四種混合ワクチン赤ちゃんへの接種間隔など徹底チェック
四種混合ワクチンは、1歳までの赤ちゃんが受けるたくさんの予防接種のひとつです。定期接種なので、多くの人が受けています。
予防接種が定着しているため、ワクチンが防いでいる病気は大きな流行を見せていません。
「あまり聞かない病気だし、本当に受ける必要があるの?」と感じるママもいるかもしれません。でも、四種混合ワクチンが防いでくれる病気は、今も世界中でたくさんの子どもたちを苦しめ、命を危険にさらしている恐ろしい病気ばかりです。
予防接種をきちんと受けることで、子どもたちの命を守るだけでなく、日本の流行をおさえこむことができます。
予防接種が防いでいる病気について理解することで、ワクチン接種の大切さも納得できますよ。
予防接種ラッシュを上手に乗り切るための接種の受け方や他のワクチンとの同時接種を組み込んだ予防接種スケジュールの立て方、副反応についてなども詳しくご紹介します。
四種混合ワクチンの予防接種の接種時期・タイミングと受け方
四種混合ワクチンは、感染すると大変危険な病気を防ぐための大切な予防接種です。いつから、どんな間隔で接種すればよいのか見てみましょう。
四種混合ワクチン…従来の三種混合にポリオワクチンをプラス
四種混合ワクチンは2012年からスタートした予防接種です。
それまではジフテリア・百日咳・破傷風の3種類を接種する三種混合ワクチンと、ポリオの生ワクチンに分かれていました。
ポリオワクチンが不活化になったことを契機に、四種混合ワクチンへと変わりました。DPT-IPVワクチンとも呼ばれています。
四種混合ワクチンをはじめとする不活化ワクチンは、基本的に他のワクチン接種まで1週間あける必要があります。
中6日なので、例えば月曜日に接種したら、次の月曜日には別のワクチンが接種できます。
四種混合ワクチンは定期接種です。
四種混合ワクチン | 詳細説明 |
---|---|
接種の種類 (定期/任意) |
定期 |
ワクチンの種類 | 不活化ワクチン 4種類の病気に対する混合ワクチン
|
同時接種について | 同時接種可(ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンロタウイルスワクチン・B型肝炎ワクチン) |
接種推奨年齢 | 生後3ヶ月~ |
接種回数 |
|
間隔の説明 | 1期
|
定期接種は自治体からお知らせや問診票などが送られてきます。
定期接種は、定められた時期内に接種すれば無料で受けられますが、時期を過ぎると自己負担になりますので注意してしっかりと管理しましょう。
病気の長期療養などで受けられなかった場合は、自治体に申請すれば猶予期間をもうけてもらえる場合も!忘れずに自治体の窓口に相談しましょう。
3ヶ月のお誕生日に四種混合ワクチンスタート!第1期は計4回
四種混合ワクチンは生後3ヶ月から接種できるようになります。1期と2期にわかれており、1期は全部で4回接種します。2期は11歳になってからの追加接種なので、ここでは1期について詳しく説明します。
1期の4回接種のうち、3回は早いタイミングで続けて接種します。4回目は少し時間を置いてから接種するため、忘れないように気をつけましょう。うっかり接種時期を過ぎてしまった場合は、医師や自治体に相談しましょう。
生後半年くらいは予防接種ラッシュです。中でも四種混合ワクチンは赤ちゃんの命を守る大切なワクチンです。
特に流行する百日咳は大変危険なので、3ヶ月を迎えたら即接種を開始しましょう。
三種混合ワクチン・ポリオワクチンを接種したことがある場合
2012年以前に生まれた子で、三種混合ワクチンおよびポリオワクチンを一度も受けていない場合は、四種混合ワクチンを接種します。
三種混合ワクチンおよびポリオワクチンを一度でも受けたことがある場合は、三種混合ワクチンを追加で接種します。ポリオの接種が完了していない場合は、ポリオワクチンの単独接種を行います。
川崎病によるガンマグロブリン療法の影響などでワクチン接種のスケジュールがずれ込んでしまった場合などは、主治医に相談し、再度予防接種スケジュールを組み直してもらいましょう。
ヒブや肺炎球菌ワクチンと同時接種可能!タイミングをチェック
四種混合ワクチンは、生後1歳半くらいまでの間に4回も接種する必要がある、いわば忙しいワクチンです。赤ちゃんは免疫がつきにくいこともあり、何度も接種する必要があるワクチンはまだまだいろいろあります。
