妊婦のプール利用はホントに安全?プールの選び方と注意点
近年ではマタニティスイミングが当たり前の存在になり、妊婦さんも積極的にプールを利用する機会が多くなりました。
妊娠中でもプールに入る事はできますが、体調管理や衛生面で気を付ける事も多くあります。
今回は、妊婦さんがプールを楽しむ時の注意点と安心なプール利用についてご紹介します。
この記事の目次
妊婦さんが利用できるプール施設の種類
妊婦さんはどんなプール施設でも利用できるでしょうか。また安全なプール施設はあるのでしょうか。プールに行く時に知っておきたい各プール施設ついてご紹介します。
ジムのプールは妊婦OKの施設のみ
殆どのマタニティスイミングはジムのプールで行えますが、どこのジムでもできるわけではありません。
マタニティスイミングのプログラムがあるジムではもちろん利用可能です。それ以外のジムは妊婦さんの利用をお断りしているところもあるため事前に確認が必要です。
マタニティスイミングを行っているプールは、助産師が常駐しており万が一のトラブルにも対応できるようになっています。
健康と軽い運動のためにプールを利用したい場合は、妊娠5ヶ月目以降にマタニティスイミングのプログラムを利用する事をおすすめします。
レジャープールも利用OK…だけど注意点も!
誰もが気軽に利用できるプール施設は、市民プール・市営プールの他、レジャープールもあります。
施設によってはジムのプール同様に、妊婦さんの利用が禁止されている場合がありますので念のため事前に確認をしておきましょう。
市営及びレジャープールは、子供から高齢者まで利用者層が幅広く混雑する事もありますよね。
すると、衝突事故や転倒などの危険性が高まり、妊婦さんにとって不便に感じる部分も多くなります。また、不特定多数の方が利用する事で衛生面も気になります。
レジャープールを利用する時は次のポイントをチェックしましょう。
- 混雑予想をチェック(混みにくい日をなるべく選ぶ)
- 施設の衛生状態をチェック(特にシャワー室の清潔感が重要)
- 床やプールサイドは滑りにくく工夫されているか
- 過去に事故例がない施設か
- 妊婦さんの利用は可能か
- 休憩できる日陰や室内スペースはあるか
感染症の恐れが!清潔なプール施設を選ぼう
妊娠中は免疫力が低下するため、普段よりも感染症リスクが高まります。プールでの感染症はどのような種類があるのか、またどんな事に注意すべきかをご紹介します。
プールで感染症になりやすい理由
プール施設はその特性から感染経路が成立しやすい状況にあります。
- 肌の露出が多いため感染源と接触しやすい
- 水に浸かる事で便中の病原体が増殖しやすい
- 水によって粘膜へ接触しやすい(鼻・口など)
- 不特定多数が共有する施設のため感染源が多い
- 体力消耗や体温差が影響し免疫力が下がりやすい
- 感染していても気づかずに利用している人もいる
- 暖かい水が停滞することで病原体が増殖しやすい
病原体は水が停滞すると増殖しやすい傾向にあります。そのため、利用者が多く水分が停滞しやすい脱衣所やシャワー施設は特に注意が必要です。
プールでの感染症リスクと種類
伝染病や皮膚病を患っている人はプールの利用を原則禁止にしていますが、感染者が全くいないという状況にはできません。
消毒していても感染経路を完全に遮断できない場合も多々あります。
【プール施設で感染しやすい病気一覧】
病名 | 病原体 | 感染経路 | 症状 |
---|---|---|---|
プール熱(咽頭結膜熱) | アデノウイルス | 接触感染、飛沫感染 | 発熱・結膜炎・のどの痛み・目のかゆみなど |
流行性結膜炎 | 黄色ブドウ球菌・アデノウイルスなど | 接触感染、飛沫感染 | 目やに・目の充血など |
手足口病 | コクサッキーウイルスなど | 接触感染、飛沫感染、糞口感染 | 発熱・手足の湿疹・口の痛みなど |
ヘルパンギーナ | コクサッキーウイルス | 接触感染、飛沫感染、糞口感染 | 発熱・喉の痛み・口腔に湿疹など |
水いぼ(伝染性軟属腫) | ポックスウイルス | 接触感染 | 湿疹、水いぼ |
とびひ(伝染性膿痂疹) | 黄色ブドウ球菌 | 接触感染 | 水疱 |
