プール熱はアデノウイルス3型感染が原因!子供に出る症状や対策
プール熱は、「咽頭結膜熱」とも呼ばれる病気です。
プール熱という名前からもお分かりのとおり、夏に流行る病気、夏風邪のひとつです。
流行性の感染症というと、インフルエンザやノロウイルスなど冬の病気というイメージがありますよね。
でも、子供たちの間で流行する病気には、プール熱をはじめとするアデノウイルス感染症やヒトメタニューモウイルス感染症など、夏の病気も少なくありません。
特に集団生活をスタートした乳幼児がかかることの多いプール熱について、症状や治療方法などをくわしくご紹介していきます。
この記事の目次
プール熱の主な症状をチェック!重症化や流行期を知ろう
プール熱こと「咽頭結膜熱」は、咽頭、つまりのどと、結膜、つまり目に強い症状が出ること、そして発熱があることが特徴です。
プール熱の主な症状は3つ!高熱・のどの痛み・結膜炎
プール熱は、発熱と目の症状・強い咽頭痛が特徴的な病気です。それぞれの症状について詳しくご紹介していきます。
- 高熱
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39度以上、40度前後の高熱が出る。発熱は5日ほど続く
- のどの痛み
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喉が腫れたり赤くなり、強く痛む
- 結膜炎
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白目部分の充血や涙目・めやにがたくさん出ることもある
この3つが特徴的な症状です。これらがそろえばプール熱と言えるでしょう。
その他にもさまざまな症状が出ます。
- 頭痛
- 腹痛・下痢
- 咳
- だるさ・倦怠感
- 食欲低下
- 高熱とのどの痛みによる水分不足・脱水症状
- ぐずり・機嫌が悪い
高熱・のどの痛みだけでも子どもにとっては非常につらい病気です。
のどが痛いため、水も飲めない子もいます。
プール熱の気になる重症化!肺炎を引き起こす可能性もある
プール熱は、まれに重症化することがあります。重症化すると、肺炎を引き起こします。
高熱が続くため、パパママも心配な病気ですよね。
- 激しい咳が止まらない
- 呼吸が苦しく顔色が悪い
- 5日以上経っても熱が下がらず体調が回復しない
- のどの痛みで水も飲めない
こういった肺炎サインがあったら、迷わず小児科を再診しましょう。夜中や休日に呼吸が苦しくなるなど急を要する症状が現れたら、救急で診てもらうことも必要です。
プール熱と間違えやすい病気…アデノウイルスで起きる病気
アデノウイルスが引き起こすアデノウイルス感染症は、プール熱以外にもいろいろあります。
- 流行性角結膜炎(ウイルス性結膜炎・はやり目)
- 扁桃炎
- 咽頭炎
- 急性胃腸炎
- 肺炎
夏場に発熱しのどが痛む病気ということで、ヘルパンギーナや手足口病・溶連菌感染症にも似ています。
溶連菌感染症の場合はすぐに治療薬を飲む必要があります。またアデノウイルス感染症でも肺炎の危険性があります。
子どもの発熱はよくあることだから…と甘く見ず、かかりつけの小児科を受診しましょう。
プール熱の原因「アデノウイルス」の流行期や感染経路
プール熱の原因であるアデノウイルスの流行時期や感染経路・大人にうつってしまった時の対処法などをチェックしましょう。
プール熱を引き起こす病原体「アデノウイルス」と流行期
プール熱は、アデノウイルスというウイルスの一種が原因で起きる感染症です。特に多いのはアデノウイルス3型による感染です。
実はアデノウイルスは40~50種類もの仲間がいるウイルスです。その中で、プール熱の病原体となっているのは主に3型と呼ばれるものです。
アデノウイルスは、人間ののどにあるリンパ組織アデノイドにちなんで名づけられたウイルスです。
プール熱の病原体となるアデノウイルス3型は、のどだけでなく目の粘膜からも感染します。
- プール熱の流行
-
毎年6月くらいから始まります。7月から8月の夏場にピークを迎えます。
10月ころには流行が収まってきますが、実はアデノウイルス感染は一年中起こっています。2013年には冬場に流行しました。
名前から夏場の病気として知られていますが、一年を通して注意が必要な病気ということを覚えておきたいですね。
プール熱の感染経路や潜伏期間を知って感染予防に役立てよう
プール熱の感染経路や潜伏期間を知り、感染予防法や家庭内の流行防止に役立てましょう。
ポイント | 詳細 |
---|---|
感染経路 | 飛沫感染…咳やくしゃみによる感染 接触感染…タオルや手指を介した感染 塩素管理が不十分なプールや水遊びでも感染する |
潜伏期間 | 5~7日程度 |
かかりやすい年齢 | 幼児から小学生くらいの子供 特に5歳くらいまでに多い |
感染力が非常に強く集団感染することもある病気です。夏場のプールや水遊びでうつされることが多いため、プール熱と呼ばれています。
