子供の歯列矯正の費用・手順・リスク!矯正相談前に知っておこう
歯科の定期健診で、噛み合わせの問題を指摘され、慌てて矯正治療をしている歯医者さんを探して相談へ。
使用する装置について、我が子と同じような症状では他にどのような装置が使われているのか?についてある程度知っておけば、歯医者さんにその効果をどのように考えているか、治療開始前に聞いてみることができます。
歯医者さんへ行く前に、慌てず落ち着いて質問できるよう、子供の矯正について、治療費、治療の流れ、使われる装置、また治療中に起こりうるリスクなどをまとめました。
この記事の目次
相談~検査~診断、治療開始までの流れ
相談から治療開始となるまでの流れは、このように進みます。
- 矯正相談
- 検査
- 診断~治療計画を聞く
- 治療の前の準備
- 治療開始
1.矯正相談
まずは、矯正の相談。お医者さんに電話などで予約して、子供を連れていきます。この時、先に口の中の写真を撮り、一緒に見ながら相談することもあります。
- 時間:30~60分程度
- 費用は、無料~5,000円程度
- 噛み合わせや歯ならびで困っていること、不安なことなどお医者さんに相談します。
- 歯医者さんが口の中を見て、わかる範囲で質問に答えたり、矯正の一般的な注意事項などを説明します。
2.検査
相談した医院で、さらに詳しい治療計画を知りたい!となった場合は検査をしてもらいます。
- 時間:30分~60分程度
- 費用:15,000円~30,000円程度
歯やあご、かみ合わせの状態を知るために、最低でもこのような検査をします。
- 頭部のレントゲン写真(セファログラム)の撮影
- 歯列全体のレントゲン写真(パノラマ)の撮影
- 顔や口の中の写真を撮影
- 歯の模型の作成
- 虫歯や顎の関節のチェック
3.診断
検査終了から診断結果が出るまでは、2,3日から3~4週間後と医院により異なります。
- 時間:30分~60分程度
- 費用:15,000~20,000円程度
- 精密検査の結果から、治療の開始時期、治療目標、どのような装置を使うかや、治療費について説明を受けます。
検査の結果、今のところ治療を開始しなくてよい場合は、経過観察となります。
4.治療の前の準備
- 虫歯や歯周病などがあった場合は、先にその治療をします。
- 装置をつくるために歯型をとったりします。
一般に、矯正を専門に治療している歯科医院では、虫歯の治療などは行っていません。そのため、かかりつけの歯科医院か、矯正の歯医者さんが紹介する歯科医院で治療をします。
そして治療開始です。装置を使い始めたら、調整などのため、1カ月に1回程度通院します。
子供の矯正治療、全部でいくら?気になる費用のこと
矯正は一般に健康保険の適用がされません。自由診療にあたり、それぞれのお医者さんで料金を決める為、お医者さんにより金額が違い、請求費用の決め方も支払方法も異なります。
一期、二期ってなに?混合歯列期が一期、永久歯が生えそろったら二期です
子供の矯正で言われる一期、二期の区別は、永久歯が生えそろったか?で区切られます。混合歯列の間は一期、永久歯が生えそろったら二期の治療になります。
個人差がありますが、永久歯が生えそろうのは11~13才ごろです。
ちなみに、永久歯の根が完成するのは14~15才ごろ、親知らず(第三大臼歯)が生える場合は17~20才ごろ(個人差が大きい)です。
- 一期治療
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- 3才ごろ~12才ごろの乳歯と永久歯の混合歯列の期間に行います。
- 主に、成長にあわせて歯列を広げたり、永久歯がきれいに生えるように準備する治療です。
- 二期治療
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- 永久歯が生えそろった後~あごの骨の成長が終わってから開始。
- 主に、ブラケット(ワイヤー矯正)での治療です。
一期から治療を開始しても、一期で治療終了とはならず、二期へ進む場合が多いようです。
お医者さんによってちがう!矯正費用の請求の仕方2種
矯正治療の費用の請求には大きく分けて2種類あります。
- 1.定額制(トータルフィー制)
- 全ての治療費をトータルで請求。通院の都度の支払いはありません。
- 2.基本料金(装置・技術料)+処置料(調整料)
- 基本の矯正料金の外に、通院する都度に処置(調整)料がかかります。
治療に入る前にかかる費用として、下記があります。
- 初診相談料(無料~5,000円程度)
- 検査料・診断料(30,000~50,000円程度)
総額はこれに、治療費がプラスです。
- 一期の治療費:約30~50万
- 二期の治療費:約40万~60万
症状や治療期間によって変わってきますが、一期と二期通してでは、80万~100万くらいかかりそうです。
