妊婦さんに起きる耳の違和感は…耳管開放症の原因と治療

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2016/11/29

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妊娠中、耳に違和感を覚えるママは少なからずいます。「妊娠と耳の異常に関係がある」なんて、普通は考えられませんよね。

でも、実はけっこう多くの妊婦さんが妊娠中に耳の異常を感じているんです。「私だけ」と不安になる必要はありません。

では、妊娠中に起きる耳の異常の正体はなんなのでしょうか。異常を引き起こす「耳管開放症」について、そして対処法や対策についてご紹介します。

【耳管開放症】とは、耳と鼻をつなぐ耳管が開いてしまう病気

耳管開放症とは、耳の病気の一種です。でも、あまり耳慣れない病気のひとつですよね。

耳の中には鼓膜があります。そしてその奥には、中耳と呼ばれる場所があります。中耳は中耳炎などを起こすこともある、耳の内部です。

中耳の奥には、「耳管」と呼ばれる管があります。耳管は耳と鼻をつなぐ管で、粘膜に覆われ、普段はピッタリと閉じた状態になっています。

耳管開放症は、この耳と鼻をつなぐ「耳管」が開いた状態になってしまう病気なのです。

これまであまり知られていなかった病気ですが、NHKの人気番組「ためしてガッテン」で特集してから「自分もそうかも!」と気付いた人も多いようです。

アーティストや芸能人でもこの病気に苦しんでいる人がいます。実は意外と身近な病気でもあるのです。

耳管開放症の症状…自分の声が響く感じと耳が詰まる感じ

耳管開放症の代表的な症状をご紹介します。「なんだか耳がおかしい…」と感じたら、こんな症状がないかチェックしてみましょう。

  • 自分の声が耳や頭の中に響くように聞こえる(自声強調)
  • 自分の声が大きく聞こえる
  • 息をすると呼吸音が聞こえる
  • 耳が詰まっているように感じる
  • 自分の声の音量調整が難しい
  • 左右の耳で音程が違って聴こえる
  • 低い音が聴きにくくなる
  • 耳鳴り
  • めまい

特に「自分の声が耳の中でワンワンと響いて聞こえる」という症状と、「耳が詰まっているような感じがある」という症状が特徴的です。

新幹線でトンネルに入った時や飛行機に乗った時、気圧の変化で耳が一時的におかしくなることがありますよね。耳管開放症は、まさにあの状態が続く病気です。

また耳管開放症の症状にも程度があります。

  • 放置すれば数分でおさまる
  • 数時間続く
  • 毎日ほとんどこういった状態が続く

耳管開放症の一般的な原因…ストレスや体重減少・血行不良など

耳管開放症の主な原因をご紹介します。耳管開放症は、男性よりも女性の方がなりやすいと言われています。

  • ストレス
  • 疲れ
  • 睡眠不足
  • 急激な体重減少
  • ダイエット
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 自律神経の乱れ
  • 脱水症状・水分不足
  • 血行・血流不良
  • 激しい運動
  • 風邪や花粉症・鼻炎など鼻の炎症
  • 妊娠

これらすべての要因が重なった時に起きるのではなく、原因は人によって異なります。特にストレスや急激な体重減少は大きな原因のひとつになっているようです。

また忙しい生活で生活リズムが乱れることでホルモンバランスが崩れることも、女性にはよくあることですよね。

耳管の周辺には脂肪組織が詰まっています。急激なダイエットなどで脂肪組織が痩せることで、普段は閉じている耳管が開きやすくなってしまうこともあるのです。

耳管は普段ぴったりと閉じられています。でも、こうした行為で開きます。

  • つばを飲み込む
  • あくびをする
  • 鼻をすする
飛行機に乗った時やエレベーターで上階に上がる時、耳が一時的におかしくなると「唾をのんだりあくびをすると治る」と言われていますよね。

