帝王切開の当日に慌てない!手術の流れや術後について事前にチェック

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2017/05/12

帝王切開で産むしかない!とわかっていても、やっぱり「体にメスを入れる」のは誰でも怖いもの…。

ましてや人生ではじめて手術なら、わからないことが多すぎて余計に不安になりますよね。

そんな不安を少しでも解消するために、この記事では「帝王切開手術の流れ」や、「入院中の過ごし方」についてお伝えします。

帝王切開の手術前!飲食制限・手術の準備などがあります

入院日は産院によって違いますが、手術の前日か当日のどちらかに入院して、手術に向けた準備をします。

1.入院中の過ごし方について説明される・同意書の提出

手術前・手術後のスケジュール説明を受けたり、入院中の注意事項を聞いたりします。

また、手術や麻酔に対する同意書を提出します。同意事項の説明タイミングは医療機関によって違いますが、手術前には必ず「帝王切開のリスクや手術内容」と「麻酔」の説明が医師からあります。

2.NSTで赤ちゃんの健康度を調べる

お腹に特殊な機械をベルトでとりつけて、NST(ノンストレステスト)と言われるモニター検査をします。赤ちゃんの心拍数と子宮の収縮を計測することで、お腹の赤ちゃんの健康度がわかります。医療機関によってモニター時間や回数はまちまちですが、一回の検査時間はだいたい20~40分です。

3.食べ物・飲み物の制限がかかる

胃に食べ物が残っていると麻酔や手術の影響で吐き気を及ぼして、気管支がつまったりすることがあります。それを防ぐために、手術前は飲食が禁止になります。

飲食の制限がかかるのは・・・

  • 予定帝王切開:前日の夜9時以降から(医療機関によっては午前0時から)
  • 緊急帝王切開:手術が考えられたときから

医療機関によっては「水分のみ当日朝までOK」なところもあるようです。

もし喉が渇いたときは「水で口をゆすぐ」「うがいをする」という方法で乗り切りましょう。

持病などで飲まなければいけない薬があれば、前もって医師に相談しておくのがオススメです。

4.縫合を清潔に行うために手術部の毛を剃る

手術部の体毛(お腹や陰部)を剃り落します。これは看護師さんがやってくれるので、自分で剃る必要はありません。

ちょっと恥ずかしいかもしれませんが手術部を正確に剃った方がいいので、看護師さんにお任せしましょう。

5.下剤や浣腸で腸の中をきれいにする

下剤は手術前日、浣腸は手術当日にして、腸の中をきれいにしておきます。ただし腸の手術をするわけではないので、下剤も浣腸もしない医療機関もあります。

6.手術着に着替える

メガネやコンタクトレンズ、結婚指輪、ブラジャーなどはすべて外し、手術着に着替えます。

視力が悪い人はメガネを看護師さんに渡しておきましょう。手術台で産まれたての赤ちゃんを見るときに、側にいるスタッフがメガネをかけさせてくれます。

また、足の血栓予防のために医療用の着圧ストッキングをはきます。手術中と術後は寝たきりで血流が悪くなり、足に血の塊ができやすくなるからです。

7.点滴をする

麻酔が原因で手術中に血圧が下がることがあるため、手術前に点滴で水分を入れておきます。また、術中や術後に輸血が必要になった場合には、この点滴の針から輸血します。

8.診察で赤ちゃんと産道の状態を確認

最後の診察で赤ちゃんと産道の状態を確認します。もし逆子が理由で帝王切開になっている場合は、「逆子が直ってないか?」も確認し、直っていたら手術はとりやめになります。

9.膣の洗浄をする

子宮内への感染予防のために、手術前に膣の中を洗浄しておきます。とくに経過に問題がないときは、洗浄をしない医療機関もあります。

10.尿道から細い管を入れる

尿がたまって膀胱が膨らんでいると、手術中に膀胱を傷つけてしまう恐れがあったり、赤ちゃんが取り出しにくかったりします。そのため尿道に細い管を通して、常に膀胱に尿がたまらないようにしておきます。

