妊婦さんの熱中症対策!暑さで辛い妊娠中に快適な過ごし方
毎年夏になると多くの人が熱中症にかかります。救急搬送される人も少なくありませんし、ときには命を落とす危険もあります。
妊婦さんは通常に比べ体調が大きく変化しています。熱中症のリスクも高くなり、暑さによる体調不良も起こりやすくなります。でも、真夏だけ気を付けていれば良いものではありません。
お腹の赤ちゃんのためにも、熱中症はしっかり予防したいですよね。
そこで熱中症を予防するために、熱中症の症状や妊婦さんが発症しやすいメカニズム、熱中症予防対策などをご紹介します。
この記事の目次
妊婦さんが熱中症になることで、赤ちゃんに及ぶ悪影響…に注意しよう
妊婦さんにとって、もっとも気になるのはお腹の赤ちゃんへの悪影響ですよね。妊婦さんが熱中症になったときは、どんな危険があるのでしょうか。
妊婦さんにとって特に危険な症状
- 体温の上昇
- 酸欠
- 脱水症状
- めまい・立ちくらみ
熱中症になると、体温がぐんぐん上昇します。また体温を下げるためにたくさんの汗をかくため、酸欠や脱水症状などが出ます。
ママが酸欠になると、当然お腹の赤ちゃんにも酸素が行きわたらなくなり、酸欠になる可能性があります。脱水症状になっても、新鮮な血液が胎盤に行きにくくなります。
ママが酸欠や脱水症状を起こすことは、赤ちゃんにも直接影響を及ぼす危険があるのです。
また、めまいや立ちくらみを起こすといきなりバタンと倒れてしまうこともあります。
失神して倒れた場合は、とっさにお腹をかばうことができない危険もあります。
妊娠初期は見た目で「妊婦さんだ」とわからないことも多く、救急搬送されても妊婦としての処置が受けられないケースも考えられます。
妊娠初期は安定期前で赤ちゃんもママの体も不安定な状態です。ママが意識を失う可能性もある熱中症の危険は、こんなシーンにも潜んでいるのです。
体温が異常に上昇し命にかかわる状態の場合は、妊婦さんや赤ちゃんも命の危険があります。熱中症はママと赤ちゃんにとってとても怖い病気なのです。
妊婦さんが暑がり・汗っかきになる理由のカギはホルモンにある!
妊婦さんは、妊娠前と比べて体調にいろいろな変化が出ます。その変化の中に、妊婦さんが暑がりになる秘密がひそんでいるんですよ。
では、どんな体調変化が出るのでしょうか。お腹が大きくなる以外にも、ママの体内では実にいろいろな変化が起きているのです。
- 心臓や血液量の変化
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心臓から一度に押し出される血液量が増えます。通常の1.3倍~1.5倍ほど増えるといわれています。子宮には1分間で1リットルもの血液が送られます。
そのため、心拍数が増えます。妊娠中、動悸やドキドキが強くなり不快感を訴えるママが多いのはこのためです。
全身を流れる血液量も、通常と比べ1.5倍も増えます。しかし血中の成分が増えるのではなく、血清という水分が主に増えます。
そのため、妊婦さんは血液が薄くなった状態で大量に血液を循環させる状態になります。貧血っぽくなるのもこれが関係しているようです。
- 呼吸の変化
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妊婦さんは血中の二酸化炭素を少なくするため、呼吸が早く深くなります。また息切れしやすくなります。
- 体重・脂肪の変化
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体重がぐんぐん増え、ホルモンの影響で特に胸が大きくなります。脂肪がつきやすくなり体重増加に悩むママもいます。
- 汗の変化
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胎盤からは妊娠を継続し出産の準備を行うため、通常とは異なるホルモンが大量に分泌されます。
中には甲状腺を刺激するホルモンに似ているホルモンもあり、甲状腺が刺激されます。そのためドキドキや発汗などの症状が起こりやすくなります。
- 暑がりになる
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脂肪がつきやすくなったり、代謝がアップするなどの影響から、暑がりになることもあります。また妊娠初期は高温期が続く関係で体温が高めになります。
