夜驚症とは?眠っていた子供が突然泣きわめく睡眠障害
眠っていた子供が突然起き上がり、泣きわめきながら部屋の中を歩き回り話しかけても反応がない「夜驚症」。別名「睡眠時驚愕症」とも呼ばれています。
夜驚症の症状は?病院で治療が必要な病気なのでしょうか。また、子供に多く見られる夜泣きやてんかんとの違いは?
子供の夜驚症について、詳しく紹介します。
この記事の目次
夜驚症の原因は日中の興奮が影響している
夜驚症は何かの病気ではなく、子供に発症しやすい睡眠障害の一つです。通常は成長と共に治まりますが、稀に大人でも発症することがあります。
夜驚症の原因は未だはっきりと解明されていません。現段階では下記が原因として考えられています。
- 子供の脳がまだ発達途中であること
- 日中に受けた興奮が影響していること
夜驚症の原因についてはこちらの記事に詳しく載っています。
夜驚症の主な症状5つ!
夜驚症の主な症状には以下の5つのものがあります。
- 突然起き上がり、泣き叫んだり、大声を上げたりする
- 心拍数が増える
- 呼吸が速くなる
- 大汗をかく
- 嘔吐する
その他、夜驚症について以下にまとめました。
- 起こりやすい状況:疲れているときや発熱しているときなど体調が悪いとき
- 起こりやすい年齢:3~7才くらいの子供に多く、通常、年齢が上がるにつれて自然に治まり12才頃には完治する
- 起こりやすい時間帯:深い眠りに入る入眠後3時間以内に多く発症する
- 症状はどれくらい続くのか:通常30秒~5分程度
夜驚症と夢遊病
夢遊病とは、眠っているのに体が動く睡眠障害のことです。夜驚症と併発することが多いことがわかっています。
夢遊病という名前から、夢を見ながら動き回っていると勘違いをする人が多いのですが、実は夢遊病で動き回っているのは、深い眠り(ノンレム睡眠)の状態のときです。
つまり夢遊病で動いている間、夢は見ていません。
- まだ原因がはっきり解明されていないが、成長途中の脳が原因になっていると考えられている
- 体は動いているが、脳は眠っている
- 入眠から3時間以内に起こり、しばらくすると自分から布団に戻る
- 朝、目が覚めたときには何も覚えていない
- 通常治療は必要なく、成長に伴い自然に治まる
- 突然起き上がって部屋の中を歩き回るだけでなく、着替えを始めたりなど複雑な行動をすることがある
- 話しかけると一応反応する
夜驚症と間違えやすい症状・病気について
夢遊病の他にも、夜驚症と間違えやすい症状や病気などがあります。それぞれみていきます。
夜泣きとの違いは、声をかけたら目が覚めるかどうか
寝ているときに突然泣き出すといえば、赤ちゃんの夜泣きを思い浮かべますが、夜驚症と夜泣きはまったく違うものです。
- 両親が声をかけたり、電気を点けたりすれば目を覚ます
- 泣くだけであって、立ち上がって歩き回ることはない
- 睡眠中、どの時間帯でも起こる
悪夢障害との違いは、夢の内容を細部まで覚えていること
「悪夢障害」とは、強烈な恐怖や不安感を感じる夢を頻繁に見るという、睡眠障害の一つです。何かに追いかけられたり、命を脅かされるような悪夢を繰り返し見ます。
また悪夢障害は、目が覚めたあと、ぼんやりとしか夢の内容を覚えていないわけではなく、細部まではっきりと説明できることが多いのが特徴です。
悪夢障害は子供でも大人でも発症し、大人の場合は子供の頃にいじめられた体験などの心的外傷や精神疾患が影響しているケースがあります。
しかし子供の場合は、その多くは情緒の発達が関係していると考えられ、必ずしも心的外傷が関係しているとはいえません。
- 悪夢を繰り返し見るだけで、泣き叫んだり、起き上がって動き回るということはない
- 目が覚めたら意識がすぐにはっきりする
- 夢の内容を細部まで説明でき、途中で目覚めてからも悪夢の影響による不快感で再び眠れなくなることがある
- 睡眠中、どの時間帯でも起こる
悪夢障害の場合は、夜驚症とは違い、成長と共に自然に治まるとは考えにくい障害です。早めに小児科や精神科への相談が必要です。
てんかんとの違いは見分けにくい
「てんかん」とは、突発的に手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりする痙攣や、手足が突っ張って体が強直する発作などを起こすものです。
てんかんの中には、睡眠中に起こりやすい「睡眠てんかん」と呼ばれるものがあります。
睡眠てんかんの症状には、体の痙攣だけでなく、大きな声で叫んだり、手足を動かすものもあるので、夜驚症と見分けがつきにくいものです。
- 入眠直後、または起きる時間の1~2時間前に起こりやすい
- 寝ている間だけでなく、日中も起こる
てんかんは脳の神経細胞が興奮することで起こる脳の疾患で、脳波に異常が現れるため、脳波検査を受けるとわかります。脳波に異常がなければ夜驚症です。
専門家以外が見分けることは難しいので、心配であれば早めに医師に相談してください。
夜驚症は病院での治療は基本必要なし!成長に伴って自然に治まる
夜驚症と悪夢障害症は、脳が成長途中で未完成であることが原因であると考えられているので、成長と共に自然に治まり、思春期頃までには起こらなくなるのが普通です。
多くの場合、経過観察のみで治療は必要ありません。両親が落ち着いて見守ることが最も大切です。
夜驚症の治療についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
夜驚症を防ぐことはできる?予防法と起きてしまったときの対処法
夜驚症の原因となる日中の興奮には、恐怖や不安だけでなく、遊園地で遊んだ、旅行に行ったなどの楽しかった体験も影響します。
日中に一切興奮しないようにさせることはできませんが、恐怖心やストレスを緩和してあげることは可能です。
引っ越しをして新しい環境にまだ慣れていない、お友達と喧嘩をした、など子供が不安になる原因に心当たりはないですか?
もしあれば、できる限り不安を和らげたり、リラックスさせてあげると夜驚症は起こりにくくなるでしょう。
また怖いテレビ番組などを見せない、などという工夫も必要です。
それでも夜驚症が起こってしまったときは、無理に押さえつけたりせず、治まるまで両親が落ち着いて見守ることが大切です。
また歩き回っているときに階段から落ちてしまったり、外へ出てしまうことがないよう、目を離さないようにしてあげてください。
さらに、ぶつかって物を壊してしまい、それが原因で怪我をすることなどがないよう、壊れやすいものは事前に片付けておくことも大切です。
発達障害と夜驚症との関係性
自閉症やADHD(注意欠如多動性障害)などの発達障害を抱える子供は、そうではない子供に比べて高確率で睡眠障害を引き起こすことがわかっています。
それは発達障害を抱える子供が、睡眠のリズムを確立しにくい傾向があるからです。
- 寝つきが悪い
- 小さな物音でも目を覚ましてしまう
- 途中で一度目が覚めてしまうと眠れなくなることが多い
夜驚症は睡眠障害の一種であるため、発達障害を抱える子供にその症状が起こりやすいのです。
しかし決して、睡眠障害によって発達障害が引き起こされることはありませんので、夜驚症を必要以上に恐れる必要はありません。
夜驚症と発達障害の関係性についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
親が焦らず見守ることが大事!子供の夜驚症と上手に付き合おう
両親が不安な気持ちでいると、その不安が子供にも伝染しやすいものです。
その不安が更に子供の心を不安定にし、夜驚症を悪化させるという悪循環に陥らないよう、焦らずに落ち着いて見守ってあげてください。
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