話せない子供の場面緘黙症とは?人見知りの子どもとの相違点
場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)という病気を知っていますか?実はとても見つけにくい病気なんです。
多くの子どもがいる中で、人見知りや恥ずかしがり屋な子は珍しくありませんよね?
でも、ちょっと激しすぎるなと思ったら、一度受診されることをお勧めします。
何より、お子さんの精神面がとても楽になり、大切な幼少時代の生活を明るいものにしてあげられるます。
どうか、ひっそり潜んでいるかもしれない病気に耳を傾けてみて下さい。
この記事の目次
お家と学校では別人のよう。場面緘黙症を見極め点
お家ではよく話し兄弟とも問題なくても、幼稚園や学校へいくと不安な気持ちになり一言も話さない、または一言二言しか話さない、という子が場面緘黙症の典型的な子です。
国内では200人に1人いるといわれています。ちょっとした人見知りや、恥ずかしがりやに比べて、症状が激しく、数年経っても同じ状態で自然に回復しない。
ひどい子は、強烈な不安感から体が硬直してしまう緘動(かんどう)という症状が出てきてしまう子もいます。場面緘黙症のお子さんの心は、いつもとても不安で一杯です。
場面緘黙症のチェック項目
場面緘黙症の子どもの中には家族の中でもあまり話すことができない子もいたりするそうです。
そういう子は、筆談したり、指を指示したり、擬声語を使って話したりすることもあるんだそうです。年齢が低い子は、癇癪を起こしたり、つきまとったりすることもあるそうです。
- 学校や幼稚園、保育園などある特定の状況では、無表情で全く話すことが出来ない。
- 症状が一か月以上続く
- 言葉を知らなかったり、話すのが下手だから話さないという理由ではない
- 学校でご飯が食べられない・トイレにいけない(家庭では大丈夫)
- 学校での成績、職場での成績や評価が疾患によって、著しく低い
- 不安で、体がこわばってうまく動かすことが出来ない。
気持ちの上ではやりたいのに、できない子ども
誤解されていじめに繋がってしまったりして、本人は相反する気持ちをコントロール出来ず、それはそれはとても苦しいのです。こんな問題が起きやすくなってしまいます。
- 人間関係が築けない
- 社会貢献活動に参加できない
- 地域のイベントに参加できない
- 学校の行事に参加できない
親のせい?環境のせい?場面緘黙症の原因
もともと、内向的な性質を持ち合わせていたなど、多くの子が先天的に不安な気持ちになりやすいそうです。
脳科学的な観点からいうと、扁桃体という部分が過剰刺激されているからと考えられているそうです。
はっきりとした原因については、欧米に比べて日本での研究はまだまだ発展途上で、症状のあるお子さんに対しての支援はまだ不十分とのこと。
また、親御さんの育て方が原因という可能性は近年否定されているとのことです。
入園、転校、けがなどの出来事が引き金になる
不安になりやすい性質のうえに、病気を引き起こす環境・原因も影響するようです。
- 入学・入園・転校や引っ越しなどの環境の急変
- いじめ、病気、けがなどの恐怖体験
- 先生からの叱責・体罰
- 両親が外国語を話す・言語がことなる国に暮らす子供
- 感覚過敏(好き嫌いが激しい。食べ物・衣服など。音・光の敏感)
症状の特徴とピーク
場面緘黙症のアウトラインをまとめてみるとこんな特徴があります。
- 発症する年齢…2~5歳の間で起きやすい
- 発症率:小学生の0.15%
- 症状のピーク:一番ひどい時は12~19歳と言われている
どうでしょう?思い当るお子さんはいらっしゃるでしょうか。
遺伝や他の精神疾患との合併の可能性も
場面緘黙症が元々内向的な性質を持っている子がなりやすいとお伝えしましたが、遺伝の可能性もあるそうです。
また、その他の精神疾患や障害とも併存しやすいとのことです。詳しくみていきましょう。
場面緘黙症と併存しやすい疾患・障害
- 社交不安症…(SAD・社会不安障害・社会恐怖)人前で何かをするのが苦手で、ひどく緊張し、それがひどく苦痛で、逃げてしまう、避けてしまう。
- 分離不安症…(分離不安障害)母親などの愛着をもっている人間や家などから離れることに対して極度に不安に感じてしまう障害。
- 限局性恐怖症…ある特定の対象や状況にだけ激しい恐怖感を持って異常な反応を示す。(高所恐怖症・雷恐怖症など)
- 発達障害…(ASD・自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群、ADHD・注意欠如多動性障害、LD・学習障害)
併存症で最も多いと言われているのは、不安障害などです。さまざまな種類のある不安障害の中で、社交不安症が一番多いとされ、その次に分離不安症、局限性恐怖症が多いそうです。
場面緘黙症の対応は?接し方と幼稚園や学校の対応方法
最近では、場面緘黙症は不安症や恐怖症の一種と考えられるようになってきたようです。
人によって、話せないパターンはそれぞれですが、本人に限って観察してみると症状は一定しているようです。
お家では話せるので、話せないから恐いのではなく、「話しているところを聞かれたり、見られたりすることに恐怖を感じる」ことが多いそうです。
場面緘黙症の子供達というのは、非常に繊細で気を使ってしまうタイプなんだそうです。
まずは、専門の医療機関に行ってみて下さい。そして、よく症状の説明をして貰ったうえで、幼稚園や学校に伝えて、理解を求めることが大切です。
幼稚園・学校の先生にお願いする対応
子どもが1人1人違うように、症状も様々です。その子にあったフォローをよく観察・相談しあいながら進めて行きたいところです。
