ヒトメタニューモウイルスが原因!?赤ちゃん小児に多い呼吸器感染症

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2016/08/03

ヒトメタニューモウイルスで咳がひどい子供

ヒトメタニューモウイルス感染症は、近年注目されはじめた病気です。hMPV感染症とも呼ばれます。

パパママが子どもの頃は、聞いたことがなかった病名・病原体のひとつですよね。でも、実は身近な病気なんですよ。

あまり耳慣れない病気ですが、重症化することもあるため注目されています。特に乳幼児は注意が必要です。

それと気づいていないだけで、パパママもきっと感染したことがある病気です。我が家の子供たちもおそらく感染しています。

この機会に、赤ちゃんや小さな子どもたちを守るためにもヒトメタニューモウイルス感染症の症状や対処法を知っておきましょう。

ヒトメタニューモウイルスの主な症状!赤ちゃんは要注意

ヒトメタニューモウィルスは、どんな症状が出る病気なのでしょうか。また感染予防にも役立つ感染経路など病気の詳しい情報をご紹介します。

ヒトメタニューモウイルスの特徴的な症状は咳・発熱・鼻水

知っておきたいヒトメタニューモウイルスの大きな特徴は3つあります。

  • 呼吸器系の症状が強い
  • RSウイルス感染症にとてもよく似ている
  • 3月くらいに患者が増え始め、6月がピークになる春夏の病気

3月~6月が感染のピークとは言われていますが、8月くらいまではまだまだ患者さんが少なくない時期です。

しかも春から夏だけでなく、秋から冬も断続的に患者さんが出ます。1年を通してリスクのある病気なのです。

呼吸器症状が強く出る感染症です。主な症状を挙げてみましょう。

  • 咳…1週間ほど続く
  • 発熱…4、5日ほど続く
  • くしゃみ・鼻水

風邪によく似た症状ですね。風邪によく似た症状を引き起こすことも、ヒトメタニューモウイルスの特徴のひとつです。

母親からもらう免疫が切れる1歳未満の赤ちゃんから、2歳くらいまでの乳幼児は、特に感染に注意が必要です。

10歳までにほとんどの人が感染を経験すると言われるほど感染率の高い、メジャーな病気です。乳児は要注意ですが、大人も感染します。

大人の場合、呼吸器感染症の2%から4%はヒトメタニューモウイルス性呼吸器感染症とされます。

「今回の風邪は咳がひどいかも」と感じるときは、感染しているかもしれませんね。

子どもの呼吸器感染症の5%から10%は、このウイルスが関係していると言われているのです。感染した大人から赤ちゃんへうつすことも心配な病気です。

小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。

ヒトメタニューモウイルス感染症は、ときに重症化することがあります。注意しておきたい症状について次項でご紹介します。

ヒトメタニューモウイルスの気になる重症化…気管支炎・肺炎

ヒトメタニューモウイルス感染症は、呼吸器系の症状が強い感染症です。特に乳幼児は重症化に注意が必要です。

  • ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 呼吸困難・呼吸不全

RSウイルス感染症でも気管支炎や肺炎に発展することでゼーゼー・ヒューヒューという苦しそうな呼吸になることがあります。

呼吸器の感染症で、咳が激しく出ることも多い病気です。

細気管支炎や肺炎のサインである激しい咳や苦しそうな呼吸には、充分注意してあげましょう。

特に先天性心疾患やダウン症などの病気、喘息などを持っている乳幼児は、重症化を防ぐため早め早めに対応しましょう。

間違えやすい似た症状の病気…RSウイルスやインフルエンザ等

