を引き起こします。
噛まれた箇所が多い場合は、すぐに皮膚科、あるいは救急病院へ行ってください。
【ダニ】家のなかにも屋外にも潜む、感染症を媒介する恐い虫
ダニには種類があり、家のなかにいるものと屋外にいるもの両方がいますが、感染症を媒介するのは屋外にいるマダニです。
ダニは服を着ていても刺されるのが特徴です。
夏を中心に発生するので、この時期以外は刺されることはめったにありません。
マダニは都市部でも緑が多い公園、河川敷などの場所には潜んでいます。虫除けをきちんとしておくことと、なるべくそういった場所には近寄らないことが一番です。
- 痒みの原因
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ダニの体液にアレルギー反応を起こして痒みを生じます。花粉症などのアレルギーに近く、人によってダニの被害に遭う人遭わない人がいるのはこのアレルギー反応の差があるからです。
- 症状
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家のなかにいるのは、主にイエダニ・ツメダニの二種ですが、種類によって症状が出るまでの時間が違います。
- イエダニ→刺されてすぐかゆくなる
- ツメダニ→刺されて数時間~2日後くらいに痒みが出る
どちらも刺されたあとは痒みが長引き、一週間ほども続きます。噛まれた部分のみが腫れるのも特徴です。見分けるときの参考にしてください。
屋外でマダニに刺された場合は、視認できるほどの大きさなので気づくことができます。先に紹介した様々な感染症はだいたい風邪のような症状から始まります。
- 対策
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マダニは一度吸血を始めると、一週間も吸血し続けます。
どんどん血を吸ってふくれあがっていきますが、無理に剥がすと体の一部が残り、感染症の原因になることも。
マダニは必ず病院に行ってとってもらうようにしてください。噛まれても24時間以内に引き抜けば、感染する確率は低いと言われています。
マダニの場合はとにかく病院を受診することですが、イエダニ・ツメダニに噛まれた場合は以下の方法で自分で対処できます。
- 水で洗い流す
- ステロイド系の虫刺され薬を使う
また、ノミと同じく、ダニも元を絶たないと何度も刺されてしまいます。以下の方法を活用して、徹底駆除を行いましょう。
- ノズルや専用クリーナーを使用して、布団や部屋の掃除を徹底する
- 布団乾燥機を使って布団のダニを退治する
- ダニアースなどのダニ専用殺虫剤を使って駆除する
- ダニ捕りマットを敷く(死骸は放置せず掃除機で除去する)
【ハチ】刺される頻度は少なめだけれど、ショックが恐いハチ刺され
基本的にどのハチもこちらから何かしなければ刺されることはありません。
距離を保ち、香水などの匂いの刺激で引き寄せないように注意しましょう。
刺されてしまうと痒みではすみません。大変な痛みと、ショック症状を起こす可能性があるため非常に危ない虫の一つです。
- 痒みの原因
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ハチの場合は攻撃を目的として刺すので、毒性がまず非常に高いです。痒みどころではなく激痛をもたらします。
ハチによって毒素の成分構成はまちまちですが、大別して次の4種です。
- アミン類→痛み・痒みを引き起こす
- 低分子ペプチド類→ 痛み・アレルギー症状の原因になるなど
- 酵素類→アレルギー症状の原因になるなど
- 非酵素系神経毒→神経系に作用する(スズメバチのオスだけが持つ)
体内の毒の保有量はスズメバチが最も多いですが、毒の強力さではセイヨウミツバチが最強です。
セイヨウミツバチが一般のミツバチよりも若干大きく、縞模様もはっきりしています。
一匹に刺されても死んだりしませんが、多数に刺されるとショックも含め危険度が上がります。
- 症状