一番大切なことは、家族と幼稚園・学校側との情報交換です。また、場面緘黙症の子は目立つことをとても嫌がりますので、「目立たないフォロー」を心がけて行きましょう。
学校での出欠席の確認の際には、声を出すのではなく、周りのみんなが手を挙げるようにすれば、自然に手をあげられるといったこともあるようです。
- 連絡ノートを作る
- その子ができるコミュニケーション方法に合わせる(筆談・首ふり・ジェスチャーなど)
- イベントの前には、絵や写真、画像などを使って説明しておいてあげる。実際に足を運ぶことも有効。
おうちでのフォロー
家庭でも、無理やり受け答えを促そうとプレッシャーを与えたりすることは止めましょう。出来るだけ、子どもが安心してリラックスできるような環境を整えてあげましょう。
子供ができるコミュニケーション方法に合わせて意思疎通を取れるようにしてあげましょう。表情で読み取ってあげたりジェスチャー、筆談、イエス・ノーなど。
普通に子供にするように、何かを初めて出来た事には小さなことにでも、大きく褒めてあげると、とても自信につながるようですよ。
また、お家や学校でのフォローを少しずつ行っていき、お家と学校で連携して、人との楽しいコミュケーションの場や、イベントや体験学習の場に連れ出してあげて下さい。
楽しい経験を積んで、自信につなげてあげることがとても大切です。
場面緘黙症の子どもに対する認識と対応で注意すること
場面緘黙症は認知度の低い疾患なので、対応・疾患に対する認識にも間違いや誤解もある場合もあります。間違った認識・対応を挙げてみます。
- 家での育児が原因…過保護、甘やかし、わがままから起因するものではありません。
- 子どもに与えるプレッシャー…「何故話さないの!」という圧力
- 大きくなるにしたがって治っていく…成長過程で話せるようになるという認識
治療法は?受診する科や、薬など
場面緘黙症は一般的に2~5歳の間に発症することが多いのに対して、6~8歳まで、治療や診断はされないのがほとんどのこと。
しかし、早期発見早期治療で、大人になってまで引きずる苦悩が軽減されますので、早めに行動した方が良いでしょう。
- 小児心療内科
- 精神科
- 発達障害外来
専門家が行う治療
- 具体的心理療法
- 薬物療法
- 音楽療法
- 不安症に対しての心理療法
上記の専門外来に行った上で、必要ならカウンセリングを受けるという流れのようです。さらに、下記のような療育を行う施設に行くことで、症状が緩和されることもあるそうです。
- 療育施設
- 発達支援センター
- 情緒障害児短気治療施設
「情緒障害児短気治療施設」は情緒不安、情緒障害児に対して医療的立場で、心理治療を行う場所です。
その内容は生活、教育支援などです。虐待をうけた子供や、不登校の児童も多いそうですが、場面緘黙症から不登校になった子どもいるそうです。
場面緘黙症児の相談先
子育て中のママパパが普段よく利用している施設の中にも気軽に相談できるところは沢山あります。
不安症や発達障害の専門家のお医者さんや心理士、言語聴覚士がいるクリニック・センターにも相談してみても良いでしょう。
- 保健センター…保健師さんが常駐していて、子育てや子供の発達に関する悩みを聞いてくれる施設。市区町村ごとに設置されている。
- 子育て支援センター…保健師さん・看護士さんがいて、子育て家庭の支援をすることだけに設置された施設。
- 児童相談所…お医者さん、児童心理士、児童福祉士が相談にのってくれます。都道府県ごとに設置された児童福祉の機関。
- スクールカウンセラー…各学校現場において、子供や保護者などの心のケアを行う心理職専門の人。教員への指導・教員と連携して親子のサポート・心のケアも行う。
青年・成人になってからの相談先
大人、あるいは青年の場合の場面緘黙症は、すでに症状が固まってしまっていることもあり、電話や対面が難しい人もいるでしょう。
まずはwebでメールのやりとりなどで相談できるところを探すなどしてみて下さい。
精神保健福祉センター…全国にあるので、一度検索してみて下さい。
早期治療すれば克服できる可能性も!
一般的には自意識が目覚める前まで、小学生低学年くらいまでに克服した方が良いとされているようです。
たまに、うまく自然治癒したという人は、環境や本人の努力が運よく回った人であって、それはとても稀とのこと。
思春期以降は必要以上に他人の視線が気になったり、自虐的になったりする心境に陥ってしまったりすることがあるからです。
早く治療を始めて、克服できた人ほど、問題なくコミュニケーションを取れ、社会にうまく溶け込めるようになると言われています。
大半の治療を受けてこなかった人は、心理的苦労を積み重ねて、うつ状態や社会不安障害や、自殺願望の芽生えなどがあり、場面緘黙症によって引き起こされた後遺症となるケースが多いそうです。
人知れず苦労して工夫を続ける子供の手助けを
緘黙症には、2種類あります。「場面緘黙症」と「全緘黙症」です。
場面緘黙症がある限られた場面だけ話せなくなってしまうのに対して、全緘黙症はどんな場面でも話せなくなってしまうのだそう。
話せる子でもであっても、大人に説明するにはまだ不十分な年頃です。説明しようとすることだって、考えにはないかもしれません。
人前で話せないことに苦しんでいるお子さんが居るかもしれません。救い出してあげるためにもこの病気について気になる部分があれば、子供に聞いてみたり相談・受診をすることをお勧めします。
この記事を書くのに参考にさせていただいたサイト様
http://kanmoku.org/kanmokutoha.html
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