子供服のひもの安全基準をJISが制定!事故防止に役立てよう
子ども服にはフードやズボンのすそなど、いろいろな場所に「紐」が使用されています。
フードの紐やループなど、お手持ちの服にも色々な箇所に紐が使われているのではないでしょうか。
こうした子ども服の紐に関して、いま安全性が問われています。実は海外ではすでに子ども服の紐に関する安全基準が定まっているところも少なくありません。
2015年12月に「JIS」で子ども服の紐に関する安全基準が制定されました。
日本でも、子ども服の引っ掛かりによる事故が起きていることから制定されたようです。
そこで今回制定された安全基準について詳しく知り、さらに手持ちの服を安全に着るためにどうすればよいか考えてみましょう。
この記事の目次
JISの安全基準…今回の制定内容について知っておこう!
新聞やニュース番組でも子ども服の安全性に関して取り上げられ、関心が高まっています。
今回制定された安全基準や、各企業の取り組みについて調べてみました。
今回規定された「子ども服の紐に関する安全基準」をチェック
今回規定されたのは、子ども服の紐に関する安全基準です。
まずは、子ども服の頭部と首回りの安全基準について見ていきましょう。
子どもの年齢 | 子ども服の頭部・首周りの安全基準 |
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新生児~7歳未満 | 頭部や首周りの紐はダメ。 ホルターネックの紐は自由端がない場合のみOK。 |
7歳~13歳未満 | 自由に引ける端のある引き紐はダメ。 子ども服の開口部が最大の状態で突き出るループはダメ。 ループの円周は150mmを超えない。 ホルターネックの紐は自由端がない場合のみOK。 |
また、子ども服の背面部分の安全基準やフードに関する基準も確認してみましょう。
- 子ども服の背面の安全基準(0歳~13歳未満)
- 子ども服の背面・後部から出る紐や結ぶ引き紐・装飾紐などはダメ。
- フードに関する安全基準(参考・0歳~13歳未満)
- 力を加えると本体からフード部分が外れるような工夫(ホックなど)が望ましい。
子どもの年齢によって安全基準が多少異なります。
ベビー服から6歳までの子ども服に関しては、すべて頭・首周りの紐の使用が禁じられています。さらに7歳以上の子ども服に関しても、首周りの紐に関する基準が厳しく定められています。
そのほか、ホルターネックの紐や背中のリボン結びの紐なども規定されました。
寒い冬などは欠かせないフード付きの服に関してもはっきりとした規定ではありませんが、より安全な基準が指摘されています。
子ども服の安全基準を定めている「JIS」は、法的規制ではない
「JIS」は「日本工業規格」のことで、さまざまな製品の規格や安全性などを定めた日本国内の標準です。「JIS規格」と呼ばれることもあります。
JISに適合していると判断された製品には、JISマークをつけることが許可されます。
みなさんもJISマークを見たことがあるのではないでしょうか。
しかし、JISは法的な規制ではなく、規格に適合させるかどうかは企業の任意です。すべての子ども服が今後適合したデザインで生産されるというわけではありません。
今回の子ども服の安全基準は2014年6月に制定されることが決定し、実際に2015年12月に制定されました。これまでは正式な安全基準はなかったため、大きな変化です。
これから安全基準にのっとって各社でデザインが改正され生産されるため、市場に適合する子ども服が出回るようになるまで多少時間がかかりますので、その点も注意が必要です。
企業によっては、すでに独自に取り組んでいるところも!