つわりの時期には多くのママが吐き気や食欲減退を経験しますし、大きくなっていくお腹に圧迫されて食欲が減退することもあります。
呼吸に影響を与える黄体ホルモン(プロゲステロン)などのホルモンは、妊娠のためのホルモンとしてよく知られています。
こうしたホルモンが働きかけ、体に変化をもたらすことで妊婦さんは暑がりになります。
私自身、妊娠中に非常に暑がりになりました。普段は非常に寒がりで冷え性、ヒートテックが手放せない人間です。
でも妊娠中は暑くてたまらず、5月に入ると半そででなければ生活できなくなりました。冬場でもエアコンの熱風に耐えられず、薄着で暮らしていました。
暑がりだと余計に暑さが身にこたえますし、ストレスも高まります。妊婦さんが熱中症に注意したいポイントのひとつです。
熱中症には、なりやすい人の特徴があります。
- 赤ちゃんや幼児
- 肥満傾向にある人
- 体が弱っている人・体調不良の人
- 体温調節がうまくいかない人
- 持病がある人
「妊婦さんはリスクが高くないの?」と思うかもしれません。でも、妊婦さんは妊娠していないときに比べ、疲れやすく体調も通常通りではありませんよね。
少し歩いただけで動悸を感じる妊婦さんも少なくありませんし、貧血気味になるママもいます。ですのでここに挙げられている特徴に当てはまるので、妊婦さんもリスクが高い状態といえるでしょう。
汗っかきになったり暑がりになる妊婦さんにとって、熱中症はどんなリスクをはらんでいるのでしょうか。次項で詳しく見ていきましょう。
汗っかき&暑がりになる妊婦さんの、熱中症によるリスク
ホルモンバランスの変化によって体調が変化する妊婦さんには、熱中症によってさまざまなリスクが高まります。
汗っかきになることと熱中症の関係…水分が足りない妊婦さん
妊婦さんの多くは、下半身のむくみに悩みます。むくみは水分ですし、お腹の中には羊水という水分が大量に詰まっています。
妊婦さんの体の中にはたくさんの水分が有り余っているように感じますが、実はそうではないのです。
通常、大人の場合人は1日に2.5リットルもの水分を失っているといわれています。尿では1.5リットルも失われます。便のほか、汗や呼吸でも900mlほど失われます。
夏場は発汗が増えるので、失われる水分はもっと多くなります。失われる水分より補給する水分が少なければ、脱水が起きやすくなりますよね。
一般的に、人は1日約2.5Lを体内から失います(尿:約1,500ml、不感蒸泄※:約900ml、便:約100ml)。夏場は汗をかく分、意識して水分の摂取を心がける必要があります。
妊婦さんは全身を流れる血液量が増えます。その分たくさんの水分が必要になるのです。さらに汗っかきになるという特徴もあります。
通常よりも脱水症状のリスクが高いといえます。下半身のむくみや羊水量が気になって水分補給を控えてしまうママもいますが、脱水にならないように心がけましょう。
1日に1.5リットルから2リットルは水分を補給しましょう。汗をかいたときやのどが渇いた感じがするときは特に積極的に補給してくださいね。
妊婦さんのむくみが問題視されているのは、妊娠高血圧症候群のチェック項目のひとつだからです。
しかし、妊娠高血圧症候群では塩分の摂取量がポイントのひとつです。水分を充分に補給したからといって、妊娠高血圧症候群になるわけではありません。むしろ脱水の危険があるので、しっかり水分をとってくださいね。
暑い日に脱水症状が進むと、熱中症のひとつである熱疲労や熱けいれんを起こす危険があります。充分気を付けましょう。
その他のリスク…疲れやすさや食欲減退・寝付けないなど
妊婦さんには、それ以外にもさまざまな熱中症を発症しやすいリスクがあります。
気を付けたいポイントを挙げますね。
- 貧血になりやすく、疲れやすい
- 食べられない
- 眠れない
妊婦さんは血液量が増え、貧血気味になりやすいという特徴があります。また大きなお腹を抱えているので、疲れやすいですよね。
ちょっと人混みを歩いたり、緊張を強いられただけでも通常より疲れてしまうこともあります。夕方になるとどっと疲れが出るというママも少なくありません。
この「疲れやすい」「疲れている」状態は熱中症のリスクが高まります。疲れたなと感じたらやめに対処する必要があります。
つわりや妊娠後期、食欲がぐっと減退してしまったママも注意したいですね。つわりがひどくなると、水ものどを通らなくなるママもいます。
