子供の耳掃除、基本は耳鼻科。ホームケアは見える所だけを優しく!

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2018/02/26

子供の耳掃除をしている様子

お子さんの耳掃除、どうしている?こんな疑問をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか?

  • 毎日やるとやり過ぎ?
  • 全然やってないけど大丈夫かな?
  • 正しいやり方は?
  • 耳鼻科で耳垢を取ってもらえるって聞いたけど、受診した方がいいの?
実は幼児にも適切な耳掃除が必要。やり方を間違えると危険がいっぱいなのです。

正しい耳掃除の方法を、意外と知らない耳垢の基礎知識と併せてお伝えします。

幼児にも耳掃除が必要な理由

まずは、耳の自浄作用に関するお話をしましょう。

鼓膜の表面も外耳道も皮膚でできていますが、この皮膚は鼓膜から耳の入り口に向かって、月に3mmくらいのスピードで動いています。ベルトコンベアーのようなイメージですね。

ベルトコンベアーで耳の入り口まで運ばれた耳垢は、自然に外に排出されます。

耳の自浄作用によれば、理論上は耳掃除は必要ありません。「耳掃除など一切行わなくて大丈夫!」という見識の医師もいます。しかし、これはあくまで理論上の話。

家庭でのケアが必要という医師の見解に多いのが、以下のタイプの人には適切な耳掃除が必要というものです。

  • 湿性耳垢の人
  • 代謝の早い子ども
  • お年寄り
  • 外耳道の狭い人

つまり、『耳垢が詰まりやすい人』ですね。

幼児は大人に比べて外耳道が狭いので、上記の2つに既に当てはまります。乾性耳垢のお子さん→2項目、湿性耳垢のお子さん→3項目も当てはまることになります。

よって幼児には、「適度な耳掃除」が必要となります。

耳垢、耳掃除に関わる耳のトラブル

耳垢栓塞(じこうせんそく)
耳垢によって耳の穴がふさがれてしまう症状のことです。

耳の聞こえが悪くなったり、耳鳴りがしたりします。時には自覚症状が全くないこともありますが、それを放置すると溜まった耳垢のせいで外耳が炎症を起こす危険性もあります。

耳垢で耳がふさがると聞くと、耳掃除を行わなかったからなのでは?と考えてしまいますよね。

そういったケースもありますが、耳掃除をきちんとしていても、やり方が悪いと耳垢を耳の奥へと押し込んでしまい、耳垢栓塞になってしまうことがあるのです。

中耳炎の見落とし
お子さんが風邪をひいて小児科を受診した時に、お医者さんがお子さんの耳の穴の中を覗いているのを見たことありませんか?

子どもは鼻と耳を繋ぐ管が短いせいで、鼻水の細菌が耳に届きやすく、そのため風邪から中耳炎になることが多いのです。

風邪の診察において小児科医が耳の穴の中を覗くのは、風邪により中耳炎が引き起こされていないか、鼓膜の状態をチェックするため。

でも耳垢が邪魔をして鼓膜が見えないというお子さんが結構な人数いるようで、結果、中耳炎の発見が遅れてしまいます。

外耳炎
耳掃除をする時に、綺麗にしたいあまり必要以上の力で耳穴を擦って傷付けてしまい、そこから細菌が入って炎症を引き起こすことがあります。これが外耳炎です。

痒み、痛み、耳だれ、耳が詰まったような感じ、難聴などの症状が出ます。

筆者が経験した時、耳鼻科の先生に「あなた自身のせいです。耳をいじりすぎです」と言われ反省しました…。

鼓膜の損傷
綿棒や耳かきを耳の奥まで突っ込みすぎて、鼓膜を傷付けたり破ってしまったというトラブル。

原因の半分近くが、耳掃除が関係しているとも言われています。(掃除のやり過ぎだけではなく、耳掃除中に転んだなどの事故も含む)

鼓膜損傷は、難聴、耳痛、耳が詰まったような感じ、出血などの症状が出ます。

ケアは基本的に耳鼻科で!その理由

「幼児には耳掃除が必要。でもやり方を間違えると危険」なので、「専門家に任せること」をお勧めします。

耳鼻科で耳掃除をしてもらいましょう。耳鼻科で耳掃除を行うメリットはこちら。

  • 安全
  • 速い
  • 精度が高い(綺麗に掃除できる)
  • ついでに耳鼻の不調を発見してもらえる

筆者も耳鼻科で息子の耳掃除をしてもらいましたが、、先生がピンセットのようなものでヒョイヒョイと耳垢を取り除いてくれ、「こんなに!?」と驚くほどの量が取れました。

「危ないから耳掃除はお家ではやらずに、耳鼻科に連れて来てね」と先生は言っていました。多くの医師が同様の見解なので、「耳掃除だけで受診していいのかな」と遠慮せずに耳鼻科にお願いしましょう。

耳の掃除は保険適用内なので、安心して受診することができます。

しつこい耳垢は耳垢水でふやかして

ここで実際にどのように耳鼻科で耳垢を取るのかをご紹介!