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刺されると酷く腫れ上がり、激しく痛みます。初めて刺された場合は、1日程度でおさまりますので、他の症状が出ない場合はそのままで大丈夫です。
ハチで恐いのは二回目以降に刺されたときです。一回目でハチの毒に対する抗体ができ、次からはアレルギー反応が出るようになるためです。
この場合は、頭痛や腹痛、じんましん、気分が悪いなどの全身症状が現れます。
酷い場合はいわゆるアナフィラキシーショックを起こし、死亡してしまうケースもあります。
- 対策
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万一刺されてしまった場合は、以下の手順で適切に処置してください。
- 速やかにその場から離れましょう
- 針が残っている場合は取り除きましょう(つまんで取らないこと)
- 傷口を洗い、つまんで毒を絞り出しましょう(口で吸わないこと)
- 抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系軟膏薬を塗り、傷口を冷やしましょう
- 早めに医療機関を受診しましょう
針を抜くときは毒嚢を圧迫して毒をさらに送り込んでしまわないよう、つまんで抜き取るのではなく、カードなどを擦り付けるようにして横から払うように取り除いてください。
おしっこをひっかけるなどしてアンモニアをかけると良い、というのは迷信で、効き目が無い上に感染症を引き起こす危険があるので注意してください。
じんましんが出たり、お腹が痛い、気分が悪いなどの症状が見られた場合は、先述のアナフィラキシーショックが疑われますので、すぐに救急車を呼んでください。
【ケムシ(ドクガ・イラガ)】風で毛針が飛んでくることも。皮膚炎を起こす
羽が無いため、飛んでこないぶん予防はしやすいですが、どこにでもいるため注意が必要なのが毛虫。なかには毒性が強く、ひどい症状を引き起こすものもいます。
さらに、植物から距離を取っていても、空中を浮遊してきた毒をもった毛虫の毛針に刺されることもあるので厄介です。
- 痒みの原因
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ケムシの持つ毒によって、皮膚が炎症を起こすことによって生じます。ケムシによる皮膚疾患は、「毛虫皮膚炎」と呼ばれています。
- 症状
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ケムシの種類によっては、刺された瞬間に電撃のような痛みが走ることも。数時間で激しい痒みが現れ、1~2日でじんましんのような細かい発疹が、わりと広範に出現します。
多くのケムシが強い毒性を持つため、非常に強い痒みが数週間続きます。薬なしでは大人でも耐え難いほどの痒みです。
- 対策
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とにかく肌を露出させないことです。腕や首筋などが刺されやすいです。
ケムシに刺されるとちくちくっとするため、思わず手が行きますが、擦ったりすると細かい毒毛針が拡散して患部が広がってしまいます。
慌てず、触らないようにして、次の手順で処置を行ってください。
- 粘着テープなどで毒毛針を取り除きましょう
- 水でしっかり洗い流し、氷などで冷やしましょう
- ステロイド系の薬を塗って痒みを抑えましょう
目に見えるほどの大きな針はピンセットなどを使って抜いてしまうのが良いです。また、衣服に針が残っている可能性がありますので、しっかりはたいて落とすようにして下さい。
ケムシに刺されて起こるのは皮膚炎・かぶれなので、炎症を抑えるステロイド系の薬が効きます。痒みが強いので、薬も強めのものが良いでしょう。(ただし必ず病院で処方してもらってください。)
症状が強かったり、全身に広がったりしている場合は再度病院を受診してください。
【ムカデ】刺されると非常に痛い。処置にも気をつけたい虫
必要もなく人間を襲ったりはしませんが、家に生息し人間の居住空間に入ってくるため、何かの拍子に刺されることがあります。
