妊婦の風邪…受診目安と妊娠中に風邪をひかないための対策

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2018/03/06

妊娠中は特に体調管理に気を付けて過ごしている方が多いと思いますが、寒暖差が激しい季節や流行などによって風邪をひいてしまうこともあります。

妊娠中に風邪をひいた時、身重の身体でも病院に行くべきか、そもそも何科を受診すべきか悩んでしまい、結局自然治癒に任せて重症化してしまったという方もいるようです。

また、自己判断での漢方薬や咳止めなどの市販薬の服用は危険です。必ず医師や薬剤師の判断を受けた上で、最小限の薬を最大限の効果がある状態で服用したいものです。

それでは、妊娠中に風邪をひいた場合に病院へ行く目安はどのような症状なのでしょうか。また、どこの診療科を受診するのが望ましく、病院へ行く時の注意点などはあるのでしょうか。

具体的に詳しく見ていきましょう。

風邪の受診目安は「生活への支障の有無」がポイント

妊娠中に関わらず、風邪をひくと様々な症状が現れます。その代表的なものが、熱、のどの痛みや咳、鼻水や鼻づまり、頭痛や倦怠感といった全身症状です。

これは体内に侵入した風邪のウイルスを体が外へと排出しようとして出てくる症状なので、むやみやたらに薬で抑止するのも良くないと考えられています。

初期症状が出た時点で、体をよく休めるように注意したり睡眠時間を長めにとるなど対処することで症状が緩和することもありますし、一方で高熱が出てしまって立てなくなったり喉の痛みで食事が摂れなかったり、日常生活に支障をきたすレベルの症状が続くこともあります。

実は、妊娠中の風邪の受診目安はこの「日常生活に支障をきたすかどうか」がひとつの重要なポイントとなってくるそうです。

日常生活に支障をきたし病院へ行く症状とは、どのようなものなのでしょうか。

  • 呼吸器官の異常
  • 下痢
  • 全身症状
  • まとめ

ひとつずつを詳しく見ていきましょう。

発熱は長く続くか38度を超えたら産婦人科に連絡して受診!

妊娠中の風邪で最も注意してほしい症状のひとつが発熱です。

風邪の発熱は体の免疫がウイルスと闘っていることで生じますが、妊娠中の場合は子宮の収縮や赤ちゃんの羊水の温度ともかかわってくるため注意が必要なのです。

もし37度前後のいわゆる「微熱」の状態で体がだるく感じられる程度であれば赤ちゃんへの影響もまず考えられないので、自宅でゆっくり休むことで回復を図って構いません。

ただし、1週間近く微熱が続くような場合は風邪以外の感染症も疑われますので、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

38度以上の熱になると、体がだるくなるだけでなく食欲の低下や体力消耗など、付随する様々な症状が出てきます。

妊娠初期などのつわりが酷い時期に38度台の発熱をし、食欲がさらに低下してしまうと、栄養失調や脱水症状の恐れが出てきますので、水分補給には気を配るようにしましょう。

また、妊娠後期に高熱を出して体力を消耗してしまうと、まれではありますが子宮収縮や切迫早産を引き起こしてしまう可能性が出てきます。

38度以上の熱で体が辛いと感じたら、産婦人科へ連絡をして症状を説明し、判断を仰ぐと安心です。

それ以上の高熱になると、羊水の温度が上昇することで赤ちゃんにも影響が出てしまう危険性が出てきます。羊水の温度が上がると、胎児の熱が外に放出しずらくなり、赤ちゃん自体が熱中症のような状態になってしまうのです。

38度を大きく超えるような発熱の場合は直ちに産婦人科に連絡をした上で診察を受けるようにしましょう。40度を超える場合は救急外来に行っても構いません。

咳やくしゃみの腹圧に注意!苦しいと感じたら受診を

熱が出ていなくても、咳やくしゃみがずっと続くと体力を消耗します。また、喉の痛みによって食事が思うように摂れなかったり、鼻が詰まって眠りずらくなると不快に感じます。