ヒトメタニューモウイルス感染症によく似た症状の病気もあります。そういった可能性も含めて、症状が出たら病院で受診しましょう。

  • RSウイルス感染症
  • パラインフルエンザウイルス感染症
  • インフルエンザ
  • マイコプラズマ肺炎

どれも発熱があり、咳や鼻水といった症状も同じです。ただし、流行する時期が多少異なります。

RSウイルス感染症

秋から冬にかけて流行します。12月から1月くらいが流行期のピークです。

パラインフルエンザウイルス感染症

主に秋に流行するとてもよく似た病気です。クループと呼ばれる激しい咳症状を起こします。治療薬はなく対処療法になります。

インフルエンザ

良く知られているように、秋の終わりから春の初めにかけて流行を繰り返します。ただしどちらも年によって流行が春過ぎまで食い込むこともあります。

RSウイルスやパラインフルエンザウイルス感染症には治療薬がありませんが、インフルエンザにはタミフルなどの治療薬があります。

早めに服用する必要がある薬ですので、受診も早めを心がけたいですね。

マイコプラズマ肺炎は、小さな子どもより大人の方が症状が重くなるという特徴があります。こちらも薬があるので、似た症状が出たらすぐに病院へ行きましょう。

重症化した時の対応…RSウイルス感染症同様入院することも

赤ちゃんや小さな子どもなど、肺炎や気管支炎といった重症化が見られる場合は入院することもあります。

入院した場合も、特効薬があるわけではありません。肺炎や気管支炎のつらい症状を緩和したり、脱水症状を防ぐなどの治療が行われます。

赤ちゃんや小さな子どもが呼吸器系の病気で入院する場合、ママも付き添い入院する必要があることも少なくありません。

準備や過ごし方については、MARCH内の記事も参考にしてくださいね。

【子供のRSウイルス感染症の気になる症状と対策!流行は秋から】
http://kosodate-march.jp/wp/rsvirus-kodomo87152/

ヒトメタニューモウイルスの感染経路や感染期間などを知ろう

ヒトメタニューモウイルス感染症の感染経路や潜伏期間、感染期間などを知り、感染者からウイルスをもらわないよう注意しましょう。

ヒトメタニューモウイルスの感染経路と潜伏期間・うつる期間

ヒトメタニューモウイルス感染症は、ふつうの風邪と同じような感染経路で広まります。

  • 飛沫感染…咳やくしゃみによる感染
  • 接触感染…ウイルスのついた手から粘膜へ感染

赤ちゃんはすぐに手を口に入れてこぶししゃぶりや指しゃぶりをしますよね。また小さな子どもはなんでも口に入れてしまいます。

保育園など接触が濃厚な場所では、集団感染することもあります。家庭内のきょうだい間でもうつります。もちろん親から子へもうつります。

ヒトメタニューモウイルス感染症の潜伏期間は4~6日程度で、感染力も強いと言われています。

さらに一度感染すると、ウイルス排泄期間は2週間ほど続きます。

一度感染した程度では免疫がつかないため、何度も感染する点もやっかいな病気と言えます。

他の病気との同時感染…発熱など症状が長引く場合は再診を

ヒトメタニューモウイルスに感染すると同時に、別の細菌感染を起こしてしまうケースもあります。

ヒトメタニューモウイルス感染症はだいたい4、5日ほどで熱も下がり、症状も落ち着いてきます。

でも、発熱がそれ以上続く場合や耳の痛みなど別の症状を訴える場合は、他の病気に同時感染しているケースもあり得るんですよ。

  • 中耳炎
  • 細菌性の肺炎など

長期間続く高熱や耳垂れ・耳の痛み・1週間以上続く強い咳など、気になる症状がある場合はもう一度受診しましょう。

  • アデノウイルス感染症(プール熱など)
  • 溶連菌感染症(春夏にも流行期がある)