知り合いの娘さんが中耳炎になった時に耳の中を見てもらったら鼓膜に少しゴミがついていると言われ、そこでもらったのが耳垢水(じこうすい)というものだったそう。

耳の中に垂らして耳垢をふやかして取りやすくするためのものです。

これを3日間朝晩耳に入れて5分程度垂れないようにじっとする…ということを繰り返す(冷たいまま入れてしまうと刺激が大きすぎるので、ひと肌程度に温めてから使う)

その後、耳鼻科で暴れないようにネットでグルグル巻きにされ3人くらいに押さえつけられて耳垢の除去完了。しっかりふやけてすでに鼓膜からはがれていたので、痛みもなく暴れることなく取ってもらうことが出来たそうです。

耳垢がたくさん詰まってしまった場合にも同じように耳垢水を使って取りやすい状態にしてから除去ということになりますね。痛みがない場合はてラッキーですが、相当痛い可能性もありますのでそうなる前に何とかしてあげたいですよね!

やり過ぎは禁物!家庭でのケアのしかた

小さな子供を定期的に病院に連れて行くのは、そんなに簡単なことではありません。

近隣に耳鼻科がないご家庭や、病院嫌いのお子さん、ママがお仕事をしているなどであればなおさら。

お子さんの耳を家庭でケアしたいという方のために、安全で正しい耳掃除のやり方をご紹介します。

2週間〜1ヶ月に1回のペースで
耳の自浄作用、そして耳垢の取り過ぎは良くないことから、耳掃除は頻繁に行う必要はありません。

基本的には月1回、多くても2週間に1回程度にとどめましょう。
膝枕はNG!座った体制がベター
ついついお子さんに膝枕で耳掃除をしがちですが、これはあまり良くないです。取りこぼした耳垢が、鼓膜の方に落ちる可能性があります。

鼓膜が下にならないように、座った体制で行うのが良いでしょう。
穴の入り口から1cmを優しく拭う
耳垢の元となる分泌物を出す耳垢腺は、耳穴の入り口からおよそ1cmのところにあります。それより奥に耳垢が発生することはないということ。

耳垢腺より奥を掃除しても、耳垢を押し込んでしまうだけなのでやめましょう。

子供が動いて危ない時の対応

まだ幼いお子さんだと耳掃除の間じっとしていられなかったり、嫌がって暴れたりすることもありますよね。

お子さんの気を引くアイテムを手に持たせたり、絵本やテレビなど楽しいものを見せたりして気を逸らしている隙に耳掃除をしましょう。

タオルでぐるぐる巻きにしたり、羽交い絞めで動きを封じる…なんてこともできますが、おすすめしません。

お家での耳掃除は、お子さんに辛い思いをさせてまでやる必要はないからです。

おすすめのアイテム

幼児の耳掃除に使う道具で一番のおすすめは、ベビー綿棒です。柔らかく、耳の内部を傷つける心配が少ないからです。

綿棒はどちらかというと湿性耳垢の掃除に向いていますが、お風呂上がりの湿った状態の耳垢であれば、乾性耳垢にも同様に使えます。

綿棒以外の道具を使う場合は、お子さんの耳を傷付けないことを最優先にアイテムを選びましょう。

関連記事:安全第一!子供の耳垢の正しい取り方と、おすすめの耳掃除グッズ

耳垢に関する基礎知識

医学用語では、「耳垢」は「みみあか」ではなく「じこう」と読みます。耳垢は、外耳道(耳の穴の入り口から鼓膜までの管)にある耳垢腺と皮脂腺から出る分泌物に、はがれた皮膚や埃が混ざることによってできます。

耳垢には、カサカサした乾性耳垢と、ベトベトした湿性耳垢の二種類があります。これは遺伝によって決まるもので、日本人の約7割が乾性耳垢、そして約3割が湿性耳垢と言われています。

「垢」という言葉から、汚れやゴミと思われてしまいがちですが、実は耳垢にも重要な役割があります。

  • 耳垢の粘りが、外から入ってきたゴミをキャッチしてくれる
  • 耳垢に含まれる油分で耳穴の表面を保護してくれる
  • 耳垢に含まれる抗菌成分によって、雑菌の繁殖を防いでくれる
  • 耳垢のにおいや苦み成分には虫の忌避効果があり、虫の侵入を防いでくれる

耳垢には耳を守ってくれる様々な効果があるので、清潔にしようと取り過ぎてしまうのも良くないのです。

耳掃除は親子のスキンシップの時間に!

日本人は耳掃除好きで、なんと江戸時代にはすでに「耳垢取」と称する耳掃除の専門業者がいたそう。

「膝枕で耳かき」というのも、懐かしいスキンシップの図ですよね。(膝枕はよろしくない体制なんですけどね)しかし、家庭で耳掃除を懸命に頑張る必要性はあまり高くありません。

もしお子さんの耳を家庭でケアしたい方は、健康維持のためというよりは、昔ながらのスキンシップの感覚で優しく楽しく取り組んでみてはいかがでしょうか?

お家の方が気負い過ぎない方が、きっとお子さんも耳かきに対して身構えなくなると思います。耳掃除が家族を困らせるものではなく、絆を深めるものになりますように。

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