多嚢胞性卵巣症候群…妊娠を望むなら検査・治療を!
PCOSは内分泌異常であると考えられていますが、原因やメカニズムは未だ不明なところも多く、根本的な治療法・治療薬はありません。
また、PCOSは自然治癒の可能性もある極めて不安定な病です。婦人科での治療の他に、漢方などを用いることもありますが、特に治療をせずに自然に治癒してしまう人もいます。
根本的な治療法はないけれど、自然治癒も考えられる、これは厄介ですね。
多嚢胞性卵巣症候群だけど妊娠したいなら検査・治療を!
PCOSと診断された際に重要になるのが妊娠を希望しているのか否かです。
妊娠を望む場合には、クロミフェン・クロミッド等の排卵誘発剤で排卵を促します。PCOSの場合は排卵誘発剤の使用により、8割程度の人が排卵をすると言われています。
これで効果がない場合は、排卵をおこすための注射療法や副腎皮質ホルモンを利用したホルモン治療が行われることもあります。
生理周期が長く、不順な場合や、月経過多、不正出血が見られる場合はPCOSはもちろん、他の子宮・卵巣疾患の可能性もあります。
▼多嚢胞性卵巣症候群の原因や症状についてはコチラも参考にしてみて!
PCOSの検査
PCOSは、血液中のホルモン検査・ホルモン負荷試験・卵巣の超音波検査によって確定されます。
超音波検査で「ネックレスサイン」が見える場合、ホルモン検査によってLHがFSHより高い場合には、『PCOS』と診断されます。
ただし、PCOSの血液検査は生理中に行うのが原則です。検査できる時期が限定されているので注意してください。
腹腔鏡手術で卵巣の一部を採取して顕微鏡検査をするケースもありますが、あまり一般的ではありません。
多嚢胞性卵巣症候群と手術
PCOSは一般的には投薬や注射などで様子を見ますが、排卵誘発剤や注射をしても排卵が見られない場合は、手術をすることがあります。
この手術は「腹腔鏡下卵巣焼灼術」と呼ばれるもので、腹腔鏡で卵巣に5~10ミリくらいの穴を20ヶ所程度開けるというもの。手術後は約7割の確率で自然排卵が見られるようになり、妊娠の確率はかなり高くなります。
また、腹腔鏡下手術では卵管閉塞等を同時に改善することも可能です。
ただし、手術したからといって100%排卵が起こるわけではなく、失敗して無排卵になった症例もあるので、確実に症状を改善できるとは限りません。
PCOS治療の上での注意
PCOSの治療で排卵誘発剤を用いる場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意しなければなりません。
OHSSとは、卵巣が腫れて腹水がたまるもの。卵巣内で複数の卵胞が成熟した際や排卵直後、妊娠初期などに見られる症状です。軽い卵巣の腫れは気が付かずに過ごしていることが多いのですが、腹水がたまると危険なので注意しておきましょう。
若く・痩せている人、また過去にOHSSになった人等もリスクが高いと言われているので気を付けておきましょう。
妊娠を希望しない場合の治療は?
妊娠を希望しない場合は、月経・排卵が周期的に起こるように治療を行います。低用量ピルなどを用いたホルモン治療を行うことが多く、生理周期とホルモンバランスを整えていきます。
妊娠希望がない場合は、とりあえず卵巣の排卵機能を正常に戻すための治療を行うのが基本です。
ただし、医師また個人の状況、年齢、症状の重さによって治療法が異なり、妊娠を希望しない場合であってもクロミッドなどで排卵を促すこともあります。
治療でなく生活環境の見直しで改善できる可能性あり!
PCOSはホルモンの分泌異常が関係しているとされています。
PCOSを防ぎ、またその症状を少しでも改善するためには、日常のストレスを軽減することが大事です。
PCOSの場合、仕事を辞めたら治った、引っ越したら治った、あるいは妊娠を諦めた途端に妊娠したといった環境や心境の変化を大きく受ける傾向にあります。
また、PCOSは肥満・インシュリンにも関わっていますので、食べ過ぎにも注意が必要です。インシュリンが過剰に分泌されたり、肥満によってインシュリンの作用が妨げられるような生活を避けることもPCOSの予防や改善につながります。
根本的な治療法は確立されていないPCOSですが、妊娠が絶望的な病気ではありませんし、自然治癒も十分にあり得ます。
不妊の原因だったのか…と気を落とさずに、病気を受け止め、治療や改善のために出来る事を講ずることこそがPCOSを克服するために一番必要なことです。
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