大人に感染した時も同じ症状が出る…妊婦さんは産婦人科へ
プール熱は非常に感染力が高く、大人にも感染します。症状は子どもが感染した時と同じです。
- 高熱
- のどの痛み
- 目の充血など結膜炎の症状
さらに全身の倦怠感や食欲不振・お腹の痛みや下痢などが出ることもあるのも、子どもの感染と同様です。
妊婦さんが感染してしまったら、すぐに産婦人科を受診しましょう。他の妊婦さんや赤ちゃんにうつさないよう、マスクを忘れずに。
プール熱をはじめとするアデノウイルス感染症が胎児に影響を与えるという報告は、今のところありません。
ただし非常につらい病気ですし、妊娠中は使用できる薬も限られます。感染しないよう、充分注意が必要ですね。
高齢者などにうつると、肺炎や呼吸障害など症状が重くなることが懸念されます。抵抗力が落ちている人は充分注意しましょう。
プール熱の治療法!受診科や検査方法などを知っておきましょう
プール熱は幼稚園・保育園ころの小さな子どもに多い病気です。かかったときに慌てずに済むよう、受診するべき病院や検査・治療についてご紹介します。
受診するのは小児科…眼科と迷ったらまずはかかりつけ医へ
プール熱は「咽頭結膜熱」といって、結膜炎も強く出ます。目やになどの症状も出ますが、受診はまずはかかりつけの小児科を選びましょう。
発熱など他の症状がなく、結膜炎だけなら眼科へ行きましょう。でも発熱など全身の症状がある場合は、まずは小児科がおすすめです。
目の症状が強い場合も、小児科では抗生物質入りのクラビット点眼液など目薬を処方してくれます。
プール熱の他の症状がおさまっても目の症状が残っている場合は、改めて眼科を受診しましょう。
その場合は、数日前までプール熱に感染して治療を受けたことを眼科の先生に伝えましょう。
また処方された内服薬・点眼薬や、子どものおくすり手帳を持参してくださいね。
プール熱の検査…迅速診断キットを使えば30分程度でわかる
プール熱は迅速診断キットですぐにわかります。のどの奥を綿棒でこするタイプの検査で、感染していれば30分ほどで陽性反応が出ます。
- 高熱や結膜炎などの顕著な症状がある
- 周囲の学校や幼稚園・保育所でプール熱が流行している
- きょうだいなど家族が感染している
こういった場合は、プール熱と考え迅速診断キットで検査を行うことが多いでしょう。園などの流行情報もしっかりチェックしておきたいですね。
血液検査でもわかりますが、2週間以上かかるので現在はほとんど行われません。
主な治療は対処療法!プール熱専用の治療薬はありません
プール熱には、専用の治療薬はありません。治療は症状に合わせた対処療法が中心です。
痛みや発熱がつらい病気なので、そういった症状に合わせた薬が処方されます。
- 解熱剤・座薬
- 鎮痛剤
- うがい薬
- 抗生物質・ステロイド入りの点眼薬
座薬などは一時的に熱を下げてくれますが、時間が経つとすぐにまた高熱に戻ることが多いようです。
インフルエンザのように飲めばすぐ症状がおさまる、ということは残念ながらありません。しかし、プール熱かどうかをしっかり診断してもらうことはとても重要です。
保育園・幼稚園は主な症状が無くなって2日経過するまで休み
プール熱に感染したら、発熱・のどの痛み・結膜炎など主要な症状が無くなったあと、2日間経過するまで登園禁止になります。
つまり、熱がさがりのどの痛みや結膜炎がなくなった日が解熱0日目になります。翌日が1日目、翌々日が2日目です。登園OKは3日目からになります。
プール熱は、学校感染症と呼ばれる学校保健法で指定されている伝染病です。第2種感染症に指定されています。
感染者の5~8割は5歳以下の子供というくらい、子どもたちの間で流行しやすい病気なのです。
学校感染症の中で、飛沫感染をするため幼稚園・保育園や学校で流行しやすいものが第2種感染症に指定されています。
第2種感染症には、インフルエンザや水疱瘡も含まれます。感染症ごとに出席停止期間が定められています。
幼稚園・保育園によっては、所定の書類に医師の登園許可サインをもらう必要があることもあります。
プール熱と診断されたらすぐ幼稚園・保育園に連絡を入れ、登園許可書が必要かどうかなどをしっかり確認しておきましょう。
お仕事を持ち会社に出勤しなければならないパパママにとってはつらい病気ですね。早く治るよう、しっかりお家でケアしてあげましょう。
おうちでできるケアをチェック!脱水症状に注意して見守って
治療薬がない分、おうちでできるケアをしっかり行うことはとても重要です。痛みやつらさに負けず、しっかり栄養と休息をとってもらいましょう。
基本は栄養・水分補給としっかり安静!のど越しの良いものを
プール熱で心配なのは脱水症状です。高熱とのどの痛みがあるので、のど越しの良いものを積極的に飲んだり食べたりさせましょう。
- 卵豆腐
- ヨーグルト
- スムージー
