トーラックとブイバックの違いやリスク。帝王切開後に自然分娩希望なら確認!
帝王切開した後の分娩は必ず帝王切開になるというのが一般的ですが、妊婦の希望により次の出産では経腟分娩をすることもあります。
トーラックとブイバックの違いや、帝王切開後に自然分娩を希望する理由、またトーラックのリスクについてお話しします。
この記事の目次
トーラックとブイバックは帝王切開後の自然分娩を意味する
- トーラック
- トーラック(TOLAC)は「Trial of labor of after cesareansection」、帝王切開後に自然分娩(経腟分娩)に挑戦すること
- ブイバック
- ブイバック(VBAC)は「Vaginal Birth After Caesarean」、帝王切開後の自然分娩(経腟分娩)のことです。
帝王切開後に自然分娩を希望する理由や勧められる理由
帝王切開をした後は帝王切開というのが一般的ですが、帝王切開の後に経腟分娩を希望する人も増えてきており、ブイバックを推奨している病院もあります。
帝王切開を経験したママが自然分娩(経腟分娩)を希望する理由
前回、帝王切開により出産をしたママの中には、次の出産では自然分娩を強く望む方も多いです。
- 経腟分娩を経験したい
- VBACをして次回の経腟分娩につなげたい
- 帝王切開後は子宮や体の回復が遅く、上の子の面倒を見る人がいない
- 帝王切開後の痛みへの恐怖心が残っている
- 前回、帝王切開をした時に心無い言葉をかけられて自信を無くした
次回の妊娠・出産のことを考えて出来れば経腟分娩をしたいと思っていても、逆子や児頭骨盤不均衡など、帝王切開になる場合もあります。
周囲から心無い言葉をかけられると経腟分娩じゃないと出産と認められないのかと、感じてしまう方も多いです。
関連記事:日本は帝王切開に否定的…偏見を持たれてしまう理由とアドバイス
病院側から経腟分娩を勧められる理由
スタッフが揃っていることも条件になるので、ブイバックを選択しない病院が多いですが、反復帝王切開は行わないことを基本としている病院もあります。
- 前置胎盤や癒着胎盤の可能性が低くなる(帝王切開を繰り返すと起こりやすい)
- 帝王切開に比べて母体の回復が早い
- 子宮破裂の危険性はあるが症例は1%未満で、設備が整った病院であれば、リスクは少ない
- 産褥熱や創感染などが減少する
病院スタッフがブイバックを熟知しており、緊急時に対応できることも条件の一つになります。
ブイバックに挑戦できる条件とブイバックのリスク
ブイバックに挑戦するには、一般的に下記のような条件をクリアするべきと考えられています。
- 妊婦・赤ちゃん側に条件
-
- 十分な情報を得た(伝えられた )上での合意があること
- 年齢が35歳未満であること
- 正規産であること
- 胎位異常がないこと
- 児頭骨盤不均衡が無い
- 前回の帝王切開が子宮下部横切開で、1回のみの実施
- 帝王切開以外の子宮
病院により、1年あるいは2年以上前回の出産から開ける事、また子宮壁の厚さなど、条件は違ってくることもあります。
- 病院側の条件
-
- 緊急帝王切開に対応できること(麻酔科医・手術スタッフ・産科医・小児科医がいる)
- NICUがある
- 前の病院での分娩経過や手術方法などをふまえて対応している
- 緊急時に対応できるような体制が整っている
ブイバックのリスクは主に子宮破裂
帝王切開後の経腟分娩の一番のリスクは「子宮破裂」です。子宮体部縦切開が一般的に行われていたころのブイバックでは、子宮破裂は約10%の高い確率で起こっていました。
子宮底下部横切開になった後の子宮破裂は1%以下になっていますが、子宮破裂を起こすと、母子ともに生命の危険に晒される可能性もあります。
- 子宮破裂の確率が高くなるのは
-
- 帝王切開の既往が2回以上…1.5~3.7%に上昇
- プロスタグランディンを使用した分娩誘発…2.45%に上昇
- 子宮体部縦切開や子宮底に及ぶ傷がある場合
- ブイバックを選択した時のリスク
-
- 子宮破裂が起こる可能性がある
- ブイバックを選択していても状態によっては帝王切開に切り替わることもある
- 分娩中に子宮破裂が起きた場合は緊急帝王切開になる
- 予定帝王切開より、緊急帝王切開の方がリスクが高い
妊婦がブイバックに適応しているか、検査や準備を行い判定されていれば子宮破裂が起こることは稀です。
それでも、子宮破裂になると高い確率で赤ちゃんが亡くなってしまうので、厳密に監視し起こりそうな場合に予知できることも条件になります。
ブイバックを経験した人も、成功すれば「普通の出産以上のリスクはなかった」と話し、問題が起きた方は「ブイバックを選択しなければ良かった」と考えるものです。
大切なのは納得して出産に望むことと、赤ちゃんとママの安全
帝王切開でもブイバックでも、どちらが安全でどちらが危険と単純に比較することはできません。現状は「うちではブイバックは推奨できない」と、言われることが殆どです。
ブイバックでも帝王切開でも設備が整っており、緊急対応まで想定されている病院を選択することが望ましいです。
医療機関の人材不足も指摘されており、必要な医療スタッフが揃いにくいというのも、ブイバックに挑戦できる医療機関が少ない原因にもなっています。
MARCH(マーチ)では、妊娠や子育ての先輩たちが、ためになる情報を毎日配信しています!新米ママ&パパはぜひご覧ください♪
まだデータがありません。