子供の喧嘩は成長を促す喧嘩に!親ができる環境作りとケアの重要性
「子どもの同士の喧嘩なんだから放っておきなさい!」昔はよく聞いたセリフですが、昨今喧嘩を止めなかったら周囲から白い目で見られますよね。
子どもが小学生になると年を追うごとに大人の目が届かなくなりますし、喧嘩に親が介入すると大きなトラブルに発展してしまうので、親が見守りながら子どもの喧嘩に関われるチャンスは幼児期しかありません。
もちろん危険な行為や相手がどんな親かわからないうちはすぐ止めた方が無難ですが、仲良くなったママが喧嘩に理解のある方だったら、是非事前に意思を共有しておきたい!
子どもの喧嘩の必要性を知り、将来を見越して対処していきましょう。
この記事の目次
いくつぐらいから喧嘩をするようになるの…「ピアジェ」の心理学より
目安の年齢は書いてありますが、この時期は発達の個人差が大きい時期でもあります。自分のお子さんを見てどの段階かは判断してください。
幼すぎる場合は喧嘩が成立しない
ピアジェによると、2歳から7歳ごろまでは自己中心性(自分以外の視点に立って物事を考えられない時期)に基づいて行動しています。
ただし、子ども達を見ていてもわかるように、7歳(小学校1から2年生)まで自分の視点だけで動いている子は少数です。
相手を認識せずに「あのおもちゃが欲しい」「ブランコに乗りたい」など、欲求を満たしたいから行動しているだけなので、喧嘩というよりただの欲求と欲求のぶつかり合いです。
この時期は基本的なルールを教えることに徹しましょう。
叱られたり褒められたり、大人の顔や態度を見て子ども達は徐々にいいことと悪いことを覚えていきます。
わかりやすく「使いたかったら貸してって言おう」「順番だから並ぼうね」など、繰り返し教えてあげて下さい。
小学校入学の1、2年前くらいから教えていく
7歳から11歳ごろになると「具体的操作期」に入り、「脱中心化」(自分以外の視点でも物事が考えられる時期)が起こるといわれていますが、何もいきなり自己中心性から脱却するわけではないので、その前段階の5、6歳ごろからが喧嘩を学ぶチャンスです。
- 喧嘩を通して相手の気持ちを考えさせる
- どうやったら喧嘩をせずに自分の要求が通るのか工夫をする
- どうしたら仲直りできるか、和解の方法を学ぶ
子どもの中に社会性が生まれる時期なので、「集団の中の自分」や「対人関係」を意識できるようになってきます。
コミュニケーション能力の向上にもつながりますので、親はよく話を聞いて、子どもが考える手助けをしてあげて下さい。
放っておいても大丈夫ならとりあえずやらせてみる
この時期は危険がなければ、まずは様子を見守ってください。
うまくいかないならば最初は代弁したり、禁止事項を教えてあげて自分で考える土台作りをして下さい。
喧嘩は「起因→主張のぶつかり合い(行き違い)→喧嘩→絶交→内省→謝罪→仲直り」といったプロセスをたどりますが、その中でどんな成長が望めるのでしょうか。
- 行動や気持ちを言語化する力
- 原因を推測する力
- 相手の気持ちを考える力
- 謝る勇気・工夫
- 悪口や卑怯な行為・暴力による解決の痛み・罪悪感
- 達成感・原因と因果の学習
これらは自分の体験に基づいた思考なので、学習効果が絶大です。
本当にもどかしくて口を出したくなってしまうのですが、ぐっとこらえて見守ってあげてください。
どうしてもこちらに助けを求めてきてしまうなら「ごめんなさい」と言わせて終わらせるのはやめましょう。
- 「どうして喧嘩になったのかわかるかな?」
- 「○○ちゃんにどうしたいのか気持ちを言ってごらん」
喧嘩の後のケアが重要
途中で止めると気持ちの整理がつかなかったり、また後から蒸し返しますので、危険がなく、時間があるなら様子を見守ってあげて下さい。
疲れたり、気持ちが続かなかったり、幼児の喧嘩はそんなに長い時間持続しませんので、しばらく見ていれば収まってきます。
喧嘩の後、興奮が静まったら双方から話を聞く
まずは話を聞いてあげて下さい。
この時にはフォローしながらでもよいので、必ずどちらにも最初から最後まで子ども自身に言わせてあげて下さい。
思い違いがあると「それは違う!」と相手が口を挟もうとしたり、親が途中で「それはあなたが悪い」などと遮ってしまうと、そこで気持ちを言葉で表現する機会や原因を考える機会が奪われてしまいます。
また、自分の言い分を聞いてもらえなかった方にはわだかまりが残ります。
「今は○○ちゃんの番だから黙って聞く!次に言いたいことはちゃんと聞くから順番を待っていてね。」
