授乳中に辛い胸の張り痛み…乳腺炎?ひどくなる前の対処で痛み解消

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2016/11/30

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赤ちゃんを産むと、母乳の分泌が始まります。最初は与えるママも飲む赤ちゃんも授乳に関しては、はじめてさんです。赤ちゃんだって、生まれてすぐに上手に母乳が飲めるわけではありません。

ですから、ママのおっぱいに大量の母乳が残ってしまい、今まで感じたことのないくらいおっぱいがカチカチになってしまう事も。夜も眠れないくらい辛い思いをするママもいると思います。

入院中であれば、医師や助産師さんに相談する事ができますが、退院後では育児にてんやわんやになりながらの発症となり、対処が遅れ悪化してしまう事もあります。

ここでは、乳腺炎の種類や、乳腺炎がひどくなる前にできる対処法。またひどくなってしまってからやってはいけない事等をご紹介します。

その痛みは乳腺炎かも。乳腺炎の種類や症状と原因

赤ちゃんが産まれて授乳をはじめると、母乳がつくられはじめます。赤ちゃんも産まれてすぐにたくさん飲めるわけではないので、おっぱいに母乳が残ってしまい夜になると眠れないくらい胸がパンパンに張って痛くなってしまう事もあります。

あまりにも痛みが辛い場合、乳腺炎になってしまっている事も考えられます。乳腺炎は、授乳になれていない初産の人に多い症状でもあります。

乳腺炎によって原因も症状も様々。どの様な乳腺炎があるのか症状を見ながら確認してみましょう。

乳腺炎は「急性乳腺炎」「慢性乳腺炎」に分かれます

乳腺炎の種類は、主に2つです。

  • 急性乳腺炎
  • 慢性乳腺炎

「急性乳腺炎」には、乳腺が詰まってできてしまう「急性うっ滞性乳腺炎」と細菌感染により発症する「急性化膿性乳腺炎」に分かれます。

「慢性乳腺炎」は、化膿性乳腺炎の細菌が生き残っていて、細菌がコロニー(集まり)を作って発症します。乳頭の形状なども原因となる事が多いのも特徴です。

それぞれ症状も原因も違うので、治療方法も異なります。

母乳が溜まると要注意。急性うっ滞性乳腺炎は、乳腺が詰まりが原因

よくある症状のひとつで、授乳に慣れていない初産の妊婦さんに多く、産後1~2週間の間に良く見られる症状です。

まだ、赤ちゃんも産まれたてで小さく、母乳をたくさん飲むことができない時期。ママも初産だと慣れない授乳でおっぱいに母乳が残ってしまっている事があります。

この乳腺炎は、外に出し切れなった母乳が乳腺に溜まり、固まって詰まる事が原因で起きてしまう炎症です。

症状と治療方法
  • 乳房が軽く赤く腫れる事があります
  • 詰まっている部分がしこりになる
  • 乳房に痛みを伴う事もある
  • 微熱程度の発熱

母乳の詰まりが原因で起こる乳腺炎であれば、食事の内容を変えたり、十分な休息と正しいマッサージや搾乳を行い、授乳を続ける事で改善する事ができます。

不安な場合や痛みが辛い場合は、出産をした産院の助産師さんに相談すると良いでしょう。

母乳外来を行っている場合、助産師さんがしこりを取るマッサージをしてくれたり、痛み解消のために搾乳をしてくれる産院もあります。

細菌が引き起こす急性化膿性乳腺炎。高熱がでたら気をつけて

産後2週間頃から発症する事が多く、退院した後に見られることの多い乳腺炎です。毎日の授乳により、乳頭が荒れて切れてしまったり、赤ちゃんがおっぱいを吸う時に乳頭や乳輪のまわりを傷つけてしまう事があります。

傷ついた部分からブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌が入ってしまう事で炎症を起こしてしまう乳腺炎で、悪化すると膿がたまってしまう事もります。

乳頭が炎症を起こしたり亀裂ができた場合は、乳頭を清拭するなど特に衛生には気をつけましょう。

症状と治療方法
  • 乳房が赤く固く腫れあがります
  • 乳腺にしこりができます
  • 激しい痛みを伴い、膿瘍の様なものができる
  • 高熱を伴い、わきの下のリンパが腫れる事もあります。
この乳腺炎は、細菌が侵入する事で発症する乳腺炎です。ほとんどの場合が、左右どちらか一方のむねに症状が現れます。