脱水症状が進んでいる場合は、すぐに産婦人科で点滴を受ける必要があります。飲めないほどのつわりは放置しないようにしましょう。
妊娠後期になり、胃が圧迫されて食べられないと貧血気味になったり、体力が低下したりします。こういった状態のときも熱中症のリスクが高まるといえます。
妊娠後期に入ると、寝苦しくなる妊婦さんも少なくありません。仰向けに眠れないようになり、横向きになっても息苦しいことがありますよね。
また先程お伝えしたように汗っかきになり、暑がりになるためなかなか寝付けないこともあります。疲れやすい体で寝不足になると、熱中症も起きやすくなるのです。
汗や日焼けによる肌トラブルについて
ホルモンバランスが崩れると肌が刺激に対して敏感に反応し以前より肌荒れしやすくなります。
汗っかきになっている妊婦さんは汗で痒くなり、かぶれてしまうことも。
また、シミの原因になるメラニン色素も増える時期なので、強い紫外線は大敵です。黒ずみやシミ増加などのトラブルを招いてしまうこともあります。
パウダーシートなどでこまめに汗を拭き、外出後はできるだけシャワーをあびたり、下着や靴下などはこまめに取り替えるようにしましょう。
汗には雑菌も含まれているので、清潔を保つためにもこういった対策は必要です。
また、外出時には必ず日焼け止めを塗り、つばの広い帽子や日傘を使う、UVカット素材のカーディガンなどを羽織ったり、アームカバーをするなどで乗り切りましょう。
ただし、日焼け止めは成分をしっかりチェックしてください。肌の弱い人だと肌荒れを起こしてしまう可能性もあります。妊婦さんでも使える安心成分の物を使ってくださいね。
そしてもしかゆみを感じたら、早目に対処することが肝心です。もし悪化している場合は必ず皮膚科を受診してください。
熱中症の症状と種類…危険な症状を知り、早めに気付こう
熱中症を防ぎ、万一の場合早めに対処するためには症状を知っておく必要があります。
熱中症が起きるのは、体温調整のバランスが崩れたときです。
私たちの体が絶えず産出している熱と、放出している熱のバランスが崩れると、体温上昇などさまざまな症状が出ます。
暑いと熱の放出がうまくいかなくなって体に熱がこもったり、体温を下げようと汗が異常に出過ぎたりします。そこでいろいろな体調不良が起きるのです。
熱中症はひとつの病気の名前ではありません。暑さなどがもたらす4つの体調不良を総称したものです。
それぞれ起きる症状や原因・メカニズムが少しずつ異なります。熱中症の症状を理解することで、熱中症予防に役立てたいですね。
- 熱失神
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体の熱を冷ますために、皮膚の血管が広がり全身に血がたくさん流れる。そこで一時的に血圧が低下し、脳に流れる血が不足して脳が酸欠になってしまう。
- めまい・立ちくらみ
- 顔面が蒼白になる
- 脈が速く弱くなる
- 一時的に失神する
- 熱疲労
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体の熱を冷ますために大量の汗が出る・汗で水分が体外に出てしまったのに、水を飲まずに水分補給が足りなくなると脱水症状になる。
- 全身のだるさ・倦怠感
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
- 頭がぼうっとする・集中力が低下する
- 熱けいれん
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体温を下げるために汗をかくと、水分とともに血液中のナトリウム(塩分)も体の外に流れ出してしまい、筋肉の収縮調整をするために必要な塩分が欠乏する。
水分だけを補給し塩分を補わないと塩分不足になり、筋肉の収縮がうまくいかなくなるり、筋肉痛などの症状が出る。
- 筋肉痛
- 手足の筋肉がつる
- 手足・お腹などの筋肉がけいれんを起こす
- 熱射病
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熱中症の中でも最も危険な状態。体温が異常に上昇し、生命維持を行う中枢機能に異常が出る。
- 体温が高くなる
- 呼びかけても反応が鈍い・刺激に反応しにくい
- 言動がおかしい・不自然
