匂いに敏感になり気持ちが悪くなる…匂いつわりの原因と症状について
妊婦さんの多くが経験するトラブル「つわり」。色々なつわりがありますが、妊娠するまでに全く気にならなかった「匂い」に対して敏感になり気分が悪くなってしまうのが「匂いつわり」です。
症状が重くなると、重症妊娠悪阻になってしまうから油断はできません。
なぜ急に匂いに対して気になってしまうようになるのか?その原因について見ていきましょう。
この記事の目次
匂いつわりには、hCGホルモンの分泌が深く関わっている!
実は、においつわりを始めその他のつわりの症状の原因はよく分かっていません。つわりは人によって個人差が大きく、原因の特定が難しいからです。
感じる人は入院が必要なほどつらい思いをしますし、全く感じない人は妊娠初期から後期まで変化なく生活できるなど。
人によって実に様々な反応を示すのが妊娠中の体なのですね。ですから原因ははっきりわかっていません。でも仮説はいくつか考えられています。
そのもっとも大きなものが、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンの分泌と関係しているというものです。
ヒト絨毛性ゴナドトロピンとは、妊娠に必要なプロゲステロンの生成に働きかけるホルモンです。妊娠を継続させるのに必要なため、妊娠が確定すると分泌されるようになります。
そのため、hCGとつわりの間には深い関連性があると考えらえています。しかしhCGが分泌されてもつわりが起こらない場合もあるので、これだけが原因とは断定されていません。
hCGホルモン以外の匂いつわりの原因は主に3つ
ヒト絨毛性ゴナドトロピンの他にも、においつわりの原因と考えらえれているものは主に3つあります。
いずれもホルモンの影響が考えられるものです。妊娠すると女性ホルモンの量は自然に増えますから、においつわりも体の自然な反応と言えるかもしれません。
女性ホルモンのエストロゲンの影響
妊娠をすると、女性の体からはエストロゲンが分泌されるようになります。これは女性ホルモンの一種で、生理周期を作ったり妊娠への働きかけをするホルモンです。
女性は第二次性徴の時にこのエストロゲンの分泌が盛んになります。それまで男の子と変わらなかった身体が女性らしく変化して行きます。
このためエスロトゲンは女性らしさのホルモンと呼ばれていて、美容の分野でもエストロゲンを増やす方法が注目されています。
しかし、エストロゲンは妊娠以外にも人の体へ大きな影響力を持っています。それは欲求をコントロールするという作用です。
そのため、エストロゲンは意欲のホルモンとも呼ばれています。エストロゲンの働きによって感覚が敏感になるので、あれがしたいこれがしたという意欲が活発になるのです。
ですのでエストロゲンの働きが鈍った人は、意欲も減退して精神的にも落ち込んでしまうと言われています。
そのため、嗅覚も敏感になりいろいろな匂いに対して体が反応しやすくなるのです。臭い全般が駄目になってしまうのはこのようなメカニズムからなのです。
自律神経の乱れによる影響
ホルモンバランスの乱れの影響のもう一つに、自律神経の働きが乱れるというものがあります。
- 自律神経
- 自分の意思では動かせない筋肉の運動や、様々な腺の分泌を担っている神経。交感神経と副交感神経の二種類がある。
交感神経は戦闘の神経とも呼ばれ、脈拍を活発にさせたり心肺の働きを強くする効果がある。
副交感神経はリラックスの神経であり、呼吸を落ち着かせ体を安定させる。
この自律神経の働きは健康と大きく関わっています。心臓や血管を動かすための神経なので、働きが乱れると様々な病気の原因になるのですね。
妊娠中は体の中のホルモンのバランスが崩れるので、自律神経も影響を受けて乱れやすくなります。
そのために感覚をつかさどる神経の働きも邪魔をされ、嗅覚が敏感になるという仮説があるのです。
お腹の赤ちゃんを守ろうとする自然な反応
人の体はそもそも嗅覚が敏感に出来ています。嗅覚とは本来本能的感覚と呼ばれていて、鼻で受けた刺激は直接脳まで届くようになっています。
このように日常生活の中で人は昔から嗅覚の情報に依存する側面が大きかったのですね。それは身の安全を守るためです。
匂いに敏感であるということは、悪臭や腐敗臭に敏感になることです。それは食べ物の峻別に欠かせない能力です。
いい匂いがするのか、嫌な臭いがするのかということを基準に、食べても安全なものか、危険なものかを判断してきたのです。
またガスなどの臭いに反応することでも身の安全を守っていたのですね。生物の体に備わっている知恵と言えるでしょう。
