子供が何度も嘔吐…自家中毒症状かも?自家中毒の原因や治療法

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2016/07/07

自家中毒にかかり、嘔吐ばかりの子供

なんの前ぶれもなく突然おう吐を繰り返し、真っ青な顔でぐったり…愛する我が子が急にこのような状態になってしまったら、パパママは本当にびっくりしてしまいます。

熱も高くなく腹痛も下痢もなく、おう吐の他にはこれといった症状がない場合、もしかしたらお子さんは自家中毒と呼ばれる病気かもしれません。

中毒という文字が使われていますが、食中毒とはまったく関係はなく、あまり頻繁には聞くことのない病気です。自家中毒とは一体どんな病気なのでしょう?

自家中毒と診断されたときに慌ててパニックになってしまわないために、知っておきたい原因や症状について、紹介します。

自家中毒とはどんな病気?発症の原因を知ろう

自家中毒という呼び方は俗にいうあだ名のようなもので、正式には周期性嘔吐症といい、アセトン血性嘔吐症とも呼ばれています。

「周期性嘔吐症」という名のとおりこの病気には反復性があり、一度発症すると、突然激しい嘔吐を繰り返してぐったりする状態を、一年に何回か発作のように繰り返します。

自家中毒は2歳頃から発症し、10歳までには症状がなくなる子供特有の一過性の病気で、はっきりとした原因は明らかになっていません。

子供特有のストレス性の病気であることから、脳や神経の発達が未熟なために、何らかの影響で体に負荷がかかって発症するのではないかと考えられているようです。

人間の体はエネルギーにすべき糖分が足りなくなったとき、脂肪を分解してエネルギーを補います。その時に燃えカスとして出てくるのがケトン体(アセトン体)です。

このケトン体が増えすぎたことによって体の代謝機能に異常が生じ、悪影響が出てしまった状態が自家中毒です。

そして疲れなどの身体的ストレスや緊張などの精神的ストレス、さらに感染や食べ過ぎなどがきっかけとなって、症状が出てくることがわかっています。

この場合の精神的ストレスは負の感情だけではなく、運動会や遠足の前にワクワクしすぎてしまうような、楽しさからくる過剰な興奮も含まれます。

その子によって発症のきっかけは様々ですが、一度発症すると以前は何でも無かったことも発症のきっかけになってしまうこともあるため、親は対応に戸惑うことがあります。

発症する可能性は?自家中毒になりやすい子の特徴

子供の心身症の一つとされている自家中毒ですが、発症のピークは5歳~6歳で、特に筋肉量の少ない(華奢な)ヤセ型の男の子に多いと言われています。

さらに、神経質で自律神経や情緒不安定な傾向があり、孤独感や不安を抱きやすく、引っ込み思案の反面興奮しやすく、イライラしやすい子がなりやすいと言われています。

マイナスの意味を持つ単語ばかりが並んでいるため、発症してしまう子供は精神がもろくて未熟と捉えられてしまいがちですが、決してそのようなことはありません。

これらは受け止め方の違いで、優しい子、物事に夢中で取り組む子、負けず嫌いな子、責任感の強い子、感受性の強い子、繊細な子というように言い換えることができます。

一つくらいは自分の子にも当てはまりませんか?自家中毒は、子供なら誰もが発症してしまう可能性があるのだということを、しっかりと理解して下さい。

ばあば世代の中には、自家中毒になるのは母親が子供に大きなストレスを与えるからだ、と「負」の感情ばかりを持ちだしてママを困らせる人も、残念ながらいます。

同じ経験をしても、その子によって受け止め方も反応も違います。それと同じで、発症するかどうかは、本人の生まれ持った性質に大きく左右されると言われています。

決してママが原因で発症してしまうわけではありません!ママは落ち込んだりうろたえたりせず、子供が安心できるようにそばにいてあげて下さい。

自家中毒の症状とは?もしもの時に慌てないための知識

自家中毒は、本当に何の前ぶれもなく突然の嘔吐で始まります。しかも何度も嘔吐を繰り返すので、初めての時にはどうして良いかわからずパパママはオロオロしてしまいます。

私の息子が発症したのも幼稚園の年中さんの5歳のときでした。運動会の翌日に発症したのですが何の知識もなかったために、ただただ不安になったことを覚えています。

以下はその時に小児科の先生が説明してくれた、一般的な自家中毒の発症から回復までの流れです。

  1. 突然嘔吐が始まる
  2. 病院に行き検査を受ける
  3. 点滴後、帰宅
  4. 2~3日かけて回復
  5. その子の周期で1年に何回か繰り返す
  6. 10歳になるまでには症状が出なくなる