鼻や喉といった呼吸器官の症状も、風邪のウイルスを体外に排出しようとしている体の防衛反応がほとんどなので、病院で受けられる治療も対処療法のみとなっています。

ただし、妊娠中の場合は特に咳とくしゃみの症状に注意が必要です。

咳とくしゃみが強かったり長く続く場合、その症状が出る度に腹筋に力が入ります。
普通の状態であれば収まるまで様子を見ることで問題ありませんが、妊娠中の過度な腹圧は、お腹の張りや子宮収縮を招くこともあります。

もし、咳やくしゃみによってお腹に力が入っていると自覚でき、さらにお腹が張りやすくなっていると感じる場合は病院を受診する目安です。

特に切迫流産や切迫早産のリスクが高いと検診時に言われている妊婦さんの場合は早めにかかりつけの産婦人科を受診するように心がけましょう。

また、咳やくしゃみが酷くなくても、喉の痛みで水分や食事が摂れない、鼻が詰まって睡眠がとれないといったように具体的に生活に支障をきたしている場合も受診して良いタイミングです。

病院では妊娠中のママでも服用することが出来る咳止めや吸入などを行って治療を行います。

風邪自体の症状は大したことがなくても、それに応じて引き起こされる体の異変が妊婦さんにとって重要な場合もありますので、注意して経過を見ていきましょう。

下痢は脱水と張りに注意!水状の便が何度も続くならば受診

妊娠中は自律神経の乱れが起こることが多く、それによって特に胃腸炎や風邪などをひいていなくても下痢が起こることが良くあります。

便秘の後に下痢が起こり、その後は普通(もしくは便秘に戻る)の状態であったり、柔らかめの便が出る程度であれば心配ありません。

しかし、1日に何度も水状の便が出てしまったり、同時に嘔吐したり、激しい腹痛が生じる場合は注意が必要です。妊娠中は免疫力が低下しているので普段よりも胃腸炎や食中毒にかかりやすくなっています。

また、普通の風邪でも免疫力の低下によって風邪のウイルス症状がお腹にも影響を及ぼしていることも考えられます。

さらに、腸の動きすぎはお腹の張りにつながり、子宮口が開きやすい状態を誘発すると考えられています。
早産傾向のある人は早急に産婦人科を受診しましょう。

身体の痛みや長引く症状は風邪以外の可能性!様子を見て問い合わせを

風邪のような症状でも長引いたり他の症状が出てきた場合には、実は風邪ではない他の感染症だったということも考えられます。

特に妊娠中になることが多いと言われる腎炎、尿路感染症や、冬場に注意が必要なインフルエンザは、風邪と似たような症状が発端となっていることも多々あります。

腎炎は背中や腹部の痛み、尿路感染症は排尿痛などが風邪と似た症状の他に現れます。インフルエンザの場合は全身の筋肉痛のような痛みや節々の痛みを伴うことが多いです。

妊娠中は免疫力が低下するために、普段だったら感染しないような細菌やウイルスに罹患する可能性も十分にあることを念頭に置き、もし普段と異なる身体の症状が1週間たっても改善されない場合は病院に問い合わせるようにしましょう。

受診の目安一覧!頭の片隅に置いていこう

ここまでの受診の目安を分かりやすく表にまとめました。風邪で病院へ行こうか迷った時の参考として活用してください。

症状 受診目安
発熱 38度以上の発熱、1週間以上の発熱
咳、くしゃみ 腹圧がかかることの自覚、お腹が張りやすい
※切迫気味の場合は早急の受診
喉の痛み、鼻づまり 食事が摂れない、呼吸困難など生活に支障をきたす場合
頭痛、体の痛み 長引く、風邪以外の症状が付随する時
下痢 水状便が1日複数回、吐き気を伴う、腹痛がある

病院はまず産婦人科に問い合わせ!病院へ行く時の注意点

では、風邪の受診の目安に当てはまり、実際に病院へ行く時はどの診療科を受診すればよいのでしょうか。

妊婦さんが病院にかかる際の鉄則は、「まずはかかりつけの産婦人科に問い合わせる」ということです。もし産婦人科で診てもらえる場合はその案内がありますし、無理な場合は内科や耳鼻科など、症状に合わせて他の病院の紹介をしてもらうことも可能です。

