赤ちゃんの耳掃除は耳鼻科か自宅か?耳垢タイプ別に対応!

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2017/01/30

赤ちゃんや子供の耳掃除、皆さんはどうされていますか?デリケートな部分を触るので気をつかいますし、赤ちゃんや子供はジッとしてくれないので怖いですよね。

お昼寝の最中にこっそり耳掃除したり、お風呂上りに耳の入口付近の水分だけを綿棒で軽く拭き取ったりとそれぞれ工夫されていると思います。

誰でもしていることだけど、案外周りの人がどうやって耳掃除をしているのか知らない、当たり前すぎて今更聞きにくい…そんなママたちのために、耳掃除事情をまとめました。

耳垢(みみあか)の役割・タイプを知ろう

普段何気なくしている耳掃除。赤ちゃんや子供にしてあげるようになるまで、耳かきに気をつかったことなどない人がほとんどでしょう。

しかし耳の中の表皮はとても薄くて、少しの刺激でも傷が出来やすいデリケートな部分です。

ケアするときにはちゃんと注意しておかないと、のちのち難聴など思わぬことになることもあるので、自分の子供の耳掃除に少し注目してみませんか?

耳垢(みみあか)はなぜ出来るの?3つの役割

耳の入口から鼓膜までの間を「外耳道(がいじどう)」と呼びます。ここに溜まるものがいわゆる耳垢です。

読んで字のごとし、そのまま耳の垢。新陳代謝によって剥がれ落ちた皮膚や外部のほこり、耳垢腺からの分泌液等が混じり合った物を言います。

耳垢というのは、外耳道(耳の穴)に存在する二種類の腺「耳垢腺(耳道腺)」と「皮脂腺」からの分泌物に、剥離脱落した角化表皮細胞(いわゆる普通の垢)や毛髪、粉塵などが混在して出来た物です。

傍から見ればただのゴミ同然の耳垢ですが、実はちゃんと存在理由はあるのをご存じでしょうか。侮れない耳垢の3つの役割を見ていきましょう。

外耳道や鼓膜を保護、乾燥を防止する
EAR WAX(イヤーワックス)とも呼ばれる耳垢は、薄くてあまり丈夫ではない鼓膜や外耳道を覆うことで実質的に耳の内部を保護したり、乾燥を予防したりしています。
防虫効果がある
耳垢があることで物理的に虫も奥まで侵入しにくいこともありますが、さらに耳垢のにおいや苦味成分の影響で虫が入ってこない効果があるそうです。
抗菌・抗真菌の成分が含まれている。
耳垢、特に乾性の耳垢には抗菌・抗真菌の成分が含まれており、耳の中で細菌が繁殖しないよう予防してくれます。乾性耳垢の人は外事疾患にはかかりにくいとの調査結果もあります。

以上のことから、耳垢にはそれなりの役割があるので、耳かきをしすぎて完璧に取り除かないほうが病気の感染予防や防虫のためにはいいのです。

耳垢(あか)は大きく分けて湿型と乾型の2タイプ

耳垢と一言でいっても個人差があり、大きく分けるとサラサラと乾燥した乾性耳垢(こな耳)としっとりと粘りのある湿性耳垢(べた耳)の2タイプあります。

耳掃除を一度でもしれみれば、素人にでもどちらのタイプの耳垢かは簡単に判断がつきます。

日本人は7~8割が乾性耳垢なので、正常であれば耳掃除は全くする必要がない、という説もあるようです。

なぜかというと、耳垢は乾燥すると食事や会話で動くあごの動きに押し出され、自然に外に出ていく「自浄作用」があると考えられているからのようです。

耳垢腺は外耳道の入り口に近い3分の1の部分にしか存在しないため、それより奥には耳垢は作られません。さらに外耳道には皮膚の自浄作用があり、あくびをしたり物を噛んだりする顎の動きにより、耳垢は自然と外側に移動し、ポロッと落ちてくるような構造になっています。