息子は5歳で自家中毒を発症してから、年に3~4回は病院で点滴を受けました。あんなに繰り返し悩まされた症状も、本当に10歳になる前にはピタリと出なくなりました。

息子の場合は一般事例そのままでしたが、中には10歳を過ぎてもなお、自家中毒の症状が残ってしまう子もいます。

経過もその子その子によって違いますので気にし過ぎないことです。

最大の特徴は繰り返される強い吐き気

多くは早朝から朝にかけて発症し、胃の中の物を全部出しきるまで、何度もおう吐を繰り返します。この間は水を飲ませてあげても、それも全て吐き出してしまいます。

胃の中の物を出しきると、今度は胃液が混ざった黄色いおう吐が始まります。嘔吐物を受け止めるための洗面器や袋を忘れずに用意し、病院へ連れて行ってあげて下さい。

吐瀉物や子供の息からは、甘酸っぱいちょっと変わった臭いがします。りんごの腐った臭いと表現する小児科医もいますが、これがアセトン臭という自家中毒の特徴の一つです。

最大の特徴はこのような消化器系の症状ですが、その子によって頭痛や発熱・下痢などの自律神経系の症状が見られることもあります。

風邪などの感染症がきっかけで自家中毒を発症した場合、それらの症状が自家中毒のものなのか、併発した感染症によるものなのかの判断は、とても困難なのです。

大切なのは親が思い込みで決めつけず、子供の状態を時間を追って正しく医師に伝えることです。正しく伝えることで発症の法則性を見極めやすくなります。

病院での検査内容

嘔吐を繰り返して体力がなくなっているため、倦怠感から起き上がっていられない状態になる子もいます。待合室では許可を得て椅子に寝かせてもらいましょう。

尿検査

多くなりすぎたケトン体(アセトン体)が尿に出てくるので、同様に尿からも少しだけアセトン臭がします。

なお、朝から嘔吐で水分を体外に出してしまっているため、尿が出にくくなっています。量が少なくてもちゃんと検査してもらえますので、慌てなくても大丈夫です。

血液検査

受診した小児科によっては血液検査も行います。自家中毒ではなく、ウイルス性の胃腸炎などの感染症である可能性もあるためです。

点滴

自家中毒になると口から摂取したものは全て戻してしまうので、脱水症状にならないための点滴をします。成分は主にブドウ糖で、そこに吐き気止めの薬を加えることが多いです。

小さな子供に点滴は可哀想と思うかもしれませんが、点滴をするとしないとでは回復のスピードが全く違います。本人の体力回復のためにも点滴をしてあげることをお勧めします。