お腹の症状がなければ、冷たいものならのどを通りやすいでしょう。乳幼児向けのイオン飲料を凍らしてクラッシュさせ、少しずつ食べさせてもいいですね。
下痢や腹痛がある場合は、冷たいものを食べたり飲んだりすると刺激になって悪化してしまうことがあります。
そういった場合はすりおろしたりんごやヨーグルトで様子を見ましょう。水分だけでもしっかり摂ってもらうことが大切です。
水も飲めない状態になったら、すぐに小児科に連れていきましょう。脱水症状の兆候に注意しながら様子を見てあげましょう。
- おしっこの量や回数が極端に減った
- 汗をまったくかかなくなった
- 唇や口の中が乾いている
解熱は焦らないで!座薬で一時的に下げてもまた熱は上がる
高熱が続くと、ママは焦ってしまいますよね。でも、ある程度症状がおさまってこないと、解熱剤や座薬を使ってもすぐにまた熱が上がってしまいます。
座薬は、1度使用したら次は6~8時間あける必要があります。熱が上がっても、次々に解熱剤を使うことはやめましょう。
高熱が続いても、子供本人が比較的元気、もしくはご機嫌で水分や食事が摂れているなら水分補給をしつつ様子を見ましょう。
熱が上がり切った状態だと、子供は暑がります。冷却シートや氷枕・保冷材などを使ってあげましょう。
- 冷却シートの使い方
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冷却シートを使う時は絶対に目を離さず、窒息事故が起きないよう注意しましょう。
中央に十文字に切れ込みを入れておくと安心です。それでも、就寝中など目を離す時ははがしましょう。
- 氷枕や保冷材の使い方
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氷枕や保冷材は、後頭部のほか太い血管が通っている場所を冷やしてあげると良いでしょう。
太ももや脇の下などを冷やすと効果的と言われています。必ずタオルでくるんで当ててあげてくださいね。
治る時期がくると、高熱もすっと下がります。それとともにのどの痛みなど他の症状もおさまってきます。
高熱がまったく下がらず具合がどんどん悪くなってくるようなら、肺炎を疑いましょう。早めの再診がポイントです。
お風呂に入れるようになるのは、高い熱が下がってから!
お風呂は、熱が下がってからにしましょう。高熱で体力を奪われている間は、免疫力・抵抗力も落ちています。
お風呂に入れない間も、高熱で汗をかいています。夏場はそのままにしておくと汗疹ができたり、あせものよりやとびひになってしまうことがあります。
しっかりしぼったタオルで汗を拭き、あせもを防いであげましょう。お湯にお茶を入れてあげると、おむつかぶれなどにもなりにくくおすすめです。
予防策は手洗い・うがい!タオルの共用は避けて消毒も活用
プール熱は非常に感染力が強く、家庭内できょうだいなどにうつってしまうことも少なくありません。しっかりと予防方法や対処法をマスターしましょう。
- 飛沫感染
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患者・家族ともにマスクをつける・うがいをする
- 接触感染
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手洗い・うがいを積極的に行う。タオルを共用しない
- 糞口感染
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うんちやおしっこにもウイルスがいるのでおむつ替えも注意する
- プール・水遊び
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遊ぶ前と後はしっかりシャワーを浴び、うがいなども合わせて行う
ウイルスは、感染初期がもっとも多く排泄されます。ただし熱が下がった後もしばらくは排出されるので、予防対策としてやはり手洗い・うがいを励行しましょう。
アデノウイルス3型は、エタノール消毒薬が有効です。子どものお世話をした後の手指消毒や、おもちゃの消毒に活用しましょう。
プール熱は予防が大切!脱水症状に気を付けて乗り切ろう
プール熱は感染力が強く、高熱にのどの痛みと子どもも体力的につらい病気です。高熱が続くので、看ている大人も不安になりますよね。
子どもに体力がしっかりついていれば、治療薬が無くても4~5日ほどで熱が下がって元気になります。
高熱があっても意外と元気なのが子どもです。もしぐったりとしたり、機嫌が悪く熱の下がりが悪いようなら小児科でもう一度診てもらいましょう。
保育園・幼稚園は解熱後2日が経過するまでお休みです。脱水症状にくれぐれも注意し、対処療法と愛情のケアで乗り切りましょう。
感染予防も大切です。手洗い・うがいやタオルを別にする・エタノール消毒をするなどを心がけましょう。
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さざなさん
乾燥が気になりますね!