たまに周りで見ていたお友達が解説してくれることもあるのですが、下手をするとその子が言いつけたと悪者になってまた喧嘩になるので、後から別のところで聞くなど、工夫をして下さい。
なぜ喧嘩が起こったのかを考えさせる
話を聞く際はできるだけ理由や気持ちも聞き出しましょう。
- 自分が使おうと思っていたおもちゃが取られた
- 一緒に遊びたかったのに他のことをしていたからちょっかいを出した
- ボールが当たって痛かったのに謝らなかった
些細なことが多いのですが、幼児期は自分と相手の認識のズレが原因でよく喧嘩が起こります。
お互いに気持ちを言い合うと、例えば下記のような意見や理由を聞くことができます。
- 言ってくれれば順番に使うし、一緒に使ってもよかったのに
- どう声をかけていいかわからず、遊べなくて悲しかったからつい手が出た
- ボールが当たったなんて気づかなかった
たとえ幼くても、お互いの思いや理由を聞くことによっていろいろと感じ、考えることができます。
喧嘩の起こる原因や回避の方法があることを気づかせる
1回や2回経験したからと言ってすぐに理解するわけではありませんが、経験を積むことによって徐々に人間関係を円滑に運ぶ方法を体得していきます。
- 「順番」「一緒に使う」などの工夫や交渉という手段を知る
- 相手によって声のかけ方や対処の方法を変える
- 手を出す前に理由や気持ちを聞いてみる
- 自分が原因を作っている場合もあることを知る
「ごめんなさい」で終わっていたら自分の視点だけで捉えていた喧嘩が、相手の話を聞くことによって、いろいろな要因や解決方法があることを学べます。
幼児期は何度も同じことを繰り返すので、「本当にわかっているのかな」と思ってしまうかもしれませんが、その都度内省することで決して無駄な経験にはなりません。
話を聞いた後は仲直りのプロセスへ導いていく
親は「どちらが悪かった」と裁判官になるのではなく、あくまで黒子に徹してください。
- 「○○ちゃんはこう思ってこうしたかったんだって。○○ちゃんはどう思ったのかな?」
- 「どうしたらよかったのかな?これからどうしようか?」
最初はなかなかうまくは行きませんが、だんだん子どもも要領がわかってきて、大人が何もしなくても本人同士で解決できるようになっていきます。
大人はついつい「解決」というとどちらがどれだけ悪かったのか、どちらが謝るべきかなど結論を出したがりますが、お互いの言い分を言わせ、できたら聞き合って、大丈夫そうならどうするのか見守ってあげて下さい。
仲直りがうまくできなくてその日は喧嘩別れしてしまっても、幼児期は遊びたい気持ちが勝ればそのうち一緒に遊ぶようになります。
あくまでも自分の子どもと相手の子どもの力量と、成長度合いに合わせた促しをして下さい。
どんなことでも初めてのことは見本や教えてくれる人が必要
私も初めのうちは子どもの喧嘩に大人は口出しない方がよいという考え方でしたが、見本がいない以上、やはり最初のうちは禁止事項を教えておかないと危険です。
「介入」ではなく、大怪我をしないよういざというときすぐに対処できるように、ほったらかしにしない程度に見守るというのがベストだと思います。
長男が小学校に上がる前までのことを例に挙げますが、我が家の前は近所の子ども達の溜まり場になっていたので、息子が小さい頃は子ども同士の喧嘩もよくありました。
新しくできた団地だったので、年上の子と仲良くなるような機会もあまりなく、小学校まではだいたい同じ年齢の子ども達だけでまとまって遊んでいました。
しかし、何度も遊んで仲良くなり、喧嘩をするようになると、最初の内はやっていいことと悪いことを知らない子が多くて驚きました。
アスファルト上でも平気で押し倒しますし、石は投げるし、相手が泣いて決着は着いているのにまだ攻撃しようとするし、油断したら大怪我をするのでこちらは内心ヒヤヒヤしながら見守りました。
基本止めずに危険行為や卑怯なことをしたら「コラ!それはダメ!」と一言叱り、後は気が済むまでやらせるようにしました。(引き離してもまたすぐに喧嘩になるので)
収まってからなぜその行為をやってはいけないのか説明するようにしましたが、お互いが納得するところまでやらせると、案外素直にこちらの話に耳を傾けるようになります。
早くから集団の中に居たり、兄弟が多い場合は見て覚える部分もあるのでしょうが、あまり喧嘩を見ることもなかった子は本能に従って行動するので最初の内は決して目を離さないで下さい。
