子供が肺炎かも…症状を知り早目に受診とママにできるケア

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2016/04/09

肺炎で咳がつらそうな子供

「あれ?元気がないかな?大丈夫かな?」・・・ママにとっては、お子様のわずかな体調の変化でも気になるもの。

風邪のような症状だと思っていても、熱が続いていたり、咳がひどくなるようだと、不安はますます強くなりますよね。

実は、ただの風邪でも、こじらしてしまうと”肺炎”になってしまうことがあるのです。

ここでは、肺炎の特徴的な症状や受診した際の治療方法、お子様が肺炎になった場合にママにできるケアをご紹介します。

ただし、気になる症状がある場合は自己判断せずに、まずは早めに受診しましょう!

風邪が長引いてる…体の中で起きているかもしれない事

「風邪」と一言でいっても、発熱、のどの痛み、鼻水、咳など、症状は様々です。

風邪は「かぜ」「感冒」ともいわれる、鼻やのどにウイルスが感染して起こる症状のことです。

私たちが呼吸をするときの空気の通り道を「気道」といい、気道は「上気道」と「下気道」にわかれています。上気道は、鼻とのど(咽頭・喉頭)の部分であり、上気道の奥にある下気道には、気管、気管支、肺が含まれます。

風邪の原因となるウイルスの種類は沢山あり、のどの粘膜や鼻の粘膜から侵入したウイルスは、くしゃみや鼻水、のどの痛みを引き起こします。

風邪が悪化し、ウイルスがのどの奥へ侵入していくと、「上気道炎」「咽頭・喉頭炎」を引き起こし、激しいのどの痛みや発熱をします。

さらに症状が悪化すると、高熱が続いたり、咳がひどくなってきます。

ウイルスによって傷ついた気道の粘膜には細菌が増殖しやすくなり、「肺」や「気管支」など下気道への二次感染が起こり「気管支炎」や「肺炎」を起こしていると考えられます。

普通の風邪なら熱は3日程度でさがり、その他の症状も軽くすむことがほとんどです。

高熱が続いたり、激しい咳や呼吸困難を起こすようであれば、合併症として肺炎を起こしているかもしれませんので、早めに受診するようにしましょう。

子供の肺炎の多くは「ウイルス」や「細菌」の感染によるもの

肺炎とは、呼吸器系の疾患の一つで、肺に炎症がおきることです。「肺胞性肺炎」「間質性肺炎」「過敏性肺炎」などの種類があります。

【肺炎の種類】

  • 肺胞性肺炎・・・肺にある小さな袋(肺胞)がウイルスや細菌に感染したもの
  • 間質性肺炎・・・肺胞の壁の崩壊により酸素が取り込みにくくなる
  • 過敏性肺炎・・・カビなどを吸い込むことによって起こるアレルギー反応。
    6月~10月に多い夏型過敏性肺炎もこの一つ。

ここでは、こどもの肺炎の多くを占める「肺胞性肺炎」についてご紹介していきます。

【肺胞性肺炎】
「肺胞性肺炎」は原因菌(病原体)により3つに分類することができます。

  • 細菌性肺炎
  • ウイルス性肺炎
  • マイコプラズマ肺炎

ただし、ウイルス感染後に細菌に感染して発症する混合型の場合もあります。また、検査をしても原因菌が特定できない場合もあります。

 

【細菌性肺炎】かかると重症化することも!?

細菌性肺炎の原因菌は、「肺炎球菌」が最も多く、ついで「インフルエンザ菌」「黄色ぶどう球菌」があげられます。治療には抗生物質を使います。

原因菌によって症状は様々ですが、特徴として痰がからんだ咳をします。そのほかにも、高熱、食欲低下、胸の痛みなどがみられます。

肺炎球菌
肺炎球菌の感染による肺炎は、主に生後半年~4歳児に多くみられ、冬と5~6月頃に多く発症します。乳児が感染すると、髄膜炎を引き起こし、命を落とす危険があります。

肺炎になると、高熱と激しい咳が出ます。咳は、乾いた咳が次第に痰を伴う咳に変わっていきます。肺炎球菌ワクチンをうつことである程度予防することができます。

インフルエンザ菌
冬に流行するインフルエンザのウイルスではなく、「ヘモフィルスインフルエンザ菌b型」という細菌の感染によって肺炎がおこります。

全身型感染をおこしやすく、血液の中に細菌が入り込んで体の各部へ広がり(菌血症、潜在的菌血症)、肺以外の多くの臓器で炎症をおこします(敗血症)。

呼吸困難をおこすこともあり、命にかかわることもあるので注意が必要です。肺炎球菌と同様に、ヒブワクチンを接種することで予防することができます。

黄色ぶどう球菌
1歳以下の発症が多く、急変すると命に関わることがあります。MRSAという抗生剤に耐性ができている菌もあり、使用する薬がいくつか変わる場合があります。

 

【ウイルス性肺炎】細菌による二次感染に注意!