鼻水や咳ならば耳鼻科でも…と思う方がいるかもしれませんが、妊娠中である旨を伝えたら産婦人科へ行くようにと帰されてしまったという経験をされた方もいます。

総合病院や複数の科がある病院の産婦人科であれば、他の科の医師をその場で紹介してもらい、受診の際の手続きが減ることもあります。

また、実際に病院へ行く時に注意するべき事柄を事前に頭に入れておくと安心です。

  • 事前連絡
  • マスク着用
  • 薬剤師さんへの伝達

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

事前に連絡してから受診!他の患者さんへの配慮も大切

体調不良で産婦人科にかかる場合、必ず事前に病院へ連絡を入れてから行くようにしましょう。

産婦人科には検診などで来ている他の妊婦さんもいるため、風邪での受診の場合は別室で待機をお願いされたり、別の入り口から病院へ行くように案内がなされる場合もあります。
他の妊婦さんを守るための感染予防の措置ですので、病院からの指示には必ず従うようにしましょう。

また、電話先で事前に症状などを問診されることも多くあるので、電話をする際は手元に症状などをまとめておいたメモなどを準備しておくと伝達しやすいと思います。

電話の際に準備しておくと便利なものは、以下の通りです。

  • 症状の経過を記録した物
  • 診察券(番号を聞かれることがあるため)
  • 体温計(その場で計るよう指示されることもあるため)
  • メモ(指示を記録するため)

新たなウイルスに出会うことも…マスクの着用必須

実際に病院へ行く際には、咳やくしゃみの症状がなかったとしても必ずマスクを着用するようにしましょう。行く途中や病院で新しいウイルスに出会い、感染することも考えられるからです。

また、マスクをすることで他の人に移すリスクを減らすこともできます。周囲の人の事も考えての身だしなみに注意をしたいものです。

また、病院へ行く時に出来れば付き添いの人がいると安心です。行く途中で体調不良になった場合に大きな助けとなります。

電車などの公共交通機関を利用するのではなく自家用車で行く場合もなるべく自分では運転せず、他の人に運転をしてもらうかタクシーを利用した方が良いでしょう。

お医者さんだけでなく薬剤師さんにも妊娠中である旨を必ず伝えよう

産婦人科の先生や産婦人科から紹介を受けた内科の先生であれば、妊娠中である旨は伝わってると考えてよいですが、一応実際の診察の際にも妊娠中であることを伝えるようにしましょう。

また、産婦人科以外の受診になっても母子手帳の提示を求められることがありますので、母子手帳は必ず持参するようにしましょう。

最近は院外処方のことも多いですが、妊娠中でも薬が処方されることが考えられるので、お薬手帳を持っている場合は忘れずに持っていくようにしましょう。

妊娠中は薬の服用制限がありますが、妊娠中であることを伝えた上での処方の場合は基本的に妊娠中でも問題がない薬であると考えられます。

もしどうしても心配な場合は、病院で診察をしてくれるお医者さんだけでなく、薬を実際に手渡してくれる薬剤師さんにも妊娠中であることをきちんと伝えましょう。

薬を実際に処方する薬剤師さんは薬のスペシャリストです。
服用する患者が不安な点は親身になって説明をしてくれますので、遠慮なく疑問に思うことを聞くようにしましょう。

病院へ行く際の持ち物は以下の通りです。

  • 診察券(初診でない場合)
  • 保険証
  • 母子健康手帳
  • 妊産婦医療費受給証(自治体で制度がある場合)
  • 紹介状(産婦人科から紹介を受けている場合)
  • お薬手帳

妊娠中はどう風邪を予防する?妊婦さんに優しく確実な方法

うがい薬も今まで使っていた市販のものを使ってよいのか。喉に少し痛みを感じたら、トローチや喉のスプレーを使ってよいのか。ひとつひとつ心配になります。

そこで、冬に妊娠中の場合、どのようにこの時期を乗り切ればよいのか。どのように風邪を予防したらよいのかについて見ていきましょう。

迷った時は外出しない

妊娠中は体調が不安定になる時。風邪やインフルエンザのウィルスを避けるためには「人ごみを避ける」のが一番です。

もしも迷ったら、“外出しない”ことを選びましょう。どうしてもという場合は、天気予報を見ながら計画的に外出して!