こういった春夏に流行する病気との重複感染の可能性もあります。治りが悪い・症状が重いと感じたら受診してくださいね。

大人が感染した時の対応…他の病気の可能性も考え早めに受診

大人が感染した時も、対応は子どもと同じです。基本的に対処療法しかないので、風邪のときと同様に安静・栄養と水分補給で乗り切りましょう。

パパや上の兄姉が外からウイルスを持ち込んだ場合は、赤ちゃんにうつさないようしばらく濃厚な接触は避けると良いでしょう。

ママが感染してしまった場合はそうもいきませんよね。マスクをしたり手を洗うなどを心がけ、おっぱいはそのまま授乳を続けましょう。

大人が感染した場合も、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などと似た症状が出ます。

これらの病気は早めに薬を飲む必要があるので、何かおかしいと感じたらすぐに内科など医療機関を受診しましょう。

ヒトメタニューモウイルスの診断と治療…早めに病院へ行こう

ヒトメタニューモウイルス感染症になってしまったら、どんな治療を受けるのでしょうか。またお家ケアの方法などをご紹介します。

受診の目安と診断の基本…検査キットですぐに感染がわかる

ヒトメタニューモウイルス感染症にかかると、発熱や咳など風邪症状が強く出ます。こういった症状が気になる場合は、すぐに受診しましょう。

特に重症化が気になるのは乳幼児です。発熱だけでなく鼻水をともなったり、咳がひどいといった症状が受診の目安です。

受診すると、検査を行います。時期を見て、さらにインフルエンザやRSウイルス感染症ではないと分かった場合に行うことが多いようです。

現在は鼻の奥を綿棒でぬぐい、検査をする迅速検査キットが登場したためその場で検査が受けられます。

迅速診断キットが置いてあるクリニックなら、10分前後で結果がわかりますよ。

主な治療…治療薬はありません!対処療法が中心

ヒトメタニューモウイルス感染症は、RSウイルス感染症同様専用の治療薬がまだ存在しません。

そこで、発症しても対処療法が中心になります。つらい症状それぞれに対してお薬が処方されます。

  • 解熱剤
  • 咳止め
  • 痰を切りやすくする薬
  • 気管支を広げやすくする薬

熱が高いと自宅にある解熱剤や座薬をすぐに使ってあげたくなりますが、まずは受診が基本です。

お家にある座薬を使っても良いかどうかは、かかりつけ医に相談し指示に従ってくださいね。市販の薬をむやみに使ってはいけません。

中耳炎や細菌性の肺炎など二次感染を起こしている場合は、細菌を退治するための抗生物質を処方されることもあります。

一般的に抗生剤はウイルスに効果がないと言われていますが、抗生物質を処方された場合は理由を説明してもらうと安心ですね。

またヒトメタニューモウイルスに対するワクチンもありません。一般的な予防策を行う以外、確実に防ぐことも難しいのです。

保育園・幼稚園のお休み…症状が緩和するまではお休みを

保育園・幼稚園は、インフルエンザなどのように「何日間休みなさい」と決まっているわけではありません。

ただし、第3種学校感染症の「その他の感染症」には指定されています。医師によって感染拡大を防ぐため、休んだ方が良いと指示されることがある病気です。

  • 発熱
  • 強い咳こみ
  • ひどい鼻水

4、5日ほどはこういった症状が続くので、その間はお休みさせましょう。不安な場合はかかりつけのお医者さんに相談してくださいね。

ただし、症状がおさまり平熱に戻ったあともウイルスは排出され続けます。手洗い・うがいはしっかり続けましょう。

周囲の大人はマスクをするなどしてお世話をしましょう。また登園する場合は、できればマスクをしていくと良いですね。

「ヒトメタニューモウイルス感染症(中略)登校(園)基準」咳などの症状が安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。