原因が細菌によるものですので抗生物質や鎮痛剤など薬で治療を進めてゆきます。薬で改善されない場合は、切開をして膿をとりだす事もります。

細菌が侵入する事で発症する乳腺炎です。ほとんどの場合が、左右どちらか一方のむねに症状が現れます。

繰り返し発症する慢性乳腺炎。根本的な治療には手術も

化膿性乳腺炎にかかってしまった後、抗生剤などで一時的に改善したものの、乳腺の中に細菌がまだ生きており、細菌がコロニー(集まり)を作ってしまうことがあります。そのため、治ったはずの乳腺炎を繰り返し発症してしまう状態です。

多くが、乳管の形成不全や陥没乳頭の合併が良く見られ、瘻孔(ろうこう)と言われるトンネルのようなものが出来ている事が多いです。

授乳とは関係なくかかってしまう事もある乳腺炎です。

症状と治療方法
  • 乳輪の下あたりに、痛みの伴ういしこりができてしまう
  • しこりがおおきくなり、赤く腫れる
  • 膿瘍の様なものができては破れるのを繰り返す
  • 悪寒・発熱を伴う事も

根本的な改善をするには、手術を視野にいれて治療を進めていかなくてはならない乳腺炎です。

コロニーのできた乳腺と、瘻孔を手術で切除しなければ、根本的な解決にはなりません。
この病気と判明した場合、乳腺科での治療が行われます。

乳腺炎かな?と思ったら、出産をした産婦人科で診てもらうのが一番!

赤ちゃんがおっぱいを吸うと痛い。胸が熱をもっているようだ。など、乳腺炎かな?と思うような症状が現れた場合、「産婦人科」「乳腺科」という選択肢があるかと思います。

症状によっても、どちらを受診した方がいいのかが変わってきます。詳しく確認してみましょう。

産婦人科では、助産師さんがサポートしてくれます

一番いいのが出産をした産婦人科で診てもらうことです。

助産師さんがいる病院では、搾乳をしてくれたり痛みの根本的な乳腺のつまりの解消や母乳マッサージなど今後再発を繰り返さないための適切なアドバイスや指導・相談にものってくれます。

ただ「里帰り出産だった。」など、出産をした産婦人科へ行くことができない場合があります。

その際は、母乳外来などのある母乳育児に力を入れているような産婦人科を探し、問い合わせをしてみると良いでしょう。きっと力になってくれると思います。

乳腺科は、乳がんを扱う専門医。授乳については、自分の医師を伝えましょう

乳腺の詰まりと考えると、「乳腺科」も頭をよぎります。乳腺科というのは、特に乳がんを専門的に扱う科です。

もちろん「乳腺炎」もみてくれますが、助産師さんがいないため薬物治療が中心になる可能性があります。

乳腺の詰まりである場合、母乳を赤ちゃんに飲んでもらうことで解消するので、薬を服用する事で母乳が与えられなくなる可能性があります。

ですから、「母乳を続けたい」という「意思を担当医に直接伝え、今後の治療について相談をする必要があります。

ただ、慢性乳腺炎のような手術を必要とする症状である場合、乳腺外科で治療になる可能性もありますので、乳腺炎でもお世話になる事はあるかと思います。

どの様な治療がおこなわれるのでしょうか?

痛みを伴う乳腺炎。どの様な治療がされるのか、不安ですよね。病院へ行くとどんな検査をされるのでしょうか?

医師が症状の度合をチェック
問診を行い、どの様な症状か?どの様な痛みを伴っているのか?医師が症状の度合を確認します。
触診で乳房の状態を直接確認する場合も

触診だけでは様子がわからない場合は、超音波検査で膿ができてないかをチェックする事もあります。

もしも膿を発見した場合

切開が必要であれば処置を行い、膿を取り除く事もあります。抗生剤投与だけで問題ないような症状であれば、薬を処方するなど症状に合わせて一番ベストな治療方法を医師が診断します。