ウイルス性肺炎を引き起こすウイルスには、「パラインフルエンザウイルス」「アデノウイルス」「麻疹ウイルス」「RSウイルス」などがあげられます。

効果のある抗ウイルス薬がある場合は使用しますが、抗菌薬が効かないため、対症療法によって今起きている苦痛を取り除く治療がメインになります。

ただし、細菌による二次感染を防ぐために、抗生物質を併用する場合もあります。

RSウイルス
小さいこどもが発症する下気道炎(肺炎や気管支炎)の原因として最も多いウイルスです。

通常は風邪の症状で済むことがほとんどですが、乳幼児が感染すると肺炎や細気管支炎をおこすことがあります。一度かかると、次に感染しても風邪の症状で済むのが一般的です。

パラインフルエンザウイルス
RSウイルスについで、こどもの下気道炎に多いウイルス。RSウイルスと同様に、通常は風邪で済むことがほとんどですが、乳幼児が感染すると肺炎をおこすことがあります。

アデノウイルス
アデノウイルスにはいくつか型があり、このうち7型とよばれるものに感染すると重症の肺炎になることがあります。

5歳以下の子供がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などの合併症をおこす場合があるので注意が必要です。

麻疹ウイルス
麻疹(はしか)は春~夏に流行しやすい病気です。麻疹にかかると肺炎や脳炎を引き起こし、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。

麻疹ウイルスによるウイルス性肺炎を起こす場合と、二次感染として細菌による肺炎を起こす場合があります。

麻疹ワクチンを接種することでほとんどの感染を予防することができるので、1歳のお誕生日を過ぎたら早めに接種しましょう。

 

【マイコプラズマ肺炎】喘息の子は要注意!有効な抗生物質も限られる

マイコプラズマは、細菌より小さくウイルスより大きい、細菌とウイルスの中間のような原因菌です。

マイコプラズマ感染は飛沫感染でおこり、2~3週間の潜伏期間ののちに発症します。

個人差はありますが、こどもの場合、高熱を出す場合もあっても3日程度で下がることが多く、咳が長く続くのが特徴です。頭痛や倦怠感を伴うこともあります。

レントゲン写真で肺炎と診断することができます。比較的症状が軽く、通院でも治療ができる肺炎といわれていますが、重症の場合には入院治療となります。

マイコプラズマ肺炎には、他の細菌感染に使われるペニシリン系やセフェム系の抗生物質では効果ありません。

治療には、マクロライド系の抗生物質を使いますが、これらの抗生物質が効かない耐性菌も多く存在するので、その場合はテトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生剤で効果のあるものを使用します。

特に、喘息の子には注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎が喘息発作を引き起こす原因になるだけでなく、喘息に使用する気管支拡張薬(テオドール・テオロング・アミノフィリンなど)は、マイコプラズマ肺炎に効く抗生剤と相互作用があり、副作用を起こすことがあります。

受診の際はお薬手帳を持って行き、お医者さんと十分に相談をしましょう。

 

こどもの肺炎はうつる病気?

肺炎には「うつりやすい肺炎」と「うつりにくい肺炎」がありますが、こどもがかかりやすい「肺胞性肺炎」は、「うつりやすい肺炎」といえます。

肺胞性肺炎はウイルスや細菌の感染によるもので、感染者の咳によって、細菌やウイルスが飛沫します。細菌やウイルスの感染力が強いと、周りの人にうつしやすくなります。

うつったからといって、必ず肺炎を発症するというわけではありませんが、抵抗力の弱い小さなお子様がうつった場合は、肺炎を引き起こしやすくなるので注意が必要です。

健康な大人がうつった場合は、個人の免疫力や抵抗力により、風邪症状で済む場合もあります。

サインを見逃さないで!肺炎の特徴的な症状を知ろう

お子様が風邪をひき始めたら、その症状を詳しく記録しておきましょう。発熱、鼻水、せき、腹痛、便の状態など、気づいたことはメモしておくようにします。

そうすることで、症状が続いた場合に、どんな病気にかかっているのか、より的確に推測することができます。

【肺炎の特徴的な症状】

  • 高熱
  • 食欲低下
  • 咳込みによる嘔吐・脱水症状

これらは風邪の症状に似ていますが、症状が長引いたり、強くなったりしたら肺炎の可能性があります。

 

呼吸症状をチェック!咳で苦しんでいないかどうか?