喧嘩にならないようなおっとりした性格の子なら無理に喧嘩をさせる必要はありませんが、どこかで喧嘩をしてしまいそうな活発な子なら、親の目の届くうちに喧嘩の体験をさせておくのも大事だと思います。
相手のママとは事前にどんな取り決めをしておくといいのか
仲良くなって気が合うと思っているママ友でも、一度トラブルを起して険悪になってしまうと、顔を合わせる度にずっと気まずい思いをしなければなりません。
まずは喧嘩になる前から相手のママと良い関係を作っておく
当たり前のことですが、子育てをする上で味方は多い方がいいです。
自分から笑顔で挨拶をするなど、子どもの友達づくりのお手本だと思って、しんどくない範囲で積極的にコミュニケーションを取っておきましょう。
また、「普通」という感覚は人それぞれなので、何かあった時「これくらいなら別にいいでしょう」と横着せず、相手と仲を深めるチャンスにしましょう。
相手への少しの心遣いで、もし子ども同士が喧嘩になってしまってもあわてなくて済みます。
「うちは一人っ子だから兄弟喧嘩もできないし、できたら○○ちゃんと喧嘩になった時大きな怪我をしない程度ならどうするか見守りたいと思うんだけど、いいかな?」
できたら事前に相手のママに了解を取っておくと何かあっても怒鳴り込んでくる事態は防げます。
事前の一言があるかないかで相手の気持ちも全然違ってきます。
特に活発な男兄弟を育てているママは理解があるというか、喧嘩は当たり前だと思ってくれる方が多いようなので、事前にこちらの意向を伝え、相手からも聞いておくとよいでしょう。
「見守る」と「ほったらかし」をはき違えない
「子どもを信じてやらせてみる」「親は手を出さない」からといって、喧嘩をしているのに見ていないのはNGです。
危険があったら止める事も大切ですし、喧嘩をよく見てどんなことがあったのかを知っておかないと喧嘩の後のプロセスが的外れなものになってしまいます。
また、相手のママへのフォローも忘れずに!
自分の子が意地悪されたり叩かれたりして泣いていたら、誰だって我が事のように悲しいです。
「ごめんね!後でちゃんと言い聞かせておくからね!」
事前に取り決めてあっても、きちんと言葉にして伝えておかないと相手のママに嫌な感情を残してしまいます。
喧嘩をさせてもいいと言ってくれていても、相手の子どもやママの表情などをしっかり見て、揉めそうなら喧嘩を止めましょう。
喧嘩の最中お友達を叩いてしまって相手の親とこじれてしまい、子ども達はケロッとして遊んでいるのに親同士が引きずってしまうなんて話はよくありますし、揉める可能性があるなら無理をする必要はありません。
子どもにはその場で短く簡単に教える
子どもは事前に言っておいても興奮すると我を忘れて思わぬ行動をします。
また、危険な行為が具体的にわからない子もいるので、その都度「どこがいけないのか」「もしやったらどうなるのか」を端的に教えてあげて下さい。
- 危険な場所での喧嘩(道路・川のそばなど)…「こんな所で喧嘩したら二人とも車に轢かれるよ」
- アスファルトの上で押す…「固いところで頭を打ったら入院だよ」
- 目など、急所への攻撃…「一生目が見えなくなっちゃうよ」
- 喧嘩は一対一で…「2人で1人を攻撃するのはずるいよ」
- 攻撃は素手以外禁止…「武器を使ったら相手が大ケガするよ」
- 年齢差や明らかな体格差…「小さい子・弱い者いじめは卑怯だよ」
- 止め時(相手がもう参っているのにさらに攻撃を加えない)…「泣いてやめてって言ってるのにしつこくしない!」
大人からすれば当たり前のことでも、子どもは頭に血が上ると熱くなってなんでもありになってきます。
いざというとき思い出しやすいように短い言葉で、年齢に合ったわかりやすい表現にして下さい。
やはり、一番覚えてほしいのは「引き際」です。止め時を知っていればそんなに大ケガもしませんし、わだかまりも残りません。
「自分が同じことをされたらどう思うのか」を基本に、喧嘩にもルールがあることを教えてあげて下さい。
保育園や幼稚園などの集団に入れば人の喧嘩を見て学習したり、先生がうまく対処してその都度報告やアドバイスもしてくれますので、信頼できる先生なら基本お任せして大丈夫です。
万が一、将来いじめに遭った時SOSが出せる子どもに育てよう
昨今いじめによる子どもの自殺がよくニュースで話題になっています。
喧嘩の経験不足が原因だとは言いませんが、いつも親に止められたり無理やり謝らされて終わりにされていた子どもが、辞め時や関係の修復の仕方がわかるのでしょうか。