もしかして乳腺炎?と思ったら、怖がらずまずは病院を受診するようにしましょう。

あれ?と思ったら、ひどくなる前にできる5つの事

「痛みが辛い。このままでは乳腺炎になりそう」と思っても、すぐに病院へ行けるとはかぎりません。その間も痛みが続いたりと、ママは辛い時間を過ごさなくてはなりません。医師に診てもらう前に少しでも痛みが解消できる対処法を紹介します。

ひどくなる前にできる5つ方法

  • 保冷剤を使って冷やし、痛みを緩和させましょう
  • 赤ちゃんが飲みやすい形に。乳頭のマッサージで飲みやすくマッサージ
  • 乳でしこりの解消。大変な時は搾乳機もお勧め
  • 母乳がサラサラになる食事を。食生活の改善
  • しこり解消には、赤ちゃんのミルクの飲ませ方に工夫を

保冷剤を使って冷やし、痛みを緩和させましょう

おっぱいが熱を持ってしまって辛い場合は、冷やす事で母乳の分泌を和らげ、少しは症状を和らげる事ができます。乳頭や乳輪を避けて乳房を冷やしましょう

保冷剤やアイスノンをタオルで巻いて冷やしたり、冷却ジェルシートを使うのも効果的です。

ただ症状が重く、ただれてしまっている場合は、かえって保冷剤で冷やす事が良くない場合もあります。

症状が重い場合は、医師や助産師さんに相談しましょう。

赤ちゃんが飲みやすい形に。乳頭のマッサージで飲みやすく

赤ちゃんも産まれてすぐに上手に母乳を吸う事ができるようになるわけではありません。赤ちゃんの飲み残しによる乳腺炎の場合、赤ちゃんが上手く母乳を飲めていない可能性もあります。

特におっぱいが張っていると乳頭もむくんでしまい、赤ちゃんがくわえにくい状態になります。

  1. まず乳頭を小指と薬指でつまみ加圧を加えてゆきます。
  2. 同じように小指と薬指で3~4回にわけて少しずつずらして乳頭を加圧してゆきます。
  3. 徐々に張っていた乳頭を柔らかくし、赤ちゃんがくわえやすい形に整えてゆきます。

できるだけ飲みやすい形に柔らかくしてあげるようマッサージをしてから飲ませてみると良いでしょう。

搾乳でしこりの解消。大変な時は搾乳機もお勧め

赤ちゃんに母乳をしっかりと飲んでもらうと、しこりは自然と消えてゆきます。しかし、小さな赤ちゃんは飲む量を限られています。辛い場合は、搾乳をする事でしこりを解消させる事ができます。

搾乳は、手で行う方法もありますが、手で搾乳するのが大変な場合は、道具を使う事もできます。搾乳機は薬局などでも売られており簡単に入手する事ができます。

辛いしこりを作らないためにも、赤ちゃんに母乳をあげる前と後に搾乳をしておくと、乳腺炎の予防にもなります。

母乳がサラサラになる食事を。食生活の改善

「乳房が詰まりやすいかな」と思ったら、まずは食事内容を改善してみましょう。食事の中には、母乳を詰まらせやすくしてしまう食べ物もあります。

母乳をサラサラにするためには、食べ物で母乳の質をよくする必要があります。

母乳をサラサラにする食べ物 母乳を詰まらせやすい食べ物
そうめん お餅・赤飯
豆腐 菓子パン
味噌 らーめん
鶏肉 スパゲッティ
ハンバーガー
白身魚 牛乳
イワシ 生クリーム
ひじき バター
もずく アイス
こんぶ 青魚
わかめ ウナギ
大根 牛肉
ニンジン 豚肉
植物油 動物油

飲み物は、100%ジュースや麦茶・ハーブティーなどカフェインが含まれていない飲み物を選ぶようにしましょう。

炭酸飲料やカフェインを含む飲み物は、乳腺を詰まらせてしまう可能性がありますので注意が必要です。

またケーキやナッツ・チョコなどの脂肪分が多い食べ物も乳腺を詰まらせやすくします。

しこり解消には、母乳の飲ませ方に工夫を

あれ?しこりができたかな?」と思ったら授乳方法を見直してみましょう。

胸が固くなったり、痛くなってきたらトラブルのある方のおっぱいから飲ませるようにしまましょう。

また、左右バランスよく飲ませる事で乳腺炎予防にもなります。片方ばかり飲ませるのではなく、時間で区切って位置を変えたり場所をかえて飲み残しやしこりが無くなるように工夫しましょう。

