妊婦の便秘薬の種類・効果・影響。病院での処方薬を必ず使おう!
妊娠中は、赤ちゃんを守るためにホルモンが働き便秘になりやすくなります。でも、なかなか出ない便でお腹が張り、おなかの赤ちゃんに影響をあたえていないか心配になりますよね。
実は妊娠中のママの便秘が、自然分娩のお産のときに生まれてくる赤ちゃんに影響を与えることがわかっています。
その場合、出産までに自分の便秘をできるだけ改善しておかないと!と思いませんか?
ママの便秘や便秘薬の効果や胎児に与える影響を紹介します。妊娠中の便秘で悩んでいる方は、ぜひ出産までに便秘を改善してくださいね。
この記事の目次
便秘が胎児にもたらす影響は、出産時の腸内環境にあります
薬に抵抗がある方は、服用せずに他の対策で便秘を改善しようとしても問題はないのですが、分娩の際には影響があるかもしれません。その為、陣痛時に下剤を処方する産院もあります。
赤ちゃんは出産の際、産道を通ってお腹から出てきます。
守られていた子宮から赤ちゃんが初めて出る時が出産であり、その際産道で赤ちゃんは口から菌を取り入れてしまうのです。
産道の環境は、ママの腸内環境ととても類似しています。便秘によって最近が増えてしまった産道を通る赤ちゃんは、直にその細菌を摂取してしまいます。
そして、出産時に取り入れた細菌がそのまま胎児の腸内に入り、赤ちゃんの腸内環境を作ってしまうのです。
「赤ちゃんの為に薬に頼りたくない」という気持ちはママとして当然ですが、妊娠後期にさしかかったら、腸内環境を整える為にも薬に頼る方が赤ちゃんの為には良いかもしれません。
妊娠前~妊娠超初期の下剤使用について
普段から便秘症の女性の中には、コーラックなどの市販薬に頼っている方も多いですね。
妊娠初期や妊娠を知る前にそれまで使っていた下剤が赤ちゃんに影響がないのか…と不安になると思いますが、基本的に心配はないと言われています。
妊娠判明前のコーラックの服用が、胎児の奇形や障害につながったという報告はないとされています。
ただしコーラックも刺激性下剤なので、妊娠判明後の服用はやめましょう。産婦人科での検診のときに便秘であることを伝え、先生が処方した薬を使うようにしてくださいね。
妊娠中の便秘は産婦人科で処方のものを!よく出される便秘薬と影響
妊娠中に処方される便秘薬ですが、まずは、酸化マグネシウム・漢方薬・水に何滴か混ぜて飲む液体タイプの薬を出されている人が殆どのようです。
作用がおだやかで、胎児に影響の少ない便秘薬なら、妊娠中でも使うことができます。
それでも効かない場合、医師が判断した錠剤を処方されます。
皆様が心配な点は、やはりそれぞれの薬の強さや影響だと思います。各便秘薬の効能や影響を詳しくみていきましょう。
「マグミット」「マグラックス」…酸化マグネシウム
主成分がマグネシウムの薬は、便秘に悩む妊婦さんに、まず出される初歩的なお薬です。マグミット錠又はマグラックス錠という名称のお薬です。
便の水分量を増やして腸の蠕動運動を起こりやすくする薬です。自然排便に近い形なので、妊娠中でも安心して使用できます。
ただし、長期間服用すると「高マグネシウム血症」になる可能性があります。妊娠中の一時的な使用にとどめ、薬に頼らずに排便できるようにしましょう。
- 効果
-
便の水分を調整し、硬い便をやわらかくしてくれます。多めの水と一緒に服用するとより効果が高まります。
- 影響
-
癖になりにくく、穏やかな効き目なので、他の便秘薬と併用して処方されることもあります。
妊娠中のみの服用なら特に副作用はありませんが、長期間大量に服用を続けていると塩類を含んだ薬であるため腎臓を悪くすることがあります。
血中のマグネシウム濃度が高くなると、高マグネシウム血症と言って、不整脈や血圧低下・筋力低下などの症状が出ることもありますので、容量や使用期間には注意が必要です。
「ラキソベロン」…液体の便秘薬
液体の便秘薬にラキソベロン液というものがあり、それを出されている妊婦さんが多いようです。
大腸を刺激して排便を促す刺激性下剤ですが、作用が穏やかなため妊娠中でも使うことができます。
服用後7~12時間で便意を感じることができます。服用を続けると刺激を受けないと排便できなくなってしまうので、頼りすぎはNGです。
副作用が少なく安全性が高い点で妊婦さんに多く処方されています。ラキソベロンは、錠剤タイプもありますが、水と一緒に服用するという点から液体タイプを処方される方が多いです。
- 効果
- 大腸に刺激を与えることで、便通を促してくれます。
- 影響
-
他の大腸に刺激を与える同タイプの下剤と比較すると作用が穏やかで安心です。
しかし、長期間服用を続けると癖になってしまい、自力で便通を促すことができなくなってしまいますので、その点は注意が必要です。
妊娠中に限った服用でしたら問題はありません。
「桂枝加芍薬湯」や「小建中湯」…漢方
医師の判断で、漢方(桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、小建中湯(しょけんちゅうとう))などを処方されている人が多いようです。
- 効能
- 桂枝加芍薬湯・小建中湯は便秘にも下痢にも効き目のある整腸剤のようなものです。
- 影響
-
虚弱体質の人にも処方される薬であり、重篤な副作用はめったにないのですが、副作用としては、体重増加・浮腫み・手足のしびれなどがあるようです。
医師の指示通り服用していれば問題はありませんが、服用すると倦怠感や浮腫み・腹痛・吐き気など副作用が見られることがあります。
便秘の改善云々ではなく、副作用の症状が表れたら、医師に相談し他の薬に変えてもらいましょう。
「新レシカルボン座薬」…腸を刺激する!