しかし乾湿の度合いに関係なく、全く耳掃除をしないと鼓膜がふさがるほど耳垢が溜まる場合もあるため、全くケアをしないわけにはいかないのが実情です。

ちなみに欧米人は9割が湿性耳垢なので、耳掃除は綿棒が主流で、耳かきはしないそうです。国が違えば体質や健康管理の方法も異なるなんて驚きですね。

新生児・赤ちゃん時代の耳垢は湿性タイプが主流

日本人の8割近くが乾性耳垢と書きましたが、新生児の耳垢は羊水の中にいた影響で湿っており、多少臭いにおいがしたり、黒い色をしている場合があります。

赤ちゃんの黒い耳垢
赤ちゃんはお母さんのおなかの中で、羊水に浸っているので、この間は、当然耳掃除は無しですね。生まれてまもなくの頃、耳掃除をすると、黒い塊が出ることが有りますが、通常は心配ありません。

また赤ちゃんの時期は新陳代謝が活発で皮膚に油脂が多いことから、耳垢もできやすく、茶色・黄色をしていたり、粘りのある湿性タイプの耳垢がとれたりします。

新生児期に湿性気味でも、1~2歳までの間に乾性になっていく子供が多いようです。折に触れて耳垢の状態をチェックし、適したケアをしてあげましょう。

自宅でできる耳掃除!耳垢タイプに応じた対処法

私たちが子供の頃は、綿棒か竹製の耳かき棒でお母さんの膝の上に横になり、コチョコチョと簡単にやってもらっていましたよね。結構気持ちが良くて私は楽しみでした。

しかし最近は医師によっては「ご家庭では耳掃除をしないで耳鼻科に来てください」と言われることもあり、耳掃除のためだけに定期的に通院する子もいます。

何を基準に、自宅と耳鼻科のどちらを選択したらいいのでしょうか。まずは自宅でできる簡単ケアをみていきましょう。

新生児・赤ちゃんの自宅で出来る耳掃除

赤ちゃん時代は耳の入口から奥までの距離も短いので、加減を誤ると綿棒を少し入れすぎただけでも耳の中を傷つけてしまう可能性があるため、注意が必要です。

耳には基本的に先ほど書いた「自浄作用」があること、デリケートな部分なので傷つけやすいことなどから、医師によっては自宅での耳掃除を絶対に勧めません。

赤ちゃんのためにお家で耳掃除するとしたら、お風呂あがりに耳の入口付近に耳垢が見えた時にでもガーゼや綿棒で優しく拭き取る程度で基本は十分です。

赤ちゃんは耳の穴も小さいので、ベビー綿棒に少しベビーオイルを染み込ませ、
あまり奥まで綿棒を入れないように気をつけながらクルクルするのも効果的です。

赤ちゃん時代は耳垢の出やすい時期ではありますが、綿棒でケアするなら1週間に1度程度でいいでしょう。

ただ粘性が非常に強い耳垢をしているなと感じたら、耳鼻科に行って早めに診てもらいましょう。普通に綿棒のケアでは取り切れないお子さんもいるようです。

お風呂に入ったあと、毎日赤ちゃんの耳に綿棒を使う人もいますが、赤ちゃんは羊水の中にいたので基本は自然乾燥に任せて大丈夫です。

明らかにお湯が入ってしまった場合は、入った方の耳を下に向けて寝かせ水抜きするか、耳の入口付近を綿棒で軽く押さえましょう。綿棒を耳の奥まで入れてはいけません。

耳垢タイプ別に使い分けると便利!耳掃除グッズ

日本ほど耳かきを習慣にしている国は、実は世界的にみると他にないそうです。そのおかげもあってか、耳掃除グッズはとても豊富にあります。

お子さんの成長と耳垢タイプに合わせて、上手に使い分けてみてください。

ベビー綿棒
耳の入口が小さい赤ちゃんには普通のものより一回りヘッドが小さいベビー綿棒を使うと便利。鼻やおへそ、便秘のときなどにも使いまわしができます。ベビー用オイル付き綿棒もあります。
綿棒(乾性・湿性)
湿性タイプの人には綿棒が便利です。炭を配合した黒いヘッドの綿棒も販売されており、耳垢がどれくらい取れたかチェックしやすいのでおすすめ。乾性タイプの人は最後の仕上げに使うとよいでしょう。耳垢を奥に押し込まないように要注意。
粘着綿棒(乾性)
綿棒の先に粘着性があり、耳垢をくっつけてとるタイプ。乾性タイプにしか効きません。ベビー用の粘着綿棒も販売されていますが、これは鼻掃除に重宝している人が多いようです。
スクリュー型耳かき(湿性)
耳かきの先端がスクリュー型になっています。金属製やラバー製があり、すごくしっかり耳垢がとれます。湿性耳垢のユーザーが多いようです。
LEDライト付き耳かき(乾性・湿性)
子供の耳の中がとにかく暗くて見えない!そんなママさんにおすすめしたい耳かきです。我が家はこれで目立つ耳垢を出してから黒綿棒で粉状の耳垢も軽くとる方法です。一か月に一度くらいの頻度で息子の耳掃除をしています。

