悪い歯並びの原因や影響は?子供の歯列矯正の検討時期と必要性

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2017/02/28

子供の歯並びが気になると、矯正という言葉が頭に浮かびます。親自身が歯並びで苦労した経験があると、子供には苦労させたくないと思うもの。

矯正の早期開始について考える方も多いと思います。早い時期からの子供の成長にあわせた矯正によって、抜歯せずに治療できる場合もあるといわれます。

しかし、早く始めて一旦治ったと思っても、その後の成長によって変化して再び治療が必要になってしまうこともあります。

治療を始めてから、後悔したくありません。悪い歯並びの影響や種類、そして気になる歯列矯正の時期についてなど、歯医者さんで慌てないよう、相談に行く前に知っておきたいことをまとめました。

悪い歯並びの影響は、こんなところにあらわれます

歯並びや、かみ合わせが悪いと、具体的にどんなことになる可能性があるのでしょうか。

虫歯になりやすい
かみ合わせが合わないと、十分に食べ物を噛まず、すぐ飲み込んでいることがあります。

  • よく噛まないと唾液が十分に分泌されません。唾液は歯を守る役目をしているので、虫歯のリスクが高まります。
  • 歯並びがデコボコでは、歯みがきの時に磨き残しやすいです。
発音への障害
前歯が正常にかみ合わないと、「さしすせそ」や「たちつてと」がうまく発音できず、舌足らずな話し方になってしまいます。
口を閉じていられなくて口呼吸する
鼻でなく口で呼吸をすることを口呼吸といいます。前歯が出ていたり、上下の歯が閉じられないと口呼吸になってしまうことがあります。口呼吸が心配なのは、だらしなくみえるからだけではありません。

  • 通常の鼻での呼吸よりも、細菌がのどへ攻撃をしやすい。
  • 口が乾くので、口臭が出やすい。
  • 唇が荒れる。
  • 唾液が歯を守れず、虫歯や歯周病のリスクが高くなるなど。

テレビを見ているときなどに、口元を見てチェックし、口で呼吸していたら、口を閉じて鼻で呼吸するよう促しましょう。

歯並びが悪いために口呼吸になる例をあげましたが、口呼吸は鼻の病気でおこる場合があります。口呼吸は歯並びを悪くする要因でもあるので、注意が必要です。

アデノイド肥大

鼻の穴の奥~喉のあたりにアデノイドというリンパ組織の集まりがあります。リンパ組織は体の中の老廃物を集めて体の外に出す、細菌から体を守る役割があります。

この部分が大きくなってしまう症状をアデノイド肥大といいます。原因はよくわかっていません。副鼻腔炎や中耳炎、難聴などの症状を引き起こすこともあります。

鼻より口の方が楽に呼吸できるのか、子どもから鼻が詰まっている、と言ってこないこともあるので、気付きにくいかもしれません。

顔の表情で口元が整わない
口元を気にして、人前で口をあけて笑えない、しゃべれない、といった気持になってしまうこともあります。

見た目が気になる年頃になると、子供のほうから「矯正したい!」と言ってくるかもしれません。

なぜ、矯正が必要になってしまうのか?歯並びが悪くなる原因

どうして歯並びが悪くなってしまうのか?親からの遺伝のせい?おしゃぶりのせい?原因とされるものをみてみましょう。

先天的なもの
先天性欠如歯、過剰歯、埋伏歯など

こちらについては、後で「悪い歯並びは、こんな歯並び」でとりあげさせていただきます。

遺伝によるもの
親の特徴が必ず子供に、ということはありませんが、あごの骨格や歯の大きさが遺伝することはあるでしょう。

遺伝の結果、両親からそれぞれ受け継いだあごの骨格と歯の大きさの、バランスがとれない場合もあります。

ちなみに、歯医者さんへ「受け口」で相談をしに行くと、必ずと言っていいほど「近親で受け口の方はいますか?」と聞かれます。それだけ遺伝的な影響があるということでしょう。

乳歯の虫歯
虫歯が原因で乳歯を早く失ってしまうと、無くなったところの両側の歯が寄ってきてスペースが狭くなり、永久歯がきれいに並ぶことができない場合があります。

生活習慣で歯並びが悪くなる!歯並びに悪いクセ

歯列(歯並び)に関しては、乳歯期の虫歯もその一つですが、生活習慣からの影響も大きいといわれています。

歯並びに悪いとされる生活習慣の主なものをいくつかあげます。

  • 固いものをよく噛まない
  • 頬杖をつく
  • 舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)/舌癖(ぜつへき)
  • おしゃぶりの長期使用
  • 指しゃぶり
  • うつぶせ寝
  • 口呼吸

