過度な紫外線対策は胎児の成長へ影響!妊婦の日焼け対策法と注意点
白い肌は女性にとって憧れです。昔に比べ、日焼け対策を徹底する女性はかなり増えています。
日焼け止めクリームを全身に塗り、大きな帽子をかぶり、サングラスをかけて長袖に長ズボンと、どこも肌の露出がないように徹底して日焼けを防止する方もいらっしゃるかと思います。
しかし”過度”な日焼け対策は病気のもととなります。妊婦さんであると胎児が病気を抱えて生まれてくるリスクもあるんです!
それでも、女性として日焼けをするのは嫌なものは嫌ですよね。日焼け対策をしながら必要量の紫外線を取り込むにはどうすれば良いのかについてご紹介します。
この記事の目次
人間にとって紫外線は必要なもの!過度な日焼け対策はNGです
白い肌にあこがれて日焼け対策を徹底される方は多いかと思います。ですが、紫外線は私たちが生きて行くなかで必要不可欠なものです。
とくに紫外線はビタミンDの生成に深く関わります。ビタミンDは身体をつくるために重要な働きを担っていて、このビタミンが不足してしまうと健康に悪影響がでます。
妊婦さんであると、胎児の発育に支障がでてしまいます。まずはビタミンDの重要性について説明していきますね。
紫外線はビタミンDをつくるために必要
ビタミンDにはD2からD7まで種類があります。身体にとって重要なのはビタミンD2とビタミンD3です。
このビタミンDは初めからビタミンDとして体内に存在しているわけではありません。プロビタミンDというかたちで体内に存在しています。
太陽の紫外線が皮膚から吸収されるとプロビタミンDはプレビタミンDに変化し、それから異性化してビタミンDになります。
色々と専門用語が出てきてややこしいと思いますので、紫外線がないとビタミンDは生成されない、と覚えてください。
すなわち、ビタミンD欠乏にならないためにも日光にあたり、紫外線を取り込むことは必要なことなんです。
そして、そこからさらにビタミンDは肝臓に取り込まれて25−ヒドロキシビタミンDとなり、血液に取り込まれて今度は腎臓へ行き、1,25−ヒドロキシビタミンDという活性型ビタミンDになります。
ビタミンDがないと骨がスカスカに
ビタミンDの主な生理作用について以下にまとめます。
- 小腸からのカルシウム、リン酸の吸収促進
- 腎尿細管でのカルシウム、リン酸の再吸収促進
- 骨からのカルシウム、リン酸の動員促進
このようにビタミンDは骨を生成するために必要なカルシウム、リン酸を体内に吸収することに深く関わる作用があります。
紫外線不足が胎児に及ぼす影響
紫外線が不足し、ビタミンDが生成されないと胎児の発育にも影響がでてしまいます。
紫外線が不足すると胎児にどのような影響がでるか説明します。
胎児の骨形成に影響する!
先ほども説明したように、ビタミンDが欠乏すると骨がスカスカになるということでしたが、これは大人だけではなく子供もそうなってしまうのです。
乳幼児期の子供たちで骨がスカスカになってしまう病気をくる病といいます。
くる病とは何か?チェック方や予防法について
くる病とは骨が柔らかくなる骨軟化症のことを言います。カルシウムやリン酸といった骨を生成するために必要なものが不足してしまうことが原因です。
子供のクリニックに載っている、くる病の症状を挙げます。
- 歩行開始の遅れ
- 歩き方がおかしい
- O脚
- 肋骨念珠(肋骨にできるこぶ)
- 鳩胸
- 低身長
これらの症状が見られたらくる病の可能性があり、小児科で相談する必要があります。今後のお子さんの成長に影響が出てしまいます。
治療としては日光浴や食生活の見直しをし、体内でのビタミンDの生成を促して自然治癒を目指します。
また、くる病にならないためにも予防することが大切です。お子さんが生まれてからではなく、妊娠しているときから予防しなくてはなりません。
予防方法についてまとめます。
- 適切な長さの日光浴(10から15分の日光浴でもビタミンDは十分に合成されます)
- バランスの良い食生活(卵や魚にはビタミンDが沢山含まれています)
- 母乳と人工乳の両方で育児をする(母乳のみでは十分量のビタミンDを摂取することができません)
日光浴は妊娠してから赤ちゃんが生まれてからも続けることが重要です。ビタミンDの9割は紫外線を浴びることによって生成されます。
また、母乳育児を希望するお母さんたちも多いかと思います。バランスの良い食事、十分な日光浴があれば完全母乳育児でも大丈夫だそうです。