旦那さんが休みの日にできる用事は、その日に変更して車で送迎してもらったり代わりに行ってもらったりしましょう。

身体を動かすことも大切ですが、赤ちゃんによいからと散歩するために外出して、風邪をひいてしまっては元も子もありません。

「寒い思いをしない」「人ごみを避ける」「迷ったら外出しない」これが最も有効的で一番の風邪予防策です。

外出時は“一枚多めに”

1枚多めに着るか、羽織るものやひざ掛けを必ず持っていくようにしましょう。

暑い夏は、薄着をしがちになりますが、妊娠中は肩を出したり素足でサンダルを履いたりするのはできるだけ避けましょう。

肩や足元を冷やすと身体全体が冷えてしまい、お腹の赤ちゃんも辛い状態になってしまうかもしれません。

ファッションより暖かさを。ファッショナブルな服装は出産を終えてから楽しみましょう!

お茶でうがいをする

市販のうがい薬に絶対安心と思えないのであれば、ウーロン茶や緑茶、紅茶などでうがいすることをお勧めします。

特にウーロン茶や緑茶には殺菌作用があって、うがいに良いと聞きました。

妊娠中なので緑茶やウーロン茶が身近にない場合は、水、もしくは水に塩を少し入れてうがいも効果があるよう。

外出するときは必ずマスク

外からのウイルスを抑制するたけでなく、マスクは室内と室外の温度差でおこる鼻や喉の炎症を抑えるのにも有効!

妊娠中に外出する際にはマスクを着けるのを習慣にしましょう。感染の確率も下がり鼻や喉を労って自ら風邪を発症することを防げます。

また寝る時も着けて寝てみてください。朝起きたら喉が痛かったということも激減しますよ!

温めすぎも注意する

冷やしてはいけない!温めなくては!と思いすぎて、ホッカイロを身体に何枚もお腹に貼ったり、着ぶくれするくらいお腹まわりに着こむのはお腹の赤ちゃんに決してよいことではありません。

お腹の赤ちゃんも暑すぎますし、着すぎることはお腹を締めつけてしまって血行が悪くなってしまいます。

また、気づかないうちに汗をかいている可能性も。

「クビ」のつく部分を温める

毎日お風呂に入った時に、首のうしろ、手首、足首をシャワーで温めるようにします。

「クビ」のつく部分を温めると不思議と身体全体が温かくなり、風邪をひきにくくなります。

特に冬の時期は、昼間でも首、手首、足首を冷やさないようにマフラーや手袋、靴下をしっかり身に着けて、温かみがあるか確認しましょう。

少し冷たさを感じる時は、そこの部分を多めに包むか、軽くマッサージをして血行をよくするのもいいでしょう。

妊娠中は風邪をひきやすい!いざという時も慌てず対処を

先にも述べましたが、妊娠中は免疫力が落ちる上に体の機能が敏感になっており、体力も落ちやすくなっているため、風邪にかかりやすくなっています。

風邪の予防方法の基本は、妊娠していない時と変わらず手洗いとうがいです。
妊娠中も頻繁に実践し、出来るだけ風邪に備えて過ごしましょう。

そしてもし風邪に罹患してしまった場合も、安易に自己判断せず冷静に経過を観察して病院へ行くタイミングをきちんと見極められるようになっていると安心です。

必要以上に神経質になって家に閉じこもってしまうとマタニティライフを楽しめませんので、出来る限りの予防をした上で生活を楽しみ、風邪になった際にも慌てずに対処できると良いですね。

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