必要?不要?改めて見直す「お薬手帳」と「シール」の重要性
薬を処方された時に渡される「お薬手帳」や、それに貼るシール。皆さんは活用していますか?お薬手帳は、処方された薬の量や飲み方、副作用についての情報が記載されて、自分で管理するようになっているもの。お薬手帳やシールを断ると、医療費が数十円節約できると話題になったのも記憶に新しいところです。
たしかに、1回につき数十円でも積み重なれば大きいもの。節約したいと思うのも無理はありません。でも、本当に断ってしまって良いものなのでしょうか。「お薬手帳」と「シール」の役割と重要性を改めて見直してみませんか?
どんな情報を管理しているのか
まず、お薬手帳で管理する情報を見ていきましょう。大きく分けると次のようになります。
・処方薬に関する情報
調剤日、調剤薬局名、処方箋を発行した医療機関名、薬の名前、用量・用法・日数など
・服用する患者自身に関する情報
副作用歴、アレルギー歴などの注意点や、おもな既往症など
どれも、処方薬が入っている袋を見れば分かることや、自分で把握していれば問題なさそうな情報ばかりのように思えますよね。たしかにここだけ見れば、わざわざお金を払って発行してもらう必要はないような気もしてきます。
どんな利点があるのか
お薬手帳の利点は、薬の服用歴や副作用について、正確な情報を伝えられるということにあります。自分で薬の情報や副作用歴などを全て伝えるのは難しいですが、お薬手帳の記載事項を見せれば、すぐに把握してもらうことができます。
特に、かかりつけ以外の病院を受診するような時には、正確な情報を伝えることは重要になってきますよね。さらに、そこで新たに薬の処方を受けることになれば、お薬手帳がさらに重要な役割を果たすことになります。
新しく処方される薬と現在服用している薬との飲み合わせは大丈夫か、同じ薬効のものはないか、などを細かくチェックしてもらうことができます。
もし、薬の詳細な情報が伝えられないと、飲み合わせの良くない薬を出されて重大な副作用が起きたり、効果が同じ薬を処方されたりする可能性があります。
自分が過去に副作用を起こした薬や、アレルギーの有無などもすべて伝えることができ、新たに処方される薬のために副作用やアレルギーが起きるのを避けることができます。
お薬手帳を持っていないがために重複する薬を知らずに処方されたり、副作用やアレルギーに苦しむことになったりする可能性があることを考えると、数十円でこれらのリスクを回避できるお薬手帳とシールには、充分に意義があると思えてきませんか?
数十円を節約しようとしたばっかりに、重複する薬を知らずに処方されたり、副作用やアレルギーが起きて再度受診することになったりしては、却って大きく損をすることになります。
自分の身を守るためのお薬手帳
お薬手帳は、自分の身を自分で守るためのものだということが、お分かりいただけたでしょうか?お薬手帳を持っていないがために、飲み合わせの良くない薬を処方されてしまい、重大な副作用に苦しむことになった例も実際にあるのです。
そうならないためには、薬に関する自分自身の情報を、自分でしっかりと管理することが大切です。節約をとるか、安心・安全をとるか。お薬手帳を所持するか断るか、この機会にぜひもう1度考えてみましょう。