子ども服の製造・販売にかかわる各企業では、すでに独自の努力を行っているところもあります。
今回制定された安全基準よりも広い範囲でチェックしているところもあり、子ども服の安全を家庭で考えるうえでも参考になります。
- ミキハウス
-
2008年から商品のデザインを安全性のために変更している。
- 首周りをはじめ、ズボンのすそなどに紐を使用しない
- ダッフルコートの留め具の紐を短くする
- ビキニタイプの水着の紐は輪っかにして自由端をなくす
- 三越伊勢丹ホールディングス
- 衣料品メーカーにJISの安全基準を守るよう要請し、商品のチェックを行ってから販売する。
子ども服メーカーとして有名なミキハウスでは、子ども同士が服のえり元にある紐を引っ張り合って危ない、という顧客からの声を受けて早めの対策をスタートさせました。
これから買う服とすでに持っている服の安全性のチェックポイント
これから購入する服は安全基準に適合しているものを選ぶことができても、すでに持っている服はどうすればいいのか悩みますよね。
そこで注意したい点についてまとめてみました。
子ども服で注意が必要な点をチェック…4か所あるポイント
子どもは全身を使ってアクティブに遊びます。大人には想像もつかないところで「え、こんな場所に引っかかるの?」と驚くような事故を起こすこともあります。
2012年には、4歳の子どもが玄関のドアノブにパーカーのフードを引っかけ、窒息する事故が起きました。このケースでは子どもが入院する事態となりましたが、小さなケガはもっとたくさん起きている可能性があります。
「服のどこかや紐が引っ掛かったり巻き付いたりしてヒヤリとさせられた」という一幕は、多くのパパママが経験しているのではないでしょうか。大人でも服を引っかけてしまうことはありますよね。
今回制定された安全基準では、頭と首周りの紐・背中の紐に関することとフードに関することだけがピックアップされています。しかし、事故やヒヤリとさせられることはそれ以外の紐などでも起きています。
子ども服に潜んでいる4つの主な危険箇所についてお伝えします。
- 1.首周りの紐・ホルターネック
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滑り台やジャングルジム・ブランコなどの遊具に引っかかる
通行人のバッグの金具に引っかけられる - 2.腰回り周辺の紐・背中の紐
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電車やバス・自動車・エレベーターのドアにはさまれる
自転車のタイヤに巻き込まれる
自分で踏む・他人に踏まれる - 3.ズボンのすその紐
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電車やバス・自動車・エレベーターのドアにはさまれる
エスカレーターにはさまる・巻き込まれる
自転車のタイヤに巻き込まれる
自分で足を引っかけて転ぶ - 4.フード
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ドアノブに引っかけて首がしまる
子ども同士で引っ張り合う
木や遊具などに引っかかる
紐やループなどはデザイン性を高めます。でも実際にこのような危険が潜んでいることがわかると不安ですよね。
これを受けて、子どもの安全のためにできることを考えてみましょう。
1.【頭・首周りの紐】JISの安全基準でも制定!窒息を防止しよう
首周りは窒息の危険が大きいにも関わらず、紐が使われている服が意外とたくさんあります。フードに紐が通してあり、引っ張るとフードが引き締まるタイプの服も少なくありませんよね。
コートのえり元にループがついているものもあります。またキャミソールや水着など、ホルターネックの服もあります。ちょっぴり大人っぽいデザインがとてもかわいいですよね。
今回の安全基準制定で、頭や首周りの紐は幼児に関しては一切使用が認められないことになりました。7歳以上の子どもの服に関しても厳しく安全性が追及されるようになっています。
しかし、JISは任意の基準で法律で強く守られているわけではありませんので、今後も守られていない服がネット販売などで流通する可能性はあります。
子ども服を選ぶときに、JISの安全基準に適合することを常に頭に置いて服を選ぶことが大切です。
特に外国から直接購入する場合など、国内のチェックを通っていない服はよく確認してから着せましょう。
また、既に持っている服の首周りに紐がついている場合はどうすればいいのでしょうか?
- フードを引きしぼるタイプの紐
- 紐を抜いてしまうとよいでしょう。特に紐の先端にボンボンや金具がついているタイプは引っかけやすいので危険です。
- ループがついている場合
- 首周りは危険が大きいのでやはり取り除いた方が安全です。コートには多くの紐やループがついていることが多いので、フード周辺も含めてもう一度確認してみましょう。
- ハサミでカットできるもの
- 切れるのであれば、切り取ってしまいましょう。デザインや機能上切り取れないものに関しては、服本体にぴったり縫い付けたり貼り付けたりし、引っかける余地を作らないといった工夫をしましょう。
- ホルターネックの服やスタイ
- 自由にほどいたり結んだりできるタイプだと、首をしめてしまう可能性があるので大変危険です。そこで伸縮性の高いゴム素材の紐を輪っか状につけなおし自由端のある紐を取り除くと良いでしょう。
2.【腰回り周辺の紐・背中の紐】ダッフルコートのループも注意
