負けず嫌いの子供の個性を伸ばす育て方!癇癪を頑張るパワーに転換
負けず嫌い、という言葉に皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか。
負けないようにひたむきに努力する頑張り屋さんでしょうか?それとも勝ち負けに拘りすぎる器の小さい人でしょうか?
この負けず嫌いは捉えようによっては二つの側面がある言葉です。状況に応じて、時として褒め言葉にもなれば、貶(けな)す意味合いを含んだ言葉にもなります。
周りに迷惑をかけるほどのマイナスの負けず嫌いを、どのようにコントロールすればプラス方向に導いていけるのでしょうか?
子供の負けず嫌いのカギを握るのは、やはり周りの大人…パパやママです。
負けず嫌いの構図を上手く理解して、両親で子供の可能性の芽を大きく育ててあげませんか?その秘訣に迫ります。
お子さんはどのタイプ?負けず嫌いのタイプ別に対処!
最初に「負けず嫌い」の語源について少し触れておきたいのですが、「負けず」の「ず」を否定の助詞と考えると「負けないのが嫌い」と逆の意味になってしまいます。
一般的には、この「ず」は推量の意味で用いられており、「負けそうになるのを嫌う」という意味だと言われています。
他人に負けることを嫌う勝気な性分の人を指します。
あなたのお子さんはどんな時に負けず嫌い気質を発揮していますか?
他人と比べて自分が劣るのは絶対イヤ!比較タイプ
上手に出来る友達(兄弟)や自分より良い物を持っている人を目の前にすると「自分の方がもっと上手く出来る・よい物を持っている」とすごくアピールしたがる比較タイプ。
ちびっ子にはこのパターンが一番多く当てはまるかもしれません。みんなが和やかに遊んでいる最中でも、自分がいかにスゴイかをアピールしてしまう傾向があります。
ただ、中に同じようなタイプの子がいなければ、この負けず嫌いは大きな喧嘩に発展することは至って少ないので、その場は基本的に放っておいても大丈夫でしょう。
こういう言動が目立つのは3~6歳くらいにかけてが大半で、一定の年齢に達すれば「能ある鷹は爪を隠す」ということや「相手を立てる」ことも覚えます。
目に余る時は、自宅で褒め過ぎていないか(もしくは全く褒めていない)を親がまずは気をつけ、その都度、状況に合わせた声掛けをしてあげましょう。
- 子供A 「この新しい靴、かわいいでしょ」
- 娘 「そんなにかわいくない。私のほうがもっとかわいいの持ってるよ」
こんな場面があったら「Aちゃん、似合ってるよ!娘ちゃんも可愛い靴持っているけど、どっちも可愛いと思うなぁ」などと双方を肯定する方向で口添えしてあげましょう。
そういうことを現場で言うと娘さんがスネたりしそうなら、帰宅してからキッチリとお話ししてみます。
- 「自分だってお気に入りをAちゃんに可愛くないって言われたら嫌でしょう?」
- 「Aちゃんが似合うものや好きなものは、あなたとは違うんだよ。けなされるとAちゃんも悲しいから、本人が気に入っているものは褒めてあげて喜んでもらおうよ」
男の子と違って女の子は特に、同性の友達や親に対して比較したり、批評したがる傾向があるかもしれません。
皆、好みや考え方は違っていて、それぞれ良いのだということ、相手の気持ちを考えて発言するようにしたほうが素敵なことを伝えます。
相手の気持ちを考えて発言する習慣をつけさせるためにも、周りを蹴散らしても自分が一番と考える傾向がある子供にはアドバイスを繰り返してあげましょう。
負けないように話を盛り過ぎる!方便タイプ
- 子供B 「この前、なわとびで100回跳べた!」
- 息子 「ぼくなんか1000回跳べるよ!」
本当は1000回も跳べたことがないのに、嘘でも絶対負けたくない…という言動もこの時期によく見られます。