中には、「差し乳」と呼ばれる あまりおっぱいが張らないタイプのママさんもいるかと思います。片方だけのおっぱいが張らないため、偏った授乳をしている場合もあります。

おっぱいが張らないから乳腺炎にならないわけではありません。母乳はつくられているので、古い母乳が乳腺に残っていると炎症を起こす可能性があります。

「あまりおっぱいが張らない」という方も、同じ方向ばかりから飲ませるのは控えましょう。

乳腺に飲み残しを残さない。3つの授乳スタイル

授乳をする際、赤ちゃんの体制や抱き方をかえるだけで、様々な角度から飲んでもらえるので、飲み残しを減らす事ができます。

まずは、おかあさんが背をすっきりと背を伸ばして飲ます事が基本です。お母さんの姿勢が良いと乳房が前に突き出るので、赤ちゃんは飲みやすくなります

抱き飲み

お母さんの膝の上にクッションや座布団を置きます。その上に赤ちゃんを寝かせて、背から首を救い上げて支えのませる一般的な授乳方法です。

立ち飲み

赤ちゃんをママの膝にまたがせるように座らせて、飲ませる方法です。その際、背中から首をしっかりと手で支えてあげましょう。

脇飲み(ラグビー抱き)

まるでラグビーボールを持つようにわきの下に赤ちゃんを寝かせて飲ませる方法です。お母さんの膝の横。脇の下にクッションや座布団を置きます。その上に赤ちゃんを寝かせて母乳を飲ませる方法です。

膝の上で寝かせて飲ませるのとは違いう箇所に溜まった母乳を飲んでもらえるので、しこり解消に役立ちます。

症状が重い場合。受診までの注意点!

おっぱいの炎症が痛くて辛くても、発症が夜だったり休日だったりすると、すぐに病院へ行けるとはかぎりません。

その間も痛みが続いたりと、ママは辛い時間を過ごさなくてはなりません。医師に診てもらう前に少しでも痛みが解消できる対処法を紹介します。

授乳をやめない。早く治すには乳腺に母乳を残さない事

授乳をやめてしまうと、更に母乳が溜まってしまい乳腺炎を悪化させてしまいます。しこりが早く解消できるよう、しこりを抑えながら積極的に授乳を続けましょう。

ただ、あまりに症状が重く母乳を与えるのも辛い場合は、医師や助産師さんに問合せをし、相談をしてみましょう。

薬を安易に飲まない。母乳から赤ちゃんに影響する事も

お母さんがお口にいれたものは、そのまま母乳となって赤ちゃんが飲んでしまいます。薬によっては、母乳をかえして赤ちゃんに影響を与えてしまう強い薬もあります。

体が辛いからと安易に、解熱剤などの市販薬を服用しないようにしましょう。発熱がある場合などは、医師から薬を処方してもらうようにしましょう。

入浴は避けて、シャワーにしておきましょう

乳腺炎がひどい時は、38度以上の熱を伴う事もあります。入浴は避けて、シャワーなどにとどめておきましょう。

また、シャワーを浴びる場合でもできるだけシャンプーなどは手早く終わらせる様にしましょう。

入浴については、医師の指示にしっかりと従うようにしてください。

乳腺を傷つける事も。自分の判断でのマッサージはしない

痛みが激しい場合、自分でマッサージなど辛くてできないと思います。また、自己流でマッサージを行って、炎症のひどい乳房や乳腺を傷つけてしまっては、更に悪化させてしまう可能性があります。

高熱を伴い、痛みが激しい場合は無理にマッサージをせず安静にし、冷やすようにしましょう。

辛い時は、無理せず助産師さんに相談を。治療は早めに。

乳腺炎は、なりかけの状態でもとても辛いです。私も初産の時には何度も乳腺炎になりかけました。搾乳機を使って何度も、しこりをとりましたが、あまりの痛さに不安を抱えた事もあります。

そんな時、助産師さんが「大丈夫ですよ」と優しい言葉をかけてくれ、マッサージや搾乳をしてくださり、アドバイスもしていただけて、とても励みになりました。

辛い場合は、無理せず早めに病院へ行き辛い痛みを解消させましょう。

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