そこで、同時接種が推奨されています。ワクチンは接種後は一定期間あけなければ次の接種が受けられませんが、同時接種できりぬけましょう。
四種混合ワクチンは、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチンなどと同時接種することが可能です。
ロタウイルスワクチンやヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンなどは生後2ヶ月から接種がスタートします。そこで、上手なスケジュールの立て方をご紹介します。多くの小児科で推奨されているスケジュールです。
- 生後2ヶ月
- ロタ1回目・B型肝炎1回目・ヒブ1回目・小児用肺炎球菌1回目
- 生後3ヶ月
- ロタ2回目・B型肝炎2回目・ヒブ2回目・小児用肺炎球菌2回目・四種混合1回目
- 生後4ヶ月
- ロタ(5価)3回目・ヒブ3回目・小児用肺炎球菌3回目・四種混合2回目
- 生後5ヶ月
- 四種混合3回目→1週間後~BCG
生後2ヶ月を迎えたら、即予防接種をスタートします。四種混合ワクチンは生後3ヶ月からスタートするので、同時接種2回目からの開始になります。生後3ヶ月に入ったらすぐに受けましょう。
四種混合ワクチンの2回目は、同時接種3回目にあたる生後4ヶ月目です。四種混合ワクチンの3回目は単独で生後5ヶ月に接種し、その後1週間あけてBCGを受けると時間に無駄なく予防接種ラッシュをクリアできますよ。
生まれたシーズンによってはインフルエンザなどの病気が流行ることもあります。また川崎病など予防接種にストップがかかる病気に感染するリスクもあなどれません。
「3ヶ月になったらそのうち行こう」ではなく、「3ヶ月になったらすぐに行こう!」がポイントです。
うっかり忘れやすい1年後の4回目接種をお知らせしてくれる、予防接種リマインドサービスを活用しましょう。スマホで簡単に登録でき、1歳以降の予防接種をメールやハガキでお知らせしてくれます。
ファイザー:予防接種リマインドサービス
http://www.haienkyukin.jp/remind/index.html
副反応・副作用の危険より、予防接種を受けないリスクの方が危険
四種混合ワクチンを接種した後の副反応・副作用は、接種した場所が腫れる・しこりができる・痛むといったものが挙げられます。
またまれに発熱があることもあります。しかし、ほとんどが自然と数日以内におさまります。
これらの副反応はよくあるもので、健康に重大な影響があるものではありません。2回目以降は1回目よりも強く反応が出ることもあります。しこりが1ヶ月ほど残ることもあります。
ワクチン接種は、副反応・副作用を怖がるママも少なくありません。その危険を避けるために予防接種を受けないという決断をするママもいますが、副反応・副作用の多くは心配いらないものです。
命に関わるようなアナフィラキシーショックを起こすことはごくまれですし、そういった危険を回避するために接種後はしばらく病院・施設内で待機するなどの対策もとられています。
ワクチン接種の副作用・副反応の危険よりも、心臓に障害を残すジフテリアや死に至ることも多い破傷風、手足にまひが残るポリオ、そして流行する百日咳の恐怖の方が重大なので、予防接種が公費で行われているのです。
また、私自身こんな経験をしています。
私は1976年に生まれましたが、実は1975年から1977年に生まれた人が接種したポリオワクチンには不備があり、免疫が不十分になっていると、後年になって判明しました。
私が成人してからわかったのですが、そのとき自治体から「追加接種を受けますか?」と訊かれたので、「受けた方が良いですか?」と質問すると、「ポリオがまだ流行している地域に行く場合は接種した方がよいでしょう」と言われました。
私は当時、何度も中国に渡り、ポリオの発症があると言われる南方にもよく行っていました。そのため追加接種を受けましたが、それまでによく感染せずに済んだな、とゾッとしました。
非常にまれな例ですが、ポリオワクチン接種後に赤ちゃんのうんちから出るポリオウイルスが、免疫が不十分だったママに感染したというケースもあるようです。
ポリオは定期接種になっているだけに、成人してから子どもが「自分も当然接種を受けている」と思い込んでしまう可能性もあります。私のようにポリオがまだ流行している地域に行く子どももいるかもしれません。
また、親になって赤ちゃんがポリオ接種を受けたあと、おむつ替えで感染するリスクもゼロではありません。