レジオネラ症 | レジオネラ菌。不衛生な水環境で感染 | 空気感染、飛沫感染、接触感染 | 高熱・筋肉痛・肺炎・下痢・意識障害など |
腸管出血性大腸菌感染症 | 大腸菌 | 糞口感染 | 風邪のような症状の後、腹痛や下痢・血便など |
毛ジラミ | アタマジラミ | 接触感染 | 感染箇所の皮膚のかゆみ・赤み |
プール水による膣内感染のリスクについて
通常、女性の膣内は常在菌である乳酸菌が酸性の状態を保ち、大腸菌など他の常在菌の繁殖を抑える事でバランスを取っています。
しかし、体力や免疫力が低下すると膣内の乳酸菌の働きも弱くなり、有害な菌が繁殖してしまう恐れがあります。
膣内で炎症を起こし細菌性膣炎になると胎盤や羊水に影響するため、早産のきっかけになる「前期破水」を引き起こす可能性もあります。
また、プール水の塩素成分が原因で細菌性膣炎や膀胱炎にかかりやすいと報告している医師も存在します。
体が冷えることで菌に感染しやすくなる事に加え、プール水に含まれる塩素が膣内に菌が入りやすい環境にしていると言っているドイツの産婦人科医がいるそうです。
妊婦さんプール利用のリスクと注意点
次に妊婦さんがプールを利用する時に考えられるリスク、またプールに入る時はぜひ気を付けてもらいたい事をまとめました。
妊娠初期と後期は避ける
妊娠初期は安静が第一です。ただでさえ流産の可能性を否定できません。妊娠5ヶ月以前のプール使用は避けましょう。
妊娠後期になると、お腹が重くバランスを崩して転倒しやすくなります。また、冷えや疲労によって子宮収縮が頻繁に起きて早産しやすくもなります。
熱中症に注意する
妊婦は女性ホルモンのバランスが変化している影響で、自律神経が乱れがちになっています。そのため体温調整機能が上手く働かずに体に熱をこもらせてしまう事もあります。
また、妊婦さんは平熱が高く新陳代謝も活発なので、体温が上昇しやすい体内環境でもあります。
熱中症になると、痙攣・めまい・頭痛・吐き気・意識障害などを伴います。
さらに、暑さで血管が広がると血圧が低下し、脳に送られる血液や酸素量が減る事で「熱失神」を引き起こします。
失神により転倒することでお腹にダメージを与える可能性があります。
妊婦さんの血液の循環が悪くなれば、胎児へ十分な酸素や栄養素を送り込めなくなり、悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
妊婦さんが熱中症で倒れて意識がもうろうとしている場合は、救急車を呼んで処置をしてください。
▼妊婦の熱中症対策についてはコチラも参考にしてみて!
妊婦さんは脱水症状になりやすい
妊娠中は新陳代謝が活発になっており、汗をかきやすい状態です。その上、暑さのせいで水分が抜けると脱水症状を引き起こしやすくなります。
また、妊婦さんは通常よりも血液量が多く必要になるため、水分をたくさん溜め込む必要があります。
水分量が足りないと血液が不足し、赤ちゃんに十分な血液を届けられなくなります。
日焼けによる肌刺激に注意する
妊娠中はホルモンバランスの変化が影響して、肌のバリア機能が低下しています。日焼けで肌にダメージを与えると、肌荒れ・乾燥などの皮膚トラブルが発生しやすくなります。
さらに、妊婦さんは黄体ホルモンという物質が増加する影響で、日焼けしやすくなっています。
日焼け止めクリームは敏感肌用のものを使用し、念入りにケアする事をおすすめします。
▼妊婦の日焼け・紫外線対策についてはコチラも参考にしてみて!
冷えに注意する
プールに入って濡れたままの水着姿でいると、体が冷えてしまう事があります。
塗れた水着がお腹にピッタリとついていると、少しずつ腹部や腰回りが冷えて体温が低下し血行が悪くなります。
お腹が冷えると子宮収縮の原因にもなるため、寒さを感じたらすぐに着替えて温かい恰好を保ちましょう。
冷えるとこむら返りやすい
妊婦さんは普段からこむら返ししやすいですが、プールでの冷えや血行不良がこむら返りを発生しやすい状態にします。
また運動不足の妊婦さんがプールで筋肉を動かし過ぎると、筋肉が緊張し張りやすくなります。
プールの中で足がつってしまうと、溺れる原因になってしまい命の危険も伴います。
▼妊婦が足がつる原因についてはコチラも参考にしてみて!