なぜこれらのクセが良くないのか?詳しくみてみましょう。

固いものをよく噛まない
野菜スティックのような固い食べ物を噛むと、奥歯は食べ物をすりつぶすため横に動きます。この動きは噛む回数とともに、あごの成長を促します。

きちんと噛む習慣がないと、あごが十分成長できず、歯並びに影響します。

食事中、椅子に座る場合は足がぶらぶら宙に浮いているのも良くないそう。下に台など置いて足を落ち着けて、姿勢を良く食べさせましょう。

頬杖をつく
片側からの押す力で、歯が傾いてしまったり、あごの形に影響する場合があります。

頬杖は、姿勢にも悪そうですね。

舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)/舌癖(ぜつへき)
上下の前歯に舌をはさんだり、舌で裏側から歯を押すクセをいいます。

指をしゃぶるクセ、口呼吸、舌が大きいことなどが原因とされ、開咬、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)を引き起こす要因の一つとされています。

おしゃぶりの長期使用
母子健康手帳の「育児のしおり1歳ごろ」のページでは、「長時間」、「長い期間」のおしゃぶり使用が与える、将来の歯並びや噛み合わせへの悪影響について、注意を促しています。
「長時間にわたり、長い期間おしゃぶりを使用すると、歯並びやかみ合わせが悪くなる場合があります。声や言葉を出す機会も減ってしまいます。また、歯の生え方や色、歯並び、口の形などが気になるときは、早めに歯科医師など専門家に相談しましょう。」
引用…母子健康手帳「育児のしおり1歳ごろ」より

また、乳歯の噛み合わせがしっかりしてくる2才半を過ぎて、おしゃぶりや指しゃぶりを続けていると、次のような影響が多く指摘されています。

  • 上あごの歯列のアーチが狭くなる。
  • 上の前歯が前へ出る上顎前突(出っ歯)になる。
  • 上のアーチが狭い為、下の奥歯が上の奥歯より外側にきてしまう、交叉咬合(クロスバイト)という症状になる。

おしゃぶりは、持たせているといつでも口に入れられるので、むずがるときや入眠のときだけに与えるなどして、時期をみて徐々に減らしていけると良いでしょう。

指しゃぶり
親指をしゃぶる子供の場合、下の前歯が奥へ傾斜して、開咬の状態になるおそれがあります。上の前歯が出る、上あごのアーチが狭くなるなど、おしゃぶりと同じ影響もあります。
うつぶせ寝
頭の重さで顎関節に負担がかかり、あごがずれたり、奥歯の噛み合わせがずれたりする場合があるといいます。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のためにも、医師からうつぶせ寝をすすめられた場合以外は、赤ちゃんはあおむけに寝かせましょう。

口呼吸
先ほど、歯並びが原因の悪影響としてであげましたが、逆に口呼吸が原因で歯並びが悪くなることもあります。歯にかかる力のバランスが崩れることが原因です。
歯は口の中で、内側からと外側からの二種類の力がかかっています。

  1. 舌が前歯を押す内側からの力
  2. 口の周りの筋肉が歯を締め付ける外側からの力

歯は、1と2の力の中央に位置し、唇や頬(外から内への力)と舌(内から外への力)に沿って並びます。唇をしっかり閉じていない口呼吸では、このバランスが崩れてしましいす。

口呼吸で歯並びが悪くなる仕組み
口呼吸で、舌と唇の筋肉のバランスが崩れる仕組みをみてみましょう。

ふだん口を閉じているとき、舌先は上の方にあがっており、上顎裏の前歯との付け根のあたりです。

  1. 口が開くと舌先は下あごへ下がります。
  2. 口が開いている(ぼーっとして口を開けている状態です)ので、唇は歯を覆わず、外から内への力が弱くなります。
  3. 舌で内から外へ押す力が、相対的に強くなります。