我が子の感染の危険を防ぎ、将来世界へ羽ばたく可能性をはぐくんであげるためにも、危険な病気に関する予防接種はきちんと受けるように心がけましょう。
予防接種に行く前に!必要な持ち物と健康状態をしっかり確認
四種混合ワクチン接種に必要な持ち物を一覧表にまとめました。忘れ物がないように充分注意してお出かけくださいね。
- 母子手帳
- 健康保険証
- 印鑑
- 問診票(事前に貰っていた場合)
予防接種には、母子手帳が必ず必要になります。予防接種ラッシュで定期健診も多い生後2年ほどは、常に持ち歩くようにしましょう。
さらに小学生になっても、予防接種では母子手帳を使用します。しっかり保管して予防接種のデータを残しましょう。
四種混合ワクチンは定期接種なので、期間内に接種する際は公費でまかなわれ家庭で負担する費用はありません。百日咳など幼いころにかかるほど危険な病気もあるので、期間内に接種を終了するように心がけましょう。
予防接種が受けられない体調のめやす
- 37.5度以上の発熱がある
- 急性の重い疾患にかかっている
- 前回の小児用肺炎球菌ワクチンでアナフィラキシーショックを起こした
- 川崎病の発症後2ヶ月の急性期
※ガンマグロブリン療法などの血液製剤を受けた場合は、半年~1年ほど接種できない場合があります。主治医に確認しましょう。
四種混合ワクチンを受ける時の注意点と、受けたあとの過ごし方
四種混合ワクチンがスタートするのは、赤ちゃんがまだ3ヶ月という小さな時期です。前日から当日にかけての様子をよく見て、発熱や異常がないか観察しましょう。接種する前の日はお風呂に入って体を清潔に保ちます。
接種後30分は赤ちゃんの体に異変がないか様子を見ます。
できればその場に待機し、何かあればすぐに医師に診せられるようにしておきましょう。どうしても移動しなければいけない場合も、連絡がすぐ取れるようにしておきましょう。
接種した後はこすらないようにします。当日のお風呂・シャワーも問題ありません。接種した場所は清潔をこころがけましょう。また当日は無理をせず、おとなしく過ごすようにしてくださいね。
知れば重要度も納得!四種混合ワクチンで予防できる危険な病気
四種混合ワクチンは、ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオという、非常に恐れられている感染症を防ぐためのワクチンです。それぞれどんな病気なのか調べてみました。
【ジフテリア】心臓や呼吸器に致命的な障害が起きる病気
ジフテリアは、ジフテリア菌という細菌によって発症する感染症のひとつです。近年では予防接種が行われているため非常に少なくなり、最後に国内で感染が報告されたのは1999年です。
しかし、昔はなんと年間8万人もの人が感染していたという非常にポピュラーな病気のひとつでした。しかも致死率が高く、感染者の10%が亡くなっていたという恐ろしい病気です。
ジフテリアは、NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」でも登場しました。主人公である村岡花子がジフテリアに感染し、家族であっても同じ部屋に入ってはならないと宣告されるシーンがありましたね。
ジフテリア菌はたくさんの毒素を出す細菌で、飛沫感染で広がります。ジフテリア菌の保菌者の咳やくしゃみの飛沫に含まれる細菌が、のどの粘膜につくことで感染します。
主な症状は発熱やのどの炎症などです。炎症がひどくなり、のどが白く見えることもあるようです。さらに炎症が悪化すると呼吸の穴がふさがるクループという症状が出て、命に関わることもあります。
さらに心臓の筋肉や神経に麻痺や障害が起きることもあり、心臓の障害のために死亡する例もあります。重症化すると絶対安静が言い渡される重篤な病気です。
日本では滅多に感染する人がいない病気ですが、世界ではまだまだ感染者が出ています。旧ソ連では予防接種のためにほとんど患者がいなかったにも関わらず、情勢不安定のせいで予防接種が行われなくなり、一気に患者・犠牲者が増えたことがありました。
周囲にジフテリアに感染する人がいなくても、感染の危険は常に存在します。外国との交流も盛んな時代を生きる子どもたちのために、しっかり予防接種で防いであげましょう。
【百日咳】今も流行が続く、激しい咳で赤ちゃんの命を脅かす病気
百日咳は、百日咳菌という細菌が原因で発症する病気です。感染力が非常に強く、あっという間に家族や学校・幼稚園といった集団内で感染が広がります。