処方される薬

点滴が終わったら、座薬タイプの吐き止めと経口補水液(ソリタ)を処方されて帰宅します。点滴の効果で体力が戻るため、自分で体を起こしたり歩けるようになります。

風邪や胃腸炎などを併発しているときは、それらの症状を緩和させるための薬も処方されます。医師の指示に従って薬を飲ませて下さい。

受診後の家庭での食事

点滴で症状が治まったとしても、完全に吐き気がなくなるまでは時間がかかります。一番不安に感じているのは子供自身なので、安心感を与えてあげるよう接してあげて下さい。

ただし、いくら子供が望んでいたとしても、嘔吐の後に一気に水などを飲むことは絶対にダメです!せっかく治まった吐き気がまたぶり返してしまいます。

嘔吐を繰り返さないように、スプーン1杯の水(ソリタ水)を与え、10分たったらもう1杯与えるというように、ほんの少しずつこまめに水分を与えるようにします。

急に食事を与えても、体が受け付けずにまた戻してしまうことが多いです。まずはお腹がすいたと言われたらアメ玉を1個食べさせます。ブドウ糖の補給が回復への近道です。

その後は回復の度合いに合わせ、食欲があればおかゆ・すりおろしリンゴ・柔らかく煮たうどんなど、炭水化物や糖質を摂取できる食事をさせ、安静にしながら回復を待ちます。

ケトン血性低血糖症の場合も!子供の様子をよく見て冷静な判断を

近年は減少傾向にありますが、重症化してしまうと胆汁を含んだ緑色の嘔吐をしたり、胃の粘膜が傷ついて出血し、コーヒーのカスのような褐色の嘔吐をするケースがあります。

このようなひどい嘔吐をするようになると、体が痙攣して意識がもうろうとする場合があります。こうなってしまったら、夜間であっても大至急医師の診察を受けて下さい。

自家中毒とよく似ている症状に「ケトン血性低血糖症」という症状があります。これは2歳~5歳位の幼児に発症しやすい、自家中毒よりもより重症な状態です。

大きな違いは、自家中毒は低血糖気味であるのに対し、ケトン性低血糖症は低血糖が起きてしまっている状態であることです。

発症と特徴

早朝に発症することが多く、起きておう吐した後に顔色が青白くなり、低血糖の影響でまたすぐにウトウトと眠ってしまいます。重度の場合は痙攣を伴うこともあります。

治療と経過

自家中毒と同じですが、点滴には即効性がありません。発症年齢が低いぶん重症化しやすく、医師によっては入院をすすめることもあるほど、体に負担のかかる病気です。

このように自家中毒だと思い込んでいても、実際は違う病気を発症しているかもしれません。

どうか自己判断はせず、いつもと様子が違うときは迷わず医師に診せて下さい。

意外な前ぶれも!自家中毒の原因と発症のタイミング

自家中毒が起きる度に、小児科では「何か変わったことはありませんでしたか」と聞かれます。そうすると、発症のきっかけに何となく法則性が見えてくるようになります。

その中で以外に多いのが、夕食を食べずに寝てしまったということです。食事を抜いた程度のことが、こんな大きな症状を引き起こすことが信じられないかもしれません。

子どもは「飢餓」に対してとても弱いのです。

飢餓と表現すると大袈裟な感じがしますが、この場合は単純に、体の健康を維持するために最低限必要とするエネルギーを摂取できていない状態のことを指します。

子供は、たとえ健康な状態であっても30時間以上何も食べないでいると、血糖値が下がったりケトン体の増加がおこってしまうのです。

食事を取らないで寝てしまうほど遊び疲れていたとか、緊張していたとか、それに関わる出来事が必ずあるはずで、それらが重なることで発症のきっかけとなってしまうのです。

こんなことありませんでしたか?きっかけのあれこれ

初めて自家中毒と診断された時には、目の前でぐったりしている子供のことが心配で、きっかけのことなんて全くと言っていいくらい思いつきません。

以下は自家中毒を発症するきっかけになりやすい事例です。家での生活と照らし合わせると、似たようなできごとが見つかるかもしれません。

  • 運動会や海水浴など、クタクタに疲れたとき
  • 遠足や旅行など、ワクワクが長く続いたとき
  • 発表会やクラス替えなど、緊張したとき
  • 遠くに住むばあばが遊びに来たなど、テンションが上ったとき
  • チョコレートや揚げ物など、脂っこいものを食べたとき
  • 嫌いな食べ物を食べてしまったとき
  • 弟や妹が生まれたなど、家族の中で変化が起きたとき
  • いつもよりも強めに怒ってしまったとき
  • お友達とケンカしてしまったとき
  • 風邪などで体調を崩しているとき