この結果、舌で前歯が押され外に傾き、上下に隙間が開くようになったり、下の歯が上の歯より前に出てきたりするようになります。

注意され、意識したときは閉じられても、ふだん無意識に開けてしまっていることもあります。ふだんの口元を注意してみておきましょう。

どんな歯並びが良い歯並び?まずは噛み合わせが良い歯

悪い歯並びや噛み合わせのことを不正咬合(ふせいこうごう)、反対の良い歯並びを正常咬合(せいじょうこうごう)と呼びます。

まず、正常咬合とは、どんなかみ合わせをいうのでしょうか。奥歯を噛み合わせて鏡を見てみましょう。

  • 上の前歯が下の前歯を2~3ミリくらい覆っている。
  • 上の前歯が下の前歯の2~3ミリ前にある。

他にも、以下のような条件があげられます。

  • 上下の前歯の中心が真っすぐ揃う。
  • 1本の歯に対して2本の歯がきちんとかみあっている。
  • 上の歯が全て、下の歯より少し外側に出ている。

矯正のお医者さんのサイトでは、鼻先とあご先を結んだ線(Eライン)も、よくとりあげられています。

悪い歯並びは、こんな歯並び

次に、悪い歯並び(不正咬合)の例を、みてみましょう。

叢生(そうせい)/八重歯/乱杭歯
永久歯がデコボコに並んでいます。犬歯が歯列から外にはみ出す八重歯も叢生の一つです。乱杭歯(らんぐいば)ともいわれます。

叢生の特徴

  • 歯が生えるスペースが足りなくて、歯列からはみ出す他、ねじれたり、重なったすることがあります。
  • 小さな顎に大きな歯が生えてくると、叢生になってしまうことが多く、矯正する場合、スペースを作るため抜歯することもあります。

叢生の原因とされていること

  1. 遺伝的理由(小さい顎、大きな歯など)
  2. あごの成長不良
  3. 指や舌のクセ
  4. 乳歯を虫歯などで早く失うこと、など
反対咬合(はんたいこうごう)/下顎前突(かがくぜんとつ)/受け口
歯は、上の歯が下の歯よりすこし外側にでているのが、正常な状態です。かみ合わせが、上下逆になっている状態を反対咬合といいます。全ての歯が逆になっていることは少ないといわれています。

反対咬合の特徴

  • 歯の生える位置や方向などの歯の問題の場合と、骨格の問題の場合があります。
  • 発音の面で、特に「さ行」と「た行」が発音しずらいです。

反対咬合の原因とされていること

  1. 遺伝的な理由(小さい顎、大きな歯など)
  2. 上あごの成長不良、下あごの成長過剰
  3. 歯並びに悪いクセ(舌で下の歯を押すクセ、指しゃぶり、口呼吸など)がある
  4. 乳歯の前歯の生え変わりがうまくいかない(二重歯列など)など

反対咬合は、不正咬合の中でも、早期に診断を受けることが望ましいとされています。

開咬(かいこう)/オープンバイト
奥歯はかみ合っても前歯がかみ合わず、前歯が閉じられない、前歯で嚙み切ることができないものです。「さ行」や「た行」の発音がうまくできません。

開咬の特徴

  • 生活習慣がひきおこした不正咬合の場合があります。
  • 歯に悪いクセを生活から取りのぞかないとさらに悪化する可能性があり、不正咬合の中でも早期に診断を受けることが望ましいとされています。

開咬の原因とされていること

  1. おしゃぶりの長期使用
  2. 指しゃぶり
  3. 舌を突き出すクセ
  4. 口呼吸
  5. 上下のあごの発育不良など

治療では、舌のトレーニングにあわせて、舌の位置を正しい場所に導く装置(ムーシールドなど)を使用することがあります。

交叉咬合(こうさこうごう)/クロスバイト
広い範囲の反対咬合を交叉咬合といいます。

交叉咬合の特徴

  • 犬歯から奥歯の噛み合わせが左右ずれている場合に言われることが多く、側方(そくほう)交叉咬合、臼歯部交叉咬合などとも言われます。
  • かみ合わせが横にずれているため、あごの関節に負担がかかることがあります。

交叉咬合の原因とされていること

  1. 歯の生える位置の異常
  2. あごの骨のバランスが悪い
  3. 歯並びに悪いクセ(ほおづえ、左右片方だけでかむ)など
空隙歯列(くうげきしれつ)
よくいわれる「すきっ歯」です。

永久歯の前歯が生えたときによくみられる、前歯の間のすきまは、犬歯が生えてくるときに押されて自然に閉じていきます。歯医者さんはこの時期を「みにくいアヒルの子の時期(Ugly Duckling stage)」と呼ぶそうです。