子供の歯列矯正は医療費控除の対象!忘れずに申告しよう
子供の矯正は確定申告の医療費控除の対象になります。治療費の領収証は申告まで大切に保管しましょう。
- ローンやクレジットで支払った場合も控除の対象になります
- 信販会社が立て替え払いした金額は、ローン契約が成立した年の医療費として申告できます。
歯科医の領収書が無い場合は、ローン契約書の写しなどを添付書類として提出します。
- 治療のための交通費も医療費控除の対象です
- 小さい子の場合は付き添いの人の交通費も申告できます。公共交通機関なら日にちや乗車区間、金額をメモしておきましょう。タクシーの場合は領収書をもらいましょう。
ただし、自家用車のガソリン代や駐車場代は控除対象外です。
(2) 発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。
矯正で健康保険が適用になる症状もある!一例を紹介
健康保険が適用になるのは、以下ような場合です。
- 唇顎口蓋裂など国が指定する疾患のとき。保険を扱っている医院なら保険での治療ができます。
- 反対咬合(受け口)などで顎変形症と診断され外科手術を行い、指定された医療機関、施設で表側矯正の治療を受けるなどの要件を満たしたとき、手術前後の矯正治療に健康保険が適用されます。
都度保険会社や歯科医師に必ず確認をしておきましょう。
どんなものを使うのか?治療に使う装置
矯正で使用される装置には、骨の成長に合わせて使うもの、成長が終わってからも使うもの、いろいろあります。6才ごろまでによく使われる装置を集めてみました。
ムーシールド
マウスピース型の矯正装置です。3才から使用でき、主に反対咬合の治療で使用されています。
主に下のような働きが目的で使用されます。
- 舌からの圧力と唇からの圧力のバランスを整える。
- 舌が正常な(高い)位置に来るように導く。
歯並びを整えるというより、口の周りの筋力のバランスを整え、かみ合わせが改善するようにする装置です。
寝ている間に使用しますが、舌を上に上げて装着させなければならないので、ちょっと練習が必要だそうです。
ムーシールドは、歯科医師の診査診断により処方され、受け口を治療するための医療器具です。
T4K(ティー・フォー・ケー)
こちらも、マウスピース型の矯正装置です。6才~12才で使用されます。「T4K」は、「Trainer for Kids」の略です。
主に下のような働きが目的で使用されます。
- 口の周りの筋肉を鍛え、バランスを整える。
- 舌を正常な位置に導く。
家にいる間に1時間と、寝ている間使用します。
インファントトレーナー
2才~5才で使う、持ち手がついたマウスピース装置です。
- 毎日10分~20分程度使用。
- 口の周りの筋肉を鍛え、正しく噛む、鼻で呼吸する、飲み込み方、舌の位置にくるようなどの訓練をします。
チンキャップ(chin cap)
下顎の成長を抑えるための装置です。
- ヘッドキャップと、おとがい(下あごの先)にあてるチンキャップに分かれていて、両方のフックにゴムをかけて牽引します。
- 家にいる間装着し、睡眠時間含め一日最低8時間、10~12時間以上つけてると効果的といわれます。
- おとがいや、額、頬など、装置があたる部分がむれることがあります。その時は、当たってしまう場所に、ガーゼなどをはさんであげると良いでしょう。
うちの子は、反対咬合の治療のため、このチンキャップを5才半~7才の間1年半ほど使っていました。
使用した結果ですが、永久歯への生え変わりの時に治るかも、と淡い期待をしていたのですが、前歯の一本が、やはり反対で生えてきてしまいました。
別の治療だったらもっと効果があったのか?治療していなかったらもっとひどかったのか?などが気になりますが、今は次段階の治療を検討中です。
床矯正装置(しょうきょうせいそうち)
拡大矯正装置のひとつで、主に成長期に使われる装置です。
- レジンのプレート(床)にワイヤーとバネや拡大調整用のネジがついています。
- 成長に合わせて使用し、調整ネジを巻いて歯列を広げます。
- 取り外しができるので、食事や歯みがきの時便利です。
床矯正だけなら「抜歯しない矯正」ですが、広げられるだろうスペースで、将来はたして抜歯せずに永久歯がきれいに並ぶのか?気になるところです。歯医者さんに聞いておきたいポインをまとめました。
- いつからいつまでどの装置を使って、どれくらい広げられるのか。
- 広げた歯列は広がったまま安定するのか。
- 将来抜歯してワイヤー矯正することになるのか?また、その場合でも、この床矯正は有効か?
目指すゴールは、永久歯の良いかみ合わせ。本人にかかる負担を考え、お医者さんと相談しましょう。
あいうべ体操!口や下の筋肉を鍛え口呼吸による悪い歯並びを予防!