- 意識障害
特に危険なのは熱射病です。意識障害を起こしているほど重度なら、すぐに救急車を呼んで医療機関で即急に処置をしなければ命にかかわります。
それだけではありません。立ちくらみやめまいを起こしたり失神すれば、急に転倒する危険もあります。
脱水症状も危険です。熱中症は、健康な若い成人でも命を落とすことがあり、毎年死者が出ている非常に怖い病気です。
「暑くてもちょっとくらいなら我慢できるから…」と無理をせず、ちょっとでも「おかしいな」と感じたら対策を行う必要があるのです。
特に注意したい症状を挙げますので、しっかりと対策をしましょう。
- 体温が上昇する
- 立ちくらみやめまい
- 手足のつり・けいれん
- のどの異常な渇き・口の中の乾燥
- 意識障害
熱中症に気を付けたいシーズンと条件!夏以外にも注意が必要
熱中症は夏だけの病気ではありません。春や秋でも毎年患者さんが出ています。
さらになんと冬でも熱中症になる危険があるんですよ。
熱中症が一番危険なのは夏!盛夏はもちろん、初夏から注意
熱中症は、暑い時期に発症が増えます。特に発症が多いのは7月から8月にかけてです。近年は真夏日・猛暑日が増えているので夏は本当につらいですよね。
熱中症のリスクが特に高まる条件をご紹介します。
- 気温「30度以上」
- 湿度「70~80%」
- 風がない・弱いとき
日本は高温多湿な気候が特徴です。特にこの条件がそろいやすいのは梅雨時です。梅雨時は熱中症が好発するシーズンでもあります。
梅雨時や初夏は、私たちの体がまだ夏の暑さになれていません。そのためより疲労を感じやすく熱中症が発症しやすいのです。
もちろん真夏は最も危険な時期です。さらに最近はゴールデンウィークから秋の終わりまで突発的に暑い日が訪れることも多いですよね。
熱帯夜も、夜で日差しがなくても熱中症が起きることがあります。寝ている間に熱中症を発症すると特に危険なのです。
条件がそろえば夏以外にも発症する熱中症!発生しやすい環境
熱中症は、条件がそろえば夏以外でも発症のリスクがあります。冬であっても熱中症になることがあるのです。
熱中症に気を付けたい場所・条件を挙げてみましょう。
- よく晴れた日陰のない屋外
- 閉め切った屋内・エアコンがききすぎている部屋
- 日差しが強く入り込む窓辺
- 自動車の車内
風がない暑い日は、直射日光も厳しくなります。そんな時は夏ではなくても熱中症になりやすいといえます。また屋内でも非常に暑い日は危険です。
また自動車の車内はよく知られていますね。夏場など、閉め切った車内の温度は70度を超えます。冬でも晴れて外気温が20度を超せば車内は40度になることもあります。
体調変化が激しい妊婦さんにとって、熱中症はいつでも発症する危険がともなう病気です。赤ちゃんとママの健康を守るためにしておきたい対策について考えてみましょう。
妊婦さんの熱中症対策!お腹の赤ちゃんを守るためにできること
妊婦さんは、お腹の赤ちゃんのためにも特に熱中症に気を付けたいものです。そこでおすすめの熱中症対策をご紹介します。
熱中症を防ぐために利用したい情報サイトと日中の過ごし方
熱中症には、発症しやすい条件があることをご紹介しました。暑さと湿度・風の有無などが気候条件になります。
そこで、WBGT(暑さ指数)に着目しましょう。環境省では、熱中症対策のため5月から10月の危険な時期に公式サイトでチェックできるサービスを行っています。
環境省 熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/
現在の状況もチェックできますし予報を確認することも可能です。
あらかじめ暑くなることがわかれば、対処しやすいですよね。
また熱中症の危険を察知してお知らせしてくれる熱中症アラームも販売されています。赤ちゃんとの生活でも役立つので、購入しておくと便利ですよ。
妊婦さんは、妊娠していないときよりも敏感に対応した方が安心です。外出するときは日傘や帽子を忘れないようにしてくださいね。
熱中症は外出時だけでなく、家の中や車の中でも起こります。特に注意したいのはお昼寝のときです。
妊娠中は疲れやすく、眠くなりやすいのでお昼寝をするママもいるでしょう。上の子のお昼寝に付き合って体を休めるママもいますよね。
そんなとき、注意していないと太陽が動いて窓から直射日光が差し込んでくることがあります。夏場は3時くらいになってもまだまだ日差しは厳しいですよね。