日焼け対策しながら紫外線を身体に取り入れる方法
ここまで日光浴をし、紫外線を体内に取り込むことの大切さについて述べてきましたが、それでも「紫外線を浴びて日焼けするのは嫌だ!」という方もいらっしゃるかと思います。
日焼けを避けながら紫外線を取り込む方法を紹介します。
手のひらはほとんど日焼けしない
日焼けの原因はメラニンという黒色の色素です。皮膚にはメラノサイトと呼ばれるものが存在し、それが日光を浴びるとメラニンになります。
メラニンは黒色なので、直射日光を浴びるとそれが多く生成されて肌が黒くなっていくのです。
しかし、身体でメラノサイトがとても少ない部分があります。それが手のひら、足の裏です。
そのため、日光を浴びたとしてもメラニンになるメラノサイトがほとんどないため、肌が黒くなりません。
夏に手のひらと甲の肌の色があまりにも違いすぎて嫌になる経験が多くの方にあるかと思いますが、それはメラノサイトの量の問題だったのです。
手のひらを太陽にかざして紫外線を取り込みましょう
手のひらはメラトニンが少なく、日焼けしにくいという特性を利用して、手のひらで日光浴をして紫外線を取り込みましょう。
ちょっとした短い時間でこまめに何回か手のひらに日光をとりこんでいくなど、無理なく続けられると良いですね。
日焼けを防止しながら紫外線をとりこんで、お肌も赤ちゃんも大切にしていきましょう。
日焼けのしすぎも身体にとって悪影響
紫外線がいかに重要か、ということについて説明しましたが、日焼けはやはり身体に害をもたらすものでもあります。
特に妊娠中は「紫外線を取り込みましょう!」より「紫外線には気をつけて下さい」と耳にした妊婦さんの方が多いかと思います。
どうして紫外線が良くないと言われてきたのか説明しますね。
妊婦さんのお肌は敏感!肌荒れしやすくなる
妊娠することで女性の体内ではホルモンの大きな変動がおこります。そのために肌が敏感になることがあります。
妊娠初期など、とくに掻痒感があるかと思いますが、そではホルモンの変動でお肌が敏感になっているからです。
そのため、いつも使っていた日焼け止めクリームで肌荒れするようになったり、紫外線を浴びることにより、妊娠する前よりもシミや吹き出物が出やすくなってたりするのです。
妊娠中は敏感肌用やベビー用の日焼け止めクリームを使ったり、帽子などの「日焼け止めクリーム以外」の日焼け対策をする必要があるのです。
日焼け止めクリームはお腹にぬって大丈夫なの?
日焼け止めクリームは注意書きに記載がとくにない限り、お腹にぬって大丈夫です。
日焼け止めクリームを塗る頻度はその商品に特に注意書きがない限り、パッケージに記載してある頻度(だいたいの日焼け止めクリームは2から3時間もちます)で使用して大丈夫です。
ただ、お肌が敏感だったり、妊娠後期でお腹が大きく皮膚が薄くなっている、と気になる方は敏感肌用や、妊婦用品を扱っているメーカーのものを使用することをおすすめします。
また、お腹が日焼けすると赤ちゃんまで日焼けするのでは、と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
紫外線は皮膚の表面にあるメラノサイトに反応します。身体の中にまでは入りませんので、赤ちゃんが日焼けすることはありません。
赤ちゃんの日焼け対策の仕方も予習しておきましょう!
妊娠中から、赤ちゃんの日焼け対策にもちょっとだけ予習をしておきましょう。
赤ちゃんのお肌は薄くバリア機能が不十分で、とてもデリケートです。将来のシミやシワ、免疫機能を低下させるなど、様々な身体の悪影響があるとされています。
とくに赤ちゃんの場合だと、UVBという紫外線に弱いです。これは免疫力を低下させ、皮膚癌や白内障の原因になります。
また、最近ではベビーカーにUVカットといった外出する際に活躍するベビー用品でUV対策用のものも販売されていますので、そういったものも活用すると良いですね。
紫外線と仲良く付き合って出産を迎えましょう
何度も繰り返します、紫外線は人間が生きて行く上でとても大切です。しかし、日焼け、シミ、皮膚癌など、デメリットをもたらしてしまうこともあります。
私たちが健康に生きて行くためには「適量を守る」ということがとても重要になります。やりすぎも、やらなさすぎもいけません。
適量な紫外線をとり、元気な赤ちゃんを出産し、親子で健康な毎日を過ごせることを願っています。