【体験談】TTTS(双胎間輸血症候群)のレーザー治療で双子が救われた話
初めての妊娠で思いがけず双子を妊娠しました。ただただ驚きの中、近所の産院では双子に対応しておらず大学病院へ転院となりました。
一卵性の双子を妊娠している間は「双胎間輸血症候群」という病気の危険性があります。医師から説明は受けたときは「どうかその病気になりませんように」と願っていました。
このまま流産してしまうだろうという状況のなか、救ってくれたのは「胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術」というレーザーの治療でした。体験談の紹介です。
一卵性双生児のお腹の様子とTTTSのメカニズム
妊娠8週で双子が判明したとき医師から「一絨毛膜二羊膜性双胎」であること「双胎間輸血症候群の疑い」があることの説明を受けました。
二卵性双生児ではTTTSにならないのです。一卵性特有のこの病気はお腹の様子からそのメカニズムが分かります。
一卵性は受精卵がわかれる時期により3種類発生します。
- 二絨毛膜二羊膜性双胎(DD双胎)
- 一絨毛膜二羊膜性双胎(MD双胎)
- 一絨毛膜一羊膜性双胎(MM双胎)
MD双胎とMM双胎は胎盤が一つです。胎盤内で二人の血管がつながっています。そのため血液を送りあうことになり血流のアンバランスが生じるのです。
受血児 | 供血児 | |
---|---|---|
循環血液量 | 増加した状態 | 減少した状態 |
胎内での様子 | 多血 羊水過多 体重増加 心臓に負担がかかっている状態 |
貧血 羊水過少 体重減少 肝臓に負担がかかっている状態 |
進行すれば子宮内で胎児死亡にいたることもあります。ただ、そのことに怯えるのではなく治療経過を医師に確認し、日々を安静に過ごすことが大事です。
またこの病気は羊水過多で母体にも負担がかかります。私の場合も羊水過多になっており、TTTSの手術と同時に羊水を1リットルほど抜くことになりました。
子供の推定体重を気にする日々
21週にTTTSを発症するまで、慎重に赤ちゃんの体重と羊水の量を確認していました。手術できる期間が限られているので赤ちゃんの推定体重を気にする日々が続きます。
妊娠してからの出来事と双子の推定体重の推移
出産までの5ヶ月ほどが入院生活になりほとんど天井をみているという生活でした。こちらは出来事の推移です。
妊娠週数 | 出来事 | Aちゃんの 推定体重 |
Bちゃんの 推定体重 |
---|---|---|---|
6週 | 地元の産院で 妊娠を確認 |
310 | 260 |
8週 | 双子と判明 翌日に大学病院へ転院 会社を退社 実家で安静に過ごす |
310 | 260 |
18週 | 切迫早産で入院 性別の判明 |
310 | 260 |
19週 | 455 | 366 | |
20週 | 410 | 290 | |
21週 | TTTS発症 転院 レーザー手術 |
500 | 500 |
22週 | 620 | 550 | |
23週 | 660 | 640 | |
24週 | 大学病院へ戻り 引き続き入院生活 |
890 | 870 |
25週 | 1000 | 1000 | |
26週 | 1100 | 1100 | |
27週 | 1200 | 1160 | |
28週 | 1320 | 1300 | |
29週 | 1400 | 1400 | |
30週 | 1600 | 1700 | |
31週 | 1845 | 2096 | |
32週 | 2060 | 2030 | |
33週 | 2100 | 2200 | |
34週 | 記録なし | 記録なし | |
35週 | 帝王切開で出産 | 2490 | 2590 |
切迫早産で入院生活に入りましたが、そのおかげか羊水の量と赤ちゃんの体重を細かくチェックすることができました。
頻繁に赤ちゃんのエコーを確認することができ「50g増えた!」「羊水の量が増えてしまった」と一喜一憂していました。発症してすぐにレーザー手術ができたことは幸いです。
ホッとしたのはレーザー手術が無事に終わったことと、赤ちゃんの推定体重が1000gを超えたときでした。
TTTSの手術のこと 手術できる病院にヘリコプターで移動
TTTSの手術ができる病院は限られています。平成24年当時は日本で8つの病院しかなく、九州の妊婦さんが手術をするときは本州の病院へ移動していました。
大学病院と本州の病院と密に連携をとっていただき、受血児と供血児の羊水量を常にチェックしていました。
21週のエコーの時間、医師が「あ、これはもうなっているね」と厳しい表情でモニターをみて言いました。
そこには大量の羊水の中をプカプカただよう赤ちゃんと、羊水が少なくキュッと窮屈にしている赤ちゃんがいました。私はショックで頭がクラクラして現実味がないようでした。
どちらの赤ちゃんも内蔵に負担がかかっている状態です。このエコーのあと慌ただしく転院の準備が始まりました。
ヘリコプターの音はバタバタとものすごい音量で、付添いの医師が「気分は大丈夫?」と声をかけてくれました。「はい」と返事をするのが精一杯でした。
周りは赤ちゃんと私のことを守ってくれてバタバタしていましたが私は見ていたのは天井や空ばかりです。
夫は手術の書類にサインするために九州から車を運転してかけつてくれました。翌日、数時間の胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術手術を無事終えることができました。
手術台に上がるのは怖かったですが「赤ちゃんが見えますよ」という医師の声を最後に麻酔で意識が途切れました。室内は宇宙船のような最新の医療設備でした。
レーザー手術のその後 帝王切開で双子を無事に出産
無事に手術を終えた後は大学病院に戻りました。安静にする入院生活には変わりはなく「どうか35週までお腹が持ちますように」と願うばかりでした。
そして35週で帝王切開が決まり大学病院で出産しました。産まれた赤ちゃんは二人ともGCUで治療、一ヶ月ほどで状態が安定し退院となりました。
妊娠が判明してからここまでとても長い道のりでした。
関わってくれた医師・看護師・ヘルパーさん、病院食を作ってくれた方々、心配してくれた家族や親族などに感謝の気持ちでいっぱいでした。
誤算は出産がゴールだと思っていたのに「育児の始まり」だったことです。双子の赤ちゃんたちはひっきりなしに泣いて初めての育児は大変でした。
でもそれは嬉しい悲鳴、「胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術」というレーザー治療が受けれて本当に良かったと思います。
どうか安静を心がけてマタニティライフを過ごしていただけたらと思います。



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