赤ちゃんがお腹にいる時は、その傾向が特に強くなります。胎児を守るために、危険は出来るだけ避けなくてはならないですから。
そのために嗅覚が敏感になって行きます。感覚が鋭くなることによって、嫌な臭いを感じやすくなるのと、臭い全体に対する反応が大きくなってしまうのです。
シャンプーや洗剤などももちろん化学物質から出来ているものが多いです。そのため、自然由来でないものに対して嗅覚の拒否反応が出てしまうのです。
人によってダメになるものが違う!においつわりの症状
においつわりは、人によって受け付けられなくなる匂いが異なります。よく聞くのは「炊き立てのご飯の匂い」です。
温かく湯気の出ているものは匂いを発しやすいので、炊飯中や炊き立てのご飯の匂いがダメになる人は多いのです。
他にも色々ありますが、においつわりの人が苦手とするものの一例を挙げてみました。
- タバコ
- 生ごみ
- スーパーの生鮮売り場
- 冷蔵庫
- キッチンやお風呂場の排水溝
- 整髪料、化粧品、香水
- 洗濯用洗剤、柔軟剤、食器用洗剤
- 旦那
- とにかく匂いのあるもの全て
煙草や生ごみはもともと良い匂いではないので、納得なのですが柔軟剤や香水など「良い香り」と思われていたものさえもダメになる人がいます。
「旦那の匂いがダメになる」というのは、双方にとって切ないですよね。ご主人のことが嫌いになって受け付けないわけではないのですから。
症状の出方としては「吐き気」や「実際に吐く」などが多いようです。中には「食べ物の匂いが気になり、食事ができない」という人もいます。
他のつわりと同様!においつわりは続いても16週頃まで
においつわりはいつまで続くの?と不安に思いますよね。
ご主人の匂いがダメになった方は「いつまで旦那を避けなきゃいけないの?」と悩んでいることでしょう。
においつわりも他のつわりと同様に、妊娠初期から11週までにピークを迎え、16週頃までには落ち着いてくる人が多いようです。
安定期に入ると「あれ?あんなに気になっていた匂いを感じない!」と思えてきます。
しかし、妊娠した女性が必ず16週までに安定期を迎えるのかというとそうではありません。こればかりは個人差があります。16週以降もつわりに悩まされる方も当然いらっしゃいます。
16週頃は、1つの目安としておきましょう!
長引くつわりに悩む方は、次回の妊婦検診を待たずにかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
併発した悪阻がある場合は要注意!妊娠悪阻になる可能性
においつわりだけでなく、吐きづわりを併発している方は栄養不足に陥っている可能性があり、妊娠悪阻になる可能性もありますので要注意です。
妊娠悪阻とは、つわりが悪化した状態を言い、点滴や入院などの治療が必要となります。
下記のような症状が出ていたら、妊娠悪阻かもしれません。我慢せずに受診しましょう。
- 一日に何度も吐く
- 水も飲めない
- 便秘になる・尿の回数が減る
- 体重が減少する
- 頭痛・めまい・倦怠感・口の渇きなどの症状が見られる
身体が脱水症状に陥ってるにも関わらず、水分が摂れない場合は点滴で補うしかありません。
妊娠悪阻が更に重症化すると、意識障害や肝機能障害などを引き起こしてしまい、妊娠を継続させることが難しくなります。
妊娠継続が難しいと判断されると、母体の安全性を考慮しやむを得ず人工中絶ということも考えられますので、重症化する前に病院に行きましょう。
自覚症状がなくても、身体は脱水状態・飢餓状態になる可能性もありますので、体重や便・尿の回数はチェックしておきましょう。
原因が分かったら対策できる!できることから始めていこう
匂いつわりの原因はまだはっきりしたことは言えませんが、ホルモンの働きに因る嗅覚への影響が大きいようです。
つわりの諸症状には赤ちゃんを危険から守るという側面があります。臭いに対する感覚は脳へとダイレクトに届くような仕組みになっているので、臭いによる危険のサインは気づくのが早いのです。
それだけに匂いに敏感になると、より危険なものを遠ざけやすくなるのですね。すべてはお腹の赤ちゃんの安全のためなのです。
お腹の赤ちゃんのことを考えると、つわりが軽くなると保健師さんにアドバイスされました。辛くなったら子供のことを考えて気持ちを強く持ちましょう。
そしてこの匂いつわりに対しておすすめの対策についてはこちらに詳しく載っていますので、読んでみてくださいね。
▼匂いつわりにおすすめの対処法についてはコチラも参考にしてみて!
少しでも症状が軽減しますように。
MARCH(マーチ)では、妊娠や子育ての先輩たちが、ためになる情報を毎日配信しています!新米ママ&パパはぜひご覧ください♪
まだデータがありません。