夜行性なので寝ているときに襲われたり、服や靴の中に潜んでいて被害に遭うことが多いようです。
驚いたり慌てたりして刺激したり、急に激しい動きをすると反射的に噛んでしまう虫なので、遭遇しても冷静に対処することが肝要です。
- 痒みの原因
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ムカデの顎にはヒスタミンやセロトニンなどの成分が入った強力な毒が含まれています。この毒が人間の体内に入ると、激しい痛みが発生し、傷口が赤く腫れてしまいます。
- 症状
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ムカデに刺されたと一口に言っても、被害には3つのパターンがあるようです。
- たくさんの足先で這うときに、皮膚に細かな傷をつける
- 酵素毒を皮膚につけられる
- 防御行動、あるいはエサと勘違いして噛む
このうち最も痛い、症状が酷いのは、もちろん、噛まれたときです。大きく広範に腫れ上がり、発熱を伴うこともしばしばです。
- 対策
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ムカデに噛まれた場合、毒を吸い出してはいけません。口内や気道に毒素が入り、深刻な症状を引き起こします。
絞り出そうと傷口をいじるのも、逆に毒を浸透させてしまいます。行うべき適切な処置は以下です。
- 43度以上のお湯で5分以上洗い流しましょう
- ステロイド系の外用薬を塗りましょう
- 病院を受診しましょう
ムカデの毒は熱に弱いため、お湯を使うことで中和することができます。また、弱酸性のものでないシャンプーや石鹸で洗い流すのも効果的です。
ムカデの毒は弱酸性なので、アルカリ性などのシャンプーなどで毒のphを変化させて、活性化を抑えられるようです。
毒性が強いので、使う薬も強いものが良いです。できるだけ強力なステロイド系の薬を、患部に対し広めに使用しましょう。
また、ハチの毒と同じく、アレルギー症状が現れるのがムカデの毒です。ショック症状もありえます。噛まれたところの痛み以外に、悪寒・頭痛、また気分が悪いなどの症状がみられたら、すぐに病院を受診してください。
妊婦はステロイド系を使ったら危険、とは限らない
ここまで見てきたように、炎症を含む場合の多くの虫刺されにはステロイド系の薬が欠かせないことが明らかです。
しかし、副作用がある、胎児に影響があるとも聞くし、妊娠中にステロイド剤を使うのには抵抗がある、という人も多いですよね。
ところが実際には、妊婦はステロイド剤を使ってはいけないと断定できているわけではないそうです。
一般的にステロイド外用剤は皮膚から吸収される量は極少量であり、ご自身の副腎からでる内因性のステロイドに比べても、はるかに少ないため胎児や母乳に対する影響はほぼ無いと考えられています。
ステロイド剤は奇形児の一因となることは断定されていない
また、現在まで、ステロイド剤を使用したことで胎児に影響が出た、という報告は一例もないそうです。
しかし、これまでに報告が無いからこれから先も無い、とは言い切れません。自己判断で大量に使いまくるのは良くないでしょう。
注意書きをよく読み、医師の指導を受けて使いましょう
まず、市販薬などを使用する場合は、注意書きなどをしっかりと読み、ステロイドを含むどんな成分が配合されているのかをチェックしましょう。
また、妊娠していることをきちんと伝え、薬剤師や医師の指導を仰ぎ、適切な処方を受けて使用することが安全です。
基本的には、部分的・短期間に使用することについては何も心配は無い、と考えられています。
安心して使えるアロマなどの虫刺され薬もおすすめ
痒みを放っておくと、寝不足や体調不良を引き起こし、それのほうが母体にも赤ちゃんにも悪影響を及ぼします。でも強い薬は使いたくない気持ちもよくわかります。
そんなママさんは、ステロイドが入っていない痒み止めのほか、安心して使えるアロマ軟膏なども活用してみたり、医療機関に相談して薬を処方してもらってみてはいかがでしょうか。
痒みも感染症予防も、虫刺されを防ぐことから!妊婦が使える虫除けは?