肛門に薬を入れると二酸化炭素が発生し、腸を刺激して蠕動運動を促します。15~30分で効果が現れます。
副作用や依存性が少ないため、妊娠中でも使用することができます。便秘の辛い症状をすぐに改善できる即効性があります。
その他、大腸刺激系便秘薬
マグネシウム系便秘薬、ラキソベロンを試しても効果が見られない人には、アローゼンやプルセニドという薬を出される人がいます。
アローゼンは顆粒タイプの薬でプルセニドは錠剤です。
- 効果
- 大腸を刺激します。効果は下剤の中でも強めです。
- 影響
-
アローゼンもプルセニドも主成分がセンナです。センナが入っていますので、基本的に妊婦禁忌の薬です。が、妊娠周期や妊婦さんの状況から判断して医師が最少量を処方することがあります。
医師の指示通りに服用していればまず問題はありませんが、腹痛や下痢を起こした場合は、使用を中断しすぐに医師に相談しましょう。
長期間服用することで、便意を自力で感じにくくなることがありますので、妊娠中の服用と考え、長期間服用・乱用は避けましょう。
実際に病院の点数制を用いて、便秘薬の影響を解説!
いくら「医師の指示通りであれば、服用していても母体や胎児に影響がない」と言われても医学的な根拠がないと不安になりますよね。
東京にある虎ノ門病院では、妊娠中に服用する薬の危険度を点数化しています。この点数化は長年の研究・動物実験・症例報告に基づいてされているものであり、多くの医療機関が参考にしているものです。
総合点数制では、点数が高ければ高いほど胎児に影響があると考えられています。
このような算出方法で危険度を出します。
服用していた時期の危険点数は下記の通りです。
時期 | 危険点数 |
---|---|
妊娠27日まで | 0点(無影響) |
妊娠28日~50日まで | 5点(薬物の影響を受けやすい時期) |
妊娠51日~84日 | 3点 |
妊娠85日~112日 | 2点 |
妊娠113日~出産 | 1点 |
次に、薬の危険点数ですが、処方される便秘薬の中でも強いプルセニドは危険点数が1点です。
服用時期の危険点数と薬の危険点数を掛け合わせて出た点数が総合危険点数となります。
総合点数 | 影響 |
---|---|
0-6 | 胎児への影響はまったくなし |
7-11 | 動物実験レベルで奇形報告があるものの、人では奇形の可能性はまずないと考えられている。 |
12-19 | 胎児への影響は数パーセントだが考えられる。 |
20-25 | 胎児が奇形となる可能性がある。 |
例えば、妊娠35日目にプルセニドを服用したとします。
服用時期危険度5点×薬剤危険度1点=6点
上記の計算により、総合危険度は6点で、胎児への影響は全くないと考えられるのです。
愛知県名古屋日天白区にある松田内科医クリニックでも、虎ノ門病院の総合点数制を参考にされており、妊婦さんにプルセニドを継続して処方したことがあるようです。
聖子さん(仮名,32才)は,元来元気な女性です. 今回がはじめての妊娠で,現在16週です. 日頃から便通が遠く,便秘薬が欠かせませんが,胎児への影響を考え妊娠中は薬はのまずにすまそうと,水分を多く取ったり,食物繊維の豊富なキノコ,海草,豆類をとり,がんばってきました. しかし,この10日間便通がなく,薬物療法の可否について相談に来院されました. 弛緩性便秘症と診断がついたため,プルセニド2錠を処方しました. 翌日には排便があり,その後は,産婦人科の先生とも相談し,妊娠に差し支えない程度の運動(妊婦スイミング)と食事療法とあわせプルセニドを継続して服用してもらうことにしました.
危険度総合点数は服用時期危険度点数(3点=妊娠16週)と薬剤危険度点数(1点=プルセニド)をかけあわせて3点であり,危険度は薬を飲まなかった場合とかわりなく,安心して治療を続けてよいと考えられました. その後は,2日に1度は排便があり,あかちゃんも順調な経過です.
