親の過保護・過干渉とは?子育ての過保護と過干渉が子供に与える影響
ついつい子供のことを甘やかしてしまうか過保護な親、または子供に過干渉な親が増えていることが問題視されています。
過保護と過干渉は語感が似ていますが、意味は少し違ってきます。過保護と過干渉の間にはどのような差があるのでしょうか。
また親が過保護、過干渉であると子どもはどのように育っていくのでしょうか。心への影響はあるのでしょうか。
過保護と過干渉の違いは「子供の気持ち」をどう扱うか
過保護にしても過干渉にしても、子供に対して必要以上に密接な距離感で接するという点で共通しています。
どちらも子供のすること、言う事に対して手出し口出しをしすぎているということなのですね。つまり、親が主導権を握っている状態です。
でも厳密に言うと過保護と過干渉は微妙に異なって来ます。この二つの概念の間にはどのような違いがあるのでしょうか。
【過保護】な親は子供の気持ちに「同意しすぎ」
過保護とはよく「甘やかし」という表現でも使われます。甘えさせと甘やかしは子育ての上で全く違う意味を持っているのです。
甘えさせはとても大切な行為で是非やっておくべきですが、甘やかしにはちょっと注意が必要です。
甘えさせとは子供が親を慕って頼りにしてくるときに、その感情を受け入れてあげる事です。対して甘やかしとは、親の一方的な愛情表現です。
そこには子供の心に寄り添うという姿勢が備わっていません。親が子育ての主役になってしまっているので、子供の意図に構わず良いと思えることは何でもしている状態です。
例えば
- 食事
- 着替え
- 学校の準備
- 勉強
- 苦手だと訴えてくること
- 友達関係のこと
の様に、本来なら自分の力で解決できる事に親が手を貸している状態を、過保護、甘やかしと捉えます。
また子供への愛着が一方的に強くなっているので、子供の求めるものは何でもかなえてやりたくなり、欲しがるものをどんどん買い与えるなどの行為も甘やかしです。
このように過保護や甘やかしは、親が子供の自主性や主体性を無視しています。そして必要以上に子供の心に同調しているという状態です。
【過干渉】とは子供の心を「無視しすぎ」
過干渉も、親が子育ての主役になってしまっているという点では過保護と同じです。親が子供に対して一方的な立場を取っている状態ですね。
過干渉とは、親が一方的に自分の価値観や意図を押し付けて、子供のしたい事や欲しいものをとことん無視することにあります。
こういう親は、無意識のうちに子供を自分の所有物の様に扱っていて、自分の想い通りに子供が動かないと腹を立てたりします。
そして子供が自分の中で大事に保っているパーソナルスペースのドアを壊して勝手に中に入ってしまいます。
- パーソナルスペース
- 相手に近づかれると嫌だな、と感じる心の距離。パーソナルスペースの中に居るのが自分。どの程度の距離感かは相手や環境によって変わる。
パーソナルスペースの内側は、人には入り込んでほしくないごくプライベートな空間。その中に無理やり入りこまれると人は大きなストレスを感じる。
過干渉な親は子供のためと思っていろいろな手出しや口出しをしてきますが、実態は子供の心を無視しています。これでは適切な親子関係とは言えません。
そして、過保護の場合は子供に寄り添いすぎ、過干渉の場合は子供を無視しすぎている状態だという分け方が出来ます。
過保護、過干渉で育てられた子供は主体性を無くす
子育てには本来子供と親との適切な距離感が求められます。子供と言えども一人の人間です。相手を尊重するためにもある程度距離を置くことは必要なのです。
しかし、過保護、過干渉な親は子供との距離感の取り方が苦手です。心の距離は離れすぎているのに肉体的な距離は近づきすぎているなど。
あるいは子供は離れている、離れたがっているのにそのことに気付いていないことも。そして自分の考え方だけを一方的に押し付けてしまっています。
そんな子供時代を過ごした人は、成長したあとどんな大人になって行くのでしょうか。心にどんな影響が残るのでしょう。
甘やかされたから人を尊重できなくなってしまう