それは、耳管を意図的に開くことで耳の中の気圧が調整されるからです。でも耳管開放症の場合は、ずっと耳管が開きっぱなしになっています。

そのため、呼吸のたびに空気が中耳の方へと流れ込み、鼓膜を揺らします。声も鼓膜の内側から耳の方へ漏れます。

こういった理由で、耳の中に自分の声が反響したり、耳がボワンとなる感じに襲われてしまうのです。

この病気は女性に多く、疲れや睡眠不足の状態が続いたり、 急に体重が落ちた時に起こりやすくなります。

妊婦さんと耳管開放症の関係と症状の改善方法についてチェック

先ほどご紹介した耳管開放症の原因のひとつに「妊娠」がありました。妊娠することも、耳管開放症の原因になり得るのです。

妊娠中に起きる耳管開放症はそんなに珍しい症状ではありません

耳管開放症はもともと女性に多いのですが、妊娠中には特に多く、一説では6人に1人が経験しているとも言われています。

妊娠初期に起きる人もいれば妊娠後期に気になりはじめる人もいるようですが、妊娠中期の5~6ヶ月に起きるが比較的多いようですね。

妊娠中は体にいろいろな変化が起こります。つわりがひどい人もいますし、貧血や動悸息切れ・眠りにくさなどを感じるママもいます。

便秘や足のつりなどもよく見られますよね。ではなぜ、妊娠中にはこういったマイナートラブルが起きるのでしょうか。

妊娠中、ママ達の体の中では生理をとめて胎盤を形成したりするために普段とは異なる女性ホルモンが大量に分泌されます。

また胎盤や赤ちゃんのためにいつもよりも多くの血液を必要としますが、血液自体は薄くなっている状態です。

ホルモンの劇的な変化や血液の変化によって、ママは貧血や動悸・血行不良・便秘などさまざまなマイナートラブルを経験します。

中にはなぜ起きるのかまだ解明されていないトラブルもあります。妊娠中は、いつもとは体調が変化することをしっかり理解しておきたいですね。

胎児と胎盤を有する子宮が大きくなりより多くの血液量を必要とするために増加すると言われています。 満期になると子宮に流れ込む血液の量は1分間に1リットルにもなり大変な量です。 (中略)心拍出量の増加に伴って、心臓の収縮回数(心拍数)も増えます。
妊娠すると循環血液量も1.5倍くらいに増えます。しかし、単純に血液の量が1.5倍になっているのではありません。(中略)血清の増加量が血球の増加量よりも多いために実際には薄まりながら血液全体が増加している状態なんです。

妊娠中の耳管開放症の原因…ホルモンバランスやストレスなど

では、なぜ妊娠中は耳管開放症を経験することが多いのでしょうか。その原因をピックアップしてみました。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 血行不良
  • つわりによる急激な体重減少
  • 妊娠自体のストレス

こうした原因が重なり合って起きるのではないかと言われています。ホルモンバランスの乱れや耳周りの血行不良も、耳管開放症の原因になります。

妊娠中は変化し続ける自分の身体や体調についていけず、気が滅入ることもありますよね。またマタニティブルーを経験するママもいます。

こうした心身のストレスの連続の結果、耳管開放症が起きている場合もあるのかもしれませんね。

妊娠中に耳管開放症になったときの赤ちゃんへの影響など

妊娠中に耳管開放症になると、不安を感じますよね。

  • 赤ちゃんに影響はないの?
  • 薬を飲んでもいいの?
  • ちゃんと治るの?

こういったママの不安にお答えします。

赤ちゃんへの影響
これまで見てきたように、耳管開放症は感染症などではありません。妊娠中のママの体の変化によって起きる一時的な症状です。

症状が耳管開放症だけであれば、赤ちゃんへの影響はほとんどないと言われています。

薬による治療方法
のちほど説明しますが、耳管開放症では一般的に漢方薬による治療が行われます。

漢方薬は一般的な薬よりも副作用が起きにくいと言われてはいますが、絶対的に安全とは言い切れません。まずは産婦人科の先生に相談しましょう。

改善・完治について
妊娠がきっかけで起きた耳管開放症は、出産後に軽快することがほとんどといわれています。

耳管開放症の症状のひとつに「めまい」があります。目眩で転んだり尻餅をつかないよう、充分注意してくださいね。

漢方の本には、明らかに流産や奇形児出産のリスクがあるもの(漢方薬)は禁忌と書かれ、それ以外の漢方薬はすべて妊娠中の内服に対しては安全性が確立されていないと書かれています。薬として飲むものであり、妊婦さんに実際に内服させて実験しているわけではないので安全性が確立されていないのは当然のことと言えます。(中略)ただ、前にも書いた通り安全性を実験で確立しているわけではないので、飲まないのが一番無難です。