実は、薬を全く服用したことのない妊婦さんから先天性異常のお子さんが生まれる確率も数%あります。
日本医薬品情報学術大会での資料にも下記のように記されています。
日本母性保護産婦人科医会の統計によれば、薬剤を服用していない健常な妊婦であっても、およそ1%の出生児に何らかの外表奇形が生じたことが報告されている。その後にわかる内臓の奇形なども含めると、少なくとも出生児の2~3%に何らかの先天的異常が生じると考えられる。
お腹の赤ちゃんのことを想い、薬に対して神経質になることも「母性」と言えますが、そこばかりに神経を使い妊娠期間をストレスフルに過ごす必要もありません。
ママのストレスの方が赤ちゃんに悪い影響を及ぼすこともあります。
万が一、医師に処方された通りに薬を服用したにも関わらず、先天的な異常を持つ子が産まれたとしても、それはママの責任ではないのです。
総合点数制による薬物の危険性ですが、便秘薬(プルセニド)が1点に対し、アルコールは4点になります。
薬だけでなく、妊婦さんが口にするものや口にする時期の影響を考えて、マタニティライフを送る必要性があるのです。
便秘症の妊婦さんは注意!お腹の痛みや張りは便秘薬だけが理由ではない!
便秘薬を服用してから、服用前には感じなかった痛みや張りを感じ出したら、医師に相談しましょう。便秘薬による子宮収縮が起こっているのかもしれません。
便秘薬を処方することによる早産や流産は、医師から言われた容量・服用回数を守っていればまず起こりません。
市販の便秘薬が家にあっても飲む前に医師に相談を!
何日も出ていなくて苦しい…。そんな時、妊娠前から常備している便秘薬があれば飲んでしまいたくなるかもしれませんが、かかりつけの医師にまずは相談しましょう。
自己判断で飲むことは絶対にやめてください!便秘薬の成分には妊娠中服用するのに適さないものが含まれているものもあります。
添付の説明書には妊婦さんの使用を控えるよう書いてある薬も多いです。
妊娠中に禁忌されている成分が含まれ早産や流産を引き起こす可能性も!
妊娠中に使用を控えたい便秘薬は「刺激性下剤」とよばれるものです。大腸に刺激を与えて排便を促すもので、子宮を収縮させる恐れがあります。
特に、アントラキノン系の薬には子宮収縮作用があり、流産の危険が高くなります。
センナやアロエから作られる成分である「センノシド」を含む「アローゼン」や「プルゼニド」があります。
植物由来で身体に優しそうに感じますが、腹痛とともに下痢状の便が出る強い下剤の作用があります。また、使い続けると薬に頼らないと排便できないようになってしまいます。
浣腸の使用にも注意が必要です。肛門から注入された薬剤が腸に刺激を与えて排便を促す際に、大腸がけいれんを起こし子宮を圧迫して流産につながる場合があるからです。
これらの薬は妊娠中でも処方される場合があります。服用の際はお医者様とよく相談し、決められた使用量を守って一時的に使うのがよいでしょう。
便秘薬の服用を避けた方が良い時期がある!
自己判断で便秘薬を服用しない方が良い理由は、成分だけの問題ではありません。妊娠の時期にもよります。
どんなに安全な成分の便秘薬で、もできるだけ服用をさけたほうが良い時期があります。妊娠4週~7週の妊娠初期と呼ばれる時期が特にそうです。
この時期は、殆どの人が「自分が妊娠した」ことに気づく時期でもあります。悪阻に悩まされる時期でもあります。
なぜこの時期が服用を避けたほうがいいのか?それは、この時期は胎児の重要な器官が形成される時期だからです。
脳、内臓、骨、手足・目・中枢神経などの主要器官がこの時期に形成されていくデリケートな時期なのです。よって、ママの腸に刺激を与えると子宮にも振動が伝わって流産する危険性も…
母体と赤ちゃんをつなぐ胎盤から薬の成分が赤ちゃんへと伝わり、発育に悪影響を与える可能性もあるため、妊娠中は便秘薬は使用を控えましょう。
心配な方は8週目以降、11週目くらいまでは服用を避けましょう。胎児の重要部分は形成されていますが、この時期も手足の細かな部分などの形成がされる時期なのです。
ただし、いくら服用を避けたいからと言っても我慢は禁物です。
便秘によって痔になるなどの症状が現れた場合は、無理せずかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
便秘薬を飲まず我慢するのがどんな場合でも最善という訳ではない!
薬に頼らず便秘を解消できたらベストなのですが、妊娠中はホルモンバランスが不安定な「特別な時期」でもあります。
薬を服用する時期や薬の強さによって、影響を考えなくてはならないこともありますが、医師の処方通りに服用していれば問題はありません。
便秘が理由で動けない日が続く、痔になってしまう、イライラしてしまうなどの方がストレスが溜まってしまい、便秘を悪化させたり胎児に悪影響を与えることがあります。
処方された薬を飲むか否かは、最終的に「自分が決めること」ではありますが、ストレスフルなマタニティ生活を送ることはおすすめできません。
また、出産が近い周期に入っても便秘が続くようでしたら、産道の環境を整える為にも我慢せずに医師に処方された便秘薬を服用する方が良いでしょう。
自分の心の声を大切にして、少しでも便秘を解消できますように!そして、胎児とのかけがえのない妊娠生活を共に過ごしていきましょう。
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木村しすがさん
排卵日にセックスしたあとセンノシド錠剤はのんではいけないのか
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