負けず嫌いなあまり、思わず言ってしまう子供のウソ。「どんな小さなウソでも見逃したら大変、芽は早めに摘み取らないと!」と真面目なママはお説教するかもしれません。
子どもを傷つけてしまう会話例
- 「1000回も跳べないでしょ!ウソついて、謝りなさい!」
- 「まったく跳べないのに、そんなウソついちゃダメ!」
こんなふうに子供のプライドをズタズタにしてまでお説教しても何の効果もありません。頑張るきっかけになるような声掛けに転換しましょう。
子どものやる気を引き出す会話例
- 「がんばって練習して二人ともスゴイね!もっと上手になるよう頑張って」
- 「そんなにママは跳べないなぁ、二人ともスゴイね!今度教えてほしいな」
1000回、とついた嘘の回数には触れないで、頑張って練習していることを褒めたり、回数を増やすためにもっともっと練習しよう、という方向へ導きます。
例えば、「かけっこで一番になった」といったウソをつく子供もいますが、そこは「がんばって偉かったね」と褒めるだけで「一番」には触れないでください。
一番でなければ褒められない、のではなくて、一番を目指して頑張る姿勢を見ているよ、素晴らしいねと認め、やるなら一番目指そうと誘導して練習にも付き合いましょう。
もう少しモノがわかる年齢になってきたら、変な見栄を張ることは逆に恥ずかしいのだということは自然にわかってきて、出来ないウソはつかなくなっていきます。
自分が常にナンバー1!負けると怒る勝負タイプ
ゲームや遊びの勝敗にこだわり、負けそうになると泣き、激しい癇癪を起こすのが一番困る勝負タイプです。
場所を構わず大号泣したり、ゲームを滅茶苦茶にしたり、ボールを投げつけたり…。周りにもかなりの迷惑がかかってしまいます。
現にサッカーのような集団スポーツの場合、試合をして、負けた時に悔しくて泣く子はいても、負けたからと相手を叩いたり、地団太を踏むような子はいません。
自分の思う通りにしてくれる可能性がある相手だからこそ、激しく自己主張して自分が勝つまでやる、とか負けたらモノに八つ当たりするといった行動につながるのです。
勝敗にこだわり、負けると癇癪を起こす子供には、初対面の人と交わる機会を増やす・集団競技を習わせるなどして勝敗を競う体験を重ねると効果的です。
更に気をつけておきたいのは、家族生活の中で「この子に癇癪をおこされると厄介だから」と勝たせてばかりいないか、ということです。
子供の相手をするとき、遊びで子供を負かすのは大人げない、年上は下に譲ってあげてスムーズに遊ぶというのが暗黙の了解になっている家庭も多いでしょう。
勝つ人もいれば、その裏には負ける人もいる。勝つには努力や経験が必要、ということを早いうちから理解させるチャンスでもあります。
負けて怒る、騒ぐというのは性分もありますが、負けることに耐性ができていないということも大きい原因のひとつです。
この着実なステップアップを踏むために、負ける経験値もあげるのです。負けることでワーワー騒ぐのは最初だけで、騒いでいてもいつまでも勝てるようにはなりません。
勝つために頭を使って工夫したり、練習したりする道筋を作るためには、最初は泣いたりグズったりしても真剣勝負で相手するようにしてみてはいかがでしょうか。
負けず嫌いを将来的に生かす方法
負けず嫌いな性格は生まれつき持っている資質だから根本的に変えることはできないものなのでしょうか。
もし、この子が違う親から生まれていたらもっと穏やかで育てやすかったのかな、私の育て方が間違えているから勝ち負けばかり気にする子になったのかな、など…。
子供の性格を決定つける要因は持って生まれたもの(個性)、兄弟構成や周りの環境などが様々に混じり合って形成されるものです。
負けず嫌いが激しいからといって「生まれつきだから」と諦める必要もなければ、性格が悪いと悲観する必要も全くありません!