かぜが長引くと咳がひどくなってきます。咳にもいろいろな種類があり、「コン コン」と軽い咳もあれば「ゴホ ゴホ」と深く湿った咳もあります。

咳の種類

  • 【乾性咳嗽(カンセイガイソウ)】
    …痰を伴わない、「コン コン」と乾いた咳。咽頭・喉頭の病気で起こる。
  • 【湿性咳嗽(シッセイガイソウ)】
    …痰を伴う、「ゴホ ゴホ」と湿った咳。気管支や肺の病気で起こる。
  • 【犬吠様咳嗽(ケンバイヨウガイソウ)】
    …犬がなくような「キャン キャン」という咳。クループを発症した小児にみられ、重症化すると呼吸困難を起こす。

肺炎にかかると、必ず咳の症状が現れます。

咳だけでは風邪と思ってしまうかもしれませんが、咳が長引いたり、呼吸困難になりそうなほど咳き込む場合は、肺炎の可能性があります。

特に、細菌性肺炎の場合は痰を絡んだ咳をすることが多く、マイコプラズマの場合は痰の絡まない咳から始まり、次第に悪化していくのが特徴です。

のどの違和感である風邪とは違い、体の奥深い部分の炎症のため、軽く咳をしても違和感がとれず、全身を使って咳き込むようになり、体力を消耗してしまいます。

お子様が咳をし始めたら、どのような咳をしているか、気を付けてみてあげてくださいね。

 

発熱が4日以上続いたら、ただの風邪ではないかも!

肺炎の症状の一つに、4日以上続く高熱があげられます。通常の風邪であれば、熱があがっても3日程度で下がるので、もし、熱が4日以上続くのであれば、肺炎になっている可能性も考えられます。

症状の悪化を防ぐためにも、熱が4日以上続くようであれば受診をしましょう。

的確な診断には、「熱が出始めた日」「熱の上がり方・続き方」を知らせる必要があります。

具合が悪くなったら、毎日時間を決めて熱を測り、熱計表をつけておくとよいでしょう。
 

ごはんが食べられずぐったり…食欲低下もサインのひとつ

食欲低下も肺炎によくみられる症状です。肺炎になると、激しい咳と長引く高熱で体力が低下し、子供はぐったりしてごはんが食べられなくなります。

好きな食べ物を用意しても、「いらない」と断られてしまうこともあります。普段食べることが好きなお子様が、まったく食べなくなってしまうと心配ですね。

回復が早ければ、徐々に食欲も戻ってきますので、無理なく食べられる分を与えてあげるようにしましょう。

 

咳で嘔吐を繰り返すときは、脱水症状にも注意して!

子供は、体のつくりが未熟なため上手に痰を排出できず、咳と一緒に嘔吐してしまうことがあります。嘔吐するほどの咳を繰り返す場合は、肺炎の可能性があります。

何度も嘔吐してしまう場合は、脱水症状にも気を付けてください。食欲が低下していると、さらに水分が不足がちになります。唇が乾燥していないか、おしっこの量が少なくないかなどを注意して見てあげてください。

また、仰向けに寝かせると嘔吐したものが喉に詰まってしまい危険です。横向きに寝かせてあげるなど、寝かせ方にも気をつけましょう。

ここまで、肺炎の可能性が考えられる症状をご紹介しましたが、いずれの場合も、治療が遅れると重症化する危険性があります。

不安に感じたら、自己判断せず、早めに受診してお医者さんに相談するようにしましょう。

不安になったらまず受診!肺炎の診断方法

熱が4日以上続き、咳がおさまらないようであれば、医療機関を受診しましょう。まずは問診がありますので、いつから、どのような症状なのかを落ち着いて伝えましょう。

いざ問診になると、子供がぐずってしまったりして、うまく伝えられないこともあるので、事前に症状をメモに用意しておくと役立ちます。

 

聴診と胸部のレントゲン写真が診断のカギ

咳の症状があるとほとんどの場合、聴診で胸の音を聞きます。お医者さんは、聞こえるべき音とそうでない音を聞き取り、これによってどの場所で何が起きているのかを推測します。

肺炎が疑われる場合は、バリバリ(捻髪音)やブツブツ(水疱音)といった音が聞き取れます。

聴診によって肺炎が疑われると胸のレントゲン写真を撮影します。

幼稚園くらいのお子様でしたら、1人で立って撮影できますが、1歳くらいまでの子の場合は、ママが抱っこをして撮影することになります。(病院スタッフの方が抱っこしてくれる場合もあります)