咳やくしゃみなどの飛沫感染で広がります。あまり耳にすることがありませんが、実は日本でも年間1万人程度の患者が出ていると言われる病気です。
世界ではまだ非常に多くの人が感染しており、発展途上国では小さな子どもたちが感染のために命を落としています。年間20万人から40万人もの命を奪う、大変恐ろしい病気のひとつです。
日本では感染者数・死亡者数が減っているとはいえ、赤ちゃんの死亡率は高く、また家族が持ち込む可能性も高い病気です。さらにママから貰える免疫が弱い病気でもあります。できるだけ早めに予防接種で予防することが大切です。
百日咳は、新生児から感染する危険があります。最初は軽い咳や鼻水といった、一般的な風邪のような症状が出ます。それからコンコンというリズミカルで激しい咳に襲われるようになります。
咳は非常に苦しく、実際に無呼吸発作が起きて命に関わることもあります。特に赤ちゃんはチアノーゼや呼吸停止などのリスクが高く、非常に危険です。マイコプラズマ肺炎と似ていますが、新生児から重症化する点、咳が長引く点などが異なります。
抗菌薬が奏功する病気ですが、咳がひどくなってからではあまり効かなくなるとされています。さらに咳は2~3ヶ月におよび、そのために「百日咳」と名付けられているのです。
ジフテリア同様、現在はあまり耳にすることがなくても、予防接種を受けなくなると日本でも感染率が高まる恐れがあります。赤ちゃんの激しい咳はママもつらい気持ちになるものです。
予防接種でかからないように防ぐ必要のある病気です。
【破傷風】土の中の細菌で発症する、死に至ることもある病気
破傷風は、破傷風菌という細菌が原因で発症する病気です。破傷風菌は土の中にいて、手指などにできた傷口から体内に入り込みます。小さな傷でも発症することがありますし、どこの土の中にも細菌がいます。
庭仕事や畑仕事など、ちょっとしたことでも感染する可能性がある病気です。人から人への感染はありません。しかし予防接種を受けていない世代の人など、年間100人以上の患者が日本でも出ており、死亡例も少なくありません。
また、感染すると全身の筋肉が侵され、けいれんが起こります。最初は口が開きにくくなり、食事がしづらくなって顔がひきつってきます。その後全身の筋肉がけいれんを起こし、背中が極限まで反り返ってしまいます。
背骨が折れることもありますが、痛みなどもありますし、意識ははっきりしているので大変な苦痛に襲われます。免疫もできないため、1度かかってもまた感染する可能性があります。
人から人へと感染するのではなく、土の中に恒常的にいる細菌で感染するため、つねに感染のリスクがある病気です。特に小さな子どもは土遊び・泥遊びを好むので、予防接種が必要です。
【ポリオ】小児まひを起こす可能性のある、風邪のような病気
ポリオは、かつて小児まひと呼ばれていた病気です。ポリオウイルスに感染することで発症する病気です。感染しても、ほとんどの場合は風邪のような軽い症状で終わるか、全く症状が出ないこともあります。
しかし、千人から2千人に1人の割合で、手足にまひが起きることがあります。これが小児まひと呼ばれる状態です。その時には現れなくても、数十年後に急に筋力低下などに襲われることもあるそうです。
世界ではたくさんの患者が出ている病気ですし、日本でも昔は大流行していました。年配の人のなかには小児まひを経験している人も少なくありません。
ポリオワクチンは以前は生ワクチンとして経口接種していました。しかし2012年9月から不活化ワクチンに切り替わりました。
生ワクチンではごくまれに小児まひが起きるケースが報告されていましたが、不活化ワクチンは発症したという報告はありません。
四種混合ワクチンは予防接種の基礎!健康のために接種は計画的に
四種混合ワクチンは健康のかなめとも言える予防接種です。また赤ちゃんの数多くある予防接種の基礎ともいえる注射です。
バタバタする時期ではありますが、3ヶ月のお誕生日をスタートラインに計画的に受けましょう。
主治医に予防接種スケジュールを立ててもらうと安心です。万が一、病気でずれ込んでしまった場合も主治医なら相談しやすいですよね。
四種混合ワクチンはヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン、ロタワクチンなどと同時接種することもできます。
忘れずに受けて、怖い百日咳などの疾病から大切な赤ちゃんを守りましょう。
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