他にも昔からある先端スプーン型になっている竹製の耳かきなど紹介しきれないほど種類があります。お気に入りが見つかるといいですね。

なお、耳かきをすると咳をする人が結構います。これは脳と内臓をつなぐ迷走神経が耳にも分枝しているため、耳かきによって刺激を受けて咳を出してしまうようです。

反射的なことなので、赤ちゃんに耳掃除をするときは咳こむこともあるかもしれないということを頭にいれておくとよいでしょう。

耳鼻科でしっかり耳掃除が大事!

自宅で簡単にケアしていても、ある日何気なく子供の耳の中を覗いてみたら、塊みたいなものが見えてビックリ!なんてこと、よくあるようです。

耳垢のタイプは遺伝が強いとされていますが、親が耳垢のたまらないタイプでも子供は比較的たまりやすい、という場合もあります。

耳の形状や耳垢の性質による個人差が非常に大きいので、自分が大丈夫だからと子供の耳を放置しないように気をつけてあげなくてはなりません。

細かな耳垢が鼓膜の奥の方まで入り込んで固まってしまっているような場合、家庭で取り出すのは危ないですし、簡単には取れません。

耳鼻科なら専用の器具もあり、医師も処置に慣れています。「耳掃除だけでは…」という人もいますが、耳掃除も医療行為と認められているので遠慮は無用です。

耳垢の性質によっては半年に一度くらい通院し、すっきりさせてあげましょう。ちなみに小児科は専用の器具がないため基本的に耳掃除は無理です。耳鼻科に行ってくださいね。

子供にこんな症状が見られた時も耳鼻科に相談

爪などと違って普段から直接目にすることが少ない耳は、うっかりすると随分長い間放りっぱなしにしてしまうことがあります。

保育園・幼稚園の耳鼻科検診で「耳垢がたまっています」と報告されて、そうだった、見てなかったと驚くママがいることも。

耳垢が溜まり過ぎて外耳道をふさいでしまうと、耳垢栓塞(じこうせんそく)という耳が聞こえにくい状態になってしまいます。

耳垢栓塞とは
耳垢が大量に溜まってしまって固まりとなり、耳の穴を狭くしたり詰まらせる病気です。耳垢栓塞の症状は、耳の閉塞感、難聴、耳鳴り、自声強聴(自分の声が大きく響く)――といった耳の症状のほか、まれに喉(のど)の違和感、胃の不快感・吐き気――などを感じる方もいらっしゃいます。

以下のような症状が普段のお子さんにみられたら、耳垢の状態をチェックしたり、耳鼻科に行って相談してみましょう。

何度も会話を聞き返してくる
普通のボリュームで話しているのに、何度も言葉を聞き返したり、反応が薄かったりする場合、耳垢のせいで聞こえていないことが有り得ます。子供の言葉がとても遅いと心配していたら、耳垢栓塞で耳がよく聞こえていなかったという可能性も。
おしゃべりは上手にしているが滑舌がよくない
会話はしているけれど、滑舌がよくない、聞き取りにくい発声をしている場合も要注意です。そういう声なのだ、と思っていたら、耳がよく聞こえていなかったために発音に影響を及ぼしていることがあります。
耳によく手をやる
子供は何か違和感があってもそれを上手く表現できないことがよくあります。もし耳のあたりをよくさわったり、気にしている様子があったらチェックしてあげてください。