空隙歯列の特徴

  • 歯と歯の間が隙間があるのが、空隙歯列(くうげきしれつ)です。
  • なかで、上の前歯の間があいている症状を、正中離開(せいちゅうりかい)とよびます。

空隙歯列の原因とされていること

  1. 上唇小帯の異常
  2. 過剰歯
  3. 永久歯の先天性欠如
  4. 歯の大きさが小さい、など
正中離開の原因について

空隙歯列の一つである正中離開(せいちゅうりかい)では、前歯のあいだの隙間が自然に閉じません。これには、指しゃぶりや舌のクセの他に、よく二つの原因があげられます。

  1. 前歯の中心の正中という部分に過剰歯が埋まっている。
  2. 上唇小帯に異常がある。

1.の場合、過剰歯が邪魔で、前歯の間の隙間が閉じられなくなります。通常、埋伏過剰歯を取りのぞいて矯正治療をします。

2.上唇小帯(じょうしんしょうたい)は、上唇の内側と前歯の歯茎の中央をつなぐ、筋のようなところをいいます。

通常、上唇小帯は成長とともに前歯の間の歯の付け根から、歯茎の上部へ移動していきます。しかし、移動せずに歯の付け根で太くなってしまうと、前歯の間が閉じられなくなり、隙間が空いてしまいます。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)/出っ歯
上の前歯や上顎が前に突出している状態です。

上顎前突の特徴

  • 飛び出した前歯が下唇を噛んでいたり、口が閉じにくかったりします。
  • 飲み込んだり、発音したりする働きに影響する場合があります。

上顎前突の原因とされていること

  1. 遺伝的なもの(顎が小さい、歯が大きい)
  2. 上顎の過剰な成長、下顎の成長不足
  3. 長期のおしゃぶりの使用
  4. 指しゃぶり、舌を突き出す、下唇を噛むなどのクセ
  5. 口呼吸など
永久歯の先天性欠如(せんてんせいけつじょ)/先天性の欠損歯(けっそんし)
大人の歯(永久歯)は親知らずを除くと28本生えます。しかし、先天的に生えてこない永久歯があることを、永久歯の先天性欠如といいます。

永久歯の先天性欠如の特徴と原因

  • 上下とも5番、2番の歯の欠損が多いそうです。
  • 歯胚(しはい)という歯のもとがつくられないことが原因ですが、なぜつくられないのかは、まだよくわかっていません。

日本小児歯科学会の調査(2007年~翌年)によると、7歳以上の子ども15,544人への調査で、1,568人、およそ10%の子どもに永久歯の先天性欠如(親知らずを除く)がみられたそうです。

永久歯が全部そろっているかは、歯医者さんでレントゲンを撮ってもらうとわかります。

過剰歯(かじょうし)
歯が決まった数以上に作られてしまいます。歯列の内外に生えてくるものや生えてこないで埋伏歯となるものがあります。

過剰歯の特徴

  • 生えてくる場合は、上顎前歯や上下の親知らずの後ろに生えてくることが多いといわれています。
  • 特に上の前歯の間に過剰歯が現れると、正中過剰歯(せいちゅうかじょうし)といわれ、正中離開(せいちゅうりかい)の原因になります。

過剰歯の原因とされていること

  1. 歯胚(しはい)が過剰につくられたり、一つの歯胚が分裂してしまうことが原因ですが、何故そうなるのかはよくわかっていません。
  2. 進化の過程で失われた歯が突然現れたとか、遺伝、外傷による歯胚の分裂など諸説あります。
埋伏歯(まいふくし)
歯冠(歯の頭)が歯茎から少ししか出てこない、または歯茎や顎の骨の中にあって出てこない歯を埋伏歯(まいふくし)といいます。

埋伏歯には、つぎの二種類があります。

  • 不完全埋伏歯(半埋伏歯):歯の一部しか出てこないもの。
  • 完全埋伏歯:骨の中に完全に埋まっているもの。

完全埋伏歯の場合、位置や生える方向に異常があることが多いそうです。また、埋伏している歯の種類によって治療は変わります。

永久歯が埋伏状態のとき

乳歯がなかなか生え変わらず、レントゲンで永久歯があることが確認できた場合、まずは自然に生えてくるか経過をみます。生えない場合は、歯を引き上げる矯正治療を行う場合があります。

埋伏歯が過剰歯のとき

埋伏歯が過剰歯(過剰埋伏歯)や、親知らずが横向きに埋伏している水平埋伏知歯(すいへまいふくちし)のときは、他の歯に悪影響がある場合、抜歯することが多いようです。

埋伏歯の原因とされていること

  1. 生えてくるスペースが足りない
  2. 乳歯がなかなか抜けず残っている
  3. 歯の周囲の歯茎や骨が厚い、など

子供の矯正はいつからがベスト?早期矯正が有効か否かは検査次第

3才から開始する場合もある、子供の矯正。早期に矯正を開始したとしても、きれいな歯列にするために、多くは永久歯が生えそろってからの矯正が必要といわれます。では、なぜ早期に、治療を開始するのでしょうか。