耳管開放症の治療…一般的な治療と妊娠中の対応について

では、耳管開放症の治療法についてご紹介します。一般的な治療と、妊娠中の対応について分けて見ていきましょう。

一般的な治療…検査で診断した後、漢方薬で気長に治療

まずは、耳に異常を感じた場合はすぐに耳鼻科へ行きましょう。聴覚の検査などを行い、耳管開放症かどうかを調べます。

ネットなどで症状を調べ「耳管開放症だろう」と思って耳鼻科に行ったら、非常に症状が似ている「耳管狭窄症」だったということもあります。

また他にも耳鼻科関連の病気はたくさんあるので、耳管開放症ではない可能性もあります。素人判断はせず、必ず耳鼻科で診察を受けてくださいね。

一般的に、耳管開放症とわかった場合は漢方薬による治療が行われます。「加味帰脾湯」(カミキヒトウ)という薬です。

非常に古くからある薬で、16世紀の古典に登場する処方と言われています。14種類もの生薬を配合した薬です。

  • 心身の疲労
  • 精神の不安
  • 不眠
  • 貧血

こういった症状に対して処方されてきた薬ですが、現代のストレスにさらされイライラしている人や、血行が悪い人・疲れがピークに達している人などに向いているといわれます。

耳管開放症はストレスや疲れ・血行不良などが原因になっていることも多いので、そうした場合は効果があるようです。

漢方薬なので症状にダイレクトに効いてくるというものではありませんが、長期間飲み続けることで体質から改善していくタイプのお薬です。

漢方を3ヶ月程度飲むことで、症状が治まることがあります。

また、マッサージで血行を促進したり、鍼灸で改善したという人もいます。

妊娠中の対応…薬に頼らず一時的に症状を抑える解消方法

妊娠中に耳の異常を感じた場合は、妊婦健診の際に産婦人科の主治医に伝え、耳鼻科で診察を受けましょう。妊娠していることを必ず伝えてくださいね。

妊娠中ということで、薬は処方されない可能性が高いと思われます。また処方された場合も、主治医である産婦人科の先生と相談してから服用してください。

耳管開放症はけっこう不快感の強い病気です。その症状がストレスになることも多いでしょう。

薬は飲めないのできれいさっぱり治ることはありませんが、症状が出たときに抑える解消法があります。試してみてくださいね。

  • 横になって安静にする
  • 水分を補給する
  • 耳の周りを温める
  • お風呂に入って血行を良くする
  • 肩を動かす
  • 耳や耳の下あたりをおさえる
  • 深くお辞儀をしてみる

耳の周囲の血行を一時的に改善させ、リラックスすることで症状が軽くなると言われています。

妊婦さんは普通にしていても疲れやすく、貧血や血行不良になりやすいですよね。耳がおかしくなったら「休め」のサインだと考えましょう。

出産後はほとんどのママの症状が改善!回復を待ちましょう

妊娠中にかかった耳管開放症は、出産すると自然に治ることがほとんどだと言われています。

出産後は妊娠中とホルモンバランスが変化します。また大きなお腹ももとに戻り、血液量なども変化して、血行の悪さなども改善されていきます。

妊娠中に耳管開放症が起きる原因がはっきりとはわかっていないように、産後に改善する理由もはっきりとはわかっていません。

でも、多くの女性が出産を機に耳管開放症が改善しているので、ゆったりとした気持で出産・回復を待ちましょう。

万一出産後も耳の異常が治らなかったり、ますますひどくなるようなら耳鼻科を受診してくださいね。

授乳中は薬を飲むことができませんが、マッサージや鍼灸院などの対処法もあります。耳鼻科の医師や鍼灸師と相談して治療を行ってください。

妊娠によって引き起こされた耳管開放症の場合は、妊娠が終われば、つまり出産後は改善することが多いので、あまり心配する必要はありません。

耳管開放症の時にやってはいけないことは「鼻をすする」

耳管開放症の時、やってはいけないことがあります。妊娠中は薬を飲むこともできないので、注意しましょう。

  • 耳管開放症の症状が出ている時に鼻をすする
  • 鼻をつまんだまま息を吸う
  • 激しい運動をする
妊婦さんは激しい運動をすることはないと思われますが、鼻をすすったり鼻をつまんだまま息を吸うと、「真珠腫性中耳炎」という病気に発展する恐れがあると言われています。

耳がおかしい時に鼻をすすると一時的に症状が改善するのでついやってしまいがちですが、絶対にやらないよう注意してくださいね!