腰回り周辺の紐がついている服もあります。女の子の場合は腰や背中にリボンや紐がついているデザインの服もよく見かけますし、男の子のコート類やミリタリー調の服にもよく紐があしらわれています。
背面の紐に関しても、今回安全基準が定められました。
しかしきょうだいの服を着たり、おさがりをもらったり、フリーマーケットで購入したりした服は基準に適合しないものもあります。
お手持ちの服もしっかりチェックしておきましょう。どういった服のタイプについている可能性があるかなど見ていきましょう。
- コートやアウターの腰・シャツの裾の紐やループ
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機能性に問題が生じない紐は抜いてしまったり、切ってしまうなどして取り除きましょう。機能に問題が起きる場合は適度な長さでカットしたり、縫い付けて引っかけないように工夫します。
- 背中やおなかで引きしぼるタイプの服
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引きしぼるタイプの服は、引っ張って抜けるタイプなら抜いてしまいます。同じ穴にゴムを通して適当な長さに調節して切ります。
穴が外から見える場合は引っかからないリボン状のアップリケなどを付けて穴を隠してあげましょう。
引っ張って抜けないタイプの紐の場合もあります。途中で服に縫い付けてあるものです。こうした場合は外に出る部分をできるだけ引き出して切り取ります。その後タックを寄せるなどしてウエストを適度にしぼって縫います。
背中にリボンがついている場合は、リボン結びのループになっている部分を2枚合わせる形で縫い付けるか貼り付けます。それだけでかなり引っかかることが少なくなります。
- ダッフルコートのループ
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ダッフルコートのループもかなり引っかけやすいものです。やんちゃ盛りの子どものコートはできるだけダッフルタイプではないものを選びましょう。
すでにダッフルコートを持っている場合は、ループ側・トグル側双方の紐に注意が必要です。トグルがくぐる円周75ミリを基本に、紐の余裕を縫い合わせます。
特にループ側は服に縫い付け、引っかかりをできる限り減らしましょう。
どうしても紐を取り切れないアウターやコートは、大人が目を離しやすい公園遊びや人混みになるイベントなど、危険が高まる場所には着ていかない工夫も大切です。
自転車やエレベーターへの巻き込みや電車・自動車のドアへのはさまりなど、命の危険につながることもあります。
可愛さより安全性を重視しましょう。
3.【ズボンのすその紐】特に危険!ロールアップのループに注意
ズボンの中にはロールアップしたすそをまとめたり、引きしぼるための紐やループがついているものもあります。
足元の紐は逆側の足で引っかけたり、自転車やエスカレーターに巻き込むなどの事故が起きる可能性があります。
これはかなり危険がともなうので、できるだけ出っ張っている部分をなくすように心がけましょう。足元の紐は、自分で踏むこともありますし他人に踏まれてしまうこともあります。
ループを留め具で引きしぼるタイプは、ちょうどよい長さで紐を切り、ループの余裕がなくなるように工夫します。紐が垂れ下がるタイプも服に縫い付ける・カットしておくなど紐の長さを調整しましょう。
ズボンのすそに関しては、今回の2015年に制定されたJISの安全基準の対象外です。今後購入する場合も安全を考慮し、できるだけ紐やループがついていないものを選びましょう。
4.【フード】引っかけ事故が発生!引っかけやすい場所にも注意
フードも実際に引っかけ事故が起きたこともあり、今回安全基準の推奨事項になっています。とはいえ、冬の防寒具やスキーウエアなどどうしてもフードが欠かせない服もあります。
フードは紐とは違って、簡単には取り外したり縫い付けができません。
フードのえり元に紐がついているデザインの場合は、引っかけないよう紐を抜いてしまったり、縫い付ける・ギリギリの部分でカットするなど工夫しましょう。特に小さな子どもの場合は注意が必要です。
赤ちゃんは体を自由に動かすことができないため特に危険です。
赤ちゃんの普段着やパジャマなどはフード付きのものを選ばないようにすると安心です。
公園で遊ぶ時やアスレチックで遊ぶ時など、引っかける可能性が高い場合はフード付きの服を避けると良いでしょう。
またドアノブがちょうど子どものフードの高さにある時期は着せないなど、ちょっとした気配りで事故を防ぎましょう。
今後はスナップなど、ちょっと力が加わると服本体からフード部分が簡単に着脱できるような服が多くなっていく傾向にあると考えられます。今後服を選ぶ際は、そういった点もチェックしてみましょう。
子ども服は可愛さよりも安全性!愛情の「目」でしっかり確認
子ども服は可愛さで選んでしまいがちですが、最も大切なのは安全性です。今回の安全基準制定を機に、安心して着られる服をママの愛情基準で選んであげましょう。
保育園など私服通園の施設では、服の紐やコートなどの安全性に対して基準が設けられているところもあります。それぞれ園の方針に従って、親の目が届かない場所で危険にさらされないよう注意しましょう。
今までの手持ちの服も、衣替えなどの機会でしっかりとチェックし、引っかけや巻き込み・はさみこみなどの可能性がある紐やループ・リボンなどがないか確認してくださいね。
子どもは想定外の動きをしたり、予想外のことに巻き込まれたり常に大人の想像を上回ります。「危ないかな、心配しすぎかな」と迷ったら、安全を優先してちょっとした工夫をすると良いのではないでしょうか。