私たちの小さい頃は公園に親がついてくる子なんてあまりいなかったので、大きな子や周りの子が遊びもルールも教えてくれましたし、わりと子どもだけで自由にやっていました。
日本の治安も心配になってきましたので、今は大抵公園では親が付き添っていますが、その影響で親が子どもの世界に介入せざるを得なくなっています。
しかし、小学校に入ったらいつも先生や親の目が届くわけではありませんから、一人で困難に立ち向かわなければならない時期がすぐにやって来ます。
いじめ問題は年齢が上がるにつれて自分自身の力が必要になる
文部科学省の調査によると、小・中・高・特別支援学校のいじめ認知件数は18万件超で、児童生徒1千人当たりの認知件数は13件位とのこと。
つまり100人生徒がいれば1人強、ただしこれは「認知件数」ですから実際にはもう少し多くの子がいじめの被害に遭っていることを示しています。
自分の子どもがその中に入らないとは限りません。
また、NPO法人いじめストップ!ナビのHPでは小学校5年生から中学3年生の調査で、学年が上がるごとに傍観者の割合が26.4%から61.3%へと増加し、仲裁者の出現率が53.5%から21.8%と顕著に減っていく様子を他国と比較して統計データとして掲載しています。
HPではでは日本・イギリス・オランダを比較して折れ線グラフで描かれていますが、以下に日本だけを抜粋して表にしました。
小5 | 小6 | 中1 | 中2 | 中3 | |
---|---|---|---|---|---|
「傍観者」の出現率学年別推移 | 26.4% | 36.0% | 45.3% | 51.3% | 61.3% |
「仲介者」の出現率学年別推移 | 53.5% | 37.6% | 34.6% | 26.0% | 21.8% |
表からもわかる通り、助けたら自分が標的になるかもしれないという怖さもあるのだと思いますが、いじめに遭っても同級生が助けてくれる可能性は年齢が上がるにつれて減っていきます。
先生も一生懸命やって下さっている方がほとんどだと思いますが、やはり対応の上手な先生や苦手な方など、個人差が大きいのが実情です。
親が「トラブルが起きないように」「嫌な思いをしないように」と先回りして環境を整えすぎてしまうと、練習なしで子どもだけの世界に放り込まれてしまいます。
放り込まれても多くの子どもはちゃんと適応してその場で成長していきますが、小学校はいろんなタイプの子どもが集まる場でもありますので、経験できるのならば経験させておいてあげると小学校での心配事が一つ減ります。
対人関係のスキルは避けていたら磨くことはできない
また、昨今はLINEいじめやネットでの中傷などの新しい形のいじめも出現し、大人の対応が後手に回ってしまい、解決が長引くケースも出てきています。
ネットは相手の反応が見えない上、一対一ではないので責任の分散が起こり、エスカレートしやすい上、文字情報だけなので誤解を招いてトラブルの起こりやすい媒体です。
ちょっとした誤解からトラブルに巻き込まれてしまう、仲間外れにされてしまうという事態になった時、どうしていいかわからず事態が悪化してしまうこともあります。
大切なのは、加害者にさせないために相手のことを考える視点を持つことと、被害者にならない為に声を上げる、助けを借りるという選択肢がある事を体感しておくことです。
- メールを打つ前に「うざい・キモイ・死ね」など書かれたらどんな気持ちか考えられる子になってほしい。
- 大人に言ったらちゃんと話を聞いてもらえ、力を貸してもらえるという安心感を小さなうちから知っておいてほしい。
困難に遭わないよう予防することも大事ですが、子ども自身に困難を乗り越えられる力をつけてあげるのも親の務めですので、是非機会があったらいじめに対処できる力を育ててあげて下さい。
幼児期にしかできない体験を生かす…喧嘩の体験を学びに変える
可愛い我が子に痛い思いや悲しい思い、恥ずかしい思いをしてほしくないというのは当然の親心です。
環境が整い、親がやらせようと思っても喧嘩が起こるわけではありませんが、小学生以上の喧嘩はほぼ周囲が止めますので、全てのプロセスを親が見守りながら体験できるのは幼児期だけです。
最初から喧嘩はさせないのが常識だと思っている方もいますが、勇気を持って話してみると意外に喧嘩に理解のあるママもいます。
喧嘩も学ぶべき経験の一つとして、もしできる環境にあるのならば、是非体験から「なぜ喧嘩はいけない事なのか」を学ぶ機会を与えてあげて下さい。
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