過保護な親は子供を甘やかしてすぐに手出しをしていました。そして子供の望むままになんでも与えすぎています。
幼児期からそう接してこられた子供は、自分が大切にされるのを当たり前に思うようになっているので、逆に人を大切に思えなくなっています。
甘やかされていた子は何でも思い通りになってきたので、相手のことを尊重しよう、大切にしようという気持ちが育っていないのです。
子供との適切な距離感が保てないと、このような影響を与えてしまいます。親との心の距離が不安定だったために、人との接し方も不安定になってしまうのです。
何でも手出しされたから何にも出来なくなってしまう
過保護な親でも過干渉な親でも、子供が自分ですべきことを親がやってしまうという傾向がありました。
特に学校の宿題や、明日の持ち物の準備など、本当なら自分でやらなくてはならないことなのに、つい子供が可愛かったり、あるいは信用できなかったりして親がやってしまう。
こうした子供は常に親から意見されて過ごしているので、大人になってから自分の言葉で何も言えなくなってしまう様です。
どうせ何も聞いてもらえない、何もさせてもらえない。こうしたマイナス感情とともに大人になって行くので、自分に自信が持てないのです。
その結果、仕事や人間関係などにも消極的になって行き、コミュニケーション能力が育たず誰かからの指示を待たなくては何も出来なくなってしまう可能性が高いのです。
コミュニケーション能力が育たない
親に過干渉なまま育ってきた子供は、親から一方的な言葉掛けばかりをもらって過ごしてきたのです。
自分の意見を話して受け入れられるという経験に乏しくなっています。なので、成長してから周囲の人達とコミュニケーションを取る能力が身についていません。
コミュニケーションとは、言葉と言葉のやり取りから始まります。過干渉な親は何でも子供のすることに意見ばかりして、子供の言葉を聞きません。
これは大きなマイナスイメージです。「ああ、お母さんは私の言う事なんて聞いてくれないんだ。」というイメージ出来上がってしまっているのです。
そのため、家族以外の人間に対しても自分の言葉を受け入れてくれるという自信が備わらないのです。
その結果対人関係コミュニケーション能力が著しく阻害されたまま、大人になってしまうのです。
そのため感情コントロールもうまく行かなくなり、結果として周囲の人との間に親密な関係を築くことが難しくなります。
反抗期が迎えられず自立が妨げられる
過干渉なまま子供時代を過ごした人は、反抗期を迎えなかったと言われています。これは良い事のように聞こえますが精神発達上は問題です。
反抗期とは子供が自分自身のアイデンティティに目覚めて、それを自覚していく過程の大切な期間です。
この時親に反発することによって自分という存在が確かにこの世に在るのだということを、子供は自覚して行くのです。
この反抗期が無いということは、いつまでたっても自分を周囲に主張出来ないということです。自我の目覚めはあっても、それを発揮できません。
うちの子は反抗期が無くて助かる。などと思っていると、危険のサインです。自己を発揮できないので、自立心も育っていなくなるのです。
過保護、過干渉は子供の将来の大きな影を落とします
親ならば自分の子供が大切なのは当たり前です。かわいいと思うことは自然な感情で何でもしてあげたいものです。
ですがその感情が行き過ぎてしまうと、子供のためにはならず過保護という将来への不安材料になってしまいます。
一方で過干渉な親とは他ならない自分の子供のことを信頼していないのではないでしょうか。信用しないからこそ、なんでも口出しをしてしまう。
過干渉な親は子供の事に口出しはしますが、子供の言葉には耳を傾けません。その結果親子のコミュニケーションが不全になります。
親に自分の言葉を受け入れてもらえなかった子供は、誰に対しても同じだろうと思って大きくなります。
親はいずれ子供と離れて行かなくてはなりません。その時に、親が居なくても生きて行ける人であるように、子育ては適度な距離を保っていることが重要なのです。
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