レントゲン写真で肺に白い陰影が写れば、肺炎と診断されます。

肺炎と診断されると、血液検査と細菌検査を行います。

細菌性の場合、血液検査で白血球の増加とCRP(炎症が起きているときに作られるたんぱく質)の値が高くなります。

細菌検査は、痰や鼻のぬぐい液を使って、インフルエンザやRSウイルス、アデノウイルスなど、肺炎を引き起こす主な原因菌を特定することができます。

咳が特徴的な他の病気と比較してみよう

一般的に、のど(咽頭)、喉頭、気管支、肺の間で炎症がおこると咳がでます。お子様が咳をしていると、「これはなんの病気なんだろう?」と不安になりますよね。

咳が出る病気は、肺炎以外にもあります。診断で聞きなれない病名を伝えられると、不安になりますよね。

各病気の特徴を知っておくと、お医者さんから病名を告げられたときにも、慌てずに話を聞くことができると思います。

【咳が出る病気】

  • かぜ症候群(感冒)(のどの炎症)
  • クループ症候群(喉頭の炎症)
  • 気管支炎
  • 細気管支炎
  • 肺炎
  • 喘息
  • 百日咳

かぜ症候群(感冒)
一般的に“風邪”とよばれるもの。原因菌は様々で、熱、鼻水、咳など症状の出方もいろいろ。

熱が出ても、3日程度で下がることがほとんど。のどの炎症による咳は、ほとんどが痰をともなわない乾いた咳。

クループ症候群
ウイルス感染が原因で、のどの奥の喉頭周辺が炎症を起こし、吸気性呼吸困難(吸うときにゼイゼイしたり、息が吸えなくなる症状)を起こす疾患。

最初は風邪の症状から始まり、声が枯れたり、犬がほえるような咳をするのが特徴です。

通常4日~1週間程度で回復しますが、泣いたりすると症状が悪化するので注意が必要です。

症状が進むと、顔面蒼白、チアノーゼ、意識障害を起こすことがあるので、呼吸困難が強い場合には迷わず受診しましょう。

気管支炎
上気道(のど、喉頭)の炎症がさらに進行し、気管支に炎症が起きている状態。乾いた咳から始まるが、咳だけでなく痰が出るようになるのが特徴。

熱が出ても軽く済む場合がほとんどですが、熱が長引くときには肺炎を起こしている可能性があるので注意しましょう。

細気管支炎
生後2歳未満の赤ちゃん(特に生後6か月未満の乳児)がかかりやすい病気。

気管支とは、肺と気管をつなぐ部分で、気管支は肺に近づくにつれて枝分かれしながら、だんだん細くなっていきます。その最も細くなった部分を細気管支とよびます。

細気管支炎は、細気管支の炎症で、RSウイルスの感染によって起こることが多いです。

呼吸をするときに「ゼロゼロ」「ヒューヒュー」といった音が鳴ったり、息を吸うときに胸の一部がへこむ「陥没呼吸」が特徴です。

軽症の場合は、こまめな水分補給と安静で3~5日で回復しますが、重症化すると、顔面蒼白や呼吸停止することがあるので入院が必要なケースもあります。

細気管支炎になると、その後も風邪をひくたびにゼーゼーしたりすることがあり、特に家族にアレルギー歴があると、将来喘息になりやすいともいわれています。

喘息
苦しそうな呼吸や咳、ひどいときには呼吸困難になってしまう発作を繰り返す疾患のこと。発作が始まると、息を吐くときに「ヒューヒュー」と呼吸音が鳴ったり、「ゼイゼイ」と音を出すような息遣いになります。

ダニやハウスダストなどのアレルゲンを原因とすることが多く、慢性的に気管支に炎症があり、刺激を受けると発作をおこしてしまいます。

治療が遅れると症状が悪化するため、喘息かなと思ったら早めに受診することが大切です。

また、治療を受けるだけでなく、発作の原因となるダニやほこりなどが少ない環境を整えることも重要です。

百日咳
百日咳菌という感染力の強い最近に感染することにより発症する病気。百日咳ワクチンが四種(三種)混合ワクチンに含まれており、予防接種の普及によって発症数は減ってきています。

かぜの症状で始まりますが、しばらくたっても回復せず、1週間ほどすると、百日咳に特徴的な咳がはじまります。これは、短い咳を立て続けにした後、息を吸うときに「ヒュー」という笛のような音が聞こえるものです。