装置ではありませんが、歯医者さんですすめられることもある口と舌の筋肉を鍛える体操です。
口をしっかり閉じられるようにして、口呼吸が原因の悪い歯並びの予防に効果が期待できます。あいうべ体操のやりかたは簡単です。
- 口を、「あ」、「い」、「う」と大きく開ける
- 舌を「べー」と下へ伸ばす
これを1セット10回、3セット行います。
口呼吸を止めると、細菌にのどを直接攻撃されないので、風邪予防の効果があるともいわれています。
その他子供が成長していくると使用される装置
子供の成長が進んでいくと、別の装置も登場します。
- 上顎前方牽引装置(じょうがくぜんぽうけんいんそうち)/フェイシャルマスク
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上あごの成長期(7才~10才ごろ)に、骨格が要因の反対咬合の治療などに使われます。
- ワイヤー矯正
- 11才~13才ごろ、永久歯が生えそろうと、ブラケットといわれる金属を歯の表面に付けて、アーチ状のワイヤーを通す、ワイヤー矯正が始まります。
例えば、二期の治療でワイヤー矯正(2~3年装着)をしたら、歯の戻りを防ぐ「保定」という期間が、だいたい装置の装着期間と同程度必要です。
治療中のリスクや注意点とその対処法について知っておこう
先にリスクを知っていれば、後悔することもありません。治療中に考えられるリスクと、解決法を考えてみましょう。
1.固定装置装着中は、虫歯にならないよう細心の注意が必要
治療中に虫歯になってしまうと、固定装置は一旦外して虫歯の治療をしなければならず、治療期間が長くなることになります。
取り外しのできない固定式の装置が口に入っている間は、装置が邪魔で歯磨きがしづらいです。装置の留め具の境目など、狭いところに毛先が届く、便利な歯ブラシがあります。
先のとがったごく小さなヘッドの歯ブラシです。ブラケットの周りを磨くとき重宝します。
2.矯正治療だけでは治らないものもある!反対咬合の外科治療について
反対咬合(受け口)や開咬で矯正の相談をすると、先生が先に説明をしてくれると思います。
骨格性の反対咬合で歯列矯正だけでは治らない場合、顎変形症と診断され、外科手術となる場合があります。その場合は一定の要件を満たすと健康保険が適用されます。
3.やりたくないって言いだしたら…見た目が気になる年頃
小さいうちは何でも親の言う通りやってくれたりします。が、思春期に入ると、そうもいかなくなるかも。
それを見越して、早期治療を行い永久歯をきれいに並びやすいよう誘導しておく、という方法もあります。
見た目が気になると本人の学校生活にも影響してします。本人が「歯ならびは気にならないから、矯正したくない」という場合もあります。男の子に多いそうです。
4.治療の途中で遠方へ引っ越しすることに
治療開始前なら、治療中に引っ越した場合についてお医者さんに相談しましょう。 しかし、矯正は治療の期間が長いことから、治療中に突然引っ越さなければならなくなった!ということも起こるかもしれません。
その時は、選べる場合は、2つから選ぶことになります。
- 治療を受けている医院に引っ越し先から通えるお医者さんを紹介してもらう。
- 遠距離でも今通っているお医者さんに通う。
遠方に転居しても、月一回だからと、通い続ける方もいます。転院する場合は、今のお医者さんから自分の治療の情報が転院先のお医者さんに渡るように手配をお願いしておきましょう。
治療費の方は、お医者さんによりいろいろです。治療が終わった分までを清算してくれる場合も、返金されない場合もあります。
相談の時など、治療開始前に聞いておくのが一番ですが、治療を開始するときにお医者さんからもらった資料に、書いてある場合もありますのでよく見てみましょう。
5.治療中、お家で必要なケアなど
いざ、治療開始。早期治療の場合は、家でのみ装着する装置が多いです。家に帰ったら、子供に忘れずつけてあげることが必要です。
また、長時間の装着によって効果が期待できるものが多いので、行動予定を決めて時間を確保してあげましょう。
固定式の装置の場合は、大変なのは歯磨きです。お家のケアで重要なのは2つです。
- 取り外しできるもの(可撤式)なら、忘れずにつけさせる
- 固定式なら、虫歯をつくらないように気を付ける
知っておけば、避けられるリスクもある~矯正について良く知ろう
治療を始めたけど、転院したくなってきた…。その理由は、やはり治療の進み方やお医者さんの説明に納得がいかない、”不信感”から多いのではないでしょうか。
では、なぜ不信感が湧いてくるのか?「治療を始めてから、他の良さそうな治療法を知った」や「治療の効果が十分でないときの計画を聞いていなかった」などが考えられます。
後悔しない治療を開始するにはどうしたらいいのでしょう?
まずは、歯医者さんが説明していることを理解し、疑問点は納得できるまで質問するのが良いと思います。
矯正の装置の仕組みなどは、素人にはなかなか難しいです。ですが、なんとか理解して、疑問点を整理して聞いてみましょう。受け答えの過程で、歯医者さんの人柄を知ることもできます。
矯正について良く知り、納得してから治療を開始しましょう。
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