管を通すタイミングは医療機関によって違いますが、痛みがないようにと麻酔が入ってから行われる場合もあります。

いよいよ帝王切開!手術の流れ

時間になったら、手術室に向かいます。大きな病院では、ストレッチャーまたは車いすで。個人病院などでは手術室が近いため、歩いていきます。

手術室についたら、手術着を脱ぎ手術台に横たわります。医師や看護師さんの前で服を脱がなければならないのでビックリするかもしれませんが、たいていは周りの看護師さんがタオルなどで目隠しをしてくれます。

1.麻酔をする

帝王切開では手術中に意識がある『局所麻酔』が使われることが一般的です。

「手術が怖いから眠らせてほしい!」という場合もあるかもしれませんが、意識がなくなる『全身麻酔』をすると赤ちゃんも一緒に眠ってしまい、生まれてきたときに呼吸が上手くできない可能性があります。

帝王切開で使われる局所麻酔には、以下の2種類があります。

脊髄くも膜下麻酔(せきずいくもまくかますい)
脊椎麻酔とも呼ばれる麻酔で、腰から背骨に針を指して脊髄くも膜下というところに麻酔薬を注射します。即効性があるのが特徴で、注射してから5分ほどで下半身の痛みや温度の感覚がなくなります。
硬膜外麻酔(こうまくがいますい)
背中から細いチューブを入れて、硬膜外腔というところに麻酔薬を注入します。硬膜外麻酔のメリットは、チューブから麻酔薬を追加できるので麻酔切れの心配がないことです。ただし、麻酔が効くまでに10~15分ほど時間がかかります。

一般的に、脊椎麻酔は手術中の痛み止めに。硬膜外麻酔は術後の痛み止めに使われることが多いようです。

どちらの麻酔も、手術台でエビのように背中を丸めた状態で、腰のあたりから針を入れて麻酔薬を注入します。硬膜外麻酔は術後の痛み止め用にチューブだけ入れておきます。

2.皮膚と下腹部を切る

麻酔の効きを確認したあと、消毒をして手術スタートです。

はじめはお腹の皮膚と、皮膚の下の脂肪組織をメスで切開します。その後、筋肉をかき分けて、子宮と内臓にたどり着きます。ここまで手術開始から3~5分です。

お腹の切り方には、主に以下の2種類があります。

  • おへその下から縦に切開する「縦切り」
  • 陰毛ギリギリを横に切開する「横切り」
横切りと縦切りのメリット・デメリット
切り方 メリット デメリット
縦切り ・早く赤ちゃんを取り出すことができる
・手術後の痛みが少ない
・次回の開腹手術がしやすい(帝王切開を含む)
・ケロイド状になりやすく傷跡が目立つ
横切り ・傷が陰毛に隠れるので目立ちにくい ・赤ちゃんを通りだすまでに時間がかかる
・次回以降の開腹手術が困難になる場合がある
・縦切りに比べて術後の痛みが強い
・皮下血腫・筋膜下血腫などの合併症の心配がある
・術後に下腹部の感覚が鈍くなる可能性がある