早期に治療することで、悪化を防ぎ、結果として子どもへの負担が減る(全体の治療期間が短くなる、抜歯せずに済むなど)可能性があるからです。

その可能性を知るためには、十分な治療経験や技術がある矯正歯科医院で検査を受け、診断してもらう必要があります。

早期に治療を検討したほうが良いと言われる症状2つ

ここで、不正咬合のなかでも、早期治療を検討したほうが良いと言われるケースをみてみましょう。

早期に注意が必要な症状1~反対咬合、開咬、交叉咬合
理由は二つあります

  1. 生活習慣(悪いクセ)による歯の問題の場合は、原因の生活習慣をとり除かないと、さらに悪化していく可能性がある。
  2. 顎の骨格が要因の場合、将来の顎の成長を考慮した治療の検討が必要になる。
早期に注意が必要な症状2~虫歯で乳歯が抜けてしまった
虫歯などで乳歯を早く失うと、残った歯や先に生えた歯が、そこに本来生えるべき歯のスペースを狭くしてしまうことがあります。

こんな時は、永久歯をきれいに並ばせるための準備として、永久歯が生えるスペースを確保する治療をすることがあります。

永久歯が生えそろうのを待って良い、といわれるケース~上顎の出っ歯

ちょっと先の話ですが、早期(ここでは7才~11才)に治療を始める必要はないといわれる症状があります。それは、上顎前突(出っ歯)です。

日本歯科矯正専門医学会(JSO)は、2016年の9月に矯正治療のガイドラインを作成しました。

このガイドラインの中で、上顎前突の子供(7~11才)の場合は、永久歯が生えそろうまで矯正治療を開始しないことが強く推奨されています。

理由は、上顎前突(出っ歯)では、早期に矯正したときとそうでない例を比べても、治療の結果に差がなかったからだそうです。

また、今のところ、他のかみ合わせの早期矯正治療についても、確実に有効であるという確証のある研究、報告はないといいます。

しかしまた、すべての患者に効果がないということではなく、早期の矯正治療が有効な患者もおり、医師が十分な検査をし、確実に有効だと判断した場合には早期矯正を提案するとしています。

なお、ここでいう、「治療」は、出ている前歯を矯正装置で引っ込めることです。歯並びに悪いクセがある場合は、原因となるクセを、まず止めさせましょう。

検査、診断の結果~治療計画を聞こう

となると、矯正する、しない、を決めるには、検査が非常に重要、ということになります。検査では少なくとも、こんなことをします。

  1. 歯、あごのレントゲン写真の撮影
  2. 顔全体と口の中の写真の撮影
  3. 歯列の模型の作成

診断を受けると、治療を開始した場合の計画が説明されます。治療計画では、例えばこんなことが説明されます。

  1. このままだと、どんな歯列になるか
  2. 治療はどんな装置を使うか
  3. 治療期間は、いつからいつまでか(装置をつけるならその期間も)
  4. その治療で永久歯の歯列がどのようになるか
  5. 費用はいくらかかるか

治療の実績は、症状などにより個人差があるでしょうし、装置の効果については、素人にはなかなかわかりづらいものがあります。

わからないことは、質問しましょう。早期に開始することが、あとでする場合に比べて効果がある!という理由に納得してから治療をはじめましょう。

気になる症状があるときは、6才~7才ごろに相談に行きましょう

いつ治療を開始したらよいのか?というママの疑問については歯医者さんの検査、診断の結果次第ですが、気になる症状がある場合は、6才~7才ごろに矯正の治療をしている医院へ相談に行くと良いといいます。

矯正を考えるきっかけは、かかりつけ医の歯医者さんにすすめられてという方が一番多いようですが、自分の方針と合っていない場合は、歯医者さんを変えてみるのも手です。

また、歯医者さんに「お子さんのことを思うなら…」といった言葉を言われたので即矯正!という選択肢しかない訳ではありません。

歯に悪いクセが原因の場合は、指導を受け、そのクセを取りのぞいてあげるだけで改善する場合もあります。

出来る事には限りがあります。費用もかかる問題なので、『親ができる範囲で』『できる時に』やってあげればいいのではないでしょうか。

早期(混合歯列期)の治療は、永久歯の歯列やかみ合わせを整える準備ともいえます。

お家では、虫歯や歯に悪いクセに注意しながら、後悔しない矯正治療を選びましょう。

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