一般的に2ヶ月~3ヶ月で治りますが、生後6か月未満の乳児では、重症化し呼吸困難や痙攣をおこしたり、合併症として肺炎や脳症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

四種混合ワクチンの接種で乳幼児の発症を予防することができるので、生後3か月になったら予防接種を受けましょう。

受診後の治療方法や治療期間、入院か通院かについて

受診して肺炎と診断されると治療が始まります。適切な治療を受ければ完治できますが、治療が遅れると命にかかわることもあるので、早めの受診が大切です。

対症療法・・・咳止め、去痰剤、解熱剤で体をラクに

対症療法とは、今起きている症状を和らげるための治療法です。

具体的には、咳を抑えるための「咳止め」、痰を柔らかくして出しやすくするための「去痰剤」、高熱が続いて苦しいときに使う「解熱剤」です。

子供が病気で寝込んでいるときは、なかなか薬を飲んでくれなくて困ることもありますね。

そんなときは、プリンやアイスクリームなど、のど越しの良いものと一緒に与えるなど工夫して飲んでもらえるといいでしょう。

原因療法・・・抗生物質や抗ウイルス剤で原因を取り除く

原因療法とは、肺炎を起こしている原因を取り除くための治療法です。

細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の場合は抗生物質を、ウイルス性肺炎でそのウイルスに効果のある薬がある場合は、抗ウイルス剤を使用します。効果的な抗ウイルス剤が無い場合は、対症療法のみになります。

ただ、ウイルス性肺炎の場合でも、細菌による二次感染を防ぐために抗生物質を使用する場合もあります。

 

もし入院になったら・・・小児の入院には付き添いが必要です!

子供の肺炎の場合、軽症なら通院で治療をすることができますが、高熱が続いていたり、脱水症状が続くなど、症状が重いと入院になることもあります。

入院すれば、早めの快復が期待できます。

お子様が入院することになった場合は付き添いが必要です。もしママが付き添いをすることになったら、入院期間の間、ママはおうちを留守にすることになります。

病院によっては、付き添う人の条件(ママのみ、女性のみ、親のみ、など)がある場合があるので注意が必要です。

【入院のメリットと付き添いのメリットデメリット】

入院のメリット

  • 入院中点滴をつけっぱなしにできるので、治りが早い
  • 24時間体制で看護してもらえる
  • 重症化したときにすぐに対応してもらえる
  • 土日祝など病院の休診日を心配しなくてよい

付き添いのデメリット

  • 家の事ができない
  • 兄弟(姉妹)の面倒をみてくれる人を探す必要がある
  • 子供と同じベッドに寝るので、眠れない
  • 病原菌に感染しやすい

入院をすれば、治療に専念できてとっても安心ですね。ただ、付きそうママにとっては負担が大きいです。

お医者さんから「絶対に入院を」と勧められた場合は別として、通院でも治療可能だと言われた場合には、おうちのことをどうするかなど、しっかりと対策を考えてから決めましょう。

 

感染による肺炎の場合は、付き添う大人も注意!

子供が肺炎で入院をすることになったら、付き添いをする大人も感染を予防する必要があります。

実は、我が家も息子が3歳、娘が1歳のときに、2人同時に肺炎になり一緒に入院しました。息子が先に発熱し咳込むようになり、3日後に娘が発症しました。

かかりつけの小児科に受診したところ、「通院でもいいけれど、一度総合病院で診てもらった方がいい」ということで総合病院を紹介してもらいました。検査の結果は、“原因菌は特定できない”感染性の肺炎でした。

入院を決めたのはその日が金曜日だったため、土日をまたぐのが不安だったからです。子供たち二人のベッドをくっつけてその間に私が入って一晩付き添いをしました。

入院をして2日目、次は私が高熱を出してひどい咳が出始めました。翌日から主人に付き添いを交代しましたが、その主人もすぐに発熱しました。

確かなことはわかりませんが、子供たちからうつってしまったのだと思います。

付き添いのママ全員ではないですが、肺炎で入院している他の付き添いのママの中には咳をしている方もいました。私たちもマスクをして予防はしていたのですが、長引く看病の疲れもあったのか、発症してしまいました。

肺炎の患者さんから、肺炎そのものがうつることはありません。しかし、飛沫する病原菌に感染して熱や咳などの症状がでることはあると思います。

肺炎のお子様に付き添われる方は、ご自身の体調のケアも十分にしてくださいね。

安静、保温、水分補給が大切!ママにできるケア

肺炎は、長引く発熱と咳で全身に負担がかかります。苦しそうに咳込む子供を見ると、ママは「何かできることはないかな」と思いますよね。

まず、闘病中は体力を使いますので、体力の消耗を最小限に抑えるために、できるだけ安静にしましょう。熱が下がって元気にみえても、無理をするとまた風邪をひいてしまうこともあります。