耳管開放症の体験談…耳管開放症にかかって4ヶ月の筆者

実は私も耳管開放症にかかっています。4か月前に症状を発症し、今もその状態が続いています。

最初は耳の閉塞感と自声強調が長時間続き、耳が聞こえにくくなりました。試しに片方ずつ耳をふさいで音を聴いてみると、左右で音程が全然違いました。

耳が聞こえにくい状態が強かったので「突発性難聴かもしれない」と思い耳鼻科を受診しました。

聴覚の検査や耳の中をスコープで見るなどの検査をした結果、耳管開放症とわかりました。検査などには30分ほどかかったと思います。

加味帰脾湯を2週間分処方されました。症状が出てつらいときは、横になったり休んだりするように、またあまり痩せないようにというアドバイスをもらいました。

私はストレスが原因になっている病的な貧血があり、体重が短期間に落ちたため漢方薬の効き目はいまひとつなので、病気と共存している状態です。

体を起こしてじっとしていると、症状が出てきます。一度開いてしまうと、あくびや唾飲みでは治りません。

両耳同時に出ることも、片方ずつ出ることもあります。強く出るときは不快感が強いだけでなく、耳の奥に痛みが走ることもあります。

こんな体勢の時に症状が出やすくなります。

  • パソコンに向かっている
  • テレビを見ている
  • 車を運転している

つまり、お仕事中はずっと耳管が開きっぱなしになっているということですね。ただし、主治医の話ではストレスと貧血が改善されれば自然治癒するだろうとのことでした。

かかりつけの耳鼻科を受診した時の診察料をご紹介します。

  • 診察料(初診料・検査料込)…2550円
  • 加味帰脾湯顆粒2週間分…1340円

参考にしてみてくださいね。

マッサージや整体も効果的だと思います。定期的に通っていますが、施術を受けた後はかなり状態が良くなります。

妊娠中の耳管開放症は出産とともに治る人が多い!気長に待とう

妊娠中はちょっとしたことが不安になるものです。特に思いもよらなかった「耳」の不調は、ママにとって心配の種ですよね。

でもけっこう多くのお母さんたちが経験しているのだと知るだけで、気持ちが少しは楽になるのではないでしょうか。

妊娠中は薬を飲めない可能性が高いのですが、ほとんどのママは出産を契機に症状が改善しています。

すぐにはおさまらなくても、育児に追われているうちに治ってしまうこともあります。また、どうしても治らない場合は再度耳鼻科を受診しましょう。

耳の不快感でつらいときは、横向きになって寝ころんだり、耳周りを温めるだけでも一時的に楽になります。

耳がおかしくなってしまったときは、赤ちゃんからの「ママ、ちょっと休んでね」というサインだと考え、自分の体を労わってあげましょう。
みんなのコメント
  • タニさん

    妊娠前から耳の違和感に悩まされていました。耳鼻科に行っても肩こりのせいだとしか言われませんでした。
    今まで鼻をすすって無理やり治してたので気を付けます。

  • やーぼさん

    妊娠5ヶ月くらいから、出掛けると疲れるのか耳詰まりの症状がでて、自分の声と息が大きく聞こえ不快でした。
    横になると治りますが、戻るとすぐまたなってしまいます。
    今回このサイトを見て、他にもなってる人がいることを知り安心しました。
    産院で相談しても、そのような症状の妊婦はあまり聞いたことがないと言われていたので。

  • ぽぽさん

    私は産院で相談すると「歯磨きを念入りにしてください、耳に細菌がうつってしまうのが原因です。妊婦にはよくあります。」と言われました。
    ネットで調べてもそのような原因だとは記載がなく…

  • さん

    3人目妊娠中です。1人目のとき確かにありました。そして今回妊娠 4か月にはいり全く同じ症状です。2人目のときあったかどうか覚えていませんが 1人目の時同じようにネットでしらべていてそんなにきにせずいたらいつの間にか治っていました。主治医にきいても耳鼻科を紹介するといわれただけです。今回 早く治ってほしいですが 大変深いです。体系は普通~痩せ気味です。

  • さん

    鼻粘膜のむくみが原因なんだそうで、漢方もあるようですが、ゆっくりおじぎして3秒数えて戻すと一時的に治りました。もしくはお鼻をつまんで唾をのみこむと一時的に治りました。

  • はまみんさん

    妊娠4週からずっとです(現在8週)。ずっと山の上にいるような感覚。自分の声も人の声も響いて不快で、電話対応の仕事もツライです。めまいもあります。早く終わって欲しいです。

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