おっとりしたお子さんのママであれば逆に「その負けず嫌いを頂きたい」というような方もいらっしゃるくらいの、いわば財産なのです。
何でも競争みたいに楽しむ!負けず嫌いは学習効率にも効果
負けず嫌いな子はある意味で完璧主義者です。勉強でもスポーツでも自分がこだわる事に対しては次から次へとストイックに取り組みます。
そういうお子さんへの環境づくりとして、もし可能であればお勧めしたいポイントがあります。
- 年上の友達と交わる機会を多く持たせる
- 検定や試合など競って結果が目に見える習い事をさせる
なぜ年上の子かというと、負けず嫌いな子は対抗心むきだしなので、少しレベルが高いことをやらせても背伸びして頑張ります。
年上相手だと負ける経験も沢山するので、負けへの免疫も出来ます。兄姉がいなければ縦割り教育に積極的な幼稚園や保育園、サークルを選びましょう。
また習い事をすることで両親以外の大人である先生から注意やアドバイスを受けることも教育上、能力を引き出す契機になるはずです。
子供の納得がいくまで親は徹底的に付き合う!根気比べ
私の息子は見た目は穏やかな顔つきをしているのですが、かなりの負けず嫌いで、実は私自身が結構手を焼いています。
最近では幼稚園で始まった「なわとびチャンピオン」を決める取り組みにハマってしまい、帰宅後、隣りの公園での練習に余念がありません。
ある日「今日はAくんが160回跳べたって言ってたから、僕は200回跳んで追い越す!」と宣言し、頑張って跳び始めました。
すぐに196回跳べたので「A君を越えたね!」と私は大喜びしたのですが、息子は首を横に振り「ちがう!今日は200回跳ぶの!200回跳ぶまで止めない」と言い放ちました。
結局、途中で上の子にカウントを交代してもらったりしながら1時間半ほど、汗だくになって跳び続けるのを見守り、最後には210回跳べました!
息子は途中で癇癪を起こして泣いたり、とび縄を放り投げてみたりと感情爆発する瞬間もあったのですが、絶対にやり切りたいと粘って粘っての結果でした。
親として反省したことは、やはりストレートに応援してやらなかったことです。息子はこういうことが多々あるので、付き合うのにすごく労力を伴うことがあります。
しかし、息子が頑張り始めたら根気よく付き合ったほうが伸びるな、ということは常日頃から感じています。負けず嫌いと根気比べなのです。
もちろん、癇癪をおこしながらやった場合は、最後に注意します。やると決めてやっているからにはモノや人に当たらない。付き合ってくれた兄には感謝しなさい。
羽生選手の原動力は究極の負けず嫌い!目指せアスリート
フィギュアスケートで今や知らぬ人のいない羽生結弦選手。もはや突出した存在で、ある意味ライバルなどいないかのような状況であっても、彼は常に高みを目指す選手です。
彼は試合が不本意な成績のとき「負けたことを思い出すだけで腹が立つ」「次に備えて無性に練習がしたくなる」といったような発言を繰り返していますね。
テニス界で大活躍の錦織圭選手しかり、プロサッカー選手の本田圭佑選手しかり、頭角を現す人の幼少期の負けず嫌いエピソードは数多く語られています。
天才アスリートといきなり肩を並べて物事を考えることは出来ませんが、負けず嫌いな性格は刺激すれば化ける可能性を大きく孕んでいる、ということは言えるでしょう。
しかし誰だって負けず嫌いと一言で言っても、何でもかんでも負けたくないというわけではありません。
わが子が関心を持っていること、こだわっていることには傾向があるはずですので、それをしっかり見極めて応援したり、きっかけを作ってあげることも大切です。
現在では日本スポーツ振興センターで「タレント発掘・育成プログラム」という子供の才能を早期から開発するプロジェクトもあります。
天性の負けず嫌い・運動神経の可能性を感じるお子さんなら、将来的に適性を見定めることのできるこういったプロジェクトに挑戦してみるのもよいでしょう。
癇癪を起こすほどの強い負けじ魂がある子なら、それをぶつける先があれば思わぬ才能を発揮してくれるかもしれません。
究極は他人でなく自分自身に負けないこと
負けず嫌いを短所ではなく長所として受け止め、伸ばしていく試みについてまとめてきました。
結局、負けず嫌いが「何だかみっともない」感じから脱却するために一番大切なのは、勝ちたいという欲求を自分自身にぶつけられるかどうか、に尽きるでしょう。
大人でもなかなかできないことではありますが、自分の最大の敵は自分の中にあるということを親子で沢山体験して、乗り越えていきたいものです。
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