ここでは、治療中のお子様のためにママができるケアをご紹介します。

 

熱が上がりきるまでは保温

体に病原菌が入ると、体の熱を上げて病原菌と戦います。その結果、体温は上昇します。

このときは、布団を多めにかけてあげたり、湯たんぽを使ったりして、保温をしてあげましょう。熱があがりきったら、保温はやめて服や布団を薄くして、熱を逃がしてあげてください。

このときの目安の一つは、手足の温度です。熱があるのに手足が冷たいときは、これから熱が上がる前触れ。保温をしてあげてください。

熱が上がりきると、手足もホカホカになってくるので、かけ布団などを調整して厚着にならないようにします。

熱が上がりきっても保温を続けると、汗をかいて脱水症状になってしまう場合があります。手足の温度だけでなく、熱の上がり方、息遣い、顔色などから、寒くないか暑くないかこまめに確認してあげましょう。

湿度は60%前後に!乾燥は大敵

乾燥した空気の中にいると、咳が出やすくなります。空気が乾燥していると目に見えないチリやほこりなどが舞いやすくなり、これを吸い込むと咳を悪化させてしまうのです。

肺炎で咳込んでしまう場合の対処法は、お部屋の湿度管理をすることです。加湿器などを使って、湿度を60%前後に保つようにしましょう。

加湿器を持っていない!という方がすぐにできる加湿方法は、濡れタオルを干すことです。

水滴が垂れない程度に絞ったタオルを室内に干すと、タオルの水分が蒸発して部屋に広がり、加湿を期待することができます。洗濯物を室内に干すのも同じ効果があります。

ただ、部屋の広さとタオルの大きさによっては、思った以上に加湿ができない場合もあります。

できるだけ大き目のタオルを使ったり、タオルの枚数を増やしたり、干す場所を枕元に近いところにすることで、より効果を上げることができます。

入院中も、院内は意外と乾燥しています。しかし、病原菌の拡散防止のため加湿器の持ち込みは禁止されている病院も多いので、やはり濡れタオルを使うのがよいでしょう。

また、冷たい空気や汚れた空気は咳を悪化させるので、室内の温度を上げること、換気をして空気の入れ替えを行うことも大切です。

 

上体を少し起こすと楽になる

寝ているときは、起きている状態よりも、咳が出やすくなります。寝ていると、横隔膜が上がり、肺が圧迫されて痰が出にくくなります。

寝ているときに咳がひどいときは、上半身を少し起こしてあげてください。

毛布を丸めたものやクッションを頭~背中の下に入れ、なだらかに起こしてあげましょう。

頭だけを高くすると、喉を圧迫してしまうので注意が必要です。

背中をさすってあげたり、トントンと叩いてあげるのも、痰がきれやすくなってラクにしてあげられます。

こまめな水分補給が大切

発熱しているときは、脱水症状を防ぐためにも水分補給は大切です。ただ、咳が出ているときは、水分の飲ませ方にも注意が必要してあげてください。

咳込むときは、一度にたくさん飲むよりも少しずつこまめに飲む方が、痰をやわらくするのに効果的です。コップで飲むのが辛いときはストローを使うといいですね。

また、冷たい物は喉を刺激して咳がひどくなってしまうので、常温の飲み物をあげましょう。

弱った体は風邪をひきやすい!快復後も無理は禁物!

適切な治療とケアをすれば、肺炎は治る病気です。

しかし、熱が下がったからといって肺炎が治ったわけではありません。

筋力や体力も落ちているので、すぐに全盛期のように遊びまわることは難しいでしょう。

しばらくは自宅で安静にして、幼稚園や保育園、学校へ通い始めるのは、お医者さんと相談してからにした方がいいですね。

特に、肺炎の原因菌が学校感染症として指定された感染症の場合は、出席停止の措置もありますので、しっかりと確認をしてから登校(登園)させましょう。

完治までは無理をしないで安静に!

解熱後の症状には個人差がありますが、体の抵抗力が落ちているのは皆同じです。微熱が続いたり、咳がなかなかおさまらなかったり、症状が完全に消えるまでには時間がかかることもあります。

肺炎のあとは、気管が弱くなり風邪をひきやすい状態になります。

治ったはずなのに、また風邪をこじらせて肺炎になってしまう、なんてことのないように、快復後も無理をしないようにしましょう。

肺炎になったら、いつから登校・登園できる?