赤ちゃんや子供によくある耳の病気

赤ちゃん時代は特に上手に症状を説明できないので、病気の発見は親の観察や注意がとても重要なカギになります。

ここではよくある耳の病気をご紹介しますが、くれぐれも素人判断には頼らず、先に書いた「耳垢閉塞」も含め、子供の症状の注意点を大人が頭に入れておきましょう。

急性中耳炎
のどや鼻から入った細菌やウィルスに感染して中耳(鼓膜の内側)が炎症を起こす。炎症が進むと黄色い液状の耳だれが出る。風邪の後に発症するケースが多く、急な発熱や痛みを伴う。赤ちゃんの場合、夜泣きやミルクの飲みが悪くなる等の症状がでる。
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎
中耳が炎症を起こし、分泌液が耳に溜まるため、耳が聞こえにくくなる。急性と違い、耳だれや発熱は伴わないため発見が遅れやすい。副鼻腔炎などで耳管の詰まっているときにも起きやすい。物音に対する反応が鈍い様子が見られたら要注意。
外耳炎(=外耳道炎とも言う)
主に耳かきでできた傷が細菌に感染して外耳道が炎症を起こす。黄・白色の耳だれが出る。発熱は伴わないが耳を触ると炎症で熱く、かゆみを伴う。赤ちゃんなら耳を触ったり寝返りしただけで泣く、耳をしきりに触る、耳の穴がにおう等の症状が見られます。
脂漏性皮膚炎(=脂漏性湿疹とも言う)
生後すぐ~3か月位までは皮脂腺が未成熟なことやホルモンバランスの関係から皮脂が過剰に分泌され、耳の周りや中にまで黄色いかさぶたのようになって貼りつく。脂漏汚れを清潔に保てば自然治癒しますが長引く場合は小児科か皮膚科へ行きましょう。
耳掃除のしすぎは表皮の薄い外耳道を傷つけやすく、傷口から湿疹のできる外耳道湿疹が出来たりと何かとトラブルの原因になりがちなので頻度は加減しましょう。

耳の病気は耳管でつながっている鼻と連動していることも非常に多く、外耳道が大人より短い幼少期には特に鼻水が耳に落ちることでのトラブルが起こりやすくなっています。

そのため花粉症などで鼻水が止まらないようなときも要注意です。予防の意味でもアレルギー検査をして鼻の治療を進めるなど対処は早めにするようにしましょう。

処置は簡単、短時間!乳幼児医療制度対象

  • 手術用顕微鏡でのぞいてピンセットとサッと耳垢を取り出す
  • 耳垢が固まってすぐ取れない時は耳垢を溶かす薬を処方され数日後に再受診
  • 掃除機のような器具で耳垢を吸引して取り出す

基本的な処置方法はこれらのうちのいずれかをおこない、順調にいけば2~3分で終わってしまいます。モニターで耳の中を映し出しながら処置する耳鼻科もあります。

ただ、最初のうちは子供なら怖がるかもしれません。

動かないよう周りの大人が子供を固定させて処置するため、耳垢除去の処置の痛みで泣くのではなく、押さえつけられた雰囲気で泣いてしまうことがあるようです。

うちの息子の場合は、たまたま先に同じように耳掃除をしている子供がいて、あっさり終わっているのを目の当たりにしてから処置してもらったので泣きませんでした。

耳掃除をしてもらう場合は、事前にそんなに痛くないことをしっかり説明してあげるか、やっている人を先に見せてあげた方がいいかと思います。

治療費については乳幼児医療制度の対象なので、基本的に無料もしくは軽い費用負担で診てもらえるはずです。

健康保険が適用できるので、大人もやってもらってもいいかもしれませんね。

少しの注意不足が大きな不具合につながることも

子供は自分に不具合があっても、それをなかなか上手に大人に伝えることができないので、気が付いたときは重症化しているパターンになってしまいます。

3歳児検診で初めて弱視がわかった、中耳炎になっていたことがわかった、副鼻腔炎だったことがわかった等々。よく聞こえてくる話です。

決して注意を怠っていたつもりはなくても、こんな状態でお子さんはさぞ不快だったはずですよと医師に言われたらツライですよね。

医療費負担は軽くても下に小さい子供がいたりすると余計に病院の敷居は高くなってしまいますが、小さな症状でも続いていれば診察してもらい、先生の指示をもらいましょう。

何でもすぐに病院、という必要はありませんが、やはり子供の普段の様子は出来るだけよく観察して、不快要因は早めに解消することが大切です。

耳掃除はきっと子供にとっても気持ちいいものですが、やり過ぎにはくれぐれもご注意ください。
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