横切りか?縦切りか?は、緊急度の高さや医師の考え方、ママの希望によって変わります。

一般的に予定帝王切開の場合は横切りになることが多いですが、産院によってはメリットが多い縦切りを薦めることもあるようです。

3.子宮の切開⇒赤ちゃんを取り出す

子宮を切開して、赤ちゃんをお腹から取り出します。このとき狭い切開部からでも赤ちゃんが出てこられるように、特別な器具を使ったり、助手の人がお腹を押したりします。

局所麻酔で意識がある場合には、産まれたばかりの赤ちゃんを見せてもらうことができます。

手術が始まってから赤ちゃんを取り出すまでの時間は、だいたい5~10分ほどです。

4.切開部を縫い合わせてお腹を閉じる

赤ちゃんについで胎盤を取り出した後、切開部を縫合したら手術は終了です。お腹の皮膚の縫い方は医療機関によりますが、以下のような方法があります。

  • 糸で縫い合わせる
  • 医療用のホチキスのような器具で縫い合わせる
  • 手術用の接着剤でくっつける

医療用のホチキスを使った場合は、4~5日目に金具を取る必要があります。糸で縫い合わせた場合は、溶ける糸を使っているため抜糸はありません。

手術の合計時間は、とくに異常がなければ30分~60分ほどです。出血やお腹の状況によっては、さらに時間がかかることもあります。

5.病室へ戻る

術後に呼吸や血圧・脈拍が安定しているなら、病室へ戻ることができます。麻酔が効いているため、ストレッチャーで運ばれます。

手術用の強い麻酔が切れてくると、縫合部の痛みや、子宮が収縮する痛み(後陣痛)を強く感じるかもしれません。

もちろん術後2日ほどは腰から麻酔薬が入ってきていますが、それでも痛いときは看護師さんに相談しましょう。痛み止めの座薬や飲み薬を処方してもらえるはずです。

手術後!退院までの過ごし方

病室で回復を待ちます。看護師がこまめに病室にやってきて、体温・血圧・脈拍に異常がないか調べられます。また、子宮の収縮が順調かどうかも調べられます。

尿管は歩いてトイレにいけるようになるまでは付けたまま。点滴も術後24時間はつけたままになります。手術当日でも赤ちゃんとママの状態が安定していれば、対面や授乳も可能です。

退院日はママの回復具合や産院にもよりますが、だいたい術後8日目となります。
術後の平均的なスケジュール
手術当日 横になったまま過ごす。許可があるまで飲食は禁止。母子の状態が良ければ、部屋の中で赤ちゃんと面会したり、おっぱいを吸わせることも可能。
術後1日目 食事がはじまる。(スープやおかゆなどの消化にいいものから始まり、徐々に普通食に切り替わる)順調に回復している場合は尿管を抜き、トイレまで歩いて行くようになる。ママと赤ちゃんの経過がよければ、ベッドの上で授乳。
術後2日目 赤ちゃんにおっぱいをあげたり、おむつを替えたりとお世話が本格的にスタート。母子同室の場合は赤ちゃんが泣いたときに授乳し、赤ちゃんが新生児室にいる場合は3時間おきに授乳しに行く。
術後3~4日目 まだサクサクと動けるわけではないが、自然分娩のママたちとほぼ同じ生活ができるようになっている。体調が良ければシャワーを浴びることができる。
術後5日目 沐浴や調乳の仕方、退院後の生活についての指導が始まる。
術後6~7日目日目 退院前の診察と抜糸。(縫い方によっては抜糸なし)
次の妊娠や傷跡についてなど、気になることはなんでも診察時に聞いておくとよい。
術後8~9日目 多くの場合、午前中に退院。

※あくまでも一般的なスケジュールです。ママの回復具合がよくない場合は、入院期間が伸びることもあります。

※赤ちゃんがNICUに入ったままの場合はママだけの退院となり、その後は母乳を届けに病院に通うようになります。

わからないことはドンドン聞いて、不安な気持ちを減らそう!

この記事では帝王切開手術の一般的な流れをお伝えしましたが、まだまだ手術への不安や恐怖はぬぐえないかもしれません。

私も「帝王切開の手術ってなにするんだろう?」と調べてみては、怖い話を見て余計に不安になった経験があります。

解決策としては「気になることは医師や看護師にドンドン相談する」のがおススメです。「怖い!」「痛そう!」「こういうことって本当にあるの?」といった不安な気持ちや疑問を、正直にぶつけてみましょう。

相手はプロですから、的確な返事と一緒に気持ちを落ち着かせることを言ってくれるはずです。私はそのおかげで手術前の不安な時間を乗り越えることができました。

「手術が怖い」という気持ちは誰にでもあります。決して無理に奮い立たせる必要はありません。気持ちにふたをせずドンドン吐き出して、不安を少しでも減らしていきましょうね。
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