お子様が肺炎になったら、必ずお医者さんと相談してから登校(登園)を始めるようにしてください。

肺炎の原因菌の中には、学校感染症として指定されているものがあり、出席停止になることがあります。

特に、マイコプラズマ肺炎は、国が定めた「第三種の学校感染症」の「その他の感染症」として指定されています。これにより、マイコプラズマ感染症が学校や園で大流行した時には、出席停止が指示される場合があります。

出席停止の期間が定められているわけではありませんので、出席停止の措置がとられた場合でも「お医者さんから許可があるまで」や「咳が出なくなるまで」など、学校(園)によって指示される日数は異なります。

また、主治医の許可を受ける場合でも、登校(登園)許可を出す日数は、お医者さんの判断により異なります。

マイコプラズマ肺炎になったからといって必ず出席停止になるわけではありませんが、通学・通園を再開する前には、学校(園)とお医者さんに確認をしてからにしましょう。

マイコプラズマ肺炎以外でも、その原因菌が学校感染症に指定されている場合は出席停止になります。

学校感染症のうち、肺炎を引き起こしやすいものには次のものがあげられます。

【肺炎をおこしやすい学校感染症】

  • 第二種(出席停止の基準が感染症ごとに定められている)
    ・・・インフルエンザ、麻疹、水痘
  • 第三種(その他)(大流行のときに出席停止になる場合がある)
    ・・・マイコプラズマ感染症、肺炎球菌感染症、インフルエンザ菌感染症、RSウイルス感染症、

お子様の体が快復して元気になってくると、1日も早く登校・登園させてあげたくなると思いますが、大事なお友達に感染させないためにも、許可がおりるまでは自宅安静するようにしましょう。

こどもの肺炎を防ぎたい!風邪の予防を徹底しましょう

どうしたら肺炎にならずに済むのか?残念ながら、絶対に肺炎にならない予防法はありません。

しかしまずは、風邪を予防することが肺炎の予防につながります。

まずは、手洗い&うがいを徹底しましょう。そして、うがいや手洗いが上手にできない低年齢の子のために、大人も菌を広げない努力をしましょう。

  

手洗いは20秒かけて丁寧に

風邪が流行っている時期には、様々なところにウイルスがついています

。ウイルスのついたドアノブや手すりを手で触り、その手を洗わないまま食事をしたり、目や鼻を触ったりするとウイルスに感染することになります。

手にウイルスをつけないようにするには難しいので、ついたウイルスを取り除くために「手洗い」をしっかりしましょう。

お子様が外から帰ってきて手を洗うとき、ママはそばで見てあげていますか?「手を洗ってくる」と言って洗面所に行っても、実は手を濡らして終わり、では意味がありません!

手洗いは、石けんを使って洗い残しのないようにしましょう。指先、手のひら、手の甲、爪の間、指の間、親指、手首と、約20秒かけて洗うとよいそうです。

お子様が上手に手洗いをしているか、ぜひ、そばで見てあげてくださいね。

手洗いができない環境にあるときは、アルコール手指消毒剤も役に立ちます。アルコール手指消毒剤は、水も石けんも必要なく、手にすり込むだけでウイルスや細菌を消毒することができます。

持ち運びに便利な携帯用サイズもありますので、お子様とお出かけをするときには一つ持っていくと便利ですね。

うがいは正しいやり方で効果を発揮

手洗いと同じように、うがいも正しい方法で行わなければ、効果がありません。

唾液やのどの分泌液には殺菌作用があり、体内に菌が侵入するのを防いでくれているのですが、うがいをすることで分泌液と一緒に菌を外へ出すことができます。

効果的なうがいの方法

  1. まず先に手を洗う
  2. 「ブクブクペ」・・・水かうがい液を少し口に含んで、口の中をゆすぎ吐き出す
  3. 「ガラガラペ」・・・新しい水(うがい液)を口に含んで上を向き、「オー」と声を震わせる
  4. 「ガラガラペ」のうがいを3回ほど繰り返す

小さなお子様にはうがいが難しいかもしれませんが、できるだけ低年齢のうちからできるようになってほしいものですね。

1歳半くらいからまず「ブクブクペ」ができるようになり、3歳くらいで「ガラガラペ」ができるようになる子が多いでしょう。

まずはママがうがいの見本を見せながら、楽しく繰り返し教えてあげてくださいね。

 