滑りやすく転倒の危険性がある
プールは滑りやすくなっています。特にプールサイドや斜面になっている箇所は転倒しやすくなっています。脱衣所やシャワー室のヌメリにも気を付けましょう。
ビーチサンダルは、底が滑りにくいものを選びましょう。それでもサンダルが脱げて転倒する事もあるので、足にあった脱げにくいサンダル又はマリンシューズもおすすめです。
人混みでの衝突に注意する
施設では、はしゃいでいる人や滑って転んだ人と衝突する可能性があります。プール内では飛び込みによる衝突事故や押されて転倒してしまう危険性も十分にあります。
特に混み合っているプール施設では、周りに危険はないか注意する必要があります。
妊婦さんはマタニティ水着がおすすめ
アメリカなど海外では妊婦さんの禁止行動は少ないようで、大きなお腹を抱えたビキニ姿のママもよく見かけるように思います。
しかし日本では、妊婦さんのビキニ姿はあまり馴染みがなく周りの目も気になるところ。妊婦さんであれば、マタニティ水着がおすすめです。
マタニティ水着はお腹回りを締め付けない構造になっていて、楽に動けます。体を冷やさないように、お腹が隠れるタイプがほとんどです。
マタニティ水着は主に3種類
- セパレートタイプ
-
ビキニのように上下わかれている構造ですが、お腹はしっかりと隠れます。トイレや着替え時には便利です。
- ワンピースタイプ
-
オールインワンで上下繋がっているタイプでお腹の締め付けが気になりません。普段着のような可愛らしさもあります。体をスッキリ見せてくれます。
- ショートパンツタイプ
-
オールインワンで上下繋がっているパンツタイプの水着です。動きやすくスポーティな印象です。
プールに入る予定がない妊婦さんでも、ワンピースタイプのオシャレなマタニティ水着であれば着るだけでも楽しめそうです。
水に濡れても安心なので、一着用意しておくと便利です。
妊婦さんプールお出かけ時の持ち物リスト
妊婦さんがプールに出かける際に持っていると便利な物を確認しておきましょう。プールに行く時は参考にしてみてください。
【プールに行く時の必需品リスト】
持ち物 | ポイント |
---|---|
飲み物 | 飲み物は水やスポーツ飲料などが水分補給しやすいです。凍らせておくと保冷剤としても使えます。 |
母子手帳や保険証 | 万が一の緊急時にすぐ対応できるように持っておくと安心です。 |
パーカーなど防寒着 | プールに入って寒さを感じた時や気温が下がった時の冷え対策として必ず必要です。 |
日焼け止めクリーム | 水や汗で落ちてしまう事もあるのでこまめに塗り直すと安心です。 |
マタニティ水着 | 妊婦さん専用の水着がおすすめ。お腹を締め付けないようになっています |
タオル・バスタオル | 自宅の清潔なタオルを必ず持ち歩きましょう。余分に持っていくと安心です。 |
滑りづらいサンダルや靴 | 転倒の危険を減らします。滑りづらく歩きやすいものを使用しましょう。 |
帽子 | 頭は熱を受けやすい箇所。熱中症&日焼け対策としてつばが大きめのものがいいですね。 |
着替え | 万が一服が濡れてしまった時は冷えないようにすぐに着替えましょう。冷えた時には靴下もあると安心です。 |
瞬間冷却剤(熱中症対策) | 溶ける心配のない瞬間冷却剤は熱中症対策として。ポンっと叩くと冷たくなる便利アイテムです。 |
サマースカーフ(熱中症対策) | 濡らすと冷たく感じる布でできています。熱中症対策として首に巻いて使います。 |
冷却シート(熱中症対策) | 溶ける心配のない熱中症対策。冷えピタ・熱さまシートと呼ばれるものです。 |
救急セット | 消毒液や絆創膏、毛抜きなど。傷口に菌が入らないように手当てしましょう。 |
体温計 | 熱中症対策としてあると便利。体調が変化したら無理せず帰宅しましょう。 |
【あると便利な物リスト】
持ち物 | ポイント |
---|---|
スキンケア用品 | 妊婦さんは肌が弱くなったいるので、プール後は保湿ケアを行いましょう。 |
ボディソープ、シャンプー | 体や髪についた塩素はしっかり落としましょう。施設になかった時に便利です。 |
虫除けスプレー | 蚊に刺されるのは避けたいところ。気候や時刻によっては虫が増える時もあります。 |
日傘 | 日傘があるだけでも涼しく感じます。首や肩の日焼け対策にも便利です。 |
サングラス | 目に紫外線が入ると日焼けしやすいのだとか。UVカットのあるサングラスがおすすめです。 |
レジャーシート | 万が一体調が悪くなった時に横になれる位のスペースがあると安心です。 |
ビニールクッション | 硬い地面に座るのはよくありません。濡れてもOKなクッション代わりになるものがあるといいでしょう。 |
折りたたみ椅子 | 混み合っている時は、ゆったり座れる折りたたみ椅子で対応できると便利です。 |
ウェットティッシュ | 除菌できるものが便利です。衛生管理には気をつけましょう。 |
ビニール袋 | 濡れた服などを入れるのに便利です。意外と必需品だったりしますよね。 |
うちわ又は携帯扇風機 | 風があると汗が蒸発して体感温度が下がります。熱中症対策に便利です。 |
テント又はパラソル | 日陰でゆったり過ごせるスペースを確保できると安心です。持ち込めるか確認が必要です。 |
保冷バッグ | 飲み物を追加で購入した際は、保冷バッグで保存できるのであると便利です。 |
プールは禁止でないが細心の注意を!
プールは妊婦さんの禁忌事項ではありませんが、念のためかかりつけの産婦人科で相談しましょう。
また、近所のプールだとしても遊びに行くときは付き添いの方と一緒に行くべきです。旦那さんがいけない時は、友人や両親にお願いし同伴してもらいましょう。
万が一のトラブルを避けるために、体調が良い時に万全の準備をして出かけると安心ですね。
▼妊娠中の海水浴についてはコチラも参考にしてみて!
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