たとえエアコンを使っていても、直射日光を浴び続けると熱中症になる危険があります。また風があるからとエアコンを切って寝たところ、風がやんでしまったということも。
寝ている間に気付かず熱中症の症状が進んでしまうと危険です。お昼寝をするときも部屋を適温に調整し、西日が入り込まない部屋を選びましょう。
秋から冬にかけてのお出かけで、暖房が効きすぎて暑さに参ってしまうこともあります。そんな時は無理をせず、上着を脱いだり移動して調節しましょう。
冷えを防止しよう
暑いからといって、薄着をしすぎたり冷房をきかせすぎると逆に体が冷えてしまいます。妊婦さんに冷えは禁物です。設定温度は28度にしておきましょう。
下半身を冷やさないように靴下ははく、ブランケットやショール・上着など一枚羽織れるものを常に用意しておくなど、体が冷えないように注意しましょう。
冷房の冷たい風は足元に当たらないようにします。またお風呂では湯船につかり、むくみやすい下半身もしっかりリラックスさせましょう。
夜寝るときの工夫…寝ている間の熱中症を防ぐ安眠テクニック
夜寝るときも熱中症に気を付けましょう。寝ている間に人は大量の汗をかきます。熱帯夜や早朝から暑い日は、寝ている間に熱中症になることもあります。
また、お腹の圧迫でトイレが一時的に遠くなっているママの場合、横になることでトイレに行きたくなることもあります。
汗も尿もたくさん出てしまうと、ますます脱水症状になる危険があります。昼間だけに着目しがちですが、夜も熱中症に気を付けましょう。
さらにお腹が大きくなるにつれて、夜寝苦しくなってきます。寝苦しい上に暑いとますます睡眠が浅くなり、寝不足になって熱中症リスクが高くなるのです。
寝苦しい熱帯夜や明け方に心地よく眠るためにおすすめしたい工夫をご紹介します。
- アイスノンや氷枕などを活用する
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体がほてって仕方がない、汗がダラダラ流れて不快なときはアイスノンや氷枕で熱がこもっている場所を冷やしてみましょう。
頭寒足熱、というように人は首から上に熱がこもると一層不快を感じます。後頭部や首の後ろを冷やすと快適です。肩は冷やさないようにしましょう。
熱がこもって体温が上がるなど熱中症が疑われるような場合は、わきの下や足の付け根の内側など太い血管が通っている場所を冷やすとすぐにクールダウンできます。
- 寝室の温度を下げておく
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夏場は、外壁も内壁も熱がこもり夜中になっても温度が下がらないことがあります。寝る部屋はあらかじめエアコンで快適な温度にしておきましょう。
寝苦しい夜はエアコンをタイマーでかけて寝る人も多いと思いますが、窓を閉め切っておくとエアコンが切れたあと、早朝から急激に暑くなってしまいます。
窓を開けて網戸にしておき、エアコンをかけて眠ればタイマーが切れた後でも部屋に風が入りやすくなります。扇風機も活用し、上手に快適な風を作りましょう。
東側や南側は、朝から太陽が差し込んで暑くなりがちです。東側は特に遮光カーテンで朝日を遮ることがおすすめですよ。
- 飲み物を準備しておく
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夜中でも汗をたっぷりかくとのどが渇きます。面倒で我慢していると熱中症になりやすくなりますし、寝ぼけて階段を踏み外すと危険ですよね。
そこで、寝るときはあらかじめペットボトルや水筒などで飲み物を用意しておきましょう。
- パジャマ・肌着・寝具を工夫する
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パジャマは通気性がよい涼しいものを選びます。また肌着は吸汗性が高く、速乾性があるものが涼しくて快適です。
吸汗性の低い下着は暑いですし、汗が流れやすく肌トラブルにもなりかねません。涼しい素材を選びましょう。
寝具もシャリ感があるものを選ぶと快適ですよ。最近は暑さや熱を逃してくれる素材もいろいろ出ているので合うものを選んでみましょう。
- お風呂は早めに済ませておく
