感染するおたふくかぜは正しい知識でしっかり対応してあげて!

おたふくかぜ

おたふくかぜは集団生活をしていると流行したり、かかりやすい身近な病気ですよね。

おたふくかぜとよく聞きますが、どのような病気で予防接種の必要性などはどうなのでしょうか。意外と知らない、そんなおたふくかぜについてみていきたいと思います。

おたふく風邪ってどのような病気?

おたふくかぜは、正式には流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)といいます。

特に、耳の下や顎付近が腫れて痛みますので、その腫れがおたふくのように見えることから、おたふくかぜと言われていいます。

おたふくかぜはムンプウイルスというウイルスに感染することで起こる病気です。飛沫感染(くしゃみなど)や接触感染でうつります。

主な症状や潜伏期間などの詳しい情報

耳の下にある耳下腺(じかせん)や顎下腺(がくかせん)、舌下腺(ぜっかせん)が腫れて、38度から39度の熱が出ます。

  • ウイルスに感染すると急な発熱と、耳の下の腫れや痛みが起こります。
  • 通常48時間以内にピークが認められます。
  • 熱は2、3日、腫れは1週間から10日ほど続くこともあります。
  • 顎下腺が腫れるとなかなか腫れがひきません。

腫れが片側のみの場合もあり、全体の25%くらいは腫れが片側のみだと言われています。ただし、感染しても症状が現れない不顕性感染も30~35%みられていると言われています。

潜伏期間
ウイルスに感染してから、2~3週間潜伏期間(平均18日程度)があります。何も気付かずに感染していて、症状が出たころにはもう周りにうつっているということになり、集団生活ではあっという間に流行します。
流行する季節
人口が密集した集団生活を送るような場所では季節に関係なく流行しますが、季節でいうと特に冬から春にかけて流行します。
年齢的には何歳くらいにかかることが多い?
4~5歳児にかかりやすいと言われています。2歳から9歳が好発年齢であり、毎年数万~数十万人の患者が報告されます。
集団生活を送っている際の注意点
学校保健安全法いおける取扱いでは、第2種の感染症に定められており、原則的に発症してから5日間が経過して、全身状態も良くなるまで出席が停止になります。

おたふくかぜは腫れている間は感染しますので、腫れがひかない間は学校や幼稚園、保育園は休ませましょう。

ただし抗体検査をして、抗体を持っている場合に医師により感染する恐れがないと判断された場合は、欠席する日数が変わることもあります。

どのように治療するの?

おたふくかぜになってしまったら、どのような治療でどう対応すればいいのでしょうか?薬や処置などはどうなっているのでしょうか?

治療
ムンプウイルスの抗ウイルス剤などはなく、直接効く薬はありません。基本的には対症療法になるため、熱が高熱の場合解熱鎮痛剤がでるなどの対応になります。原則的には自宅で安静に過ごし、自然に回復するのを待つしかありません。

合わせて知っておきたい合併症について

おたふくかぜは1週間程度で治る病気ということで、深刻に考えないかもしれませんが、ムンプウイルスは全身の臓器に感染しやすいため合併症に注意が必要です。

思春期くらいから大人がかかると特に症状が重く出たり、重い合併症を引き起こすこともあります。

約1000人に一人の割合で重度の難聴になることがあり、ウイルスが脳のほうにうつり無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)や脳炎を引き起こすこともあります。

難聴は感音声難聴でほとんどは片則ですが、両側のこともあり、治らないのでとても深刻です。

また、思春期以降に感染してしまうと精巣炎や卵巣炎になってしまうこともあります。その他に稀ですが、膵炎も重篤な合併症の一つです。

再受診のタイミング

自宅で安静に過ごしてもよくなっていなかったり、次の症状が見られるときは再受診しましょう。

  • 強い頭痛や嘔吐、腹痛が続く
  • 呼んでも振り向かない、耳の聞こえが悪い
  • 精巣を痛がる
  • 熱が5日以上続く
  • 耳の下の腫れが赤くなっている

以上のことがないか、みてあげてください。

食事を取らせる際の注意点
耳下腺や顎下腺の腫れは食事で口を動かす時や飲み込む時に痛くて食べられないことがあります。

痛みが強い時は、ゼリーやスープ、おかゆ、お豆腐などのような、かまずにのみこめるような食べられる物を用意しましょう。

また、すっぱいものやよくかまなくてはいけないものは余計に痛みを刺激してしまうことがあるので、さけてくださいね。

予防接種~任意接種だけど受けた方がいいの?

おたふくかぜには予防接種があります。ただ、任意接種ということでお金がかかってくるので迷うところですよね。

予防接種をすることによるメリットはどのようなことでしょうか。

予防接種を受けることのメリット

効果的に予防する為にはワクチンが唯一の方法になります。

そして予防接種を受けることにより、もしおたふくかぜにかかっても症状が軽くすんだり、重い合併症になるリスクを大幅に減らせます。

また抗ウイルス剤が開発されておらず自然に治るのを待つしかないこと、感染力が強くかかりやすいことを考えると、保育園や幼稚園など集団生活をする前には受けていた方が安心です。

予防接種する回数
接種する回数は2回です。1歳から受けることができます。1回だけだと途中で効果が薄れてかかったり、成人になってかかってしまうことがあるので、2回の接種がいいといわれています。

また、MR(麻しん風しん混合)と水ぼうそうと同時接種もできるので、同時に受けるとはやく免疫を付けることができます。

1歳から計画的に予防接種を受けていくことで、免疫をはやくつけてより安心した生活が送れるようになりますので、計画的に接種しましょう。

接種時期
一歳以降で1回目を接種します。免疫を確実につける為に1歳で1回目を受けた後、2回目を3歳から就学前に接種するのがいいといわれています。
ワクチンの種類
予防接種のワクチンの種類は生ワクチンになります。生ワクチンは生きたウイルスの毒性を弱めたものです。

接種後からウイルスの増殖がはじまり、抗体ができていくので、ワクチンの性質に応じて発熱や発疹など軽い症状がでることがあります。

他のワクチンの接種間隔
接種間隔は27日になります。おたふくかぜは生ワクチンになりますので、原則27日(4週間)以上の間隔をあけると決まっています。
接種後の副作用は?
予防接種後の2~3週間で、副作用として耳の下が腫れたり発熱することもあります。また、予防接種をしたことにより頭痛や発熱、嘔吐がみられ無菌性髄膜炎を発症してしまう人もいますが、数千人に1人と言われていて少なく、重症化もしにくく軽いと言われています。
予防接種の料金は?
おたふくかぜは任意接種になりますので有料です。金額は病院によって3000円から7000円くらいとばらつきがあります。かかりつけの小児科に確認してみてください。

そして多くはありませんが、各自治体などで公費助成があるところがありますので、お住まいの自治体を調べてみてください。

おたふくかぜはあなどれない!

よく聞く身近な病気で、1週間くらいで治ると思うとそこまで深く考えない病気ですよね。しかしウイルスの感染力は強くて集団生活をしているとかかりやすく、流行もします。

そして見てきたように重い合併症を引き起こすこともありますし、大きくなってから感染してしまうとおたふくかぜ自体の症状が重く出てしまい大変です。

子どもの将来的な予防も含めて予防接種を検討してみるといいのではないでしょうか。

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