マスクをする

風邪が流行する時期になると、できるだけ菌を吸い込まないようにマスクをする人も多いですね。

ただ、実はマスクを着用することですべての菌の侵入を防ぐことはできるわけではありません。

特にウイルスは非常に小さいので、マスクによってはフィルターをすり抜けてきてしまいます。一度すり抜けてきたウイルスはすぐに増殖を始めるので、どんなに効果の高いマスクであっても完全に防御するのは不可能です。

しかし、マスクをすることで保温と保湿効果を高め、鼻やのどの粘膜を守ることができます。ウイルスは冷たく乾燥した場所を好みますが、暖かく湿った場所では活動することができません。

粘膜が保湿されている状態であれば、体の防御機能が十分に働き、菌の感染を防ぐことができます。

マスクを選ぶ際は、サイズが合ったものを選ぶことも大切です。お子様には子供サイズのマスクを用意してあげましょう。

 

こどもが触れる場所の除菌

こどもはペタペタとあちこち触れて歩きまわりますね。何に触れたかわからない手で、また次の場所を触ったり、手を口に入れたりします。

大人であれば、ある程度触る場所に気をつけることもできますが、子供はそうもいきません。

そのため、子供が手にするものは除菌をすることが風邪の予防につながります。特に、手洗いがまだできない赤ちゃんがいる家庭にはオススメします。

帰宅時に手を洗わないで触れる部分(玄関周辺)には菌が付着しやすいですし、トイレ周辺も雑菌が繁殖しやすくなっています。

小さなお子様がいる場合は、口にしてしまうおもちゃの除菌も行いたいものですね。

肺炎球菌・ヒブの予防接種をうつ

肺炎は数多くの原因菌があることから、そのすべてを予防することはできません。

しかし、小児の肺炎の原因菌である「肺炎球菌」と「ヘモフィルスインフルエンザ菌b型」(ヒブ)には、ワクチンがあり、接種することにより感染症を防ぐことができます。

肺炎球菌は、感染すると肺炎だけでなく髄膜炎や中耳炎をひきおこす可能性があります。特に髄膜炎になると、死亡してしまったり、後遺症が残ってしまうことがあります。

肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌感染症にかかってしまった場合でも重症化することを防ぐことができるといわれています。

肺炎球菌感染症の中には、肺炎、髄膜炎、中耳炎などがあります。特に髄膜炎をきたした場合には2%の子どもが亡くなり、生存した子どもの10%に難聴、精神発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどの後遺症を残すとい言われています。
ワクチン接種により、(中略)・・・重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。

おなじく、肺炎を引き起こしやすい「ヘモフィルスインフルエンザ菌b型」(ヒブ)にもワクチンがあります。

ヒブに感染すると肺炎や髄膜炎を発症し、重症化すると菌血症や敗血症を引き起こし、死亡する危険もあります。

ヒブワクチンを接種することで、重症化を防ぐことができるといわれています。

Hibの感染による重篤な疾患として、肺炎、髄膜炎、化膿性の関節炎などが挙げられ、これらを起こした者のうち3~6%が亡くなってしまうといわれています。

ワクチン接種により、Hibが血液や髄液から検出されるような重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。

「肺炎球菌」と「ヒブ」は、抗生物質に対して耐性化が進んでいるため、発症すると治療が難しくなります。

予防接種を打つことで、感染症を防ぐことができるので、生後2ヶ月を過ぎたらなるべく早く接種しましょう。

ママも無理は禁物!子供の快復力を信じましょう

長引く病気でこどもが寝込んでしまうと、ママは心配で「なんとかしてあげなくちゃ」とがんばってしまいますよね。

肺炎で咳き込む我が子を見ていると、今すぐ止めてあげたい!と思うもの。

でも基本、持病など特別なことがなければ、肺炎は治る病気です。

でも、肺炎にかかってしまうと、治ったように見えても、すぐいつも通りに元気になるわけではありません。快復後の安静期間も含めると、ママにとっては長期間の看病になります。

あまり頑張りすぎてしまうと、ママも体調を壊してしまいますので、そうならないように気を付けてください。

我が子達も肺炎で肺炎で入院しました。息子は4日、娘は7日で退院しました。お医者さんによると、息子の方が年齢も上のため、体力があり快復も早いとのことでした。

退院後も、娘は微熱と咳が続き心配でしたが、1ヶ月ほどでいつもの元気を取り戻しました。

肺炎の子は、寝込みながら「絶対治すぞ!」とがんばっています。看病するママは、お子様の治る力を信じてあげてください。

そして、正しい知識をもち、お医者さんとも相談しながら、無理のない範囲でケアをしてあげてくださいね。

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