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お風呂に入ると体温が上昇し、汗もたくさん出るので余計に暑く感じます。寝る直前にお風呂に入ると、熱さが引かず寝付けないことも。
お風呂はできるだけ早めに入っておきましょう。遅くとも寝る1時間前までに入ると良いですね。体から熱が逃げたタイミングは入眠しやすいですよ。
- 抱き枕を用意する
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お腹が大きくなって苦しい場合は、抱き枕を使用するとかなり改善することがあります。私も実際使っていましたが、本当に手放せませんでした。
夏はクッションなんて暑くて抱いていられない、という場合は、竹製のカゴ型抱き枕もあります。内部を風が通るのでとっても涼しいんですよ。
横になるときは、左を下にするとより楽になるそうです。貧血を感じたときなど、仰向けになれないので試してみてくださいね。
寝苦しい夜を快適に過ごし、翌日の熱中症を予防するためにも、試してみてはいかがでしょうか。
食欲を落とさないために!のど越しが良いものを少しずつ
しっかり食べることはお腹の赤ちゃんをはぐくむためにも、水分・塩分を補給して熱中症を防ぐためにも大切なことです。
とはいえ、つわりのときは何も食べられないママもいます。つわりの時期は赤ちゃんも小さいので、無理に食べる必要はありません。
イオン飲料などで水分と適度な塩分が補給されていれば大丈夫です。果物やゼリーなど、のどを通るものを選んでしのぎましょう。
妊娠後期に向けて、胃が圧迫されて苦しいママもいます。一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ何回かにわけて食事をとりましょう。
妊娠中でも食べやすいおすすめの食べ物を紹介しますので、参考になさってください。
- 麺類
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冷たくつるんとのど越しがよいそうめんや冷や麦、冷やしうどんなどがおすすめ。
薬味やトッピングをたっぷり使えば、タンパク質やビタミン・食物繊維もしっかりとれる
イタリアンドレッシングなどで味付けすれば、手軽に冷製パスタに! - ごはん
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おむすびを小さめに作り、何度かにわけて食べる。
梅干しはクエン酸を含み疲労回復効果も高く、塩分もとれるのでおすすめ!
ご飯は意外と傷みやすいので、腐敗しないよう涼しい場所で保管して - ひんやりおかず
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冷しゃぶや薬味たっぷり冷ややっこ・バンバンジーやサラダなど
野菜と良質なタンパク質を同時にとれるメニューがおすすめ
ガスパチョやビシソワーズなど、冷たいスープはつわり時にも - スイーツ
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果物やゼリーなどのど越しのよいものを少しずつ。
糖分が多く、食べ過ぎると体重増加してしまうので、注意しながら食べよう
普段から夏バテしやすい、暑さに弱いママは特に食欲が落ちやすいですよね。食べやすいものを工夫して、少しずつ栄養を補給しましょう。
暑いからといって一日中エアコンの中で過ごしていると、かえってダルさが強くなってしまいます。
そんな時は、マタニティエクササイズやマタニティスイミングを取り入れてみましょう。動くとお腹もすきやすくなります。早朝や夕方、風があるときのお散歩も効果的ですよ。
お腹の赤ちゃんを守るためにも、ママの熱中症対策は早めに!
妊婦さんは暑がりで汗っかきになるだけでなく、熱中症になりやすい条件がいろいろそろっています。夏場はもちろん、ほかの季節も暑さ対策は大切です。
妊婦さんが熱中症になると、お腹の赤ちゃんにも悪影響を与えます。早め早めに対策を心がけ、少しでもおかしいなと感じたら医療機関を受診しましょう。
熱中症対策をしっかり行えば、つらい夏も比較的快適に過ごせるようになります。また翌年の赤ちゃんの熱中症対策にも経験が役立ちます。
眠りやすい環境や食べやすい食べ物などを工夫して、つらい暑さを乗り切りましょう。無理はせず、疲れたと感じたらすぐに休むことも大切です。