さて、ここまで見てきたように、虫刺されは何よりもまず刺されないことが一番の対策になります。
特に妊婦さんは、前にも書きましたが、普通の人に比べて虫刺されに対し次のような弱さがあります。
- 免疫力が落ちているため重症化しやすい
- 体温が高くなっていたり、素早く動けないため刺されやすい
感染症の死亡例を見ても、圧倒的にお年寄りが多く、体が弱っていることが一因であることは否めません。妊娠していると免疫力や体力が落ちていますから、重症化する危険性があります。
妊婦さんはできる限り虫を避ける生活をしてください。そのためには、次のようなことができるでしょう。
- 緑地、山間部など虫の多いところへ行かない
- 肌の露出ができる限り少ない服装にする
- 日常的に虫除けを徹底する
しかし、外出を控えることにも限界がありますし、虫は何も自然が多いところにばかりいるわけでなく、都市部のちょっとした緑に生息しています。
ですから、やっぱり虫除けを徹底することが一番大切で有効な手段になります。では、どのような製品を選んだらよいのでしょうか。
虫除け既製品は、殺虫成分か忌避成分かをチェック
虫除けスプレーなどの市販薬は、大別して殺虫成分が主流のものと忌避成分が主流のものの2種類があります。
より強力なのはもちろん、殺虫成分が含まれているものです。
しかし強力なら成分も強いですから、やはり人体への影響も強くなります。日常的に使うものなら、成分弱めのものを選んで使うことも必要でしょう。
虫除けスプレーに含まれるディートには注意が必要
また、虫除けスプレーが妊婦に危険だと言われていることの原因の一つが、虫除けスプレーによく使われている、ディートという成分です。
近年はディートの有害性が問題となり、諸外国では子どもへの使用を厳重に禁じているところもあります。
そのため、妊婦や胎児への影響もあるのではないかと言われているのですが、はっきりと薬害が確認できているわけではありません。
しかし、注意しておいて損は無いですね。使いすぎはもちろん、できれば母体と赤ちゃんに安心・安全なものを選びたいです。
昔ながらの防御策、蚊帳・蚊取り線香・アロマオイルや鉢植えを活用して
実は妊婦さんが安心して使える虫除けには、昔ながらの知恵が生きているものが多いんです。一つずつご紹介しましょう。
- 蚊帳
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蚊帳が家にある、というおうちはもう珍しいのではないでしょうか。しかし、昔ながらのこの蚊帳、実はとても効果的で何の薬剤も使っていません。
夜寝るときなどは特に無防備になりがちですから、今一度その効果を見直してみるのはどうでしょうか。
- 蚊取り線香
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屋内では特に強い効果を発揮する、頼もしい夏の味方が蚊取り線香ですよね。
妊婦への影響が気になるところですが、実はその成分は「ピレトリン」という、除虫菊から生成される天然植物由来の物質です。
このため妊婦さんでも安心して使えますが、ピレスロイドという殺虫成分も含まれており、これが人体に影響がないとは言い切れないので、使う場合は部屋を閉め切らないようにしましょう。
- アロマオイル・油
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他にも、虫除けとして昔から使われているものがいくつかあります。青森のヒバからとれるヒバ油や、ハッカ油、そしてアロマオイルなどです。
現在では、製品化されているものもありますから、日常的に使っていくものを安心・安全なものに切り替えてみるのも良いのではないでしょうか。
アロマオイルを使った虫よけスプレーは、手作りすることもできておすすめです。虫除けのアロマオイルには、以下のようなものがあります。
- ゼラニウム
- レモングラス
- ラベンダー
ほかにも、シトロネラ、レモンユーカリ、ペパーミントなどが虫よけスプレーにはよく使われていますが、これらのアロマオイルは妊娠中には使えません。
また、ラベンダーも妊娠初期にはよくないとされていますのでこの時期は避けてください。
- 虫が嫌がる植物
- 置いておくだけで虫が嫌がる匂いなどを放ち、虫除けになってくれる植物が色々あります。鉢植えなどでベランダや玄関、窓際を守ってもらいましょう。
以下のような種類があります。
- モスキートブロッカー
- シトロネラ
- ゼラニウム
- レモングラス
- ペパーミント
- ニーム
- 除虫菊
いずれも育てやすく、かわいい花がつくものもあります。ぜひ検討してみてくださいね。
先に妊婦は使えないアロマオイルとして紹介した名前も挙がっていますが、鉢植えになれば妊婦さんでも大丈夫です。
虫除けを第一に、必要ならば薬剤も十分注意しながら活用していこう
いかがでしたか。意外に恐い虫刺され、多岐にわたる情報をお届けしました。
- 何よりも刺されないこと!十分に虫除けを
- 虫除け・虫刺されの薬剤には注意して
- 必要なものは、医師や薬剤師の指導を受けてきちんと処方
まずは虫除けに気をつかい、屋外は特に十分な注意が必要です。
妊娠中の自分の体と、お腹の赤ちゃんに十分に配慮しながらも、必要以上にすべてを避けてしまうと逆効果となることも。
まずはしっかりと虫よけをし、もし刺されてしまったら 痒みを我慢せず、しっかりと対策していくことで、早めに治して健やかな妊娠生活を送りましょう!
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まだデータがありません。