きっかけはほんの些細なことかもしれませんが、それが楽しいことであっても辛いことであっても、子供にとっては大きなストレスを感じる原因になり得るのです。

子供のためにママができる範囲でサポートを

小児科のお医者さんによっては、自家中毒と診断すると「子供にストレスを与えないように」と言ってくることがあります。

何がきっかけで自家中毒を発症するのか特定できないのですから、全てを理解し、ストレスを完全に取り除いた生活をさせてあげることは、とてもできるものではありません。

それよりも大事なのは、どうやってサポートしてあげるかです。

きっかけが楽しいことであろうと辛いことであろうと、何かしら子供が不安定な気持ちを持っていることは確かです。子供が発信してくる合図をキャッチしてあげて下さい。

いつもよりも興奮気味にしている時も、寂しそうにしている時も、基本的には対処方法は同じです。

それは、ゆっくり話を聞いてあげることです。

子供にとって一番の話し相手は母親です。忙しいからといって、子供が話しかけてきたことを途中で遮るようなことは、できるだけしないであげて下さい。

子供が手を繋いできたり抱っこをせがんでくる時は、何か不安になる出来事が起きたのかもしれません。短時間でも良いので、できるだけ応えてあげて下さいね。

自家中毒と診断されたら?対処法と予防について

一度自家中毒と診断されてしまったら、10歳を過ぎるまでの長い付き合いになりますので、「この子の体質なのだから」とすべてを受け止めてどっしりと構えて下さい。

そして一年に何度も通うことになりますので、かかりつけの小児科を決めておくことをお勧めします。総合病院でなくてもかまいません。

親だけでは見落としてしまいがちな、前回との症状の違いや体調の変化を、先生や看護師さんが知っていてくれるのは、本当に心強いものです。

自宅に戻ってからはママがつきっきりで看病するので体力を使います。子供が点滴を受けている間、ママもできるだけ体を休めて下さい。私は待合室で座りながら寝ていました。

嘔吐から回復までには3~5日かかります。この間の洗濯も大変になりますので、赤ちゃんの時に使っていた防水シーツ(オムツ替えシーツ)を敷いておくと片付けがラクです。

ブドウ糖の摂取が体力回復のポイント

自家中毒には決定的な治療方法がないため、今後は子供が成長して症状が出なくなるのを待つということになります。

決定的な治療法がないということは、決定的な予防方法も無いと言えるのですが、発症後の症状を軽くしてあげることはできます。

子供の様子を見て自家中毒を発症するかもしれない、何かがおかしいと感じたら、アメ玉を一つ食べさせることです。

自家中毒の主な原因は、ブドウ糖の不足による低糖症状が引き起こすケトン体の異常増加なのですから、ブドウ糖を摂取させてあげると症状が軽くなるのです。

医師に指導されてから、我が家では「顔色が悪くなったらアメ玉を1個」を徹底してきました。嘔吐しても水分補給は後回しにしてまずアメ玉でした。

残念ながら嘔吐することに変わりはありませんでしたが、診察後に自力で歩けるようになるなど、その後の体力の回復が全然違いました。

ただし、甘いからといってチョコレートを与えるのは絶対にダメです!チョコレートは多くの脂肪を含んでいますので、かえって症状を悪化させてしまいます。

自家中毒の子供のために親がしてあげられること

どんなことにも共通しますが、子供の生活環境を整えてあげることが子供を守ることに繋がります。

やはり、早寝早起き・適度な運動・栄養バランスの取れた食事は、全てにおける基本です。生活のリズムが狂うことから生じる外的ストレスは取り除いてあげましょう。

子供にとって、体調が良くないことや心が不安定になっていることを、言葉で伝えるのはとても難しいことです。

少しでもいつもと様子が違っていたら、声をかけてあげて下さい。

何でもないよ、と子供は答えるかもしれませんが、そういう時こそ少々大げさに「良かった」と言いながら抱っこしてあげて下さい。

パパママが自分のことを見ていてくれるということがわかると、子供は安心し、不安だった心も安定して元気になります。

自家中毒は子供の発する言葉に出来ないサインです。日頃から寄り添い、耳を傾けて接してあげて下さいね。

みんなのコメント
  • そうママさん

    6歳の息子も、上記に書かれた症状そのもので、最近は頭からココナッツの匂いがするようになっていました。検索したら、ケトン体の臭いだそうで、臭い始めてから数日後、嘔吐が始まり、尿検査の結果ケトン体数値2+でした。落ち着いでどっしり、付き合っていこうと思います。吐くのが上手いので、寝ててもゴミ箱へ。それは助かってます(笑)

  • ねぇーさんさん

    うちは11歳の息子と7歳の娘がいますが二人とも自家中毒です。息子のときはカーペット、枕、シーツ、毛布あらゆるものを何度もダメに…
    その点娘は慣れてると言うのはおかしいですが、こちらの準備が出来るまで口の中で我慢してくれます。場合によっては呑み込んでしまうことも…
    息子は10歳を過ぎたら回数は減りましたが未だありますし、最近では止まらなくて入院もしました。
    娘は幼稚園の頃は毎月の様になり、毎月点滴を受けてました。小学生になり毎月は無くなりましたが体調不良になるとやはり嘔吐が止まりません。
    かかりつけ医のほぼ皆さんが知っていて下さるので、自家中毒で受診すると姿を見て直ぐに点滴の準備に取りかかってくださるのはとても心強いです。
    今回はあれがダメだったから、これが遅かったからと反省しかありませんが、一番辛いのは子供自身なのでめげずに頑張りたいです。

  • さくらもちさん

    小さめ痩せ型の娘は、夕食を食べず寝てしまったことをきっかけに3才から発症しました。熱が出たときや新学期が始まるときなど、数年間続きましたが、高学年になると本人も予感するようになり、ブドウ糖を持ち歩いたり食生活や睡眠に気をつけるなどできるようになりました。

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