発熱・咳・鼻水などに対処しよう!おうちでできる病気のケア

ヒトメタニューモウイルスは治療薬がなく、咳や発熱などつらい症状が続きます。症状の緩和にはおうちケアがとても大切です。

基本的には対処療法の薬を飲むことがケアですが、そのほか気を付けてあげたいそれぞれの症状に合ったケアについてご紹介します。

  • 発熱
  • 咳・痰
  • 鼻水

発熱…熱の状態を見て上手にケア!解熱剤の使い方も紹介

ヒトメタニューモウイルスに感染すると、39度前後の高熱が数日間続きます。処方された解熱剤を指示に従って使いながら様子を見ましょう。

発熱は、「熱がこれから上がる時」と「熱が上がり切った時」でケアの方法が違います。

熱がこれから上がる時

子どもが寒がったり、手足の先が冷たかったり、顔色が悪く震えがある場合などは、これから熱が上がるタイミングです。

寒がることが多いので、布団を増やしたり部屋を暖めるなど温かくしてあげましょう。また温かいものを飲ませましょう。

熱が上がり切った時

子どもが汗をかいたり、暑がったり、手足の先まで暑くなり顔も真っ赤になってきたら、熱が上がり切ったタイミングです。

こういった状態になったら、体にこもった熱を発散させる必要があります。布団や着ているものを1枚とりのぞき、熱を出しましょう。

食欲がないときでも水分はたっぷり補給します。発熱中は脱水症状に要注意です。

また氷枕や冷却シートも気持ちよいと感じます。

冷却シートは心地よくて子どもも大好きですが、熱をとりのぞく効果はあまり期待できません。氷枕や保冷材はしっかり冷やせますが、長時間はもちません。

上手に使いわけることで子どもも気持ちよく、すっきりできます。

冷却シート

おでこなど、気持ち良いと感じる場所に貼ってあげましょう。目を離す時や就寝時は、口鼻をふさがないよう剥がします。

普段から真ん中に大き目の十字の切れ込みを入れておくと、窒息をある程度防ぐことができます。

氷枕・保冷材

氷枕や保冷材はしっかり熱を奪ってくれます。タオルなどに包んで使い、肌に直接刺激を与えないようにしましょう。

後頭部の下だけでなく、わきの下や太ももなど太い血管が通っている場所を冷やすと、効果的です。

頓服の解熱剤・座薬などを処方された時は、38.5度以上の発熱を目安に使いましょう。一度で熱が下がらなくても、6~8時間はあけて使ってくださいね。

咳・痰…寝るとひどくなる!加湿をして、吐き戻しに注意を

咳や痰もヒトメタニューモウイルス感染症のつらい症状のひとつです。咳が出やすいタイミングを知っておきましょう。

  • 夜寝ている時
  • のどが乾燥した時
  • 痰が絡んだ時

横になって寝ると鼻水が喉の奥に流れ込みやすくなり、さらに気道や機関が狭くなって過敏になります。

さらに鼻詰まりがあると口を開けて眠り、余計にのどが乾燥しやすくなります。痰もからみやすいですよね。

そこで寝た後、夜中の咳の悪化に注意してあげましょう。マスクができる年齢ならマスクをかけ、横向きに眠ると多少は咳が緩和されます。

加湿器で部屋の湿度を調整してあげることも大切です。無い場合は、濡れたタオルを部屋に干すなど工夫してみましょう。

乳幼児の胃はとっくり型をしていて、大人のように湾曲していません。そのため、ちょっとした刺激ですぐに吐き戻してしまいます。

特に激しい咳き込みは、ミルクや食べたものを吐いてしまう原因になります。飲食のあとは少し時間をおいて寝かせると安心ですね。

咳き込みが激しくておっぱいも飲めない・すぐに吐いてしまう場合は脱水の危険があります。すぐに受診しましょう。

鼻水…こまめに吸い取り、鼻の下はきれいに拭いてあげよう

赤ちゃんや小さな子どもが感染すると、いつもよりもたくさん鼻水が出ることがあります。

鼻水は乳幼児にとってあなどれない症状です。

  • 中耳炎
  • とびひ
  • 咳・痰の悪化

子どもの鼻と耳をつなぐ管は未熟で、鼻水がひどいなどちょっとしたことで中耳炎になってしまうケースも少なくありません。

また鼻水を放置すると、鼻の下がすぐにただれてとびひになってしまうこともあります。

赤ちゃんや小さな子どもでまだ鼻をかめない場合は、こまめに鼻吸いで鼻水を吸ってあげましょう。

一度に吸おうとして一気に強く吸うと、耳や鼻を傷めたり鼻血の原因になります。軽く何度も吸うことをこまめに繰り返し、鼻の通りを良くすることはオススメですよ。

鼻の下に垂れてくる鼻水は、お茶を含ませたティッシュなどでこまめにふき取り、とびひを防ぎましょう。

ヒトメタニューモウイルスの予防方法…飛沫・接触感染を防ぐ

専用の治療薬がないヒトメタニューモウイルス感染症は、予防策をしっかり行うことが大切です。

ヒトメタニューモウイルス感染症は咳やくしゃみによる飛沫感染や、ウイルスがついたものに手で触れ、そのまま口などの粘膜に触れる接触感染でうつります。

そこで、予防法をご紹介します。

  • マスク
  • 手洗い
  • うがい
  • 寝不足など生活習慣の見直し

マスクや手洗い・うがいの励行は、風邪やインフルエンザの予防対策と同じです。すべての病気の予防策と考え、毎日しっかり行いましょう。

また寝不足や食生活の偏りで体力や免疫力・抵抗力が低下していると、どうしても感染しやすくなります。

ロタウイルス・ノロウイルス感染症などの感染性胃腸炎やインフルエンザ感染の後も、体力が落ちて感染しやすい環境と言えますね。

ヒトメタニューモウイルス感染症は冬の感染症シーズンを越えたころに流行します。気を抜かず、春夏もしっかり体調管理を続けることが大切ですね。

ママからもらった免疫が落ちてくる1歳前後の赤ちゃんは、さまざまな病気にかかりやすい状態です。

このころから保育所に入って集団生活を始めると、次から次へと病気をもらってきてしょっちゅう休んでしまうということも多いものです。

ある程度は仕方がありません。赤ちゃんは、病気を経験して強くなっていくのです。

ママはあまり自分を責めず、「誰もが必ず感染する病気だから」と気持ちを切り替えてケアしてあげましょう。

また病気にかかると予防接種のスケジュールも崩れてしまいます。同時接種するなど、工夫して病気に強い体を作っていきましょう。

ヒトメタニューモウイルス感染症は感染対策とお家ケアが大切

ヒトメタニューモウイルス感染症に小さな子どもが感染したとき、もっともつらいのは激しい咳症状です。

赤ちゃんや幼児が咳き込むと、呼吸が難しくなったり吐いてしまうこともあります。ゼイゼイ苦しそう、顔色が悪いなどの兆候が見られたらすぐに再診しましょう。

咳や鼻水・発熱などへの対処療法を続けて、経過を観察することが治療の基本です。おうちでは安静にし、水分と栄養を補給してあげましょう。

大人も感染しますが、特に高齢者にとっては乳幼児同様怖い病気です。同居のお祖父ちゃん・お祖母ちゃんへの感染にも注意したいですね。

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